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    《北海道の未訪問地:最北端を訪ねて》<br /><br /><br />9月29日(木)晴天<br />去年に続いて北海道への旅。昔から行こうと思っていて、なかなか行かれなかった礼文利尻の旅だ。しかし、そのスタートは去年同様、台風に祟られた。旅行の計画は6月末には決まっていたが、出発は9月8日の予定にしていた。ところが今年も旅行前日の9月7日に台風14号が関東を通過し、北海道へ向かった。心配なので朝早く交通状況を確認するとANAは運行しているが稚内から礼文へ行くフェリーが全便欠航となっている。こういう場合は電話ではどうにもならないので羽田へ行く。最悪の場合は稚内まで行って、稚内周辺の散策でも仕方ないか、と思っていた。羽田のANAの相談窓口にいたのは宮崎さん。事情を言うと、フェリーの欠航でANAには責任がないにも係わらず、1ヶ月以内での振り替えができるよう上司に交渉してくれた。で、その場で9月29日出発、10月1日帰着という飛行機に変更。しかも料金は追加料金なしで、席も同じ場所を取ってくれた。結構面倒な手続きらしく30分以上掛かったけど親切に対応してくれてとても有り難かった。<br />その日は羽田で9時を過ぎてしまったので、そのまま休み。アクアラインを通って千葉へ向う。海ほたるで予約していた北海道の宿に電話するとフェリー欠航の場合はキャンセル料もなく簡単にキャンセルできた。その後、金谷で浜焼きを食べ野島崎まで行ってきた。千葉も高速道路ができ、意外と短時間で往復できることを発見。文子と結婚前にデイトした野島崎がすごく変わってしまっていることにも驚いた。でもその時の模様は北海道とは直接関係がないので別の機会にする。<br /> そんな訳で9月29日という遅い時期の出発ということになったのだ。横浜横須賀道路の渋滞を避けるため早朝に家を出る。羽田の第二ターミナルができてから羽田に行くのは、この前の振り替え手続きの時が最初だったが、今回は迷わずに第三駐車場へ。連絡通路のある4階は混んでいると思ったので3階に駐車。羽田には7時前に到着した。全日空カウンターは去年の混雑や9月8日がウソのように空いている。僕のチケットはこの前、宮崎さんが発行してくれた特別製なのでカウンターで手続きするしかない。カウンターではすんなりと搭乗券を発行してくれた。手続きが終わってから空港で食事。今日は和食にする。文子は鮭の定食で僕は鯵の開き定食。飛行機の出発は9時45分と遅いのでまだ時間がある。5階に上がって展望フロアに行くと朝の海が眩しく光る。今日は良い天気だ。北海道も良い天気らしい。お土産を見てコーヒーショップで休憩。ようやく出発時間が近付いて出発ロビーへ。この頃は国内線でも国際線と同様の検査をする。今日の飛行機はボーイング737-300と小型なので103番の搭乗口からバスで行く。バスは一旦空港周回道路に出て道路の向こう側に駐機していた飛行機まで行く。バスに乗ったおかげで羽田もずいぶん広くなった、というのを実感した。ボーイング737-300は窓側に二人真ん中が3人という座席なので二人連れなら窓側が丁度良い。羽田は定時に出発。稚内までは1時間35分の飛行だ。この日は晴天で上空に上がっても地上が良く見える。東京湾を眼下にしたあと筑波のあたりから福島上空へ。そして青森県の下北半島を見て北海道に入る。北海道に入ってからも旭川あたりの大平原から幌士別あたりの湿原まで見ながら結構長い時間を飛ぶ。稚内に近付くと高度を落とし、一旦海の上に出て稚内空港をパス。海上で向きを変えて空港に進入する。旭川空港もそうだったが、街から離れたところにある空港だ。空港の周りには何もないのでバスに乗らない限りはレンタカーかタクシーに頼るほかはない。今日の予定は3時15分のフェリーで礼文島に向かうのだ。まだ11時なのでお昼を食べても3時間以上の時間がある。空港の観光案内所で聞くと宗谷岬まで30分くらい。ノシャップ岬まで1時間くらいだと言う。こんな短時間だけレンタカーを借りるなんて考えもしなかったのでタクシーで行くことにする。でも、結果的にはタクシー代で2万円も掛かってしまったのだから、短時間のレンタカーを借りた方が良かったかもしれない。空港の前のタクシー乗り場で先頭の1台に乗る。3時にフェリー乗り場に戻る予定で、あとは運転手任せ。最初に向かったのは宗谷岬。空港からは良い道がずっと続いている。通行量も少ないので時間も早い。宗谷岬に向かうに連れて風力発電の塔が沢山建っている。大丸あすなろ荘へ行った時にもあったが、ここは規模が大きい。宗谷岬には三角形のシンボルが建っている。その近くには間宮林蔵の碑もあり、宗谷岬を歌った歌謡曲の記念碑もある。海は綺麗だが樺太は見えない。この近くの土産物屋に隣接して流氷の展示館がある。中は非常に寒い。流氷が溶けないようにしてあるから寒いのは当然だ。流氷の上にはアシカなどの剥製も展示してある。寒いので早々に退散してお昼にする。昼食は道路を挟んだ丘の上にある間宮堂へ。ここは運転手のお勧めの店だが、店内にはいろんな色紙が貼ってあって、有名人も訪れているらしい。名物は帆立ラーメン600円。僕は醤油にしたが、文子は塩にした。量は普通の店と同じくらいだが、そこに帆立がまるまる1個入っている。お昼に食べる量としては適量だ。醤油味も悪くない。外に出ると赤い小さな花が丘に広がっている。アルメリアという花で可憐で綺麗だった。半分くらいの株はもう花が終わっているのだが、それでも綺麗だった。このラーメン店の前からは丘の上を通って牧場を抜けて、さっき来た海岸沿いの道に戻ることができる。狭くて細い道だが両側に緑の牧場が広がり、北海道ならではの風景。自分たちだけで走っていれば、どこにでも車を止めて写真を撮り放題、というような所だ。観光タクシーなのでそう好き勝手なことも言えず、1回だけ止めて貰う。こういう丘陵が積み重なっている様子は北海道ならではだ。ただ、その重なり具合が、ここは緑一色なのに対し、美瑛の丘は畑の緑と土の茶色が交互にあって美瑛の方が美しい。この牧場は見渡す限りの積み重なる丘全体が牧場で柵もない。稚内の市営だそうで、放牧している牛は真っ黒な牛だ。この牛は肉牛にされるという。車は来た道を戻り稚内市内を過ぎてノシャップ岬に向かう。稚内の市内は、運転手も言っていたが寂れた感じがする。人口も減っているそうだ。ノシャップ岬は名前だけがロマンチックで実際にはどうっていうことのない岬だ。夕陽が綺麗だそうだが、そんな時間までいる訳にもいかないし、昼間の時間は宗谷岬の方が余程良い。写真を撮っただけで出発。少し戻ったところに稚内公園があり、歴史館もそこにある。北海道の歴史は函館に行った時に高田屋嘉兵衛資料館にも行ったから良く分かっているのだけれど、フェリーの時間待ちの関係もあるので少し見て回る。文子は出口でお土産を少し買った。この稚内公園には終戦時に樺太で死んだ電話交換手9人の記念碑もあった。この稚内公園からフェリーターミナルまでは市内を通ってほんの少し。時間は2時半には着いてしまった。運転手さんは親切で、利尻から帰ってきた時に立ち寄るような稚内の美味しいお店なんかも教えてくれた。フェリーターミナルは結構大勢人がいる。予約してあるので予約番号を言うと直ぐに発券してくれる。礼文島香深港まで1等の座席指定で8600円。今日の船はフィルイーズ宗谷という3500トンもある大きな船だ。稚内から礼文島の香深まで2時間弱の船旅。2時間というと結構長いので羽田で酔い止めの薬を買ってきたが、今日は天気も良く海も穏やかなので飲まないことにする。フェリーには出発の20分前くらいから人が並び始める。2等船室や1等船室は座席指定ではないから、良い席を確保するには早めに並ぶのだ。僕たちも適当に並んで乗船する。