2007/07/16 - 2007/07/16
346位(同エリア462件中)
まみさん
2007/07/16(月)第9日目:マラムレシュ地方観光1日目(w/現地ガイド)
【宿泊:Pension Prisacaru(ヴァド・イゼイ村)】
スルデシュティの木造教会、ブルーベリー&クランベリー摘み(ピクニック)、ブデシュティの木造教会、Ocna Sugatagの塩湖周辺を散策、マラムレシュの丘陵での写真撮影&マシュルーム摘み、夕食後にヴァド・イゼイ村の川まで散策
初めての海外旅行は、ロンドンでホームステイ後の10日間の添乗員付きのツアーの予定でしたが、それが直前にキャンセルになり、否応なしに一人旅をすることになりました。
しかしそれ以来、海外旅行は一人で出かける度胸がつきました。
ゆえに今まで海外旅行はほとんど1人で出かけています。現地の日帰りツアーを除き、ガイドと一緒の旅行は、今回を除く今までの22回の旅行のうち、4回だけです。
その4回のうち2回は友人たちと一緒で、1回だけ日本から添乗員付きの団体ツアーに参加しました。
今回のように、途中、ガイドと1対1というのは、1997年のイスラエル旅行がそうでした。
ただしあれは、1人から参加可能なツアーという旅行会社の既成プランを利用しました。
イスラエルの現地ガイドと過ごしたのは、2日間だけでした。
しかし、1対1はとても窮屈な思いをして、気疲れしました。
1人だからこそ、いつも一定以上のテンションを保っていなければならない義務感に縛られてしまったのです。
たまにはぼんやりしたいし、テンションが下がるときもあります。
1人旅に慣れていたので、一日中だれかと一緒───それも気楽な友人同士ではなく、それなりに気を使う、考え方や感じ方の違う外国人のガイド───というのも窮屈でした。
それなのに、今回は6日半もガイドに案内してもらう日程(ただしうち1日はフリーデイ)を立ててしまいました。
なにしろ、1人では行けない田舎めぐりが目当てのマラムレシュ地方とブコヴィナ地方は、今回のルーマニア旅行のハイライト中のハイライトと考えたからです。
割けられる限りの日程を割いて、行きたいところを行けるだけ盛り込んでみたら、いつのまにかそんなになってしまいました。
プランが決まり、すべての手配をすませた後で、ハタと心配になりました。
この私に、一週間も現地ガイドと2人っきりで過ごせるのでしょうか。
イスラエルのときは2日間でも疲れたのに、だいじょうぶなの!?
しかしその心配も杞憂に終わりました。
理由はいろいろ考えられます。
今回のガイドのニコラエさんは、日本人をガイドするのに慣れていました。
ルーマニア人という人なつこい国民性もあると思います。
そのおかげか、イスラエルのガイドよりも波長が合いやすかったように思います。
それから、イスラエルよりも宗教話題に気を使わなくてすみました。
(ただし第二次世界大戦で大勢のユダヤ人がアウシュヴッツに連行されて、マラムレシュ地方のユダヤ人コミュニティがほぼ全滅した歴史には触れませんでした。マラムレシュのユダヤ人については、マラムレシュ第4日目の7月19日の旅行記で、みやこうせい氏の著書「マラムレシュ〜ルーマニア山村のフォークロア(未知谷社)からの抜粋引用により説明に代えたいと思います。)
そしてニコラエさんはとても博学だと何度も感心させられました。
私にも話しやすい分野の話題も多くできました。話が合うことが多くて───というか、ニコラエさんは自分とは違う価値観も尊重してくれて、話しやすかったです。
また、ガイドだけあると言ってしまえばミもフタもないものの、基本的なことから知らない外国人への説明も適切だったと思います。
どんなに些細な質問であっても、外国人だから知らなくて当然だからどんどん質問して欲しいと言ってもらえたのも頼もしかったです。
「そんな質問をするの?」というあきれた雰囲気を匂わせませんでした。
それは逆に私に、「こんなつまらないことを質問してバカにされないかしら」といった気後れがなくなり、遠慮せずどんどん聞けるだけの度胸がついた(図太くなったともいう@)せいもあるでしょう。
つまり、一番の理由は、私自身、一日中、ガイドと1対1で過ごすのが2度目なので、どういうかんじか心構えができていて、呼吸が計りやすくなっていたからかもしれません。
ニコラエさんはペンションに戻れば、ペンションのオーナーとして奥様と一緒に歓待してくれました。
イスラエルの場合はホテルに滞在しましたから、ガイドも若干、オフ気分になっていた気がします。個人的に親しくなろうとする微妙な態度の変化に、私がついていけなかったところがあったと思います。
(別にガイドと観光客というきっかけで知り合った個人同士と考えれば、彼の態度はそれほど親しすぎるというものでもなかったのですが。)
日程も、今回は大枠のプランを決めて、あとはガイドにお任せというせいもあってか、私からいちいち聞いたりするだけでなく、ニコラエさんの方から積極的に私の興味の引きそうなものを見つけたりしてくれました。
