黒い町−ドレスデン

1996/07 - 1996/07

黒い！それがドレスデンに訪れて最初の印象だった。ドレスデンと言えばザクセンの王国の都と言う華やかな町だと想像していたが、むしろドレスデンの至らぬインフラ基盤を見て西側の経済大国西ドイツと、その双璧を成すと思われた東側の雄の東ドイツが表面的にもここまで格差があるとは思っていなかったので、大変ショックを受けた。

　ドレスデンの町が黒いのは、英米軍による最大規模の空襲をドレスデンが被り、焼夷弾が雨のように投下され、町は火の海になったからだと言われている。町の古い建物や橋の煤けた黒さが如何にこの空襲が凄まじいものであったのか容易に想像せさてくれる。当時欧州東部からソ連が進行し、多くのドイツ人が難民としてドレスデンに滞留していた最中、空襲を受けたため、何万人のドイツ人が犠牲になったのか全く把握されていない。

　私が訪れた1996年、ドレスデンは未だ｢東ドイツ｣を残していた。ミュンヘンなどのように華やかさもなければ、明るさもない。淀んだ雰囲気が漂い、東西の経済格差は明白だった。町のいたるところでインフラ工事が進められていたが、ドレスデン空襲を受け、戦後50年以上経っているにも拘わらず建物が修復されぬまま、野ざらしになったものも少なくなかった。これらはドレスデン空襲を忘れぬために敢えて残しているようにはとても思えない。

エリア ドレスデン(ドイツ)

• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 観光バス 船 タクシー ヒッチハイク
• 航空会社: アエロフロート・ロシア航空

建物のこんな場所まで黒ずんでいます。

聖十字架教会、黒さばかりが目に付きます

ツヴィンガー宮殿

レジデンツ城。
大空襲後、ドレスデンは東ドイツに組み込まれましたが、街の修復がままならず、東西統一後ようやく街の
大改修が行われました。私が訪れた当時は建設ラッシュで、至る所で工事をしていました。

世界最高峰の陶器ブランドマイセンの故郷のマイセン。ドレスデン近郊に位置しています。マイセンの工場を見学することも可能です。