タラップを上ったところが2等船室のフロア。もう一つ階段を登ると売店のあるロビーで、そこのフロアが1等船室。1等船室とは言っても絨毯が敷いてある広間のような感じ。僕たちは1等の座席指定になっている。そこは、このロビーの更に上階。螺旋階段の上り口には柵があって、係りの人にチケットを見せないと入れない。礼文島のインターネットを見ていたら、フェリーの利用の仕方が書いてあって、1等と400円しか違わないので座席指定がオススメ、となっていたのだ。螺旋階段を上がるとここもロビー風になっているが設備が一層豪華になる。このフロアには座席指定の部屋のほか特別室とこのフロア専用のトイレも設置されている。フロアの後方部分が座席指定の部屋だが、絨毯敷きなので入り口で靴を脱ぐ。入ると窓側に大きなリクライニングチェアが2列づつ並び、両側合わせて60席くらい。中央には1人掛けのソファや2人掛けのソファが配置されサロン風になっている。前方にはテレビもあって豪華な造り。夏場の最盛期にはここも満員になるそうだが、今日は僕たちのほかに若いカップルとの二組だけだった。このリクライニングも前後左右の幅が広く、飛行機よりも豪華で楽ができる。広い部屋に二組だけだったので好きな席に勝手に座ってしまった。最後尾の席は列車と同じようにペダルで後方に向けることができたので、後方の窓を見ながら座っていたがいつの間にか寝てしまった。若いカップルは礼文島の男と九州の女性で、男性の家へ帰るところだという。文子が美味しいお店とかいろいろ教えて貰っていた。信号が島では2個しかないこと。1周する道路はないこと。お昼を食べるのならろばた焼きちどり、というお店が美味しいこと、など。船は稚内を出たあと左手に稚内の自衛隊のレーダードームを見て、それが結構小さくなるまで見えている。それが見えなくなると今度は右手に礼文島が霞んで見えてくる。さらに礼文島の左隣に利尻富士が見えるのだが、利尻富士もシルエットは見えるものの、くっきりとは姿を見せてくれない。それでもデッキに出て何枚かの写真を撮っているうちに島影はどんどん大きくなる。礼文島香深港到着は17時だった。今日の宿はホテル礼文。フェリーターミナルから歩いて2分くらいでほんの目の前だ。礼文島では「花礼文」という宿が一番良いのだが、そこは9月中旬で来シーズンまで閉館してしまった。ホテル礼文と同じ経営でホテル礼文よりも豪華なつくりになっているらしい。さて、フロントで記帳を済ませ部屋へ。今日の部屋は506号室。8畳間だが窓の外は香深港だ。島では数少ない大きなホテルなので団体向けかと思っていたが、部屋には明日天気になりますように、というメッセージと一緒にてるてる坊主なんかが置いてあり、結構細やかな気遣いがされていた。お風呂は最上階の7階。右と左で男女に別れているが露天風呂は一つしかない。夜は女性で朝が男性だという。それでもお風呂はガラス張りの展望風呂で気持ちが良い。男性用のお風呂は3人しか入っていなかったのでゆっくり入れた。温泉でないのが残念だが、この島には温泉がないのだから仕方がない。お風呂の外にお水が置いてあるので飲んでみるとコンブの味がした。部屋へ戻って窓から海を眺めているうちに文子も戻って夕食の時間。このホテルの夕食は食堂へ行く。仕切りはないが、ワンテーブルが一グループに割り当てられている。主に個人客を食堂に集め、団体さんは他の場所へ案内しているようだ。この日の夕食は食前酒がハスカップワイン、先付けが生ウニ、前菜にサーモンの押し寿司、生麩田楽、いかわさびなど。お造りは平目とぼたん海老に帆立。それにポテト饅頭、焼き物ががやの一夜干し。それに蛸しゃぶがあり、揚げ物は百合根のかき揚げと蟹シューマイとなっている。がやというのはカサゴのことだ。蛸シャブは小さな鍋でやったので温かかったが、前菜、お造りなどはテーブルに並べられていた。ポテト饅頭や揚げ物は後から温かいものを持ってきてくれるが、それもちょっとタイミングが早くて冷めてしまった。それでも量も多かったし、ウニは新鮮だったし満足できる夕食だった。明日は1日で礼文島と利尻島を見て回るので、明日こそ天気でないと困る。晴天を祈りつつ早めに就寝。<br /><br /> 9月30日(金)曇り。<br />朝起きてお風呂に行く。この旅館の露天風呂にも入る。雨は降っていないが風が強いようだ。今日は8時には出発したい、と文子にも言ってあったので文子も今朝は早起き。昨日フロントでモーニングコーヒーの券を貰っていたのでフロント脇の喫茶室に行く。ここでは若女将がコーヒーを入れていた。朝食は昨日の食堂で7時から。朝食はどこの宿とも同じような朝食。でも、オレンジジュースか牛乳がサービスで出される。この日は早々に食べ終わって出発の準備をする。今日は13時45分のフェリーで利尻島に向うのだが、それまでに礼文島の良いところを少し回っておきたい。小さな島ではあるが島の日本海側には歩くコースしかなく8時間も掛かる。島の北海道側には車道があるが、そう広い道ではないそうだ。インターネットでは移動手段にはバイクが良い、となっていたのでレンタバイクを借りるつもりでいた。ところが今日はとっても風が強い。僕がチェックアウトしている間に文子がこのホテルの若女将に聞くと、レンタバイクは隣りに店があるが風が強いからレンタカーの方が良いのではないか、とのこと。フロントにいた男の人も、この辺はそうでもないが、北端の方はもっと風が強いと言うので、結局レンタカーを借りることにする。レンタカーはこのホテルでもニッポンレンタカーの代理店をしているので、そのまま借りられる。3時間の料金でフェリー出発まで使って良いという。手配してくれたのはブルーのスバルインプレッサだった。宿からフェリー乗り場と反対方向に向かうと島の北端、スコトン岬に向うことになる。インプレッサにはカーナビが付いているが、プラドと違って操作が分からない。それでも方向だけは示してくれる。道はところどころで狭くなっているが、そんなに悪い道ではない。車の右手にずっと海を見ながら進む。途中、左手に礼文岳への登山道入り口などを見て久種湖という湖が左手に現れるとスコトン岬も近い。ところが途中で道路工事をやっていたため迂回路を通ったのが悪かったのか、スコトン岬でなく金田岬に向っている様子。それもカーナビに金田岬が現れたから分かったのだが、そこでユーターンして改めてスコトン岬へ向う。道の彼方に海しか見えなくなって、道が丘の上に続くと、そこがスコトン岬の駐車場。売店が1軒あるが、まだ観光バスも来ていなくて静かな岬だった。ところがホテルの人が言っていたとおり風が実に強くて車のドアを煽られるほど。文子と二人でジャンパーを着て風除けにし、岬の先端に向った。駐車場の先には団体さんが記念写真を撮る時の看板や踏み台があるが、そこから下へ下る細い道があり、スコトン岬の先端まで行くことができる。実際には、もっと先まで踏み跡があるが今は柵があってそこから先に行くことはできない。スコトン岬の先にはトド島が浮かんでいる。ここが礼文島の最北端だ。観光バスより早く来たお陰で、ここには僕たちのほか、もう一組がいるだけ。良いポイントを沢山写真に撮ることができた。観光バスが到着したのを機に戻ることにする。次はここから近い澄海岬へ向うのだ。澄海岬(すかいみさき)なんて素敵な名前を誰が付けたのだろう。観光地化してから付けたのか、それとも、昔のアイヌの頃からそういう名前だったのだろうか。スコトン岬をちょっと戻ると右手にトレッキングの8時間コース入り口がある。ちょっと入ってみる。ここは稜線を歩くようになっているので一層風が強い。かなり登ったところでゴロタ岬へ行く道と8時間コースとに別れるので、そこまで行って引き返す。その途中に紫の菊のような花が咲いていたので写真を撮る。その周辺にはレブンコザクラとかミヤマアキノキリン草などの花も咲いていた。そんなことをしているうちに観光バスが先に澄海岬方面に行ってしまった。