予定のプラン以上のものを提供しようという意気込みが常に感じられたのもとても好感がもてました。
おかげで、1人でうろうろしているときと同じように、いやそれ以上に、思わぬ「発見」に導いてもらえたことも、満足度を高めた要因でしょう。
1人旅でもきっちりかっきりプランしていく私ですが、やはり実際に旅に出かける醍醐味は、そういう「発見」ですからね。
それはどんなに小さなものでもいいのです。
旅先のエピソードとして紹介するには足らないことでも。
関連の旅行記【初めての一人旅】
「1988年春のロンドン・ホームステイ3週間+フリータイム8日間(初めての1人旅)その1:ロンドン・ホームスティ(前半)」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10069953/
を第一回目として、計5回。
関連の旅行記【イスラエル旅行記】
「1998年秋のイスラエル旅行11日間(旅程一覧&第1日目:テルアビブへ)」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10031437/
をプロローグとして、計13回。
「マラムレシュ地方
ウクライナと国境を接するルーマニア北部の奥地という印象が強いエリアだが、民俗学的にも注目される昔ながらの生活と伝統が息づいている。チャウシェスク政権時代に進められた近代化政策もこの地方まではほとんど届かなかった。冬は深い雪に閉ざされる。
世界中のどの地域とも同じく、ここにも近代化は迫ってきているが、マラムレシュ奥深くの小さな村の人々は、民族衣装をまとい、農林業と羊を主体とした牧畜をする、地域に根付いた生活を今でも続けている。」
(’07〜’08年版「地球の歩き方」より)
-
ブルーベリーとクランベリーの茂み
ガイドのニコラエさんがピクニックはいかが?と提案しました。
もちろん歓迎です。
このもこもこの草むらが、ブルーベリーとクランベリーの茂みなのだそうです。
写真では少しわかりづらいですが、軽く坂になっています。 -
ブルーベリー、見っけ!
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クランベリー、見っけ!
ブルーベリーよりクランベリーの方が見つけやすかったですが、クランベリーは少し酸っぱくて、ブルーベリーはとても甘かったです@ -
おお、ブルーベリー、ブルーベリー!
最初、私にはなかなか見つけられませんでした。
クランベリーは赤いので目立つのですが、もともと少なめのブルーベリーは青くて、色彩的には緑の中にうもれてしまいますから。
ニコラエさんが、ほら、ほら、と教えてくれるうちに、私にも見つけられるようになりました。 -
手のひらいっぱいのブルーベリー
ニコラエさんがたくさん見つけてくれました。
一粒一粒が小さいので、手のひらいっぱい集めてから食べると、より美味しいです。 -
野生のカーネーション
摘むことは法律で禁じられているそうです。
ニコラエさんに教えてもらったとき、ええっ、これがカーネーション!───とビックリ仰天した私。
しかし帰国後、ちょっと調べたら、どちらかというとナデシコのようですね、この花。
そしてカーネーションはたしかにナデシコ科ナデシコ属の花でした。
園芸のいわゆるカーネーションも、ナデシコから生み出された品種もあるようです。 -
黄色い花と、お茶にいい草花を摘むニコラエさん@
-
ガイドのニコラエさんいわく、この辺りからいよいよ、ホンモノのマラムレシュに入ります@
ぽつぼつと、夢の積みわらも見えます。
★ホンモノのマラムレシュ
単に「マラムレシュ」と言った場合、3通りのエリアがあります。
1つ目は、行政地区としてのマラムレシュ県。その中には、マラムレシュ地区のほかに、ラプシュ地区、キオアール地区、コドル地区、そしてバイア・マーレ&バイア・サプリエ地区が含まれます。
2つ目は、そのマラムレシュ県の中の狭い意味でのマラムレシュ地区。
そして3つ目が、現地ガイドいわく「本当のマラムレシュ」。
それは「歴史的マラムレシュ地方」とも呼ばれ、第一次世界大戦後、1920年のトリアノン協定で当時のチェコスロヴァキアに併合された3分の2、そしてさらにソ連によりウクライナに組みこまれたティサ川以北を含む広範囲のマラムレシュ地方です。
今はほとんどウクライナとの国境すれすれにあるシゲット・マルマッツィエイの町も、かつてはその「本当のマラムレシュ」のほぼ真ん中にあったそうです。
バイア・マーレがマラムレシュ県の県庁所在地となったのは、「本当のマラムレシュ」が大幅にルーマニアから削られてしまった後です。
それまでの県庁所在地のシゲット・マルマッツィエイがあまりにも国境寄りでエリアの端っこになってしまったせいでした。
ただし、マラムレシュ地方の歴史は、その南のトランシルヴァニア地方と同じく、ハンガリー王国やオーストリア・ハプスブルグ家と深いかかわりがありました。
(実を言うと私がルーマニアに興味を抱いたのは、そのハンガリーの歴史がらみからなのです@)
