トカラへ

2007/03/09 - 2007/03/15

トカラに向かうフェリーは、時刻表に載っていません。そんな謎めいた航路で、トカラに向かいました。
トカラ列島のいくつかの島には温泉が湧いています。今回は、そのなかで悪石島に行くことにしました。
トカラは屋久島と奄美大島の間に連なる島々で、鹿児島を深夜に出航した船は翌朝早朝からそれぞれの島に寄港し、乗客や生活物資を下ろしながら南下します。乗船日はやや波が高かったせいか、寄港できなかった島もありました。
やがて到着した悪石島、防波堤の付け根から山がそそり立つような島で、近寄りがたい印象があります。集落は港の近くと島の中央にあり、温泉は海岸沿いにあります。小さな島なのでそれぞれの距離はたいしたことはないのですが、アップダウンが激しいので、宿の車を借りました。ちなみにトカラの島々は、指定されたキャンプ場以外は野宿禁止なので、夏などは船も宿も手配がたいへんそうです。もっとも私が行った時期は静かなもので、次の船が来るまで数日、滞在を楽しみました。もっとも、島と島の連絡も、鹿児島と往復するフェリーか、瀬渡し船を利用するしかないので、すぐ近くに見える隣の島でも移動は不便です。

エリア トカラ列島(鹿児島)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: ANAグループ

トカラへ向かうフェリーとしまです。1,300トンとのこと。けっこう快適です。島によっては売店などがほとんど存在しないので、お菓子やお酒など、乗船前に確保することが必須です。

悪石島です。海岸から崖が屹立しているようで、近寄りがたい印象があります。左端が御山で、標高５８４メートル。

港の近くにある民宿浜辺です。ここに滞在しました。シーズンともなれば相部屋になるのでしょうが、私が泊まったときは２０畳くらいの部屋に私一人でした。

港近くの集落の外れに、温泉へと向かう分かれ道があります。

悪石島の温泉です。ちょっとした集会場のような雰囲気です。夕方になると島の人たちが車に乗り合わせてやってきます。なお、温泉は夕方５時から入れます。これは、湯温を調節するための水の関係のようです。島では水は貴重なので、流しっぱなしなど論外です。

温泉施設に隣接して海に面した露天風呂が２つあります。とても魅力的ですが、私が行った時期は入れず、５月の連休ごろに入れるようになるとのことでした。

温泉マークの描かれた岩の下に海中温泉がある…はずなのですが、台風が来たときに波が打ち寄せてきて、石で埋め尽くされてしまったそうです。８月のボゼのお祭りまでに掘り出さないと…と温泉で会った島の人が言っていました。ここでは、船の荷役から露天風呂の復旧まで島のマンパワーでこなすしかないのです。

温泉施設から５分ほど歩いたところにある広場です。その奥にある屋根掛けは、砂風呂です。トライしてみたい気はありましたが、砂を掛けてくれる人がいないので断念。砂に手を突っ込んでみると、けっこう熱かったです。

島の中央の集落に向かう坂の途中にある対馬丸遭難者の慰霊碑です。戦争中、沖縄からの疎開船である対馬丸が悪石島沖で攻撃を受けて沈没し、多くの犠牲者が出たそうです。

島の中央の集落近くで。港や温泉の近くには野生のヤギがいましたが、こちらのヤギは車にお住まいのようです。

島のお社で見かけたものです。おそらく何らかの意味があるのでしょうが、あいにく教えてもらおうにも人影がありませんでした。

島の最高峰、御山の頂上付近からの眺めです。頂上付近はリュウキュウチクがびっしり生い茂っていて、頂上の眺めもあまりよくありません。なお、御山の頂上にはNTTやdocomoの通信塔が３本建っていて、車で登ることができます。

島の北側から東側にかけては比較的なだらかな斜面が海まで続いていて、牛の放牧場になっています。すぐ近くに諏訪ノ瀬島が見えます。こうした島の連なりがあったからこそ、古来からこの海の道を伝ってモノや文化が伝わっていったことがリアルに感じられます。

放牧場の中の道を散歩していると、牛がやってきました。どう見てもこの島では人より牛の方が多いようです。島の主要産業といっていいでしょう。

島の港です。漁船は数隻しか見当たりません。そのうち２〜３隻は、民宿が所有する釣り船兼瀬渡し舟でした。製氷施設も加工場もない島では、獲れた魚の出荷もできないので、自分たちで食べる分しか獲れないのでしょう。