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<br />私がキンシャサに到着して10日目に、運輸大臣交代のパーティがあった。<br />この国の大臣の交代は激しく、二年間に四度目の大臣と言うことだ。<br /><br />この機会は、私がザイール政府に顔見世をするチャンスなので、前任者に勧められて出席する。<br /><br />本来ならば到着してすぐに政府への挨拶をすべきなのだろうが、ザイール外務大臣から日本大使宛の書簡によれば、日本政府の予定した「理事長」という私の立場は、ザイール政府から認められていない。<br />この書簡は、混乱を恐れた日本大使は自国政府へ報せておらず、日本国内は知っていなかった。<br /><br />私の到着がばれてトラブルに発展すれば、外交問題にもなりかねないので、誰にも知らせないでお忍びのまま、10日間が過ぎたのだった。<br /><br />このような背景では、相手政府に見つかればクレームがつきはしまいか、恐る恐るのパーティ参加だったが、表立ったトラブルはなく、ほっとする。<br />これで私の到着を曲がりなりにもザイール政府は知ったこととなり、前任者は日本に帰ることが出来るようだ。<br /><br />それがきっかけで、次の日には私のこれからの勤務先OEBK(建設公団)での前任者送別パーティにも出席し、公団の外国人たちとも会って、私がかぶっていた潜入者のヴェールは、ようやく取り除かれた。<br /><br />理事長の後任人事については、ザイール政府が日本人を拒否したとの情報はみなが知っていて、次はフランス人だろう、いやザイール人だと、いろいろ噂が流れているようだ。<br /><br />どの国の人を責任者に選ぶかは、ザイール政府内の力関係に問題らしい。<br /><br />責任者については、二年前OEBK(建設公団)初代理事長を選ぶときに、日本、フランス、ベルギー、アメリカの四カ国から推薦があり、その中で日本に白羽の矢が立ったのだが、次は日本人以外との、暗黙の了解があったという説もある。<br />日本人理事長の前には、フランス人が理事長代理をしていたいきさつもある。<br /><br />前任者の帰国した次の日には、ザイール政府からの任命のないままに、一方的に事務所に出勤する。<br />前任者の部下だったフランス人たちは、当然私の配下だとは思っていない。<br /><br />ザイール人たちもどんな反応を示すだろうか不安だったが、とりあえず出勤していると言う既成事実を積み上げ、様子を眺める策戦をとることにした。<br />

キンシャサ日記【382】お忍びのヴェールをはずす

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1975/02 - 1975/02

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片瀬貴文

片瀬貴文さん


私がキンシャサに到着して10日目に、運輸大臣交代のパーティがあった。
この国の大臣の交代は激しく、二年間に四度目の大臣と言うことだ。

この機会は、私がザイール政府に顔見世をするチャンスなので、前任者に勧められて出席する。

本来ならば到着してすぐに政府への挨拶をすべきなのだろうが、ザイール外務大臣から日本大使宛の書簡によれば、日本政府の予定した「理事長」という私の立場は、ザイール政府から認められていない。
この書簡は、混乱を恐れた日本大使は自国政府へ報せておらず、日本国内は知っていなかった。

私の到着がばれてトラブルに発展すれば、外交問題にもなりかねないので、誰にも知らせないでお忍びのまま、10日間が過ぎたのだった。

このような背景では、相手政府に見つかればクレームがつきはしまいか、恐る恐るのパーティ参加だったが、表立ったトラブルはなく、ほっとする。
これで私の到着を曲がりなりにもザイール政府は知ったこととなり、前任者は日本に帰ることが出来るようだ。

それがきっかけで、次の日には私のこれからの勤務先OEBK(建設公団)での前任者送別パーティにも出席し、公団の外国人たちとも会って、私がかぶっていた潜入者のヴェールは、ようやく取り除かれた。

理事長の後任人事については、ザイール政府が日本人を拒否したとの情報はみなが知っていて、次はフランス人だろう、いやザイール人だと、いろいろ噂が流れているようだ。

どの国の人を責任者に選ぶかは、ザイール政府内の力関係に問題らしい。

責任者については、二年前OEBK(建設公団)初代理事長を選ぶときに、日本、フランス、ベルギー、アメリカの四カ国から推薦があり、その中で日本に白羽の矢が立ったのだが、次は日本人以外との、暗黙の了解があったという説もある。
日本人理事長の前には、フランス人が理事長代理をしていたいきさつもある。

前任者の帰国した次の日には、ザイール政府からの任命のないままに、一方的に事務所に出勤する。
前任者の部下だったフランス人たちは、当然私の配下だとは思っていない。

ザイール人たちもどんな反応を示すだろうか不安だったが、とりあえず出勤していると言う既成事実を積み上げ、様子を眺める策戦をとることにした。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • とらいもんさん 2006/06/07 09:02:55
    危ない!
    ソフイサンヘ
    お早うございます。
    スリル満点で好いたね。ご苦労様でした。次が楽しみです。
    こばやしより

    ソフィ

    ソフィさん からの返信 2006/06/08 00:45:46
    RE: 危ない!
    とらいもんさんへ

    「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
    若い時には、無理をしたものですね。

    しかし私が好きだったのは、
    「憂きことのなおこの上に積もれかし 限りある身の力試さん」
    という歌でした。

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