2008/02/29 - 2008/03/01
682位(同エリア702件中)
黒田夫妻さん
地獄谷では、いたるところから湯気がのぼっていた。硫黄の臭いが鼻をつき、立ち入り禁止の柵の向こうには、温泉が湧き出しているような穴もある。穴にむけて、雪玉をなげてみたが、そこまで届かなかった。
谷には、木などはほとんど茂っておらず、地面が暖かいのか、雪は積もらず、むき出しの地面は、噴き出た硫黄がうっすらと黄色く染めていた。
観光用の順路には、ハングルを話す韓国人らしい老若男女の団体が列をつくって歩いており、記念写真を撮り合っていた。他にも、欧米人のカップルなどもいて、地獄谷の立て札も、日本語と英語で書かれ、中国語、韓国語を添えているものもあちこちで見られた。サミットとは関係なく、登別はすでに国際化していたのである。
私たちは、地獄谷の底のほうに降りていった団体とは離れて、上にのぼっていった。雪に埋もれた小さな展望台が見えると、すぐに道は下りとなり、いつのまにか、もと来た場所に戻っていた。
宿に引き返す途中、「極楽商店街」で記念の木彫りの熊の小さな置物などを買い求めた。ホテルに着くと、冷えた身体を暖めようと、明治の開業以来の「ローマ風呂」が自慢の大浴場へと急いだ。温泉は、硫黄泉にくわえ、茶色く濁る鉄泉、無色でしょっぱい塩泉の3種類があり、外には、岩風呂とひのきの2つの露天風呂がつくられ、さまざまな温泉をゆっくりと楽しめることができた。
頼んでいた夕食の時間になると、仲居さんがやってきた。献立は、新鮮な刺身5点盛り、マイタケの土瓶蒸し、豚鍋、炊きたての釜飯など、これでもかこれでもかというようにごちそうが出てきて、あっという間に満腹になった。ここでも、とれたてのウニにありつくことができた。
驚いたのは、夕食の途中にホテルの女将が突然、私たちの部屋に訪ねてきたことだった。仲居さんかと思ったら、女性は、
「女将でございます。本日は、ご宿泊いただき、どうもありがとうございます」
と言って、丁寧にお辞儀をしたので、びっくりしてしまった。
客商売と言えど、数百は部屋数があるこんな大きな旅館を、女将が一部屋一部屋回っているとしたら大変な作業である。老舗の心を忘れない、そのきめ細かさとにしみじみと感心し、温泉とアルコールで芯まで暖かくなった身体に加えて、心も温かくなった。
食事が終わり、仲居さんが食卓を片付けててしまうと、妻は、お腹がいっぱいで苦しいと言って、敷いてもらったふかふかの布団の上にさっさと横になってしまった。
私も、疲れの上にほどよくビールの酔いが回ってきて、ふたたび大浴場に出かけるのが大儀になり、そのまま眠ってしまったのだった。
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