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楽しめよ人生を<br />灯はまだ燃えている<br />バラを摘めよ<br />花咲く間に<br />人はみな悩み事を作り<br />刺の痛みをさがし求める<br />そして道すがら<br />咲き香るスミレには気づかない<br /><br />楽しめよ人生を<br />灯はまだ燃えている<br />それは美しい人生のきずな<br />さあ気のおけない仲間たちよ<br />手をつなごう<br />手をとって放浪しよう<br />素晴らしい祖国を<br /><br />楽しめよ人生を<br />灯はまだ燃えている<br /><br /><br />この歌のメロディ−は十代の頃から知っていましたが、<br />ヨーロッパを放浪していたとき、<br />少しドイツ語がわかり始めた頃にこの歌詞に出会い、<br />辞書を片手に、すっかりのめり込んでしまいました。<br /><br /><br />その放浪から十年ほどたった頃、<br />ぼくは昔の記憶をたどってヨーロッパを旅しました。<br /><br />ロンドンからロッテルダム、ブルージュ、ハンブルグとたどって、<br />ぼくはライン川の観光船で、<br />観光地リューデスハイムにやってきました。<br /><br />放浪の頃、ぼくはここのブドウ畑の丘の中腹にあるユースホステルで二ヶ月ほど働いていました。<br />でもそのときは、そんな観光船に乗るお金もなくて、<br />いつもあのブドウ畑の斜面から、<br />白い船体が川を流れて行くのを見ているだけでした。<br /><br />今はなんとか観光船に乗る余裕もでき、<br />小さくてもホテルと名のつくところに泊まれるようになって、<br />こんなふうにゆったりと旅をしていることが、<br />とてもありがたいことのように思えました。<br /><br />観光船はこの町にしばらく停泊するので、<br />観光客がみんな行くドロッセル・ガッセに行ってみました。<br /><br />何もかもあの頃のままでした。<br />狭い小路にワイン酒場が並び、<br />店の中から陽気な歌声が聞こえました。<br />民俗衣装の楽団がブカブカと演奏し、<br />酔っ払った人たちが、肩を組み声を張り上げて歌っていました。<br /><br />そんな風景をにやにや眺めていると、<br />店から一人の酔っ払いが出てきて、<br />日本人か、まあ入れ、と、<br />ほとんど無理やりぼくをそこに引きずり込みました。<br /><br />アルコールがいっさい飲めないぼくはちょっとビビりましたが、<br />ビビっていても仕方ないので、<br />ワインの代わりにアプフェルザフト(酸味の強い、無香料の、リンゴの香りが素晴らしい、とても純粋な味のリンゴジュース) を頼み、ついでにテーブルにあった紙ナフキンに、<br />Freut euch des Lebens(楽しめよ人生を)<br />と書いて、ウエイターに渡しました。<br />彼はそれをバンドマスターに届けてくれ、<br />バンドマスターがちょっとぼくにウインクを送ってきました。<br /><br />そしてすぐに演奏が始まりました。<br />客たちが歌い始め、ぼくも歌いました。<br />客はみんなテーブルから立ち上がり、<br />前の人の肩に手を置いた長い列が、<br />うねうねと店の中を練り始めました。<br /><br />二節になると、ぼくは歌詞を覚えていなかったのですが、<br />まあ適当にその合唱の輪にまぎれていました。<br />みんなアルコールが入っているので威勢がよく、<br />でも酔っ払いの歌にしては結構音楽的だったりして、<br />ぼくは圧倒されながらその場にい続けました。<br /><br />テーブルに戻って、<br />ジュースを飲みながらまたひとしきり歌ったあと、<br />ウエイターを呼びました。<br />「勘定を」<br />「あ、それはあちら様がもう…」<br />さっきぼくを引きずり込んだ酔っ払いが、<br />ぼくの分はもう払ってくれていました。<br /><br />日本では酒場なんて入ったこともないぼくの、<br />ほとんど生涯唯一の酒場体験です。<br /><br /><br />この歌は、歌詞も曲もスイス人の作ですが、<br />代表的なドイツ民謡、またはドイツ系民族の民謡といっていいと思います。この詩はとくにゲーテが絶賛したといわれています。<br /><br />冒頭に掲げた詞は、ぼくがとりあえず訳し、詩の大意を踏まえて、少しはましな日本語にまとめ直したものの一部です。

楽しめよ人生を…ラインの歌

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1978/04 - 1978/05

265位(同エリア328件中)

2

5

KAUBE

KAUBEさん

楽しめよ人生を
灯はまだ燃えている
バラを摘めよ
花咲く間に
人はみな悩み事を作り
刺の痛みをさがし求める
そして道すがら
咲き香るスミレには気づかない

楽しめよ人生を
灯はまだ燃えている
それは美しい人生のきずな
さあ気のおけない仲間たちよ
手をつなごう
手をとって放浪しよう
素晴らしい祖国を

楽しめよ人生を
灯はまだ燃えている


この歌のメロディ−は十代の頃から知っていましたが、
ヨーロッパを放浪していたとき、
少しドイツ語がわかり始めた頃にこの歌詞に出会い、
辞書を片手に、すっかりのめり込んでしまいました。


