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《世界旅行者は、上海で、昆明行きK79次硬臥の切符を旅行前日に、個人で取る》<br /><br />さて、僕はこのときまでに、中国の鉄道に乗ることに、すっかりうんざりしていた。<br />と言うのは、中国はとにかく人が多い。<br /><br />さっき通ってきた上海駅も、膨大な数の人が行き交っていた。<br />駅前を通り過ぎてきただけで、僕はその人いきれと熱気で、疲れてしまっている。<br /><br />しかも僕は、中国の鉄道では、北京西駅から成都の二泊三日の硬臥にすでに乗って、その状況を把握している。<br />また、柳園からトルファンへの軟臥で一泊したこともある。<br /><br />するとここで上海から昆明まで、またわざわざ硬臥に乗って旅をしたところで、たいして新しい経験ともいえないよね。<br />同じことを繰り返しても意味がないよ。<br /><br />ここで世界旅行者の鉄道旅行経験について、思い出してみよう。<br />海外旅行の基本の基本としては、もちろんヨーロッパ鉄道旅行をがんがんやっていなければ話にならない。<br /><br />ヨーロッパの文明に触れずに、ただ安く旅できるからというだけで、アジア中東付近をうろついている人たちは、旅の基本を忘れているので、いくら旅行しても無駄なんだ。<br />基本をないがしろにして、応用ばかりをやっても、身につかないわけだね。<br /><br />数学も、英語も、大工仕事も、料理も、海外旅行も、基本を忘れるとモノにならないのは一緒だ。<br />鉄道旅行の基本がユーレイルパスによる西欧中心の鉄道旅行ならば、もう少しすすんで、東欧も鉄道旅行しなければならない。<br /><br />さらに、応用編では、アフリカの鉄道旅行、例えばモロッコのタンジェからマラケシュ、ケニアのナイロビからモンバサへの鉄道も大切だ。<br />西アフリカのダカール(セネガル)からバマコ(マリ)の寝台列車、これはもうすぐ廃線になるに決まっているので、絶対に乗っておかなければ話にならないよね。<br /><br />廃線と言えば、チリのサンチアゴからプエルトモンまでの揺れの激しい夜行寝台列車にも乗った。<br />南米ならばもちろん、クスコからプーノへの通称泥棒列車にも乗っている。<br /><br />米国のAMTRAKにも乗ったし、オーストラリアでも鉄道に乗った。<br />アジアでは、マレーシア半島の鉄道にも、パキスタンのペシャワールからクエッタへの最長鉄道(2泊3日)にも乗っている。<br /><br />ということは、今ここで、上海から昆明程度を二泊三日で行こうが行くまいが、たいした問題ではない。<br />鉄道旅行も、ガラガラのスカスカの大きな窓を持つきちんとした車両で、例えばヨーロッパアルプスの山岳地帯の峡谷をゆったりと走って、両側に雄大な山が迫ってくると、これは最高にキモチイイね。<br /><br />また、車両はぼろぼろでも、人がどんどん降りてしまったがらんとした列車で、雄大な高原をカタコト走って、開けた窓からサーッと風が吹き込んでくるような状態だと、これもまたなかなかキモチイイよね。<br />これは、実はパキスタンで、クエッタエクスプレスが終着駅クエッタに到着する寸前の記憶なんだけどさ。<br /><br />でもまあとにかく中国では、人が多すぎて、そういうことは夢にも考えられない。<br />前回の経験でも、とにかく車両内はびっしりと満員で、また中国の皆さんは、しゃべるは食べるわで、とにかく精神的に疲れてしまうのだ。<br /><br />それに、北京から成都のときは、燕京号で出会った女子大生さんと一緒に旅をしたので、まだちょっとは助けられて楽だったけどね。<br />まあ、僕が助けてもらうために、女子大生さんを誘ったってこともあるんだけどさ(笑)。<br /><br />というわけで、僕が外国人用切符売り場に来た時は、「鉄道切符が手に入らないのは願ってもないことで、それを理由に、飛行機でひとっ飛びだーい♪」という結論に達していたわけなんだ。<br />窓口のお姉さんは、僕の顔を見て、ニヤリと笑って、一呼吸置いた。<br /><br />僕は、「ダメならダメと早く言えよ!」と、目で語る。<br />お姉さんは、「おめでとうございまーす!ここで翌日の切符が取れた人は、あなたが最初です!中国共産党から特別に、たった今、一枚だけ切符が放出されました。あなたはよほど特別なひとなんですね」と、尊敬のまなざしで、僕に言った。<br /><br />ま、この言葉は、中国語だったので、多分そう言ったのだろうと僕は思うだけで、正確な翻訳ではないんだけどね。<br />僕は、「オイオイ、止めてくれよ…」と思う。<br /><br />もうこの歳になって、二泊三日も硬臥(ニ等寝台)で移動だなんて…。<br />ただ、中国共産党が僕のためだけに一枚の切符を用意してくれた(多分ね)のなら、この列車に乗らないと、逮捕されてしまうかもしれない…。<br /><br />また、こういう流れになってしまったら、その流れに乗らないと、大変なことが起きると僕は知っている。<br />だいたいが、昼過ぎにやってきて、翌日の切符が入手できるなんて奇跡としか考えられない。<br /><br />常に満員状態の上海~昆明の、誰でも欲しがる硬臥の切符が目の前にあること自体が、とんでもないことなのだ。<br />このチャンスを逃すと、チャンスの神は二度と僕に振り向いてはくれないだろう。<br /><br />「しかたがない、それが運命なら、従うだけだ。イヤだけど列車で昆明まで行くしかないか…」と、決意して、切符を手にする。<br />しかし、もちろん手にしたものが本物かどうか、日付や値段などをチェックしてみなければならない。<br /><br />中国の鉄道切符はコンピューターで発券されるので、切符にはその内容がはっきりと印字してある。<br />そして券面には、「新空調硬座特快…」とある。<br /><br />なんだって…、ここには「硬座」とあるではないか。<br />硬座といえば、地獄の二等椅子席だよ。<br /><br />僕には硬臥といいながら、切符は硬座か。<br />中国は人を騙すところだが、ここまでやるかなー。<br /><br />中国共産党から特別に一枚だけ放出されたといいながら、人を騙して喜ぼうという汚い魂胆だなー。<br />僕は、ブチブチッと血管が切れたが、こんなところで暴れても仕方がない。<br /><br />窓口の女性に、切符の「硬座」のところを示して、ジェスチャーで寝る姿を描き、両手で大きくバッテンをする。<br />世界共通の言葉で、「僕は硬臥が欲しいんだよ。硬座では寝れない」と語ったわけだ。<br /><br />すると女性は、切符の最後の方を指差した。<br />そこには、「新空調硬座特快臥」と、「臥」の字が書いてある。<br /><br />ということはこの切符は本当に、幻の「硬臥」なのか。<br />それでも信じない僕は、念のために、一等寝台の切符を持っているキャミ子さんの軟臥の切符を見せてもらった。<br /><br />それも、同じような書き方だ。<br />つまり、やはりこれは、硬臥の切符らしい。<br /><br />これだけ切符を疑うというのは、正直、自分としては、いまさら明日、硬臥なんかに乗りたくないという気持ちがあるからなんだよ。<br />イヤだが、本当に翌日の硬臥切符を入手してしまったみたいだね(涙)。<br /><br />こんな夢みたいな話、旅行記に書いても誰も信じないだろうけれどさ、これはね、正真正銘本当の話なんだよ。<br />僕は明日、2002年7月26日の、昼の12時42分上海駅発、昆明行きK79次列車の硬座切符を入手してしまったんだ。<br /><br />でもそんな幸運が、いつまでも続くはずがない。<br />次はとんでもないことが、起きてしまったのだ。<br /><br />(「世界旅行者・海外説教旅」030)<br /><br />http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/sekkyo/030.htm<br />

