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ようやくたどり着いた富士宮口5合目。標高2400m。とっても涼しい。少し肌寒いぐらいだ。富士山に入るまでは真夏の暑さだったのに、もうそんなにも違う。すでに軽い頭痛がするのは気のせいだろうか。<br /><br />今回のプランは夜間登山だ。夜8-9時ぐらいに出発して、夜通し山を登って、明け方4時半前のご来光までに頂上にたどり着く予定である。昼過ぎに5合目に着いた我々は、仮眠を取ったり、軽く歩き回ったりして、まず標高2400mに体を慣らす必要がある。この5合目で数時間過ごすのが、高山病予防にもなるのだと物の本には書いてあった。<br /><br />まず目の前にある山小屋(兼ドライブイン)を探索してみることにする。登山口のある道路に面しているのは、山小屋の屋上部分で、軽食スタンドやベンチが置いてある。階段で下に降りると、仮眠所や土産物屋、食堂になっている。土産物屋の前は展望所になっていて、テーブルとベンチが並べてある。で、その奥にトイレがある。<br /><br />富士山のトイレ問題は、あちらこちらで言われている。7月、8月の二ヶ月間で、のべ25-30万人が登る富士山。その人数の排泄問題は一筋縄ではすまない。普通の登山のようにそこらへんでするわけにはいかないのである。なにせ人数が違うし、森林限界より高度が高いので、バクテリアによる分解が進まないんだそうだ。登山客がみんな適当にその辺ですれば、すぐ富士山は排泄物だらけになる。<br /><br />なので、山小屋にはトイレがある。でも、そこに溜まった排泄物は、シーズン終了時に富士山に垂れ流しにされるらしい。そりゃそうだろう。他に方法がない。運び出す労力がない。車が入れるのは5合目までなんだから。<br /><br />そんな状態なので、最近では自治体が中心になって、新しいトイレを建設しているようだ。温度管理をしてバクテリアで汚物を分解するエコトイレや、熱焼却するトイレが作られている。<br /><br />富士山ゴミ問題というのもあるが、自分で持っていった分のゴミを自分で持ち帰るのは、登山客のマナーとしてちょっと頑張れば出来る範囲の事だと思う。というか、ゴミの方は言うほど落ちている印象はなかった。あれはどっちかというと、誤って風に飛ばされたり、落っことしてしまったりした物が大半なんじゃないだろうか。気がついて拾いに行こうにも、登山道からはずれたところに落ちてしまうと、特に夜間は素人では取りに行く危険の方が大きいし。わざわざ捨ててるような人は見なかったように思う。<br /><br />が、さすがに排泄物を持って帰れというのは、ちょっとの努力ではいかんともしがたい部分がある。富士山で排泄しないのが一番いいんだろうけど、飲まず食わずで登れるような山じゃない。勢いトイレの必要性は出てくる。トイレ問題に関して登山客に出来ることは、なるべく環境に優しいように水溶性のトイレットペーパーを持参することと、とりあえず5合目ですませられる分はすませて登るようにすることぐらいだ。<br /><br />で、5合目のトイレに行ってみた。一応水洗だったが、やはり汚かった。が、これが一番綺麗な部類のトイレであったことに、後で気が付くことになるのだった。<br /><br />車の中で仮眠を取ったり、山小屋に行って食べ物を買ったり(パンを包むビニール袋がパンパンになっていた。本当に気圧が低いんだと実感)して夜までの長い時間を過ごす。夕方に最後のメンバーも合流して、4人でおにぎりを食べ、トイレに行って、ぼちぼち準備に取りかかる。<br /><br />服は着ていたが、登山用靴下を履き、登山靴を履き、長袖の上着も着ておく。日が落ちてから富士宮口5合目は、ずいぶん冷えてきた。首にタオルを巻き、帽子をかぶり、ヘッドランプをつけて軍手をする。登山用ステッキの長さを合わせ(父から借りたステッキは、ネジが堅くて苦労した)ステッキのない友人は杖を買いに行った。<br /><br />父に借りた高度計つき登山ウォッチの高度を合わせる。2400m。これが基準になる。<br /><br />夕方までは、三々五々下山してきた人々が山小屋前で万歳三唱していたりしていたのだが、夜になって、5合目は昼間よりにぎやかになってきていた。やはり夜間登山組は多いようだ。車も次々やってくるし、大勢の登山客が次々に登山口から登り始めていく。<br /><br />夜8時過ぎ、我々もいよいよ登山を開始した。富士宮口5合目から頂上まで、直線距離約6Km、高度約1300mの富士登山の幕開けである。<br /><br />6合目までの登山道はさらさらの砂地で、幅も結構あるが、ところどころ火山岩が顔を出している。登山用ステッキをついて、足下に注意して一歩一歩上がっていく。周囲は真っ暗で景色は全く見えないが(これが良かったことが後に判明する)前後に登山客は一杯いて、みんなヘッドランプをつけているので、周囲は意外に明るい。自分のヘッドライトも十分な光量を提供してくれる。少なくとも道に迷う心配はあまりなさそうであった。<br /><br />程なくして6合目の山小屋にたどり着いた。え、もう?意外に近いんだね。100m上がってきたんだ。ちょっと休憩して、デジカメで写真を撮ってみたりする。カメラを構える余裕があるのはこれで最後になるなんて、この段階では誰も予想していなかった。

