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11月2日、テルアビブ07:05発のキプロス航空機で08:00キプロスのラルナカ空港着。急いで入国手続きをして8:40発のニコシア行きバス(3.5キプロスポンド・1050円)でニコシアに向かい10:30ニコシアのバスセンター着。キプロスは紀元前から軍事、交通の要衝として時代の支配者に翻弄されてきた。ヒッタイト、アッシリア、エジプト、ギリシア、ローマ帝国、東ローマ帝国、イングランド、ヴェネツィア共和国、オスマン帝国、イギリスと、目まぐるしい侵略の歴史を経て1960年にイギリスから独立。だが、キリスト教のギリシャ系住民とイスラム教のトルコ系住民の共存は難しく、1974年にギリシャ併合強硬派によるクーデターをきっかけにトルコ軍が軍事介入して北キプロスを占領。トルコ占領地域にトルコ系住民の大半、非占領地域にギリシャ系住民の大半が流入して民族的にも南北に分断された。現在も北キプロスのトルコ系住民は、1983年以来、トルコのみが承認する「独立国家」北キプロス・トルコ共和国を名乗っている。独立を認めず不法占拠だと主張する、キプロス島南部のギリシャ系キプロス共和国政府とは現在も休戦状態で、南北キプロスを隔てる境界線・グリーンラインには国連キプロス平和維持軍 が駐留して監視している。首都ニコシアは中央をグリーンラインで分断されており、今回は休戦状態のニコシアを見ることが訪問の目的だった。<br />まず向かったのが旧市街の百貨店の11階にあるシャコラス・タワー(0.5ポンド・150円)。展望窓には双眼鏡も用意されており、トルコ占領地域が良く見える。聖ソフィア大聖堂、聖ニコラス教会など、タワーからたくさんの人達が見ることを意識した上のことだろう、トルコ国旗を誇らしげに旗めかしている。タワーでは、トルコ側の不法占拠をアピールするパネルを展示し、キプロスの歴史をビデオを流している。グリーンラインの展望所まで行って見ると、銃を持った警備兵が国境を守り、写真撮影をさせないように注意していた。展望所のそばには、1974年の内戦で行方不明になった人達の写真を掲げ、トルコ軍の不条理を訴えている。グリーンライン沿いに国連キプロス平和維持軍が駐留する国境事務所に向かうとグリーンライン近くの民家の多くには内戦の銃弾の跡が生々しく残っている。トルコ側の公園がグリーンライン沿いにあり、見ていると、カップルが「こっちはトルコ側だ。どこから来た」と聞いてきた。「日本だ」と答えると、「先にある国境事務所に行けばこっちに入れるよ」と教えてくれた。国境事務所では国連軍がいて、パスポートを見せると通してくれた。トルコ側の国境周辺を見るがやはり物々しさ、緊張感がある。世界中にキリスト教系住民とイスラム教系住民が共存している国は多いが、米英がテロを警戒するように、水面下に問題を抱えた国が多いのだろう。<br />ニコシアの街を歩き、ニコシアの歴史を紹介しているレベンティス博物館を見学するが、ここでも警備員にしっかり見られていた。キプロスは戦時下の緊張がある国だった。<br />20:00ラルナカ発のキプロス航空機で21:45アテネに戻った。<br />(キプロスの費用)<br />移動費;空港−ニコシア3.5ポンド・1050円、ニコシア−ラルナカ2.5ポンド・750円、ラルナカー空港0.6ポンド・180円、計1980円<br />食費;780円<br />観光費;シャコラスタワー0.5ポンド・150円 <br />雑費;600円<br />合計;3510円<br />(写真はシャコラス・タワーから見るトルコ国旗を旗めかしているトルコ占領地域)<br />