その放浪から十年ほどたった頃、
ぼくは昔の記憶をたどってヨーロッパを旅しました。

ロンドンからロッテルダム、ブルージュ、ハンブルグとたどって、
ぼくはライン川の観光船で、
観光地リューデスハイムにやってきました。

放浪の頃、ぼくはここのブドウ畑の丘の中腹にあるユースホステルで二ヶ月ほど働いていました。
でもそのときは、そんな観光船に乗るお金もなくて、
いつもあのブドウ畑の斜面から、
白い船体が川を流れて行くのを見ているだけでした。

今はなんとか観光船に乗る余裕もでき、
小さくてもホテルと名のつくところに泊まれるようになって、
こんなふうにゆったりと旅をしていることが、
とてもありがたいことのように思えました。

観光船はこの町にしばらく停泊するので、
観光客がみんな行くドロッセル・ガッセに行ってみました。

何もかもあの頃のままでした。
狭い小路にワイン酒場が並び、
店の中から陽気な歌声が聞こえました。
民俗衣装の楽団がブカブカと演奏し、
酔っ払った人たちが、肩を組み声を張り上げて歌っていました。

そんな風景をにやにや眺めていると、
店から一人の酔っ払いが出てきて、
日本人か、まあ入れ、と、
ほとんど無理やりぼくをそこに引きずり込みました。

アルコールがいっさい飲めないぼくはちょっとビビりましたが、
ビビっていても仕方ないので、
ワインの代わりにアプフェルザフト(酸味の強い、無香料の、リンゴの香りが素晴らしい、とても純粋な味のリンゴジュース) を頼み、ついでにテーブルにあった紙ナフキンに、
Freut euch des Lebens(楽しめよ人生を)
と書いて、ウエイターに渡しました。
彼はそれをバンドマスターに届けてくれ、
バンドマスターがちょっとぼくにウインクを送ってきました。

そしてすぐに演奏が始まりました。
客たちが歌い始め、ぼくも歌いました。
客はみんなテーブルから立ち上がり、
前の人の肩に手を置いた長い列が、
うねうねと店の中を練り始めました。

二節になると、ぼくは歌詞を覚えていなかったのですが、
まあ適当にその合唱の輪にまぎれていました。
みんなアルコールが入っているので威勢がよく、
でも酔っ払いの歌にしては結構音楽的だったりして、
ぼくは圧倒されながらその場にい続けました。

テーブルに戻って、
ジュースを飲みながらまたひとしきり歌ったあと、
ウエイターを呼びました。
「勘定を」
「あ、それはあちら様がもう…」
さっきぼくを引きずり込んだ酔っ払いが、
ぼくの分はもう払ってくれていました。

日本では酒場なんて入ったこともないぼくの、
ほとんど生涯唯一の酒場体験です。


この歌は、歌詞も曲もスイス人の作ですが、
代表的なドイツ民謡、またはドイツ系民族の民謡といっていいと思います。この詩はとくにゲーテが絶賛したといわれています。

冒頭に掲げた詞は、ぼくがとりあえず訳し、詩の大意を踏まえて、少しはましな日本語にまとめ直したものの一部です。

  • 町の中心の教会と家並み

    町の中心の教会と家並み

  • 川下りの船から見たリューデスハイム付近

    川下りの船から見たリューデスハイム付近

  • ライン川沿いに走る列車。鉄道は両岸にある

    ライン川沿いに走る列車。鉄道は両岸にある

  • リューデスハイムの町並みとライン川

    リューデスハイムの町並みとライン川

  • ラインの風景。左手が上流。手前はリューデスハイム

    ラインの風景。左手が上流。手前はリューデスハイム

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この旅行記へのコメント (2)

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  • 唐辛子婆さん 2006/05/24 11:04:55
    りんごの香りに一票
    KAUBEさん、

    楽しめよ人生を ラインの旅、拝見しました。

    なんて素敵な、かぐわしい物語。

    現地の人たちと夜更けまでロシア民謡を歌ったシベリアの夜を
    思い出してしまいました。

    私のページに何度もいらしていただいてありがとうございました。
    これからもKAUBEさんの旅行記を楽しみにしております。

    と言いながら、来週にはカラチに出発します。
    むこうは電話回線だそうで重い4トラにアクセスできるのか心配。
    しばらくお休みしなければならなくなるかもしれません。
    で、唐辛子婆の名前の由来をプロフィールに書きました。

      〜唐辛子婆〜





    KAUBE

    KAUBEさん からの返信 2006/05/25 21:02:23
    RE:唐辛子婆さんまた来てくれてありがとう
    由来、読みました。納得しました。ちょっとややこしい事情でしたね。それにしても「婆」とは…、ははは、まだこだわってるよ。

    そう、あのリンゴジュースは、最初は、ぼくには酸っぱ過ぎて、えっ、となりました。でも二回目には、あ、うまいかも。で、そのうち、のどが渇いたときはこれしかないぜ、となりました。
    無香料と書きましたが、糖分も無添加だそうです。日本のリンゴジュースは、100%のものでもリンゴの香り以外の香料を感じるので拒絶。
    そうかといって、ドイツに注文出すわけにもいかんし…
    ドイツではアッフェルザフト Apfelsaft をぜひお試しください。大人は普通ビールだって。あ、そうでした。

    ところで来週はまた遠出の旅ですか。気をつけて行ってらっしゃい。どうぞよい旅を。

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