上海~バンコク旅行記30話

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2002/07 - 2002/07

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みどりのくつした

みどりのくつしたさん

《世界旅行者は、上海で、昆明行きK79次硬臥の切符を旅行前日に、個人で取る》

さて、僕はこのときまでに、中国の鉄道に乗ることに、すっかりうんざりしていた。
と言うのは、中国はとにかく人が多い。

さっき通ってきた上海駅も、膨大な数の人が行き交っていた。
駅前を通り過ぎてきただけで、僕はその人いきれと熱気で、疲れてしまっている。

しかも僕は、中国の鉄道では、北京西駅から成都の二泊三日の硬臥にすでに乗って、その状況を把握している。
また、柳園からトルファンへの軟臥で一泊したこともある。

するとここで上海から昆明まで、またわざわざ硬臥に乗って旅をしたところで、たいして新しい経験ともいえないよね。
同じことを繰り返しても意味がないよ。

ここで世界旅行者の鉄道旅行経験について、思い出してみよう。
海外旅行の基本の基本としては、もちろんヨーロッパ鉄道旅行をがんがんやっていなければ話にならない。

ヨーロッパの文明に触れずに、ただ安く旅できるからというだけで、アジア中東付近をうろついている人たちは、旅の基本を忘れているので、いくら旅行しても無駄なんだ。
基本をないがしろにして、応用ばかりをやっても、身につかないわけだね。

数学も、英語も、大工仕事も、料理も、海外旅行も、基本を忘れるとモノにならないのは一緒だ。
鉄道旅行の基本がユーレイルパスによる西欧中心の鉄道旅行ならば、もう少しすすんで、東欧も鉄道旅行しなければならない。

さらに、応用編では、アフリカの鉄道旅行、例えばモロッコのタンジェからマラケシュ、ケニアのナイロビからモンバサへの鉄道も大切だ。
西アフリカのダカール(セネガル)からバマコ(マリ)の寝台列車、これはもうすぐ廃線になるに決まっているので、絶対に乗っておかなければ話にならないよね。

廃線と言えば、チリのサンチアゴからプエルトモンまでの揺れの激しい夜行寝台列車にも乗った。
南米ならばもちろん、クスコからプーノへの通称泥棒列車にも乗っている。

米国のAMTRAKにも乗ったし、オーストラリアでも鉄道に乗った。
アジアでは、マレーシア半島の鉄道にも、パキスタンのペシャワールからクエッタへの最長鉄道(2泊3日)にも乗っている。

