2006/05 - 2006/05
290位(同エリア373件中)
漣さん
中世、信仰を忘れ富を蓄えることに没頭した修道僧で溢れた時代に自らを問い詰め人里離れた山間部で祈りの生活を始めた人々がいた。
シトー会、欧州中に1800もの修道院を持つまでに至った厳律の修道会。中世そのままの精神的生活を今に伝えるフォントネーの修道院を訪れたのは春の日差しが暖かい5月の始め。
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イギリスのスタッドリー、スペインのポブレー、ドイツのマウルブロン、ポルトガルのアルコバッサと欧州各国で世界遺産に登録されている建築物を有するシトー会。
ここフランスでは現存するフォントネーはシトー会修道院の中でも秀逸なものとされています。 -
ガイドブックにはガイドツアーのみの見学受付と記されていたものの、実際訪れてみると個人で自由に見学できるようになっていました。
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入り口に掲げられた世界遺産の碑。フォントネーの修道院は以下の基準で世界遺産に登録されている。
()シトー会の建築には規約と美的要素の理想を求めた優れた形態が見られる。
フォントネーの修道院には農地・産業施設・工房・礼拝所などを備えた自給自足の精神の歴史的に重要な一面が見られる。
補足 明確な登録理由は不明。報告書から適当と思われる部分を抜き出したものの私訳です。 -
貰った冊子の地図に従い順に見ていくことにする。非常に簡素な聖堂入り口。こうも明け透けな状態であると、自分の内面をも見透かされそうな気がします。
この門を潜れば自分との対面が待っている・・・、そんな雰囲気。 -
装飾の排除。華美を求めず、精神的向上を旨とするシトー会の建築。必要のみを求めた結果生まれた完全な機能美。近代建築にも通ずる思想。
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中世の修道僧は建築、土木工学、農業、鍛冶等数々の知識を備えたオールラウンダーであり、全てを自らの手で達成する自給自足の生活をすることが可能であった。
都市部から離れた地域で自給自足の生活が出来る共同社会を築き上げると言うのは後にイギリスで発展する田園都市運動とも相似している気がします。 -
クロイスター、内陣ですね。装飾完全排除の聖堂とは違って植物模様の装飾が簡素ながらも彫られています。
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さらに建築装飾としても構造的に不必要な柱を配置して全体的な調和を導き出しています。一人で幾つもの才能を抱えた人間の想像力を抑えることはやはり不可能ということでしょうか。
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聖堂に隣接する階段の先に広がった空虚な空間。かつては修道僧の共同寝室とされ、最近までは製紙工場として使われていたとか。
深夜2時起床、夜8時に就寝し、農作業以外はひたすら祈りの生活の繰り返し。早世する者も少なくなかったらしい。 -
共同寝室の下のこの部屋は写本作業室であったとのこと。
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写本室から出ると薄暗い空間から解き放たれたかのように感じる強い陽光が照らす。
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全てを自らの手で行うシトー会の修道生活においては、農作業用の鉄器も全て手作り。鍛冶場まで良好な保存状態で残っているとのことで早速中へと足を踏み入れた。
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水車を動力源として作用用具を起動させていた溶鉱炉。極めて高い技術水準が保たれたという。
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鍛冶場の前の小さな空間に立派な石の噴水があった。フォントネーの語源は「噴水」。
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新しい道を切り開く必要最低限への追求。自分には決して達成することは出来ないと思う。尊敬の念を持ってこの建築群を見る。
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