1976年3月0日<br /><br />二度目に会ったときも、運輸大臣は口数が少なく、私がほとんど一方的に話すだけだった。<br />黙って聞いているだけで、私の言ったことをどの程度理解しているのか、わからない。<br /><br />ただ運輸省全体に漂っている反日感情は、まったくと言っていいほど、感じられなかった。<br />むしろ私に対しては、好意と信頼感を持ち始めているようだった。<br /><br />私は提出した意見書に対する大臣の返信を用意していて、その返信に対して大臣は黙ってサインしてくれる。<br />それは「片瀬ＯＥＢＫ（公団）理事長代行の意見を高く評価する」との、内容だった。<br /><br />ところで、ザイール政府内のプロジェクト関係省庁には、運輸省、財務省以外に、もうひとつ計画庁があった。<br />私は、両省がはっきりした態度を示さないので、次の手として計画庁長官に会おうと考える。<br /><br />計画庁は、この国全体の将来計画の調整を行うべき立場にある。<br />計画庁長官は大統領府長官も兼ねていて、大統領の側近として、信頼できる情報を持っているに違いない。<br /><br />しかし八方手を尽くしても、彼と会うことができない。<br />最後は、日本大使に外交筋から動いてもらったが、それでも会えなかった。<br /><br />この人には権限が集中していて、とても多忙なのだろう。<br /><br />この国はまだ出来たばかりで、形の上で組織はできていても、それぞれが十分な機能を発揮するには至っていない。<br />運輸大臣にしても、最近の平均任期は一年に満たず、20歳代の大臣が生まれたりしている。<br />

キンシャサ日記【407】計画庁長官に会おうとするが会えない

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1976/03 - 1976/03

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#その他

片瀬貴文さん

1976年3月0日

二度目に会ったときも、運輸大臣は口数が少なく、私がほとんど一方的に話すだけだった。
黙って聞いているだけで、私の言ったことをどの程度理解しているのか、わからない。

ただ運輸省全体に漂っている反日感情は、まったくと言っていいほど、感じられなかった。
むしろ私に対しては、好意と信頼感を持ち始めているようだった。

私は提出した意見書に対する大臣の返信を用意していて、その返信に対して大臣は黙ってサインしてくれる。
それは「片瀬ＯＥＢＫ（公団）理事長代行の意見を高く評価する」との、内容だった。

ところで、ザイール政府内のプロジェクト関係省庁には、運輸省、財務省以外に、もうひとつ計画庁があった。
私は、両省がはっきりした態度を示さないので、次の手として計画庁長官に会おうと考える。

計画庁は、この国全体の将来計画の調整を行うべき立場にある。
計画庁長官は大統領府長官も兼ねていて、大統領の側近として、信頼できる情報を持っているに違いない。

しかし八方手を尽くしても、彼と会うことができない。
最後は、日本大使に外交筋から動いてもらったが、それでも会えなかった。

この人には権限が集中していて、とても多忙なのだろう。

この国はまだ出来たばかりで、形の上で組織はできていても、それぞれが十分な機能を発揮するには至っていない。
運輸大臣にしても、最近の平均任期は一年に満たず、20歳代の大臣が生まれたりしている。