澄海岬へ向う途中には小高い丘があって、そこの草原も綺麗だった。そこを下ると澄海岬の駐車場に出る。ここでは観光バスが先着していたが、僕たちが岬へ向うと入れ替わるようにして下りてきた。駐車場から澄海岬へは急傾斜の細い道をしばらく登る。登りきったところが澄海岬で右手の方にはさっきのスコトン岬方面。左手の方にはトレッキングコースの断崖が見えている。ここも海から吹き付ける風が強い。沖の波も高く岩に叩きつける波が白く砕け散っている。こんな状態でフェリーは運航するのだろうか。澄海岬からは再び丘を越えて来た道を戻る。さっき目を付けておいた草原で車を停め、草原の中で写真を撮る。さらに下ると左手に礼文アツモリ草の群生地という看板を見つけたが花の時季が違うので閉鎖されていた。更に行くとさっきの久種湖という湖を通る。ここでも水芭蕉の群生地という看板を見つけたので、右手の、湖畔に沿って入って行く道に行ってみる。ここは湿原になっていて、その淵を道路がまっすぐに伸びている。小さな島なのに、北海道そのものの風景だった。この道路の右手は湖に向かって湿原になっているが左手は乾燥化が進み牧草地のようになっている。そうした牧草地の一つにポニーが繋がれていた。人懐こいポニーだったが人の手を噛んだりするので直ぐに退散。この道で文子が少し運転。再び海岸沿いの道に戻り、香深の街に戻る。そこから右手に向って山を登る道が続いていて、それが桃岩展望台へ続く道だ。展望台へは、その道の途中、トンネルが見えるところの手前に右手に登って行く更に細い道があるので、それを登って行く。対向車があったらすれ違うことさえ難しい道だ。でもそのお陰でバスなんかは登って来ない。狭い道の頂上は駐車場になっていて自然監視員の小屋だけが建っている。展望台へは、ここから更に急坂を歩いて登る。ところが、ここにきて文子がお腹が痛いと言いだす。車で気持ちが悪くなったのかと思ったらそうではなくてお腹が痛いらしい。でも折角来たのだから、と言って歩き出す。ゆっくり歩いても10分ほどで展望台に着く。ここからは本当は利尻富士が見えるはずだが、今日は霞んで見えない。ここは島の南端だが、相変わらず風が強い。展望台の向かい側に桃岩があり、その下には美しい海岸線が見える。ここで写真を撮ったりしているうちに、マイクロバスの団体が来て運転手さんが何か説明しているので僕たちも聞いてしまった。文子のお腹の様子を見ながら車に向う。もうお昼だと言うのにお腹の調子が悪くてはお昼も食べられない。展望台から直ぐに香深の街に戻れるので、そこで薬を買うことにした。ホテルの裏側(といっても、こっちが本通りなのだが)で薬屋さんを見つけて買いに行く。文子は薬屋さんで水を貰って飲んできたそうだ。今度は海岸線の道に戻ると直ぐにホテルが見えてきて、その手前にろばた焼きちどりの看板がある。香深の漁港の目の前だ。文子は折角来たのだから、と言って中に入る。二人ともちゃんちゃん焼きを食べることにしたが、僕はご飯と味噌汁付きのセットにした。ちゃんちゃん焼きは鮭でやるのかと思っていたら、この辺ではホッケのちゃんちゃん焼きだった。背中の厚い皮の方から焼くと皮は焦げるが身は柔らかくほぐれてくる。それに味噌と葱を適当に混ぜて食べるのである。文子はお腹が悪いから止めれば良いのにツブの焼き貝も注文した。ツブ貝の小さいやつで、サザエのような感じだった。ホッケは美味しかったが、この季節に屋内でちゃんちゃん焼きは暑いばかり。早々に食べ終わって、僕だけ先に外へ出て涼む。暑がりの僕には向かない料理だった。ホテルに車を返したのは1時近かったので4時間借りていたことになる。午後になっても風が強くフェリーが運航するのかどうか気になっていたが、予定どおり出航するようだ。礼文島と利尻島の間は40分の船旅なので、波が高いと船酔いするかもしれないと思ったが40分くらいなら大丈夫だろう。香深港から利尻島の鴛泊に向う船はプリンス宗谷。昨日の船と同型で3500トンある船だ。この日も1等の座席指定に乗る。広いキャビンに僕たち1組だけ。どの席に座っても何をしてもまったく自由。そのお陰で船が揺れても気を紛らすことができた。香深のフェリーターミナルを出ると直ぐに外海になるので船は大きく揺れる。座席に座って反対側の窓を見ていると海が見えたと思ったら次の瞬間には空しか見えなくなる。こういう状態をずっと見ていると、それだけで気持ち悪くなってしまう。風は強いものの、雨ではないので遠くの景色が見えるのが幸いだった。礼文島がだんだん遠くなり、利尻島が近付いてくる。折角の利尻島なのに利尻富士は裾野の方しか姿を見せてくれない。鴛泊の港はその入り口にペチ岬という大きな岩山がある。それを向こう側に回り込むと急に波が静かになる。こんなに波が荒れていてもフェリーは定刻どおり14時25分に到着した。利尻島でもあんまり時間がないので、ここでは早めに下船口まで行きタラップが掛けられると同時に下船する。レンタカーを予約しておいたマルゼンの人がマルゼンと書いた紙を持って立っていたので直ぐに分かった。一旦営業所まで行き、前払いで軽自動車を借りる。この島は一周する道路があるが長い距離ではないので軽自動車で十分だ。街中をフェリーターミナルとは反対方向に出ると3キロほどで姫沼に着く。ところが駐車場まで行ってみると観光バスが3台もいて混雑していそう。そこで姫沼は後でもう一度来ることにして先にオタトマリ沼の方へ行くことにする。車は左手にずっと海を見ながら右手には利尻富士を見ながら走ることになるのだが、相変わらず利尻富士は姿を見せてくれない。道路は片側1車線だが遅い車もいないので快適に走ることができる。やがて鬼脇というところに到着するが、ここは利尻富士を望む展望の良い場所らしい。でも山頂が見えないのでは仕方が無い。そこで軽自動車にガソリン給油。ガソリン代込みで借りているから伝票にサインだけする。オタトマリ沼はすぐその先だった。ここにはバスはいない。利尻富士が見えていれば多分、湖面に綺麗に写るだろうと思われる立地。湖の周囲は緑の草原に囲まれていて、それも美しい。残念なのは紅葉がまだ始まっていないこと。実際には赤く色付いた木々もあるのだが、まだ少数で緑の方が濃い。湖面も周囲の緑を写して綺麗な緑色になっている。この周辺には売店が2軒あるがバスもいなかったせいか、静かに風景を楽しむことができた。オタトマリ沼からほんのちょっと戻ると、道路の反対側に沼浦展望台というのがある。ここに入って行く車はほとんどいないが、道路の入り口から結構長く道が続き、辿り着いたところは右手にオタトマリ沼と利尻富士を、左手には断崖の下に海を見る景色の良いところ。ここは来てみて損はなかった。オタトマリ沼はよく見えるが相変わらず利尻富士は山頂が雲に包まれたまま。一方、海の方は強風が続き、眼下には白い波が砕けるばかりだった。ここから更に島を一周するような感じで走ると右側に南浜湿原という看板がある。でも時間もないし、湿原そのものは志賀高原も立山も同じようなものなのでパスすることにする。更に走ると途中から良い道になり仙法師御崎公園に導かれる。ここにはコンブの加工場があり利尻コンブを買うことができる。海辺にはアシカが飼育されていたが波が高いので僕たちは行かなかった。ここの売店で文子がコンブを買っている間に僕がハマナスを見ていると、団体さんの添乗員さんから、ハマナスは良い香りがしますよ、と教えられた。今までにオホーツクの原生花園でもハマナスを見ているが良い香りがするのは知らなかった。早速匂いを嗅ぐとバラのような甘い匂いがした。この添乗員さんはクラブツーリズムの女性で、その後もところどころで一緒になった。更に走ると左手の海の向こうに礼文島が見えてくる。道路の途中から海辺へ行く脇道が何本かあるので適当なところに入っていくと、そこは浜小屋だった。まだ、姫沼に行ってないのにどんどん夕方が近付いてくる。