2001/04 - 2001/04
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みどりのくつしたさん
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オフィスのドアを開くと、そこは誰もいないがらんとした部屋があった。
その奥にもう一つ部屋があり、そこで声がする。
覗くと、恰幅のいい中年男性が大声で電話をしていた。
この男性に目があったので、目で「いいでしょうか?」と合図すると、彼は受話器を顔から離して、「フィフティーンミニッツ!」と叫んだ。
僕の世界旅行経験では、モロッコの首都ラバトでアルジェリアのビザを取りに行った時、「ドゥミニュイ(2分)!」と言われた。
そのときの「2分」は結局3時間で、午前中一杯待ち続けたことがあったよ。
すると、15分というのは、何分待つべきなのだろうか?
なかなか難しいものだよ。
でも他にアイディアが浮かばなかったので、15分待って、またドアを開ける。
すると、予想した通り、まだ電話が続いていた。
さらに、25分ほど待って、また覗くと、今度は電話が終わっていたが、もちろん僕らのことは忘れているようだった。
僕の顔を見ると、「まだいたのか、しつこいやつだな」という顔をした。
そこを強引に部屋に入っていく。
そして、「夕方に東京へ飛ぶので、それまでにモスクワを見たい。ついてはビザがもらえないか?」と英語で言う。
彼は「ビザは出るけれども、1人50ドルするよ。それに、モスクワを見るには時間がないから、止めた方がいい」と言う。
このおじさんは、多分公務員なのだろう。
公務員とは、「できるだけ仕事をせずに、楽をして金をもらう人間」と、世界中での定義がある。
公務員の機嫌を損ねると、大変なことになる。
とにかく公務員に出合ったら、できるだけ下手に出て、おだてるのがコツだ。
僕はまず、「ビザはすぐに出るんですか?」と聞く。
確かに時間がないので、ビザの取得に時間がかかるようならば、モスクワに行くのは無理だ。
ビザはすぐに出るとのこと。
しかし、僕一人で行くつもりがないので、森田くんと福山くんの気持ちを確かめなければならない。
「ちょっと考えてみます」と言って、オフィスの外に出て、「どうする?」と2人に尋ねる。
福山くんは「僕はお金もないし、またにします」とのこと。
僕も、まあ無理して行っても仕方ないよね、と気持ちが傾く。
「じゃやめようか。森田くんは、ドルキャッシュを持ってないでしょ?」と口に出す。
実は僕はまだ200ドル程度のドルキャッシュをもっていたが、貸し借りをやると面倒なので、それは考えていない。
旅先で金を貸すと、後の処理が面倒なので、僕は「旅先で金を貸さない」ことにしているのだ。
ビザ代が50ドル、モスクワまでのタクシー代がおそらく50ドル程度という話を聞いたことがある。
いくらなんでも100ドルは取らないだろう。
モスクワ市内であと少し飲み食いやお土産に使うことを考えると、余裕を見て最低150ドルは持っておきたい。
森田くんは日本円が残っているだけだと聞いていたのだ。
とすると、僕の金では2人で行くにはちょっと心細いんだよ。
すると森田くんは言った。
「僕は行く気ありますよ。ドルキャッシュは円を両替すればいいですから」。
なるほど、これで決まった。
誰かが行くなら僕は行く。
それが神の声だから。
でも、森田くんは、さすが決断力のある男だね。
これなら、社会で成功するに決まっている。
考えてみれば、100ドルくらいで、空港でトランジットビザを取って、モスクワ観光ができるならば、これは一生の話のネタだ。
僕がいつも言うように、ビザの条件はすぐにコロッと変化する。
いずれはロシア旅行もビザなしで可能になるだろう。
また、このトランジットビザ制度も、どうなるかわからない。
またあのおじさんの態度では、誰にでも喜んでトランジットビザを出している雰囲気はない。
ほとんどの時間は、仕事をしないで、客を追い返しているのではないか。
つまり、2001年の春のこの時期に、空港でトランジットビザを取ってモスクワ観光するという話は、最低でも10万円、高ければ20万円くらいの価値はある。
僕が世界旅行者というからには、誰でもできるような旅行をしてもダメだ。
他の人ができない形のビザをとり、珍しい入国をしなければならない。
つまり、このチャンスは絶対逃がしてはいけない。
僕は盛田くんに言う。
「タクシー代は僕が払うから、キミはビザ代とちょっとあればいいよ」
彼はすぐに空港内の両替所に走った。
円をルーブルにして、そのルーブルをドルへと2回両替したようだ。
70ドルちょっとの金を手にして、戻って来た。
再度オフィスへ入り、男性に「すぐにビザを下さい。モスクワに行くことにしました」と告げる。
この男性が声を掛けると、反対側の部屋から若い女の子が出て来て、すぐにビザを作り始めた。
ビザは、10分もすると出来上がった。
ビザは二つ折りのパスポートサイズの紙で、すべてキリル文字だ。
つまり、何が書いてあるのかさっぱりわからない。
男性は「トランジットオフィスに行くと、空港からの出方を教えてくれるから」とアドバイスをくれた。
しかし、行ってみると、トランジットオフィスの前は、ミールクーポンをもらう乗り換え客の長い列がある。
こんなところに並んでいたら、いつ空港から脱出できるかわからない。
僕は森田くんを引き連れて、人のいないゲートを勝手に、こっそり、すーっと抜けて、階下の出国審査の方へ進んだ。
そのときの森田くんの僕を見る目は、「ロシアで勝手にゲートを抜けるなんて、すごい人だなー。さすが世界旅行者さんだ」との尊敬の念で一杯だったよ。
ま、それが失望に変わるのは、そんなに時間はかからなかったけどね(涙)。
出国審査はビザとパスポートを見せるだけで、簡単に終了した。
僕は「モスクワでは出国切符はチェックしないんだな」と瞬間思ったが、それがあとあと大変な問題になるとは、神ならぬ身の知る由もなかったのだ。
(ロシア旅行記・3)
http://www.midokutsu.com/europe/russia3.htm
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