欧州・バックパッカーの旅【55】 トルコ系、ギリシャ系住民間の緊張が続くキプロスのニコシア

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2006/11/02 - 2006/11/02

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さすらいおじさん

さすらいおじさんさん

11月2日、テルアビブ07:05発のキプロス航空機で08:00キプロスのラルナカ空港着。急いで入国手続きをして8:40発のニコシア行きバス(3.5キプロスポンド・1050円)でニコシアに向かい10:30ニコシアのバスセンター着。キプロスは紀元前から軍事、交通の要衝として時代の支配者に翻弄されてきた。ヒッタイト、アッシリア、エジプト、ギリシア、ローマ帝国、東ローマ帝国、イングランド、ヴェネツィア共和国、オスマン帝国、イギリスと、目まぐるしい侵略の歴史を経て1960年にイギリスから独立。だが、キリスト教のギリシャ系住民とイスラム教のトルコ系住民の共存は難しく、1974年にギリシャ併合強硬派によるクーデターをきっかけにトルコ軍が軍事介入して北キプロスを占領。トルコ占領地域にトルコ系住民の大半、非占領地域にギリシャ系住民の大半が流入して民族的にも南北に分断された。現在も北キプロスのトルコ系住民は、1983年以来、トルコのみが承認する「独立国家」北キプロス・トルコ共和国を名乗っている。独立を認めず不法占拠だと主張する、キプロス島南部のギリシャ系キプロス共和国政府とは現在も休戦状態で、南北キプロスを隔てる境界線・グリーンラインには国連キプロス平和維持軍 が駐留して監視している。首都ニコシアは中央をグリーンラインで分断されており、今回は休戦状態のニコシアを見ることが訪問の目的だった。
まず向かったのが旧市街の百貨店の11階にあるシャコラス・タワー(0.5ポンド・150円)。展望窓には双眼鏡も用意されており、トルコ占領地域が良く見える。聖ソフィア大聖堂、聖ニコラス教会など、タワーからたくさんの人達が見ることを意識した上のことだろう、トルコ国旗を誇らしげに旗めかしている。タワーでは、トルコ側の不法占拠をアピールするパネルを展示し、キプロスの歴史をビデオを流している。グリーンラインの展望所まで行って見ると、銃を持った警備兵が国境を守り、写真撮影をさせないように注意していた。展望所のそばには、1974年の内戦で行方不明になった人達の写真を掲げ、トルコ軍の不条理を訴えている。グリーンライン沿いに国連キプロス平和維持軍が駐留する国境事務所に向かうとグリーンライン近くの民家の多くには内戦の銃弾の跡が生々しく残っている。トルコ側の公園がグリーンライン沿いにあり、見ていると、カップルが「こっちはトルコ側だ。どこから来た」と聞いてきた。「日本だ」と答えると、「先にある国境事務所に行けばこっちに入れるよ」と教えてくれた。国境事務所では国連軍がいて、パスポートを見せると通してくれた。トルコ側の国境周辺を見るがやはり物々しさ、緊張感がある。世界中にキリスト教系住民とイスラム教系住民が共存している国は多いが、米英がテロを警戒するように、水面下に問題を抱えた国が多いのだろう。
ニコシアの街を歩き、ニコシアの歴史を紹介しているレベンティス博物館を見学するが、ここでも警備員にしっかり見られていた。キプロスは戦時下の緊張がある国だった。
20:00ラルナカ発のキプロス航空機で21:45アテネに戻った。
(キプロスの費用)
移動費;空港−ニコシア3.5ポンド・1050円、ニコシア−ラルナカ2.5ポンド・750円、ラルナカー空港0.6ポンド・180円、計1980円
食費;780円
観光費;シャコラスタワー0.5ポンド・150円
雑費;600円
合計;3510円
(写真はシャコラス・タワーから見るトルコ国旗を旗めかしているトルコ占領地域)

同行者
一人旅
一人あたり費用
100万円以上
交通手段
高速・路線バス
航空会社
キプロス航空

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  • シャコラス・タワーから見るトルコ占領地域。トルコ国旗を旗めかしている。<br />