やっぱり9月末に1日で礼文島も利尻島も両方見て回ろう、というのは随分きつい。この道路沿いに、もう一つ富士野園地という礼文島を正面に見るスポットがあったがそこは素通りする。フェリーターミナルのある鴛泊の街を通り抜け再び姫沼に着いた時にはもう4時半近くなっていた。それでも何とか湖畔で写真が撮れる程度の明るさのうちに姫沼まで行き、レンタカーを返してホテルに入ったのは5時丁度だった。利尻マリンホテルは鴛泊の漁港の真ん前にある4階建てのホテル。そんなに規模は大きくないが、わりと綺麗だった。今日の部屋は413号室。フロントで手続きしたあと部屋まで案内してくれた若い女性が(ここは仲居さんじゃなくホテルのベルボーイのような女性)この後から団体さんが到着する予定なので先にお風呂に行った方が良いですよ、と教えてくれる。到着時間も遅かったので直ぐにお風呂に行く。今日は風が強いところばかりに行ったので頭も洗いたい。このホテルは温泉が出る。日本最北端の温泉というのがウリになっている。お風呂は1階に下りなければならない。団体さんが来る前のお風呂は空いていて3人しかいなかった。露天風呂がないのが残念だが温泉でゆっくり温まることができた。ところがエレベーターが1基しかなく、丁度チェックインしてきた団体さんと一緒になってしまった。部屋に戻って窓を開けて涼む。この部屋はベットが置いてある純洋室。窓の外はペチ岬と漁港とが見える。海の景色が見える、というだけで実際には漁具が置いてあったりトラックが留っていたり、景色自体が良いわけではない。夕食は食堂で6時半から。食堂はお風呂と同じ1階の別のコーナーにある。ここの食堂は正に食堂で、テーブルごとに各部屋が別々にセットされているものの仕切りも何もなく隣の会話も従業員のサービスも全部分かる。それでもテーブルの上には盛沢山の料理が並ぶ。海鮮漬いくら添え、ほや塩辛、生うに、はそれぞれ小皿に並んでいる。お造りは平目、ホッキ貝、帆立、紅トロ、甘海老、イカ。酢の物はめかぶ。それに毛蟹。煮物はほっけの煮付け。さらに茶碗蒸しとオレンジ。最後に席に着いたあと焼き物は大きな帆立を台の上で焼く。これは焼けると器具で貝からはがしてくれる。食前酒は昨日と同じハスカップワイン。文子はお腹が本調子でないので僕だけ生ビールを頼んだ。時間を掛けてゆっくり食べないと食べきれないほどの量。毛蟹は半身づつだったが、蟹があるだけで豪勢さが違う。でも、周りのテーブルを見ると毛蟹の代わりにタラバガニが出ている人もいるし、明らかに添乗員と分かる人には品数も少ない感じだった。温かいうちに食べた帆立は美味しかったし、生ウニは最後まで取っておいてウニ丼にして食べた。お腹一杯で部屋に戻る。少し休んだあと、売店を見に行く。小さな売店だが、文子はそこにあったTシャツが気に入って買ってしまった。黒地に黄色で高山植物が描かれている。本当はお揃いで買いたかったが男物はMサイズがなかったのでグレー地になってしまった。部屋に戻ってもう一度お風呂に行く。今度はさっきと違って、結構混んでいた。部屋で涼もうと思って窓を開けると雨になっている。風も弱まる気配もなく、明日帰りのフェリーが出なかったらここにもう1泊するのかな、と思いながら眠りについた。<br /><br /> 10月1日(土)雨<br />旅の最終日。まだ雨は降り続いている。でも、昨日の風は収まっている。地元の人の話では、雨が降る前は風が吹き、風が止むと雨になるそうだ。10月からフェリーの時刻表も変わるので、今日のフェリーは9時10分に乗らなければならない。朝食は昨日の食堂で7時から。玉子と海苔と両方あったのでご飯のお代わりをしてしまった。荷物を片付けて8時過ぎにチェックアウト。宿の車でフェリーターミナルまで送って貰う。フェリーターミナルは空いていたが、船が出る20分前くらいから団体さんがずっと並び始める。今までで一番多い人の列だった。フェリーに乗るのも3回目になると要領が分かったので並んだ人たちが一段落してから乗船する。今回も座席指定に乗ったのは僕たち1組だけだった。今日は2時間弱の船旅で、しかも昨日の風のことがあるので、万一に備えて酔い止め薬を飲んでおいた。アンプルで飲み易い薬だった。今日の船は礼文島へ行った時と同じフィルイーズ宗谷だった。1等船室には僕たちしかいないので好き勝手に動き回る。今日は救急車が船に横付けして誰かを担架で運んでいる。こういう離島で病気になると稚内まで運んだりするのが大変だ。この人は稚内に着いた時にも救急車が待っていて、一般の人の下船よりも先に運ばれていった。フェリーが利尻島を出る時に昨日泊ったマリンホテルが良く見える。その奥にはペシ岬。そのペシ岬が小さくなってくると礼文島から出航した船が同じ方向に向かって走っているのが見える。ここまでくると日本海の真ん中だが心配していたような波はない。利尻島が見えなくなると反対側に島影が見えてくる。近付くと島影ではなく、稚内の近くが見えていたのだった。稚内到着は10時50分。飛行機が14時なので時間がある。フェリーターミナルにコインロッカーがあるのでそこにバックを預けて外に出る。まず、ドーム付のターミナルで写真を撮り、全日空ホテルの向こうにある北市場まで歩いて行く。この北市場は観光タクシーの運転手さんが教えてくれたのだ。北市場は札幌の二条市場みたいなもの。小さな店舗が沢山入っている。文子はここで毛蟹を買った。発送しないで持ち帰ることにして昼食が終わるまで預かってもらう。その昼食は竹ちゃん寿司がおすすめ、ということも運転手さんに教えて貰ってある。そこへ行く途中に稚内の駅があり、線路が途切れていて「最北端の線路。最南端から伸びる線路はここが終点です」と書いてある。竹ちゃん寿司が分からなくて何人かに聞いた結果、やっと見つけて入る。誰もいなかったが店の中に何枚かの色紙があったところを見ると、あのお店で良かったのだろう。文子は極上寿司というのにして、僕は特上寿司。文子のほうには白身の地魚が入っていたりしたが僕の方にもウニや鮭があって、そんなに違わない気がした。これに生ビールを1杯づつ飲んで二人で6700円。さっきの毛蟹が5匹も入って1万円だから、お昼としてはやっぱり少し高いかな。再び北市場に戻って毛蟹を受け取りフェリーターミナルへ戻る。ところがタクシーが1台もいない。フェリーが着く時間じゃないとここには待っているタクシーはいないのだ。文子が売店の人に聞くと、電話で呼ぶこともできるがもうじきバスが出るという。さっきの屋根付きのターミナルのところから12時40分発。フェリーターミナルが始発なのでそれに乗り市内を回りながら空港に行く。こんなバスに乗る人は少ないだろうと思ったら結構乗ってくるのでびっくりした。空港到着は13時15分。ここでまた僕は振り替えのチケットを出して搭乗券を発行して貰う。文子は先に2階へ行ってお土産を買う。結局、ここでもチョコとかクッキーを買ってしまった。飛行機は行きと同じボーイング737-300。帰りは雲が多かったが上空に上がってしまえば天気は良い。でも景色が見えたのは羽田に近付いてからだった。車で行っていると荷物はラク。羽田で夕食のお弁当を買ってさしたる渋滞もなく自宅に帰りついたのはまだ陽が沈みきらないうちだった。 ようやく行けた礼文利尻。折角の観光が1日で両方の島を見る、という阪急交通のツアー並みの強行スケジュールになってしまった。それに利尻富士を見れなかったのが残念だ。日本の最北端というところだけに、そう何度も行けるところとは思えない。それでももし、機会があるなら今度は高山植物の盛んな時期にトレッキングしてみたいと思う。一昨年の、悪過ぎた北海道に比べて今回はホテルも食事も良かったので合格点。何よりも、台風の振り替えをしてくれたANAと宮崎さんに感謝したい。<br /><br />

夢の浮島利尻島と花の浮島礼文島を巡る旅

