2007/10/07 - 2007/10/07
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もろずみさん
エコール・ド・パリの芸術家たちの聖地モンパルナス。狂乱の時代には後に有名になるピカソやシャガール、モディリアーニなど若い画家たちが、貧しいながらも耽美にして倒錯的な毎日を送っていました。
東京で言えば池袋?
異論もあるかと思いますが、池袋西郊の長崎村は戦前のある時期に「池袋モンパルナス」と呼ばれていました。
東京において芸術の中心は上野にあり、その周辺の谷中界隈に多くの芸術家が住んでいましたが、貧しい芸術家たちは高い家賃を嫌って長崎村に集結しました。
そのため、アトリエ付きの長屋が多く建てられて「長崎アトリエ村」との別称もあるくらいです。
自由奔放な雰囲気の池袋モンパルナスは戦後になって、いつの間にか消滅しました。
少しでも芸術の香りが残っていないものかと思って歩いてみました。
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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まず最初に寄ったのは豊島区立郷土資料館。
何しろ池袋モンパルナスに関する情報は少ないです。
一番まとまった資料や展示はここにありますので、まず予習。 -
池袋の観光資源はふくろうが案内します。
街を歩けばいろいろなふくろうに出会えます。
ふくろうだけで旅行記が作れそう。
自由学園「明日館」の前にあるふくろう。 -
フランク・ロイド・ライトの設計の明日館は重文指定を受けた歴史遺産です。
今日のテーマとは関係ないですが、石畳になった周囲の散策路は近くまで来て歩かない手はありません。
明日館を含む散歩コースはそのうちに・・・。 -
長崎に向かう道はこんな昔ながらの細い道。
似たような道が多いので迷路のようです。
振り返れば、池袋のランドマークのサンシャイン60が見えてます。 -
椎名町駅前の長崎神社。
ここは獅子舞が有名で豊島区の無形文化財だそうです。
一度だけ見たことがあります。勇壮な三匹獅子舞でした。 -
さて、本題のモンパルナスに入ります。
長崎2丁目の何の変哲もない児童公園。
実はここが長崎アトリエ村のさくらが丘パルテノン跡です。 -
さくらが丘パルテノンはいくつかあるアトリエ村の中で最も大きなエリアです。
昭和11年(1936年)から15年(1940年)にかけて60軒ものアトリエ住宅が建てられたとあります。
今はこの説明板以外に何の痕跡もありません。 -
さくらが丘パルテノン辺りの現在の風景。
普通の住宅街ですよね。閑静ではありますけど。
芸術の息吹を感じようにも相当の想像力が必要かな? -
では想像してみましょうか。
ほら、こんな街の光景が見えてきました!
郷土博物館にあったさくらが丘パルテノンのジオラマです。
これを見ておかないと街を歩いてもモンパルナスは見えてきません。 -
町の中にある西向不動尊。
これは昔からあったもので、昭和初期にももちろんこの場所にあったはず。
アトリエ村はなくなってもお不動さんはちゃんと残っているんですね。
西向きには意味があって、中世の豪族・練馬氏の居城を向いているそうです。その居城の場所は豊島園。
なるほどねぇ。 -
その隣りにある銭湯は「不動湯」という名です。
若き芸術家たちが通った由緒ある銭湯です。
無論、今なお現役で営業中。
池袋モンパルナスに夜が来た
学生、無頼漢、芸術家が町に出る
彼女のために、神経をつかへ
あまり太くもなく、細くもない
ありあはせの神経を――。
「池袋風景」by 小熊秀雄 -
ちょっと外れて千早フラワー公園。
その名の通り、花いっぱいの花壇がありました。
この植え方はモンパルナス的・・・ちょっと無理がある? -
こういうものは残るのだなぁ。
かなり古い庚申塔で、右の笠付きは延宝8年(1680年)、左の船形は寛文2年(1662年)と彫られていました。
写真を撮っていると近所のおじさんが出てきて「この右の庚申は馬頭観音だとも云われているんだよ」と。
しばしその論拠に耳を傾ける。
そのあとアトリエ村について訊ねるが、おじさんも戦後に越してきたので知らないそうな・・・。 -
さくらが丘から道を辿って行くと、つつじが丘アトリエ村へと入って行く。
と言っても「ここがそうだ」という証拠も何もありません。
瀟洒な住宅が建ち並んでいるので、アトリエ村っぽさを拾ってみることにしましたとさ。 -
住宅地の中にひっそりと、お多福豆の長府屋さん。
いかにもパリの洋菓子屋風ですね。(これも無理がある?)