富士登山記 その4

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2004/08 - 2004/08

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Domi

Domiさん

ようやくたどり着いた富士宮口5合目。標高2400m。とっても涼しい。少し肌寒いぐらいだ。富士山に入るまでは真夏の暑さだったのに、もうそんなにも違う。すでに軽い頭痛がするのは気のせいだろうか。

今回のプランは夜間登山だ。夜8-9時ぐらいに出発して、夜通し山を登って、明け方4時半前のご来光までに頂上にたどり着く予定である。昼過ぎに5合目に着いた我々は、仮眠を取ったり、軽く歩き回ったりして、まず標高2400mに体を慣らす必要がある。この5合目で数時間過ごすのが、高山病予防にもなるのだと物の本には書いてあった。

まず目の前にある山小屋(兼ドライブイン)を探索してみることにする。登山口のある道路に面しているのは、山小屋の屋上部分で、軽食スタンドやベンチが置いてある。階段で下に降りると、仮眠所や土産物屋、食堂になっている。土産物屋の前は展望所になっていて、テーブルとベンチが並べてある。で、その奥にトイレがある。

富士山のトイレ問題は、あちらこちらで言われている。7月、8月の二ヶ月間で、のべ25-30万人が登る富士山。その人数の排泄問題は一筋縄ではすまない。普通の登山のようにそこらへんでするわけにはいかないのである。なにせ人数が違うし、森林限界より高度が高いので、バクテリアによる分解が進まないんだそうだ。登山客がみんな適当にその辺ですれば、すぐ富士山は排泄物だらけになる。

なので、山小屋にはトイレがある。でも、そこに溜まった排泄物は、シーズン終了時に富士山に垂れ流しにされるらしい。そりゃそうだろう。他に方法がない。運び出す労力がない。車が入れるのは5合目までなんだから。

そんな状態なので、最近では自治体が中心になって、新しいトイレを建設しているようだ。温度管理をしてバクテリアで汚物を分解するエコトイレや、熱焼却するトイレが作られている。

富士山ゴミ問題というのもあるが、自分で持っていった分のゴミを自分で持ち帰るのは、登山客のマナーとしてちょっと頑張れば出来る範囲の事だと思う。というか、ゴミの方は言うほど落ちている印象はなかった。あれはどっちかというと、誤って風に飛ばされたり、落っことしてしまったりした物が大半なんじゃないだろうか。気がついて拾いに行こうにも、登山道からはずれたところに落ちてしまうと、特に夜間は素人では取りに行く危険の方が大きいし。わざわざ捨ててるような人は見なかったように思う。

が、さすがに排泄物を持って帰れというのは、ちょっとの努力ではいかんともしがたい部分がある。富士山で排泄しないのが一番いいんだろうけど、飲まず食わずで登れるような山じゃない。勢いトイレの必要性は出てくる。トイレ問題に関して登山客に出来ることは、なるべく環境に優しいように水溶性のトイレットペーパーを持参することと、とりあえず5合目ですませられる分はすませて登るようにすることぐらいだ。

で、5合目のトイレに行ってみた。一応水洗だったが、やはり汚かった。が、これが一番綺麗な部類のトイレであったことに、後で気が付くことになるのだった。

車の中で仮眠を取ったり、山小屋に行って食べ物を買ったり(パンを包むビニール袋がパンパンになっていた。本当に気圧が低いんだと実感)して夜までの長い時間を過ごす。夕方に最後のメンバーも合流して、4人でおにぎりを食べ、トイレに行って、ぼちぼち準備に取りかかる。

服は着ていたが、登山用靴下を履き、登山靴を履き、長袖の上着も着ておく。日が落ちてから富士宮口5合目は、ずいぶん冷えてきた。首にタオルを巻き、帽子をかぶり、ヘッドランプをつけて軍手をする。登山用ステッキの長さを合わせ(父から借りたステッキは、ネジが堅くて苦労した)ステッキのない友人は杖を買いに行った。

父に借りた高度計つき登山ウォッチの高度を合わせる。2400m。これが基準になる。

夕方までは、三々五々下山してきた人々が山小屋前で万歳三唱していたりしていたのだが、夜になって、5合目は昼間よりにぎやかになってきていた。やはり夜間登山組は多いようだ。車も次々やってくるし、大勢の登山客が次々に登山口から登り始めていく。

夜8時過ぎ、我々もいよいよ登山を開始した。富士宮口5合目から頂上まで、直線距離約6Km、高度約1300mの富士登山の幕開けである。

6合目までの登山道はさらさらの砂地で、幅も結構あるが、ところどころ火山岩が顔を出している。登山用ステッキをついて、足下に注意して一歩一歩上がっていく。周囲は真っ暗で景色は全く見えないが(これが良かったことが後に判明する)前後に登山客は一杯いて、みんなヘッドランプをつけているので、周囲は意外に明るい。自分のヘッドライトも十分な光量を提供してくれる。少なくとも道に迷う心配はあまりなさそうであった。

程なくして6合目の山小屋にたどり着いた。え、もう?意外に近いんだね。100m上がってきたんだ。ちょっと休憩して、デジカメで写真を撮ってみたりする。カメラを構える余裕があるのはこれで最後になるなんて、この段階では誰も予想していなかった。

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