1970/06/26 - 1970/06/26
132位(同エリア248件中)
片瀬貴文さん
北局のマンブレ係長とは、ピエール・ロティの取り持つ縁で親しくなった。
ある日、視察の車中で話題がフランスの小説に及び、私の好きな小説に『アイスランドの漁夫』を挙げたところ、その舞台が偶然に彼の故郷だったのだ。
舞台は、19世紀末のブルターニュ。
海洋民族であるブルトン(ブルターニュ人)は、アイスランドの恵まれた漁場に、毎年多くの命を失う危険を冒しながらも出漁するようになった。
海の見える丘には、真っ青に澄みわたった空の下、ハリエニシダの黄金色の花がいっぱいに咲き誇っている。
もうそろそろ、アイスランドからの船が戻らなければならない時節だ。
日永妻たちはその丘の上で海を眺め、夫の船を今か今かと待ちわびながら、孤独を慰め合っている。
やがて遠くから船が見え、そのたびに歓喜と失望が繰り返される。
そして待つ人の姿は一人減り二人減りし、ついに残された何人かは、永久に戻らない夫の影を求めながらいつまでも丘通いを続ける。
「この光景の悲しさは、私の心に焼きついて離れない」
と語ったところ、
「復活祭の休みにぜひ来い。ちょうどハリエニシダの真っ盛りだから」
と話が進んだ。
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