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2005/09/28 - 2005/10/01

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秘湯マニア

秘湯マニアさん

    《北海道の未訪問地:最北端を訪ねて》


9月29日(木)晴天
去年に続いて北海道への旅。昔から行こうと思っていて、なかなか行かれなかった礼文利尻の旅だ。しかし、そのスタートは去年同様、台風に祟られた。旅行の計画は6月末には決まっていたが、出発は9月8日の予定にしていた。ところが今年も旅行前日の9月7日に台風14号が関東を通過し、北海道へ向かった。心配なので朝早く交通状況を確認するとANAは運行しているが稚内から礼文へ行くフェリーが全便欠航となっている。こういう場合は電話ではどうにもならないので羽田へ行く。最悪の場合は稚内まで行って、稚内周辺の散策でも仕方ないか、と思っていた。羽田のANAの相談窓口にいたのは宮崎さん。事情を言うと、フェリーの欠航でANAには責任がないにも係わらず、1ヶ月以内での振り替えができるよう上司に交渉してくれた。で、その場で9月29日出発、10月1日帰着という飛行機に変更。しかも料金は追加料金なしで、席も同じ場所を取ってくれた。結構面倒な手続きらしく30分以上掛かったけど親切に対応してくれてとても有り難かった。
その日は羽田で9時を過ぎてしまったので、そのまま休み。アクアラインを通って千葉へ向う。海ほたるで予約していた北海道の宿に電話するとフェリー欠航の場合はキャンセル料もなく簡単にキャンセルできた。その後、金谷で浜焼きを食べ野島崎まで行ってきた。千葉も高速道路ができ、意外と短時間で往復できることを発見。文子と結婚前にデイトした野島崎がすごく変わってしまっていることにも驚いた。でもその時の模様は北海道とは直接関係がないので別の機会にする。
そんな訳で9月29日という遅い時期の出発ということになったのだ。横浜横須賀道路の渋滞を避けるため早朝に家を出る。羽田の第二ターミナルができてから羽田に行くのは、この前の振り替え手続きの時が最初だったが、今回は迷わずに第三駐車場へ。連絡通路のある4階は混んでいると思ったので3階に駐車。羽田には7時前に到着した。全日空カウンターは去年の混雑や9月8日がウソのように空いている。僕のチケットはこの前、宮崎さんが発行してくれた特別製なのでカウンターで手続きするしかない。カウンターではすんなりと搭乗券を発行してくれた。手続きが終わってから空港で食事。今日は和食にする。文子は鮭の定食で僕は鯵の開き定食。飛行機の出発は9時45分と遅いのでまだ時間がある。5階に上がって展望フロアに行くと朝の海が眩しく光る。今日は良い天気だ。北海道も良い天気らしい。お土産を見てコーヒーショップで休憩。ようやく出発時間が近付いて出発ロビーへ。この頃は国内線でも国際線と同様の検査をする。今日の飛行機はボーイング737-300と小型なので103番の搭乗口からバスで行く。バスは一旦空港周回道路に出て道路の向こう側に駐機していた飛行機まで行く。バスに乗ったおかげで羽田もずいぶん広くなった、というのを実感した。ボーイング737-300は窓側に二人真ん中が3人という座席なので二人連れなら窓側が丁度良い。羽田は定時に出発。稚内までは1時間35分の飛行だ。この日は晴天で上空に上がっても地上が良く見える。東京湾を眼下にしたあと筑波のあたりから福島上空へ。そして青森県の下北半島を見て北海道に入る。北海道に入ってからも旭川あたりの大平原から幌士別あたりの湿原まで見ながら結構長い時間を飛ぶ。稚内に近付くと高度を落とし、一旦海の上に出て稚内空港をパス。海上で向きを変えて空港に進入する。旭川空港もそうだったが、街から離れたところにある空港だ。空港の周りには何もないのでバスに乗らない限りはレンタカーかタクシーに頼るほかはない。今日の予定は3時15分のフェリーで礼文島に向かうのだ。まだ11時なのでお昼を食べても3時間以上の時間がある。空港の観光案内所で聞くと宗谷岬まで30分くらい。ノシャップ岬まで1時間くらいだと言う。こんな短時間だけレンタカーを借りるなんて考えもしなかったのでタクシーで行くことにする。でも、結果的にはタクシー代で2万円も掛かってしまったのだから、短時間のレンタカーを借りた方が良かったかもしれない。空港の前のタクシー乗り場で先頭の1台に乗る。3時にフェリー乗り場に戻る予定で、あとは運転手任せ。最初に向かったのは宗谷岬。空港からは良い道がずっと続いている。通行量も少ないので時間も早い。宗谷岬に向かうに連れて風力発電の塔が沢山建っている。大丸あすなろ荘へ行った時にもあったが、ここは規模が大きい。宗谷岬には三角形のシンボルが建っている。その近くには間宮林蔵の碑もあり、宗谷岬を歌った歌謡曲の記念碑もある。海は綺麗だが樺太は見えない。この近くの土産物屋に隣接して流氷の展示館がある。中は非常に寒い。流氷が溶けないようにしてあるから寒いのは当然だ。流氷の上にはアシカなどの剥製も展示してある。寒いので早々に退散してお昼にする。昼食は道路を挟んだ丘の上にある間宮堂へ。ここは運転手のお勧めの店だが、店内にはいろんな色紙が貼ってあって、有名人も訪れているらしい。名物は帆立ラーメン600円。僕は醤油にしたが、文子は塩にした。量は普通の店と同じくらいだが、そこに帆立がまるまる1個入っている。お昼に食べる量としては適量だ。醤油味も悪くない。外に出ると赤い小さな花が丘に広がっている。アルメリアという花で可憐で綺麗だった。半分くらいの株はもう花が終わっているのだが、それでも綺麗だった。このラーメン店の前からは丘の上を通って牧場を抜けて、さっき来た海岸沿いの道に戻ることができる。狭くて細い道だが両側に緑の牧場が広がり、北海道ならではの風景。自分たちだけで走っていれば、どこにでも車を止めて写真を撮り放題、というような所だ。観光タクシーなのでそう好き勝手なことも言えず、1回だけ止めて貰う。こういう丘陵が積み重なっている様子は北海道ならではだ。ただ、その重なり具合が、ここは緑一色なのに対し、美瑛の丘は畑の緑と土の茶色が交互にあって美瑛の方が美しい。この牧場は見渡す限りの積み重なる丘全体が牧場で柵もない。稚内の市営だそうで、放牧している牛は真っ黒な牛だ。この牛は肉牛にされるという。車は来た道を戻り稚内市内を過ぎてノシャップ岬に向かう。稚内の市内は、運転手も言っていたが寂れた感じがする。人口も減っているそうだ。ノシャップ岬は名前だけがロマンチックで実際にはどうっていうことのない岬だ。夕陽が綺麗だそうだが、そんな時間までいる訳にもいかないし、昼間の時間は宗谷岬の方が余程良い。写真を撮っただけで出発。少し戻ったところに稚内公園があり、歴史館もそこにある。北海道の歴史は函館に行った時に高田屋嘉兵衛資料館にも行ったから良く分かっているのだけれど、フェリーの時間待ちの関係もあるので少し見て回る。文子は出口でお土産を少し買った。この稚内公園には終戦時に樺太で死んだ電話交換手9人の記念碑もあった。この稚内公園からフェリーターミナルまでは市内を通ってほんの少し。時間は2時半には着いてしまった。運転手さんは親切で、利尻から帰ってきた時に立ち寄るような稚内の美味しいお店なんかも教えてくれた。フェリーターミナルは結構大勢人がいる。予約してあるので予約番号を言うと直ぐに発券してくれる。礼文島香深港まで1等の座席指定で8600円。今日の船はフィルイーズ宗谷という3500トンもある大きな船だ。稚内から礼文島の香深まで2時間弱の船旅。2時間というと結構長いので羽田で酔い止めの薬を買ってきたが、今日は天気も良く海も穏やかなので飲まないことにする。フェリーには出発の20分前くらいから人が並び始める。2等船室や1等船室は座席指定ではないから、良い席を確保するには早めに並ぶのだ。