プランバナンへ

2008/02/09 - 2008/02/09

プランバナンまでは1時間少しかかった。到着した時には4時を回っていたので、入場、観光で1時間くらいだろう、と思われた。運転手も、決まり文句みたいなのは知っているようで、「全体が修復中なので、1時間後に」と言う。2006年のジャワ沖地震の後、プランバナンのロロ・ジョングラン寺院の内部は見学することができなくなっている。

入場券売り場で10ドルを支払う。インドネシア人だと8000ルピアだったようで、ここもまた外国人価格である。インドネシア政府にとっては、貴重な外貨稼ぎの手段なのだろう。確か元は11ドルだったので、修復期間中は1ドル値引きしてくれることになるようだ。

エリア プランバナン周辺(インドネシア)

まずはロロ・ジョングラン寺院に行く。8つの寺院群で構成されているが、正式にはこれらの寺院を総称して「プランバナン寺院群」といい、ロロ・ジョングラン寺院は別名だそうだ。すでに右側に見えてきた寺院には足場が組まれているので、修復中であることが分かるが、さらに近寄っていくと、寺院群の周囲には立ち入り禁止のロープが張られていた。離れたところから見ても、レリーフはかなり見事なのだが、近くに見にいけないのが悔しいところ。修復作業には、日本の ODAが利用されているそうだが、4兆円も日本から借金をしているそうで、返済の目処は立っていないそうだ。

それぞれの寺院の名前と、地震の時にどれだけの被害を受けたかということが記載されている。足場の組まれた寺院は、奇遇にもガルーダ寺院だそうだ。ご存知、ガルーダはヒンズー教の空の神様だが、その名を冠したこの国の航空会社、事故ばっかり起こしている。

ロロ・ジョングラン寺院群をぐるりと一周して見学し、終了。実際、ここの中を見られないプランバナンは、あまり来る意味はないのかもしれない。ガイドブックの写真だけで比較した時には、完全にボロブドゥールよりプランバナンの方が優位だったのだが、写真では語りつくせないボロブドゥールに対し、中に入ってレリーフの見られないプランバナンの方が、残念ながら訪問する価値は低くなる。

同じ公園内には、他に3つの寺院がある。ルンブン寺院とブブラ寺院、それにセウ寺院である。廃墟となっているルンブン寺院とブブラ寺院はともかく、セウ寺院は、ロロ・ジョングランの伝説の元になった寺院なので、やはり見ておきたいと思う。

美女のロロ・ジョングランに求婚してきた大男に、ロロ・ジョングランは「一晩で千の寺院を作ることができたら求婚に応じる」と言い、精霊の力を借りて999の寺院を大男が作り上げたところを、ロロ・ジョングランは鶏をだまして鳴かせることで、精霊を仕事の途中で帰してしまう。それに怒った大男が、ロロ・ジョングランを呪文で石像に変えてしまったという。
その「千の寺院」の意味を持つのが、この「セウ寺院」である。ロロ・ジョングラン寺院から歩くこと10分あまり、ようやく到着である。

入り口には守護神のクベラの像が置かれ、主堂を中心に、半壊した寺院群が周囲に残っている。中に入っていくが、ロロ・ジョングラン寺院と違って人は少なく、私以外に観光客はいないようだ。こちらの寺院は、地球の迷い方によると、仏教的な要素が強いようだが、確かにストゥーパ状のものを見ることができる。
こちらは主堂のみが修復中で、それぞれのレリーフを見て回るが、大半が顔をそぎ落とされているなど、状態はよろしくない。

セウ寺院からゲートに戻る途中、地元の子供の物乞いに囲まれそうになる。ここは入場料が必要なエリアだが、警備も行き届いていないのだろうか、人が少なくなる時間を狙って、周囲に住む子供が入り込み、外国人から物乞いをしているらしい。出口に急ぎ、プランバナンを後にした。正直、ボロブドゥールと比べると見るものは少なかったな、と言うのが感想であった。

ホテルまで送ってもらって、レンタカーは終了。少し部屋で休み、マリオボロ通りに繰り出すことにした。