ということは、今ここで、上海から昆明程度を二泊三日で行こうが行くまいが、たいした問題ではない。
鉄道旅行も、ガラガラのスカスカの大きな窓を持つきちんとした車両で、例えばヨーロッパアルプスの山岳地帯の峡谷をゆったりと走って、両側に雄大な山が迫ってくると、これは最高にキモチイイね。

また、車両はぼろぼろでも、人がどんどん降りてしまったがらんとした列車で、雄大な高原をカタコト走って、開けた窓からサーッと風が吹き込んでくるような状態だと、これもまたなかなかキモチイイよね。
これは、実はパキスタンで、クエッタエクスプレスが終着駅クエッタに到着する寸前の記憶なんだけどさ。

でもまあとにかく中国では、人が多すぎて、そういうことは夢にも考えられない。
前回の経験でも、とにかく車両内はびっしりと満員で、また中国の皆さんは、しゃべるは食べるわで、とにかく精神的に疲れてしまうのだ。

それに、北京から成都のときは、燕京号で出会った女子大生さんと一緒に旅をしたので、まだちょっとは助けられて楽だったけどね。
まあ、僕が助けてもらうために、女子大生さんを誘ったってこともあるんだけどさ(笑)。

というわけで、僕が外国人用切符売り場に来た時は、「鉄道切符が手に入らないのは願ってもないことで、それを理由に、飛行機でひとっ飛びだーい♪」という結論に達していたわけなんだ。
窓口のお姉さんは、僕の顔を見て、ニヤリと笑って、一呼吸置いた。

僕は、「ダメならダメと早く言えよ!」と、目で語る。
お姉さんは、「おめでとうございまーす!ここで翌日の切符が取れた人は、あなたが最初です!中国共産党から特別に、たった今、一枚だけ切符が放出されました。あなたはよほど特別なひとなんですね」と、尊敬のまなざしで、僕に言った。

ま、この言葉は、中国語だったので、多分そう言ったのだろうと僕は思うだけで、正確な翻訳ではないんだけどね。
僕は、「オイオイ、止めてくれよ…」と思う。

もうこの歳になって、二泊三日も硬臥(ニ等寝台)で移動だなんて…。
ただ、中国共産党が僕のためだけに一枚の切符を用意してくれた(多分ね)のなら、この列車に乗らないと、逮捕されてしまうかもしれない…。

また、こういう流れになってしまったら、その流れに乗らないと、大変なことが起きると僕は知っている。
だいたいが、昼過ぎにやってきて、翌日の切符が入手できるなんて奇跡としか考えられない。

常に満員状態の上海~昆明の、誰でも欲しがる硬臥の切符が目の前にあること自体が、とんでもないことなのだ。
このチャンスを逃すと、チャンスの神は二度と僕に振り向いてはくれないだろう。

「しかたがない、それが運命なら、従うだけだ。イヤだけど列車で昆明まで行くしかないか…」と、決意して、切符を手にする。
しかし、もちろん手にしたものが本物かどうか、日付や値段などをチェックしてみなければならない。

中国の鉄道切符はコンピューターで発券されるので、切符にはその内容がはっきりと印字してある。
そして券面には、「新空調硬座特快…」とある。

なんだって…、ここには「硬座」とあるではないか。
硬座といえば、地獄の二等椅子席だよ。

僕には硬臥といいながら、切符は硬座か。
中国は人を騙すところだが、ここまでやるかなー。

中国共産党から特別に一枚だけ放出されたといいながら、人を騙して喜ぼうという汚い魂胆だなー。
僕は、ブチブチッと血管が切れたが、こんなところで暴れても仕方がない。

窓口の女性に、切符の「硬座」のところを示して、ジェスチャーで寝る姿を描き、両手で大きくバッテンをする。
世界共通の言葉で、「僕は硬臥が欲しいんだよ。硬座では寝れない」と語ったわけだ。

すると女性は、切符の最後の方を指差した。
そこには、「新空調硬座特快臥」と、「臥」の字が書いてある。

ということはこの切符は本当に、幻の「硬臥」なのか。
それでも信じない僕は、念のために、一等寝台の切符を持っているキャミ子さんの軟臥の切符を見せてもらった。

それも、同じような書き方だ。
つまり、やはりこれは、硬臥の切符らしい。

これだけ切符を疑うというのは、正直、自分としては、いまさら明日、硬臥なんかに乗りたくないという気持ちがあるからなんだよ。
イヤだが、本当に翌日の硬臥切符を入手してしまったみたいだね(涙)。

こんな夢みたいな話、旅行記に書いても誰も信じないだろうけれどさ、これはね、正真正銘本当の話なんだよ。
僕は明日、2002年7月26日の、昼の12時42分上海駅発、昆明行きK79次列車の硬座切符を入手してしまったんだ。

でもそんな幸運が、いつまでも続くはずがない。
次はとんでもないことが、起きてしまったのだ。

(「世界旅行者・海外説教旅」030)

http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/sekkyo/030.htm

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