僕たちも適当に並んで乗船する。タラップを上ったところが2等船室のフロア。もう一つ階段を登ると売店のあるロビーで、そこのフロアが1等船室。1等船室とは言っても絨毯が敷いてある広間のような感じ。僕たちは1等の座席指定になっている。そこは、このロビーの更に上階。螺旋階段の上り口には柵があって、係りの人にチケットを見せないと入れない。礼文島のインターネットを見ていたら、フェリーの利用の仕方が書いてあって、1等と400円しか違わないので座席指定がオススメ、となっていたのだ。螺旋階段を上がるとここもロビー風になっているが設備が一層豪華になる。このフロアには座席指定の部屋のほか特別室とこのフロア専用のトイレも設置されている。フロアの後方部分が座席指定の部屋だが、絨毯敷きなので入り口で靴を脱ぐ。入ると窓側に大きなリクライニングチェアが2列づつ並び、両側合わせて60席くらい。中央には1人掛けのソファや2人掛けのソファが配置されサロン風になっている。前方にはテレビもあって豪華な造り。夏場の最盛期にはここも満員になるそうだが、今日は僕たちのほかに若いカップルとの二組だけだった。このリクライニングも前後左右の幅が広く、飛行機よりも豪華で楽ができる。広い部屋に二組だけだったので好きな席に勝手に座ってしまった。最後尾の席は列車と同じようにペダルで後方に向けることができたので、後方の窓を見ながら座っていたがいつの間にか寝てしまった。若いカップルは礼文島の男と九州の女性で、男性の家へ帰るところだという。文子が美味しいお店とかいろいろ教えて貰っていた。信号が島では2個しかないこと。1周する道路はないこと。お昼を食べるのならろばた焼きちどり、というお店が美味しいこと、など。船は稚内を出たあと左手に稚内の自衛隊のレーダードームを見て、それが結構小さくなるまで見えている。それが見えなくなると今度は右手に礼文島が霞んで見えてくる。さらに礼文島の左隣に利尻富士が見えるのだが、利尻富士もシルエットは見えるものの、くっきりとは姿を見せてくれない。それでもデッキに出て何枚かの写真を撮っているうちに島影はどんどん大きくなる。礼文島香深港到着は17時だった。今日の宿はホテル礼文。フェリーターミナルから歩いて2分くらいでほんの目の前だ。礼文島では「花礼文」という宿が一番良いのだが、そこは9月中旬で来シーズンまで閉館してしまった。ホテル礼文と同じ経営でホテル礼文よりも豪華なつくりになっているらしい。さて、フロントで記帳を済ませ部屋へ。今日の部屋は506号室。8畳間だが窓の外は香深港だ。島では数少ない大きなホテルなので団体向けかと思っていたが、部屋には明日天気になりますように、というメッセージと一緒にてるてる坊主なんかが置いてあり、結構細やかな気遣いがされていた。お風呂は最上階の7階。右と左で男女に別れているが露天風呂は一つしかない。夜は女性で朝が男性だという。それでもお風呂はガラス張りの展望風呂で気持ちが良い。男性用のお風呂は3人しか入っていなかったのでゆっくり入れた。温泉でないのが残念だが、この島には温泉がないのだから仕方がない。お風呂の外にお水が置いてあるので飲んでみるとコンブの味がした。部屋へ戻って窓から海を眺めているうちに文子も戻って夕食の時間。このホテルの夕食は食堂へ行く。仕切りはないが、ワンテーブルが一グループに割り当てられている。主に個人客を食堂に集め、団体さんは他の場所へ案内しているようだ。この日の夕食は食前酒がハスカップワイン、先付けが生ウニ、前菜にサーモンの押し寿司、生麩田楽、いかわさびなど。お造りは平目とぼたん海老に帆立。それにポテト饅頭、焼き物ががやの一夜干し。それに蛸しゃぶがあり、揚げ物は百合根のかき揚げと蟹シューマイとなっている。がやというのはカサゴのことだ。蛸シャブは小さな鍋でやったので温かかったが、前菜、お造りなどはテーブルに並べられていた。ポテト饅頭や揚げ物は後から温かいものを持ってきてくれるが、それもちょっとタイミングが早くて冷めてしまった。それでも量も多かったし、ウニは新鮮だったし満足できる夕食だった。明日は1日で礼文島と利尻島を見て回るので、明日こそ天気でないと困る。晴天を祈りつつ早めに就寝。

9月30日(金)曇り。
朝起きてお風呂に行く。この旅館の露天風呂にも入る。雨は降っていないが風が強いようだ。今日は8時には出発したい、と文子にも言ってあったので文子も今朝は早起き。昨日フロントでモーニングコーヒーの券を貰っていたのでフロント脇の喫茶室に行く。ここでは若女将がコーヒーを入れていた。朝食は昨日の食堂で7時から。朝食はどこの宿とも同じような朝食。でも、オレンジジュースか牛乳がサービスで出される。この日は早々に食べ終わって出発の準備をする。今日は13時45分のフェリーで利尻島に向うのだが、それまでに礼文島の良いところを少し回っておきたい。小さな島ではあるが島の日本海側には歩くコースしかなく8時間も掛かる。島の北海道側には車道があるが、そう広い道ではないそうだ。インターネットでは移動手段にはバイクが良い、となっていたのでレンタバイクを借りるつもりでいた。ところが今日はとっても風が強い。僕がチェックアウトしている間に文子がこのホテルの若女将に聞くと、レンタバイクは隣りに店があるが風が強いからレンタカーの方が良いのではないか、とのこと。フロントにいた男の人も、この辺はそうでもないが、北端の方はもっと風が強いと言うので、結局レンタカーを借りることにする。レンタカーはこのホテルでもニッポンレンタカーの代理店をしているので、そのまま借りられる。3時間の料金でフェリー出発まで使って良いという。手配してくれたのはブルーのスバルインプレッサだった。宿からフェリー乗り場と反対方向に向かうと島の北端、スコトン岬に向うことになる。インプレッサにはカーナビが付いているが、プラドと違って操作が分からない。それでも方向だけは示してくれる。道はところどころで狭くなっているが、そんなに悪い道ではない。車の右手にずっと海を見ながら進む。途中、左手に礼文岳への登山道入り口などを見て久種湖という湖が左手に現れるとスコトン岬も近い。ところが途中で道路工事をやっていたため迂回路を通ったのが悪かったのか、スコトン岬でなく金田岬に向っている様子。それもカーナビに金田岬が現れたから分かったのだが、そこでユーターンして改めてスコトン岬へ向う。道の彼方に海しか見えなくなって、道が丘の上に続くと、そこがスコトン岬の駐車場。売店が1軒あるが、まだ観光バスも来ていなくて静かな岬だった。ところがホテルの人が言っていたとおり風が実に強くて車のドアを煽られるほど。文子と二人でジャンパーを着て風除けにし、岬の先端に向った。駐車場の先には団体さんが記念写真を撮る時の看板や踏み台があるが、そこから下へ下る細い道があり、スコトン岬の先端まで行くことができる。実際には、もっと先まで踏み跡があるが今は柵があってそこから先に行くことはできない。スコトン岬の先にはトド島が浮かんでいる。ここが礼文島の最北端だ。観光バスより早く来たお陰で、ここには僕たちのほか、もう一組がいるだけ。良いポイントを沢山写真に撮ることができた。観光バスが到着したのを機に戻ることにする。次はここから近い澄海岬へ向うのだ。澄海岬(すかいみさき)なんて素敵な名前を誰が付けたのだろう。観光地化してから付けたのか、それとも、昔のアイヌの頃からそういう名前だったのだろうか。スコトン岬をちょっと戻ると右手にトレッキングの8時間コース入り口がある。ちょっと入ってみる。ここは稜線を歩くようになっているので一層風が強い。かなり登ったところでゴロタ岬へ行く道と8時間コースとに別れるので、そこまで行って引き返す。その途中に紫の菊のような花が咲いていたので写真を撮る。その周辺にはレブンコザクラとかミヤマアキノキリン草などの花も咲いていた。