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モンゴル高原に、どんよりとした雲が大地にくっつかんばかりに急に垂れ込め、ラクダに乗る予定だった我々は、遊牧民のゲルに逃げ込んだ。すぐに、大地を引き裂かんばかりの稲妻が雷鳴と共に轟き、そして、シャワーのような大粒の雨が降りそそいだ。<br />土砂降りの雨がゲルの天井をを叩きつけている間、我々は遊牧民と歓談をして待った。スコールはすぐに止み、ゲルの小さな戸を開けた。すると、そこに待ち受けていたのは、大地と大地をしっかり結ぶおお〜きなおお〜きな虹であった。我々の登場を待っていたかのように、厚い鉛色した雲が随所に引き裂かれ、その透き間から、真っ白な太陽の光が差し込んだ。いくつもの光の筋が、緑の草原にスポットライトを浴びせるかのように。<br />私は颯爽とラクダにまたがり、悠然と緑の絨毯に足を踏み入れた。ゆったりと歩くふたこぶらくだの上からの光景は、まさに天からの贈り物であった。虹の向こう側には、後光の光がきらきらと注ぎ、鮮やかなグリーンの大地が広がっていた。至福のひとときを感じながら、私はその瞬間、この世のパラダイスを見た気がした。<br />

虹の向こうに、天国を見た!!

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2007/07/30 - 2007/08/05

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ジオディオス

ジオディオスさん

モンゴル高原に、どんよりとした雲が大地にくっつかんばかりに急に垂れ込め、ラクダに乗る予定だった我々は、遊牧民のゲルに逃げ込んだ。すぐに、大地を引き裂かんばかりの稲妻が雷鳴と共に轟き、そして、シャワーのような大粒の雨が降りそそいだ。
土砂降りの雨がゲルの天井をを叩きつけている間、我々は遊牧民と歓談をして待った。スコールはすぐに止み、ゲルの小さな戸を開けた。すると、そこに待ち受けていたのは、大地と大地をしっかり結ぶおお〜きなおお〜きな虹であった。我々の登場を待っていたかのように、厚い鉛色した雲が随所に引き裂かれ、その透き間から、真っ白な太陽の光が差し込んだ。いくつもの光の筋が、緑の草原にスポットライトを浴びせるかのように。
私は颯爽とラクダにまたがり、悠然と緑の絨毯に足を踏み入れた。ゆったりと歩くふたこぶらくだの上からの光景は、まさに天からの贈り物であった。虹の向こう側には、後光の光がきらきらと注ぎ、鮮やかなグリーンの大地が広がっていた。至福のひとときを感じながら、私はその瞬間、この世のパラダイスを見た気がした。

一人あたり費用
20万円 - 25万円
交通手段
観光バス
航空会社
大韓航空

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  • どんよりとした厚い雲が、モンゴルの大地に覆いかぶさるように、垂れ込めている。この辺りの高原は標高が1200m〜1300mであるせいか、雲が妙に低く感じられる。<br />このショットは、スコールが止み、大地から虹が芽生えた瞬間。<br />

    どんよりとした厚い雲が、モンゴルの大地に覆いかぶさるように、垂れ込めている。この辺りの高原は標高が1200m〜1300mであるせいか、雲が妙に低く感じられる。
    このショットは、スコールが止み、大地から虹が芽生えた瞬間。

  • 360度地平線が広がる緑の大地から、くっきりはっきりとしたアウトラインの虹の弧が、凛として大空を駆け上がり、もう一方の大地に突き刺ささるように描かれた。日本では、虹の端から端まで虹の全貌を見ることは難しいのではないか。あまりの虹の大きさにファインダーでは全て収まらない。また、(ふつう素人の写真では虹はよく撮れないのに)写真にこれだけ鮮明に写るほど、この虹は輝いていた。<br />この後、ふたこぶらくだにまたがり、私は至福のひとときを味わうのである。<br />ありがとう、らくだちゃん。<br />

