1970/08 - 1970/08
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片瀬貴文さん
車の問題点の一つに、事故の多さがある。
大雑把だが、同じ距離を走っての死者は、飛行機の10倍、鉄道の100倍である。
私も自分でハンドルを握っていて、ヒヤッとすることが何度もあった。
毎年フランスの交通事故死数は、阪神・淡路大震災で亡くなった人数を超えている。
事故による身障者問題も、大きな社会の課題である。
そうした事故を減らす工夫の一つが、速度制限である。
フランスで無制限だった道路に速度制限を設けようとした直接のきっかけは石油ショックだったが、運転の安全性と速度との関係については以前から論争があった。
「車の生命は到達時分の短縮にある」
「制限の結果、運転時間が延びれば、かえって疲労が重なり事故は増える」
との制限反対論が大勢を占めていたのに対し、
「高速運転は重大事故をもたらす」
という制限賛成論が、少数論として一部にはあった。
石油ショックを機に、エネルギー節約のための速度制限の動きがヨーロッパ各国に広まった。
その余波を受けてフランスでも、一部の国道で速度制限が試みに実施された。
制限と言っても時速100キロである。
しかしその結果、運転事故死は減り、次第に制限論が主流になっていった。
1970年初めごろ、年間1万6千人を数えた交通事故死数は、その後20年余を経過してほぼ半減している。
それでもわが国に比べ、人口当り約2倍の数字であるが・・。
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