2007/07/31 - 2007/07/31
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ジオディオスさん
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ご多分に漏れず、近年地球温暖化の影響で、モンゴルも年間降水量が減ってきているらしい。特に、この夏のモンゴルは、ほとんど雨が降らなかったそうで、我々が着いた時は、モンゴルの大地は渇ききっていた。
首都のウランバートルからハラホリン(カラコルム)に向かう。1時間走った後は、舗装道路がなくなり、我々の乗った車は、突然草原へ進入した。
乾燥しているので、ものすごい土埃を巻上げながら、道なき道をひたすら走った。
草原には車の通ったわだちがある、いく筋の道が見える。交差するわだちに勿論、道路標識などあるはずはなく、「これから400km離れた場所まで本当に着けるのだろうか」、といぶかってしまったが、運転手はひとつの迷いも無く、道を的確に選んでいく。遊牧民のDNAを持った運転手の力量に感心してしまった。しかし、乗り心地はまるで暴れ馬の如くであった。
草原の他に、人工物があるわけではない。ということは、裏を返せば、チンギスハーンの生きていた13世紀と同じ光景がそこに広がっているのではないか。
「チンギスハーンの見た世界がそのまま残っている」、そう思うと、心なし感慨深げになる。
- 交通手段
- 観光バス
- 航空会社
- 大韓航空
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首都のウランバートルから1時間くらいしか走らないで、こんな風景が広がっている。
写真でもお判りのように、草原にいくつものわだちが走る道なき道がある。写真中央左端に白い米粒のような物があるが、それは車だ。こんなダーツロードを5時間以上走る。パリダカ気分だ。 -
もっと濃い緑の草原を期待していたが、雨が降らないため、乾燥化している。
このモンゴルの乾燥化であるが、自然環境の変化による影響は勿論であるが、実は人為的な影響もあるのだ。それが、意外にも家畜が関係している。その理由を後で述べよう。 -
社会主義時代までは、遊牧の代表的な家畜は、なんといっても羊であった。羊毛はゲルを作るときに必要なフェルトの原料であり、羊の乳からはバターやチーズといった長い冬を乗り越える食料を供給する生活必需品であると同時に、それらや羊毛は貴重な換金商品でもあった。
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羊の群れの中に、角を持った茶色や黒の多数のヤギが混ざっているのが見えるだろう。
ソ連崩壊後の煽りを受けて、民主化され自由主義経済になると、遊牧民たちは、次第に羊からヤギへシフトし始めた。それは一体なぜだろうか?
クイズ形式で、楽しんでもらいたい。
A.ヤギのほうが乳が出るから。
B.ヤギのほうが肉が高く売れるから。
C.ヤギのほうが高品質の毛が取れるから。 -
その答え(C)は、私達が高級品として買い求めるカシミヤ製品に理由がある。
「繊維の宝石」とも呼ばれるカシミヤの毛は、インド北部・中国・モンゴル・イランなどの寒暑が厳しい山岳地のヤギの毛から採取できる。
羊毛よりも高く取り引きされるので、遊牧民たちは、当然より高利益を産むヤギへとその主たる家畜をシフトさせているのである。 -
では、なぜヤギが増えると、乾燥化が進んでしまうのであろうか?
これもクイズ形式で地球環境問題を考えながら、楽しんでもらいたい。
A.ヤギの食べ方が悪いから。
B.ヤギのほうがいっぱい食べるから。
C.ヤギのほうが繁殖率が高いから。 -
意外に感じられるかもしれないが、答えはAである。羊や牛は、草の上っ面、つまり、地面より上の草を引きちぎって食べる。植物の根の部分は食べない。しかし、ヤギは、根まで食い尽くしてしまうので、乾燥している地域では植物が再生するよりも減少していく速度の方が速いので、より乾燥化が促進されてしまうのである。
これは、なにもモンゴルに限ったことではない。日本でも小笠原などでは、外来のヤギを持ち込んだために、それが野生化して、農業被害や森林破壊やの生態系への悪影響など深刻な問題を引き起こしている。 -
ところで、カシミヤセーター1枚を編むのに、何頭のヤギの毛が必要だと思われるだろうか?
今回のコンテンツはクイズシリーズになってしまったので、お考えいただこう。
A.1頭
B.2頭
C.4頭 -
カシミヤショップでもらった資料から、答えは(C)だそうだ。
カシミヤはヤギの全身を覆っている毛の下に生えている産毛(うぶげ)を使用している。その産毛を採取するには、全身を覆っている剛毛も一緒に刈って、そこから剛毛と産毛を分離するといった気の遠くなるような作業を経て、カシミヤの原毛を取り出すのであるが、一頭のヤギから採取できる量はわずか150g。セーター1枚編むのに4頭ぶんの、またコート1着となると30頭分の原毛が必要なのだそうだ。
これを羊毛との生産量を比較してみると、わずかカシミヤは羊毛の1/800でしかないそうだ。この希少性こそが、「繊維の宝石」と呼ばれる所以である。 -
カシミヤ製品を実際手に取ってみると、その質感の素晴らしさを実感できる。まず、光沢があって軽い。それに肌触りがなんといっても柔軟である。ヌメリがあり、毛糸のセーターの肌に刺さるようなチクチク感が全く無い。また、とても暖かいそうだ。(まだ着ていないのでコメントできない。)
当初、私はカシミヤはワニやミンクのように動物を殺傷して、剥いだ皮を商品にする訳ではないので、動物愛護からという点からも、カシミヤは再生可能な良い産業であると考えていたが、実際は、我々がカシミヤの製品への需要を高めるほど、モンゴルの砂漠化が進行してしまうというジレンマがそこに存在する。なにか良い手立てはないのだろうか?今後の解決策が期待される。 -
夏のモンゴルといえば、大地びっしりに埋まった草原。そして花畑。という画を期待して訪れたのだが、今夏は日照りで、心なし緑も砂埃をかぶって白っぽい。
それもそのはず。モンゴルの人口は日本の50分の一の約257万人でありながら、面積の4倍の156万k?もある。幹線道路は工事をしているものの、まだまだ未整備で、車両はパリダカのように草原を縦横無尽に走っている。乾燥しているので、ものすごい土埃を巻き上げて走っている。 -
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モンゴル草原の典型的な電信柱。3本のコンクリート製の柱を地上部分4メートルくらいまで上に出すようにして、硬い大地に打ち込み、地上部分2メートル当りから、木製の柱をコンクリート柱に縛り付けて組んでいる。
これは冬には大量の雪が積雪するので、木製の柱だと雪に当たる部分が腐ってしまう。そこで積雪量を超える高さまでコンクリートにして持ち上げたのだ。
私は以前シベリア鉄道で行く世界遺産2で永久凍土の電信柱について書いたので、比較してみると面白いかもしれない。
ご興味のある方は、下記アドレスへジャンプ。
シベリア鉄道で行く世界遺産2
http://4travel.jp/traveler/geodios/album/10091140/ -
車内から遠景を見ると、車自体は見えなくても、土埃が上がっていることから、そこに車が走っている存在は認識できる。道中、土煙がつむじ風になって、ちっちゃなトルネードが発生したのを2回目撃した。
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