    シャコラス・タワーから見るトルコ占領地域。トルコ国旗を旗めかしている。

  • シャコラス・タワーから見るトルコ占領地域。トルコ国旗を旗めかしている。<br />

    シャコラス・タワーから見るトルコ占領地域。トルコ国旗を旗めかしている。

  • シャコラス・タワーのニコシア紹介パネル。<br />

    シャコラス・タワーのニコシア紹介パネル。

  • シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

    シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

  • シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

    シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

  • シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

    シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

  • シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

    シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

  • シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

    シャコラス・タワーから見るニコシアの光景。

  • ニコシアの繁華街。<br />

    ニコシアの繁華街。

  • ニコシアの繁華街。<br />

    ニコシアの繁華街。

  • グリーンラインの展望所。<br />

    グリーンラインの展望所。

  • グリーンラインの展望所のそばに展示されている、行方不明者の写真。

    グリーンラインの展望所のそばに展示されている、行方不明者の写真。

  • グリーンラインの展望所のそばに展示されている、行方不明者の写真。

    グリーンラインの展望所のそばに展示されている、行方不明者の写真。

  • グリーンラインの展望所のそばに展示されている、行方不明者の写真。

    グリーンラインの展望所のそばに展示されている、行方不明者の写真。

  • グリーンラインの衛兵。<br />

    グリーンラインの衛兵。

  • 繁華街とシャコラス・タワー<br />

    繁華街とシャコラス・タワー

  • 内戦の銃弾が生々しい家屋。<br />

    内戦の銃弾が生々しい家屋。

  • 国連平和維持軍が管理するトルコ占領地域。<br /><br />

    国連平和維持軍が管理するトルコ占領地域。

  • 国連平和維持軍が管理するトルコ占領地域。<br /><br />

    国連平和維持軍が管理するトルコ占領地域。

  • 国連平和維持軍が管理するトルコ占領地域。<br /><br />

    国連平和維持軍が管理するトルコ占領地域。

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この旅行記へのコメント (4)

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  • ralphinさん 2007/01/28 15:12:17
    キプロス
    なんだかキプロスを見ていると悲しくなりますね。
    ギリシアもトルコも好きなので、内紛が今でも続いている事が残念でなりません。
    観光として行きやすいのは、ギリシア系ですか?
    トルコの旗が立っているのを見ると、そんな風に感じましたが
    両陣地行けるのですか?
    ralphin

    さすらいおじさん

    さすらいおじさんさん からの返信 2007/01/28 18:03:55
    RE: キプロス
    ralphinさん


    キプロスをご覧いただきありがとうございます。

    >なんだかキプロスを見ていると悲しくなりますね。
    ギリシアもトルコも好きなので、内紛が今でも続いている事が残念でなりません。
    観光として行きやすいのは、ギリシア系ですか?

    キプロスの戦闘は悲しいです。たくさんの人が故郷の土地を捨てて、トルコエリアとギリシャエリアに移住させられ、今も混乱時に行方不明になった人を探しています。
    キプロスへの入国はギリシャ系のラルナカ空港からです。
    トルコエリアから入国するのは難しいと思います。


    >トルコの旗が立っているのを見ると、そんな風に感じましたが
    両陣地行けるのですか?

    ニコシアに国連軍が管理しているイミグレーションがあり、トルコ側に行くことはできます。
    私もトルコ側に入ろうと思いましたが銃を持った兵隊がものものしく立っているので、グリンライン(国境)の国連管理エリアで写真を撮って、トルコ側深くは入りませんでした。
    かなり緊張を感じました。
  • seitani5766さん 2007/01/20 09:36:19
    キプロス島の事
    さすらいおじさんへ。

    私は、まだ、民族紛争のある場所にはいった事がありません。
    マルタ島と同じように、第二次世界大戦中には、英国がキプロス島を保有していたのか華々しい物語もありますね。こうしてみると、英国が早目に手を引きすぎた、そんな感じはしませんか?

    これは、日本のように民族紛争などなく、そんな場所にも行った事がない人がいうべきことではないとも思います。

    まさか、流れ弾にもあたらないようにご注意の程。
    失礼いたします。

    猪谷 盛一

    さすらいおじさん

    さすらいおじさんさん からの返信 2007/01/20 14:47:07
    RE: キプロス島の事
    猪谷 盛一さん


    キプロスをご覧いただきありがとうございます。
    イギリスは1878年にトルコから行政権を得て第2次大戦後まで植民地統治して、住民の激しい反英独立運動で手を引いたようですが、早すぎたかも知れませんね。
    イギリスが引き上げたあと、ギリシャ系住民が議会を握ってトルコ系住民が不利になる憲法改正をしたことが紛争の引き金になったとのこと。

    どの国でも民族の差をつける憲法改正をしたら紛争は起こるだろうと思います。


    >まさか、流れ弾にもあたらないようにご注意の程。

    ほんとに無事でよかったです。2つの民族の和平再統合の話があるそうですが、今の緊張感のもとで元に戻れるのだろうか、と感じました。

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