    360度地平線が広がる緑の大地から、くっきりはっきりとしたアウトラインの虹の弧が、凛として大空を駆け上がり、もう一方の大地に突き刺ささるように描かれた。日本では、虹の端から端まで虹の全貌を見ることは難しいのではないか。あまりの虹の大きさにファインダーでは全て収まらない。また、(ふつう素人の写真では虹はよく撮れないのに)写真にこれだけ鮮明に写るほど、この虹は輝いていた。
    この後、ふたこぶらくだにまたがり、私は至福のひとときを味わうのである。
    ありがとう、らくだちゃん。

  • 乾いた大地に水分を充分に潤し、鉛色した雲の裂け目から太陽の光が差し込み、草原の緑がより明るい緑を取り戻していく。<br />空には青空が甦り、地平線がどこまでも続き、やがて空に吸収される。私の目の中に人工物は全く入ってこない。<br />そこにはただ、まどろんだ静かな時間しか流れていなかった。<br /><br />

    乾いた大地に水分を充分に潤し、鉛色した雲の裂け目から太陽の光が差し込み、草原の緑がより明るい緑を取り戻していく。
    空には青空が甦り、地平線がどこまでも続き、やがて空に吸収される。私の目の中に人工物は全く入ってこない。
    そこにはただ、まどろんだ静かな時間しか流れていなかった。

  • 車が直接往来できるほど、モンゴルの大地は、我々が想像するよりずっと硬い。そのため短時間のスコールでも、大地に水分が染み込まずに、土石流のような川が生まれ、低い場所にあっと言う間に水溜りができる。<br />しかし、半乾燥帯であるこの地には、貴重な恵みの雨なのだ。<br />

    車が直接往来できるほど、モンゴルの大地は、我々が想像するよりずっと硬い。そのため短時間のスコールでも、大地に水分が染み込まずに、土石流のような川が生まれ、低い場所にあっと言う間に水溜りができる。
    しかし、半乾燥帯であるこの地には、貴重な恵みの雨なのだ。

  • お邪魔した遊牧民のゲル。物置専用のゲルがもう一軒あった。戸は高さ150cmほど。広さは直径4mほどの円形で、室内は小奇麗にまとめてあり、小さな茶だんすがふたつあった。年に3・4回移動するらしい。家族はざっと数えた限りでは、6・7人ほど。どこでどう寝るのだろう。ゲルの外にはソーラーシステムの発電機で、テレビなどを受信している。余談ではあるが、なんにもない草原の中でも、vodafoneは絶えず通信可能状態であった。13世紀のチンギスハンならいざ知らず、現代に生きる私も改めて文明のリキにびっくりした。<br /><br />

    お邪魔した遊牧民のゲル。物置専用のゲルがもう一軒あった。戸は高さ150cmほど。広さは直径4mほどの円形で、室内は小奇麗にまとめてあり、小さな茶だんすがふたつあった。年に3・4回移動するらしい。家族はざっと数えた限りでは、6・7人ほど。どこでどう寝るのだろう。ゲルの外にはソーラーシステムの発電機で、テレビなどを受信している。余談ではあるが、なんにもない草原の中でも、vodafoneは絶えず通信可能状態であった。13世紀のチンギスハンならいざ知らず、現代に生きる私も改めて文明のリキにびっくりした。

  • ゲルの天井。雨が降る時や寒い時は閉じて、薪をくべる時や換気をする時は開放する。外にあるロープをひっぱたりして、窓の開放率を調整する。<br />土砂降りの雨に襲われた時は、ボタボタバチバチと打楽器の演奏を聴いているみたいだった。<br />

    ゲルの天井。雨が降る時や寒い時は閉じて、薪をくべる時や換気をする時は開放する。外にあるロープをひっぱたりして、窓の開放率を調整する。
    土砂降りの雨に襲われた時は、ボタボタバチバチと打楽器の演奏を聴いているみたいだった。

