2005/05/03 - 2005/05/03
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crambon1948さん
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ゴムが焦げているような、変な臭いがするよ。」と家族が口々に言う。鞍馬から花背峠へ向かう登り坂でのことだ。古い車である。水温も正常だし、他のインジケーターも点灯していないので、トルコンのオイルが劣化しているのかも知れない。
もし出火でもしたら、と周りの丹精した杉林を見遣りながら高度をかせぐ。家を出てから小一時間経った7時半、ようやく峠に着いた。
連休の合間の2日、昼休みの園庭にいると、見知った顔が「これ、さくらんぼのあかちゃんやねん」と次々に見せに来る。うす緑の花柄の先に米粒大の赤い子房がついている。ちいさい指先に摘まれているのは、しゃれたマッチ棒のようだ。そういえば作家の村上春樹は、自分の生まれ育った所を「マッチをすり終わるころには、車はもう街を通りすぎる」ほどの小さい街、と「風の歌を聴け」のなかで表現している。
おなじ村上春樹の「ノルウェイの森」には、花背らしき描写もでてくる。その先の広河原へは、北山歩きの起点として、ぼくも足繁く通ったので、花背の集落には馴染みがある。ことしの初め、大河ドラマを観ている上のこどもが、鞍馬寺へ行きたいと言い出してから随分と日が過ぎた。というわけで、「さくらんぼのあかちゃん」からの連想とも言おうか、鞍馬寺を訪ねるまえに、見晴らしのいい場所でパンとゆで卵の朝食を、初夏の感傷のなかで食べることになったのだ。
まだ陽が低いせいか、浅葱色の空を背景にした、針葉樹の黒と広葉樹の薄萌黄が形つくる山のなかに鞍馬寺はある。「遮那王が上り下りしたという階段はありますか?」。ミーハーなことを入山受付のひとに聞くと、「撮影したのは山門だけ。あの階段は岩手県にあるそうです。」と教えてくれた。肩を落とすこどもの歩みを促しながら本殿へ向かう。たしかフジの古木があったはずだ。
最後の石段を上がると、園ではもうほとんど散ってしまった八重桜が、いまを盛りと咲いている。そのとなりに、もやが漂っているような薄色のフジが花をつけていた。近づいてみると、房の半分はまだ可憐なつぼみだ。花はみる者を選ばない。
せっかく街へ出て来たのだからと、早めの昼食はこどもたちの希望でラーメンにすることにして、下山した。目当ての店にはことごとく振られ、行きついた店は平安神宮に程近い「一番星」。80年代に、ときどき立ち寄った店だ。メニュウは「中華そば」のみ。
こどもどもたちは「チャ−シュウ麺」、大人は「並み」を頼んだ。60年代にはやった喫茶店の雰囲気を残している店で、市内で暮らしていた頃が想いおこされて、懐かしい。“そば”は、見た目はこってりしているが、食後感はさっぱりとしていて、お代わりをしたくなるほどである。他の店ではレンゲに2、3杯しか飲ませないスープを、お腹いっぱい飲んだこどもたちの「あぁ、おいしかった」の声を残し、岡崎を後にした。
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