池袋モンパルナスのお土産はこれだな、と思ったけどあいにく定休日でした。
あとで調べたら通販やっているようです。
http://www.chofuya.co.jp/top.html -
池袋モンパルナスの中心的なスポットは熊谷守一美術館。
http://www.kumagaimori.jp/
熊谷守一(1880-1977)
「画壇の仙人」と呼ばれた孤高の画家。抽象的というか、極限まで単純化した作風の絵を描きました。
洋画のみならず日本画や書も多数残しています。 -
美術館は熊谷守一画伯のアトリエをそのまま残したもの。
壁面には作品が描かれています。
道路に面しているのが凄いですね。 -
つつじが丘アトリエ村であろうという界隈をぶらぶら。
間違いなくアトリエだなという家を発見しました。
建物はまだ新しいけど嬉しくなりますね。 -
ふと覗いた家の庭にプロの作品らしき石像が。
プロと言ってもその辺の石材屋さんじゃなく、どう見ても芸術家の作品のようです。 -
表札を見ると「T.M」とあります。
もしかしてと近づいてみれば「峯孝作品展示館」でした。
アトリエ村の痕跡を発見できました。
峯孝の彫刻は札幌の大通り公園で見かけたなぁ。(でも、探しても撮ってませんでした。) -
つつじが丘アトリエ村の一画にある旧平和小学校。
今は廃校になって豊島区の施設になってます。
その校舎の3階にある「アトリエ村資料館」に寄ってみました。内部は撮影禁止でしたので入口を。
作品は少ないけど資料は結構収集されてます。
開館は土日の午後だけですので要注意。 -
つつじが丘アトリエ村の室内の様子。
これも郷土博物館で撮ったものです。
アトリエの再現ではなく10分の1スケールのジオラマです。 -
旧平和小学校の隣が粟島神社です。
小さな社ですが、この辺りの氏神様。
立派な神輿庫が並んでました。祭礼は盛大のようですね。 -
有楽町線の千川駅を越えると、すずめが丘アトリエ村になります。千川彫刻公園が目印。
元は彫刻家・中野素昴のアトリエがあった場所だそうです。
その中野素昴の「空を見上げる」像。 -
中野蒋の「少女と子やぎ」。
いよいよ本格的にモンパルナス散策らしくなってきました。 -
先ほどアトリエを発見した峯孝の「春」。
池袋モンパルナスで制作された作品を見ることができる公園です。 -
公園の生け垣には今が旬の彼岸花が見事に咲いていました。
この辺りの小公園はどれもなかなか個性的に造られていますね。 -
すずめが丘アトリエ村をうろうろと。
長崎アトリエ村の発祥はここ。
昔は竹藪ばかりでスズメがチュンチュン鳴いていた土地だそうです。 -
曲がりくねった商店街の道に出ました。
谷中にもありますが、ここも「へび道」と呼ばれてます。
昔は川が流れていたのでくねくねしているのですね。 -
山手通りを渡ると「みどりが丘アトリエ村」と「ひかりが丘アトリエ村」のあった辺りになります。
かつて谷端川が流れていた所は緑道公園として整備されました。
この両岸にアトリエ長屋がひしめいていたわけです。 -
彫刻家の作品ではありません。公園にあるオブジェです。
なかなか歩いて楽しい遊歩道です。
長さも結構あって、北に向かうと下板橋辺りまで続いています。
今日は南に下ります。 -
秋の花の代表格の萩が咲いていました。
緑道沿いの家々も鉢植えを並べていて、花の季節はもっと楽しいかも。 -
このまま真っ直ぐ行くと椎名町に戻ってしまうので、要町から池袋方面に折れます。
乱歩邸への標識に誘われて路地に入ります。
ここでもふくろうが道案内。 -
日本の探偵小説の生みの親、江戸川乱歩邸です。
子供の頃はポプラ社の「少年探偵団シリーズ」を読みました。
テレビや映画で見た記憶はないですから、その前はラジオドラマだったかな?
さっぱり内容は覚えてないです。 -
乱歩邸の隣りは立教大学のキャンパスです。
先日、築地居留地にある発祥碑を見てきました。
この銅像は創始者である米国聖公会の宣教師だったウィリアムズ主教です。 -
ミッション系の大学キャンパスはどことなくお洒落ですね。
いかにもアメリカ東海岸にあるカレッジのイメージ。
このキャンパスは大正7年(1918年)に築地から移転してきました。関東大震災前ということか・・・。 -
赤煉瓦造りの校舎に囲まれた中庭でひと休み。
咲き始めのコスモスが風に揺れています。
池袋モンパルナスの芸術家たちも、近くにあったこの場所でくつろいだことでしょう。
どことなく異国情緒があって安らぎます。 -
立教の真ん前にあるクラブハウス・リビエラにガス灯。
居留地巡り以来、ついついガス灯に目が行ってしまいます。
もしや居留地から持って来たものか?
と思ったら、1984年のドイツ博で展示された19世紀のデュッセルドルフのガス灯のレプリカだそうです。 -
そしてゴールの池袋西口へ。
戦後この辺には規模の大きな闇市がありました。
あれ!いつの間にタイムスリップ?
いえいえ、これも郷土博物館のジオラマです。(^^; -
現在の池袋西口はというと、ふくろ祭りの東京よさこいの真っ最中でした。
東京芸術劇場もあってアカデミックな雰囲気と無秩序な繁華街が同居する池袋です。
アトリエ村の痕跡も少しは見つかったし、何となく池袋モンパルナスの気分に浸れた散策になりました。
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