そんなことをしているうちに観光バスが先に澄海岬方面に行ってしまった。澄海岬へ向う途中には小高い丘があって、そこの草原も綺麗だった。そこを下ると澄海岬の駐車場に出る。ここでは観光バスが先着していたが、僕たちが岬へ向うと入れ替わるようにして下りてきた。駐車場から澄海岬へは急傾斜の細い道をしばらく登る。登りきったところが澄海岬で右手の方にはさっきのスコトン岬方面。左手の方にはトレッキングコースの断崖が見えている。ここも海から吹き付ける風が強い。沖の波も高く岩に叩きつける波が白く砕け散っている。こんな状態でフェリーは運航するのだろうか。澄海岬からは再び丘を越えて来た道を戻る。さっき目を付けておいた草原で車を停め、草原の中で写真を撮る。さらに下ると左手に礼文アツモリ草の群生地という看板を見つけたが花の時季が違うので閉鎖されていた。更に行くとさっきの久種湖という湖を通る。ここでも水芭蕉の群生地という看板を見つけたので、右手の、湖畔に沿って入って行く道に行ってみる。ここは湿原になっていて、その淵を道路がまっすぐに伸びている。小さな島なのに、北海道そのものの風景だった。この道路の右手は湖に向かって湿原になっているが左手は乾燥化が進み牧草地のようになっている。そうした牧草地の一つにポニーが繋がれていた。人懐こいポニーだったが人の手を噛んだりするので直ぐに退散。この道で文子が少し運転。再び海岸沿いの道に戻り、香深の街に戻る。そこから右手に向って山を登る道が続いていて、それが桃岩展望台へ続く道だ。展望台へは、その道の途中、トンネルが見えるところの手前に右手に登って行く更に細い道があるので、それを登って行く。対向車があったらすれ違うことさえ難しい道だ。でもそのお陰でバスなんかは登って来ない。狭い道の頂上は駐車場になっていて自然監視員の小屋だけが建っている。展望台へは、ここから更に急坂を歩いて登る。ところが、ここにきて文子がお腹が痛いと言いだす。車で気持ちが悪くなったのかと思ったらそうではなくてお腹が痛いらしい。でも折角来たのだから、と言って歩き出す。ゆっくり歩いても10分ほどで展望台に着く。ここからは本当は利尻富士が見えるはずだが、今日は霞んで見えない。ここは島の南端だが、相変わらず風が強い。展望台の向かい側に桃岩があり、その下には美しい海岸線が見える。ここで写真を撮ったりしているうちに、マイクロバスの団体が来て運転手さんが何か説明しているので僕たちも聞いてしまった。文子のお腹の様子を見ながら車に向う。もうお昼だと言うのにお腹の調子が悪くてはお昼も食べられない。展望台から直ぐに香深の街に戻れるので、そこで薬を買うことにした。ホテルの裏側(といっても、こっちが本通りなのだが)で薬屋さんを見つけて買いに行く。文子は薬屋さんで水を貰って飲んできたそうだ。今度は海岸線の道に戻ると直ぐにホテルが見えてきて、その手前にろばた焼きちどりの看板がある。香深の漁港の目の前だ。文子は折角来たのだから、と言って中に入る。二人ともちゃんちゃん焼きを食べることにしたが、僕はご飯と味噌汁付きのセットにした。ちゃんちゃん焼きは鮭でやるのかと思っていたら、この辺ではホッケのちゃんちゃん焼きだった。背中の厚い皮の方から焼くと皮は焦げるが身は柔らかくほぐれてくる。それに味噌と葱を適当に混ぜて食べるのである。文子はお腹が悪いから止めれば良いのにツブの焼き貝も注文した。ツブ貝の小さいやつで、サザエのような感じだった。ホッケは美味しかったが、この季節に屋内でちゃんちゃん焼きは暑いばかり。早々に食べ終わって、僕だけ先に外へ出て涼む。暑がりの僕には向かない料理だった。ホテルに車を返したのは1時近かったので4時間借りていたことになる。午後になっても風が強くフェリーが運航するのかどうか気になっていたが、予定どおり出航するようだ。礼文島と利尻島の間は40分の船旅なので、波が高いと船酔いするかもしれないと思ったが40分くらいなら大丈夫だろう。香深港から利尻島の鴛泊に向う船はプリンス宗谷。昨日の船と同型で3500トンある船だ。この日も1等の座席指定に乗る。広いキャビンに僕たち1組だけ。どの席に座っても何をしてもまったく自由。そのお陰で船が揺れても気を紛らすことができた。香深のフェリーターミナルを出ると直ぐに外海になるので船は大きく揺れる。座席に座って反対側の窓を見ていると海が見えたと思ったら次の瞬間には空しか見えなくなる。こういう状態をずっと見ていると、それだけで気持ち悪くなってしまう。風は強いものの、雨ではないので遠くの景色が見えるのが幸いだった。礼文島がだんだん遠くなり、利尻島が近付いてくる。折角の利尻島なのに利尻富士は裾野の方しか姿を見せてくれない。鴛泊の港はその入り口にペチ岬という大きな岩山がある。それを向こう側に回り込むと急に波が静かになる。こんなに波が荒れていてもフェリーは定刻どおり14時25分に到着した。利尻島でもあんまり時間がないので、ここでは早めに下船口まで行きタラップが掛けられると同時に下船する。レンタカーを予約しておいたマルゼンの人がマルゼンと書いた紙を持って立っていたので直ぐに分かった。一旦営業所まで行き、前払いで軽自動車を借りる。この島は一周する道路があるが長い距離ではないので軽自動車で十分だ。街中をフェリーターミナルとは反対方向に出ると3キロほどで姫沼に着く。ところが駐車場まで行ってみると観光バスが3台もいて混雑していそう。そこで姫沼は後でもう一度来ることにして先にオタトマリ沼の方へ行くことにする。車は左手にずっと海を見ながら右手には利尻富士を見ながら走ることになるのだが、相変わらず利尻富士は姿を見せてくれない。道路は片側1車線だが遅い車もいないので快適に走ることができる。やがて鬼脇というところに到着するが、ここは利尻富士を望む展望の良い場所らしい。でも山頂が見えないのでは仕方が無い。そこで軽自動車にガソリン給油。ガソリン代込みで借りているから伝票にサインだけする。オタトマリ沼はすぐその先だった。ここにはバスはいない。利尻富士が見えていれば多分、湖面に綺麗に写るだろうと思われる立地。湖の周囲は緑の草原に囲まれていて、それも美しい。残念なのは紅葉がまだ始まっていないこと。実際には赤く色付いた木々もあるのだが、まだ少数で緑の方が濃い。湖面も周囲の緑を写して綺麗な緑色になっている。この周辺には売店が2軒あるがバスもいなかったせいか、静かに風景を楽しむことができた。オタトマリ沼からほんのちょっと戻ると、道路の反対側に沼浦展望台というのがある。ここに入って行く車はほとんどいないが、道路の入り口から結構長く道が続き、辿り着いたところは右手にオタトマリ沼と利尻富士を、左手には断崖の下に海を見る景色の良いところ。ここは来てみて損はなかった。オタトマリ沼はよく見えるが相変わらず利尻富士は山頂が雲に包まれたまま。一方、海の方は強風が続き、眼下には白い波が砕けるばかりだった。ここから更に島を一周するような感じで走ると右側に南浜湿原という看板がある。でも時間もないし、湿原そのものは志賀高原も立山も同じようなものなのでパスすることにする。更に走ると途中から良い道になり仙法師御崎公園に導かれる。ここにはコンブの加工場があり利尻コンブを買うことができる。海辺にはアシカが飼育されていたが波が高いので僕たちは行かなかった。ここの売店で文子がコンブを買っている間に僕がハマナスを見ていると、団体さんの添乗員さんから、ハマナスは良い香りがしますよ、と教えられた。今までにオホーツクの原生花園でもハマナスを見ているが良い香りがするのは知らなかった。早速匂いを嗅ぐとバラのような甘い匂いがした。この添乗員さんはクラブツーリズムの女性で、その後もところどころで一緒になった。更に走ると左手の海の向こうに礼文島が見えてくる。道路の途中から海辺へ行く脇道が何本かあるので適当なところに入っていくと、そこは浜小屋だった。