オスマン帝国の進出によって三国に分立したハンガリーのうちの、オスマントルコ支配下で存続したトランシルヴァニア公国の一部に、マラムレシュ地方も含まれていました。
マラムレシュ地方がルーマニアに加わったのは、第一次世界大戦後のハンガリー=オーストリア二重帝国の解体後のことでした。
第二次世界大戦後から体制崩壊までの共産主義時代は、同じマラムレシュ地方に住んでいたはずの肉親同士は国境で引き離され、会うことすらできませんでした。
(情報源:RomanianMonasteries.orgのサイトで購入したMetaneira社のマラムレシュガイドブック)
http://www.romanianmonasteries.org/buymaramuresbook.html -
ほれぼれする景色@
「マラムレシュの歴史は複雑、かつ錯綜している。それは、大国による席捲の歴史である。国境が何度も変っている。是非はともあれ、諸列強との直接の深いかかわりは、ハンガリー王国、オーストリア=ハンガリー帝国、下ってナチスのドイツ、ソビエト。マラムレシュの人々は第二次大戦終結後までもろもろに歴史の波にさらされてきた。
マラムレシュの領域は、1918年までは北に深くのびていて、総面積は1万3,504平方キロメートルあったが、2つの大戦の間、北側はチェコ・スロヴァキアが領有(通称ルテニア)し、ルーマニア川には約3分の1の3,381平方キロメートルが残ることになった。ティサ川の向こうのルテニアを含むカルパート・マラムレシュは第二次世界大戦後、ブコビナの一部分とともに、強権によってソビエト連邦のウクライナ共和国の一部に組みこまれた。そして、ルーマニア川では戦後、残された3分の1のマラムレシュに平原部を併合して、新しい行政単位のマラムレシュ県(6,215平方キロメートル)が誕生した。」
(「マラムレシュ〜ルーマニア山村のフォークロア」みやこうせい著(未知谷社)より) -
これからあの山を越えて、本物のマラムレシュに入ります。
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目の前に広がるなだらかな山脈
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車をとめてもらって、こういう景色をゆっくり撮れるのも、個人ガイドで回る醍醐味でしょう。
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干し草を作る人々
私がカメラを構えると、おじさんはポーズをとって待っていてくれました。
おばさんと少年は、ちらっとこちらを見て、何事もなかったかのようにそのまま作業を続けました。
「これ以上、旅をすることはありません。ここにはあなたが探しているものがあります。中世からの田舎の生活がそのまま残っているところです。農夫たちは、親の代、そして祖先たちと同じように、土地とともに昔と変わらぬ生活しています。小さな村が、地元の習慣と歴史にどっぷり浸かり、なだらかに起伏する丘と夢のような景観の間に存在するところ。あたかも100年前にさかのぼったと想像してみてください。マラムレシュへようこそ。」
(Lonely PlanetのMaramures の章のプロローグを私訳)
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この旅行記へのコメント (2)
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- シベックさん 2007/10/18 23:30:53
- 心洗われる草原の風景
- ピクニック&本物のマラムレシュへ、見せていただきました。
野生のブルーベリーやクランベリー食べ放題ですね!
野生のカーネーション。初めて見ました。原種は素朴で良かったでしょうね。
春のような草原の風景、綺麗ですね〜。この写真素晴らしいです。
のどかな草原、楽しませていただきました。
シベック
- まみさん からの返信 2007/10/20 12:17:18
- RE: 心洗われる草原の風景
- シベックさん、こんにちは。書き込みありがとうございます。
こうやって野でピクニックって日本ではほとんどしない私なので、とても珍しい経験でした。なのでしっかり写真を@
ブルーベリーはとてもおいしかったです@
それにこの風景を見て、ああやっとマラムレシュにきたなぁと実感できました。
雄大な風景を写真におさめるのは難しく、実物はこの何倍も美しいですが。。まあ雰囲気の一端はお伝えできたのではないかと思います。
ほんとうにマラムレシュを回っている間は、スローライフでした。観光中であっても。そして心が穏やかだったのはたしかです@
(帰国後はなんだかんだとストレスフルな生活がまってたことを考えると、もうすでにマラムレシュでの日々は夢のようです。)
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