  • 我々を招いてくれた遊牧民のゲル家族の馬たち。彼らの財産でもあり、家族でもある。

    我々を招いてくれた遊牧民のゲル家族の馬たち。彼らの財産でもあり、家族でもある。

  • 我々が来たので、わざわざ馬の乳を搾って、馬乳酒を振舞ってくれた。モンゴル人のもてなしが嬉しい。<br />ここのゲルの遊牧民家族は、朝青龍関の実家近くに住んでいる(遊牧民なのでこの表現が正しいかどうか定かではないが)らしく、家の主人が子供のときに、ナーダムで子供時代の朝青龍関とモンゴル相撲を取って、何回か勝ったそうだ。<br />

    我々が来たので、わざわざ馬の乳を搾って、馬乳酒を振舞ってくれた。モンゴル人のもてなしが嬉しい。
    ここのゲルの遊牧民家族は、朝青龍関の実家近くに住んでいる(遊牧民なのでこの表現が正しいかどうか定かではないが)らしく、家の主人が子供のときに、ナーダムで子供時代の朝青龍関とモンゴル相撲を取って、何回か勝ったそうだ。

  • 直径60cmくらいのたるみを持ったロープを、長い竿の先にくくりつけて、脱走馬を捕獲すべく追走する。馬と馬のデッドヒートが行われる。先祖代々引き継がれた技のきわみに、我々の視線は釘付けだ。

    直径60cmくらいのたるみを持ったロープを、長い竿の先にくくりつけて、脱走馬を捕獲すべく追走する。馬と馬のデッドヒートが行われる。先祖代々引き継がれた技のきわみに、我々の視線は釘付けだ。

  • 脱走して逃げ回る馬。我々も囲い込みをして捕獲の手伝いをするも、悉く失敗に終わる。

    脱走して逃げ回る馬。我々も囲い込みをして捕獲の手伝いをするも、悉く失敗に終わる。

  • さすが騎馬民族の末裔だ。最後には、ついに脱走馬は捕らえられ、罰?として、1頭だけ抑留される。さっきまであんなに駆け巡って意気揚々としていたのに、捕まった後は、なぜかしょんぼりとして情けない姿に見えたのは、気のせいだろうか。

    さすが騎馬民族の末裔だ。最後には、ついに脱走馬は捕らえられ、罰?として、1頭だけ抑留される。さっきまであんなに駆け巡って意気揚々としていたのに、捕まった後は、なぜかしょんぼりとして情けない姿に見えたのは、気のせいだろうか。

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この旅行記へのコメント (3)

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  • Yattokame!さん 2011/02/14 02:10:28
    感動の虹
    ジオディオスさん

    こんばんは。

    ロシアの旅行記に引き続き、このモンゴルの旅行記も土地のあり様を見事に文章と写真で活写していらっしゃいますね。私は大地から大地を結ぶ虹というのを見たことがないのですが、ジオディオスさんの文章を拝見して、どんなんだろうといろいろ想像を巡らしてみました。私もジオディオスさんのような感動を是非味わってみたいものです。

    Yattokame!
  • カヌ太郎さん 2007/08/30 22:33:23
    すばらしい
    こんばんは

    今話題の地(!)、
    モンゴルを堪能させていただいています。
    この写真、とってもすばらしいです。

    虹が美しいのは言うまでも無いですが
    自然いや地球の底知れぬ力を感じます。
    人間なんて地球の付属物しかないと
    思えます。



    カヌ

    ジオディオス

    ジオディオスさん からの返信 2007/08/31 20:11:27
    今話題のドリームランド
    今世間の注目を浴びているドリームランドは、泊まらなかったものの、そばを通って見ました。私達が滞在したゲルのすぐ近くでしたよ。数日前に撤去されてしまったそうですが、朝青龍の広告看板も見ました。
    もし、ちょうど1ヶ月ずれていたら、まさに話題沸騰の渦中に遭遇していたかもしれませんね。(笑)
    カヌさんのドロミテシリーズ、まだ隠し玉があるみたいで、今後も目が離せませんね。私は隠し玉はないものの、もう少しモンゴルシリーズ発表していきたいと思います。
    それでは、また遊びに来てくださいね。
    ジオディオス

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