まだ、姫沼に行ってないのにどんどん夕方が近付いてくる。やっぱり9月末に1日で礼文島も利尻島も両方見て回ろう、というのは随分きつい。この道路沿いに、もう一つ富士野園地という礼文島を正面に見るスポットがあったがそこは素通りする。フェリーターミナルのある鴛泊の街を通り抜け再び姫沼に着いた時にはもう4時半近くなっていた。それでも何とか湖畔で写真が撮れる程度の明るさのうちに姫沼まで行き、レンタカーを返してホテルに入ったのは5時丁度だった。利尻マリンホテルは鴛泊の漁港の真ん前にある4階建てのホテル。そんなに規模は大きくないが、わりと綺麗だった。今日の部屋は413号室。フロントで手続きしたあと部屋まで案内してくれた若い女性が(ここは仲居さんじゃなくホテルのベルボーイのような女性)この後から団体さんが到着する予定なので先にお風呂に行った方が良いですよ、と教えてくれる。到着時間も遅かったので直ぐにお風呂に行く。今日は風が強いところばかりに行ったので頭も洗いたい。このホテルは温泉が出る。日本最北端の温泉というのがウリになっている。お風呂は1階に下りなければならない。団体さんが来る前のお風呂は空いていて3人しかいなかった。露天風呂がないのが残念だが温泉でゆっくり温まることができた。ところがエレベーターが1基しかなく、丁度チェックインしてきた団体さんと一緒になってしまった。部屋に戻って窓を開けて涼む。この部屋はベットが置いてある純洋室。窓の外はペチ岬と漁港とが見える。海の景色が見える、というだけで実際には漁具が置いてあったりトラックが留っていたり、景色自体が良いわけではない。夕食は食堂で6時半から。食堂はお風呂と同じ1階の別のコーナーにある。ここの食堂は正に食堂で、テーブルごとに各部屋が別々にセットされているものの仕切りも何もなく隣の会話も従業員のサービスも全部分かる。それでもテーブルの上には盛沢山の料理が並ぶ。海鮮漬いくら添え、ほや塩辛、生うに、はそれぞれ小皿に並んでいる。お造りは平目、ホッキ貝、帆立、紅トロ、甘海老、イカ。酢の物はめかぶ。それに毛蟹。煮物はほっけの煮付け。さらに茶碗蒸しとオレンジ。最後に席に着いたあと焼き物は大きな帆立を台の上で焼く。これは焼けると器具で貝からはがしてくれる。食前酒は昨日と同じハスカップワイン。文子はお腹が本調子でないので僕だけ生ビールを頼んだ。時間を掛けてゆっくり食べないと食べきれないほどの量。毛蟹は半身づつだったが、蟹があるだけで豪勢さが違う。でも、周りのテーブルを見ると毛蟹の代わりにタラバガニが出ている人もいるし、明らかに添乗員と分かる人には品数も少ない感じだった。温かいうちに食べた帆立は美味しかったし、生ウニは最後まで取っておいてウニ丼にして食べた。お腹一杯で部屋に戻る。少し休んだあと、売店を見に行く。小さな売店だが、文子はそこにあったTシャツが気に入って買ってしまった。黒地に黄色で高山植物が描かれている。本当はお揃いで買いたかったが男物はMサイズがなかったのでグレー地になってしまった。部屋に戻ってもう一度お風呂に行く。今度はさっきと違って、結構混んでいた。部屋で涼もうと思って窓を開けると雨になっている。風も弱まる気配もなく、明日帰りのフェリーが出なかったらここにもう1泊するのかな、と思いながら眠りについた。

10月1日(土)雨
旅の最終日。まだ雨は降り続いている。でも、昨日の風は収まっている。地元の人の話では、雨が降る前は風が吹き、風が止むと雨になるそうだ。10月からフェリーの時刻表も変わるので、今日のフェリーは9時10分に乗らなければならない。朝食は昨日の食堂で7時から。玉子と海苔と両方あったのでご飯のお代わりをしてしまった。荷物を片付けて8時過ぎにチェックアウト。宿の車でフェリーターミナルまで送って貰う。フェリーターミナルは空いていたが、船が出る20分前くらいから団体さんがずっと並び始める。今までで一番多い人の列だった。フェリーに乗るのも3回目になると要領が分かったので並んだ人たちが一段落してから乗船する。今回も座席指定に乗ったのは僕たち1組だけだった。今日は2時間弱の船旅で、しかも昨日の風のことがあるので、万一に備えて酔い止め薬を飲んでおいた。アンプルで飲み易い薬だった。今日の船は礼文島へ行った時と同じフィルイーズ宗谷だった。1等船室には僕たちしかいないので好き勝手に動き回る。今日は救急車が船に横付けして誰かを担架で運んでいる。こういう離島で病気になると稚内まで運んだりするのが大変だ。この人は稚内に着いた時にも救急車が待っていて、一般の人の下船よりも先に運ばれていった。フェリーが利尻島を出る時に昨日泊ったマリンホテルが良く見える。その奥にはペシ岬。そのペシ岬が小さくなってくると礼文島から出航した船が同じ方向に向かって走っているのが見える。ここまでくると日本海の真ん中だが心配していたような波はない。利尻島が見えなくなると反対側に島影が見えてくる。近付くと島影ではなく、稚内の近くが見えていたのだった。稚内到着は10時50分。飛行機が14時なので時間がある。フェリーターミナルにコインロッカーがあるのでそこにバックを預けて外に出る。まず、ドーム付のターミナルで写真を撮り、全日空ホテルの向こうにある北市場まで歩いて行く。この北市場は観光タクシーの運転手さんが教えてくれたのだ。北市場は札幌の二条市場みたいなもの。小さな店舗が沢山入っている。文子はここで毛蟹を買った。発送しないで持ち帰ることにして昼食が終わるまで預かってもらう。その昼食は竹ちゃん寿司がおすすめ、ということも運転手さんに教えて貰ってある。そこへ行く途中に稚内の駅があり、線路が途切れていて「最北端の線路。最南端から伸びる線路はここが終点です」と書いてある。竹ちゃん寿司が分からなくて何人かに聞いた結果、やっと見つけて入る。誰もいなかったが店の中に何枚かの色紙があったところを見ると、あのお店で良かったのだろう。文子は極上寿司というのにして、僕は特上寿司。文子のほうには白身の地魚が入っていたりしたが僕の方にもウニや鮭があって、そんなに違わない気がした。これに生ビールを1杯づつ飲んで二人で6700円。さっきの毛蟹が5匹も入って1万円だから、お昼としてはやっぱり少し高いかな。再び北市場に戻って毛蟹を受け取りフェリーターミナルへ戻る。ところがタクシーが1台もいない。フェリーが着く時間じゃないとここには待っているタクシーはいないのだ。文子が売店の人に聞くと、電話で呼ぶこともできるがもうじきバスが出るという。さっきの屋根付きのターミナルのところから12時40分発。フェリーターミナルが始発なのでそれに乗り市内を回りながら空港に行く。こんなバスに乗る人は少ないだろうと思ったら結構乗ってくるのでびっくりした。空港到着は13時15分。ここでまた僕は振り替えのチケットを出して搭乗券を発行して貰う。文子は先に2階へ行ってお土産を買う。結局、ここでもチョコとかクッキーを買ってしまった。飛行機は行きと同じボーイング737-300。帰りは雲が多かったが上空に上がってしまえば天気は良い。でも景色が見えたのは羽田に近付いてからだった。車で行っていると荷物はラク。羽田で夕食のお弁当を買ってさしたる渋滞もなく自宅に帰りついたのはまだ陽が沈みきらないうちだった。 ようやく行けた礼文利尻。折角の観光が1日で両方の島を見る、という阪急交通のツアー並みの強行スケジュールになってしまった。それに利尻富士を見れなかったのが残念だ。日本の最北端というところだけに、そう何度も行けるところとは思えない。それでももし、機会があるなら今度は高山植物の盛んな時期にトレッキングしてみたいと思う。一昨年の、悪過ぎた北海道に比べて今回はホテルも食事も良かったので合格点。何よりも、台風の振り替えをしてくれたANAと宮崎さんに感謝したい。

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