バンコク旅行記(ブログ) 一覧に戻る
「プライバシーホテル?そんな名前のホテルなぞないっ!!」バンコック空港の入国審査で、入官の担当官は声を荒げて、入国カードを私に突き返した。 入国カードには今夜、滞在するホテル名を記する所がある。パキスタンのカラチからの到着が大幅に遅れた私の乗った飛行機が空港に到着したのは午後11時をまわっていた。 私が入国カードに記載したプライバシーホテルはカイロの安宿で出逢った日系ブラジル人カップルからの情報だった。ホテルへのアクセス方法まで懇切丁寧に教えて貰っていたのだ。突き返された入国カードの今夜の滞在場所を私は誰もが知っている<HILTON HOTEL&gt;と茶目っ気で書き換えて再び提出した。  すると担当官は感じの悪い態度で私の風体を嘗めまわす。 そしてこういった。「お前は タイに入国したくないのかね?」厭なものの云い方をしてきた相手は再び入国カードを私に突き返す。嫌がらせに近かった。 三度目、私は仕方なく当時、バックパッカーの間でもっとも知られたバンコックの世界的な安宿<マレーシアホテル>と記載すると、最初からそう書けばいいんだ!といった口調と共に入国カードをようやく受理した.私は、三週間のビザを手に入れる事が出来た。名よりも実をとるタイプの私は担当官の感情的な態度に腹を立てるわけでもなく、通関さえ済ませば構わないという気持ちで入国の関門を通過していった パキスタンのカラチから機内で隣席だったパレスチナ取材帰りのフリーランスのジャーナリストと同じ飛行乗り合わせた日本人との3人で相乗りでタクシーで市内に向かうことになった。 ホテルは空港でホテルガイドを見ながらジャーナリスト氏が適当な価格のホテルに片っ端から電話を入れ、部屋の有無の確認し予約を入れてくれた。30前後のその彼の語学力と手際の良さと段取りの良さに私はすっかり<おんぶにだっこ>状態になる事に決めた。そんな深夜にも関わらず、客引きをする白タクが我々のもとに近づいてくる。人払いをするようにタクシーを選び、我々は市内に向かった。雲助ドライバーの多いこの国のタクシーだったが、今から10年程前にこのバンコックの空港からタクシーに乗った日本人の新婚カップルが物盗りに変身したタクシードライバーに殺害されるという事件が起きてからは当局も、ようやく腰をあげて対策に乗り出したという外電を聞いたことがあった。 当時から知られていたバンコックの交通渋滞もさすがに昼間と違い深夜のバンコック市内を走るタクシーは滑るように突き進んでいく。 信号待ちで車が停まると深夜と云えども、花売りの少年達が、腕に花輪を巻きながら、タクシーのウインドーを叩きながら売り込む。滞在すればするほど知ったのだが、この国では子供は労働力として大人達から多いにあてにされていたし、子供達もそれが当たり前のように働いていた。 やがてタクシーは歓楽街のパッポンストリートに程近いホテルの前で停まった。パッポンストリートは、後にベトナム戦争を題材にした映画<ディアーハンター>の中で、サイゴンの夜の歓楽街を描いたときのロケーション地として登場する。 ホテルの名前は<ローズホテル>と云った。一泊10ドル<2500円>の滞在費は私にとっては三日分のホテル代で高すぎたが、二日ほど滞在してプライバシーホテルに移る積もりだった。チェックインして私に付いたボーイの後を部屋まで歩く間、時折振り返りながら、奇妙な日本語で斡旋を持ちかける。このクラスのホテルのボーイは<ぽん引き>も兼ねているのだ。私が断ると、今度は [オトコ ワ イラナイカ?」 「必要ない」と短く答える私にボーイは大袈裟に首を振る。首を振りたいのは私の方だった。深夜の1時を大きく過ぎていた。 私はひたすら眠りたかったのだ。 <br />

NO1 魔界都市バンコック入国 編

6いいね!

1979/02 - 1980/01

17992位(同エリア24565件中)

0

0

kio

kioさん

「プライバシーホテル?そんな名前のホテルなぞないっ!!」バンコック空港の入国審査で、入官の担当官は声を荒げて、入国カードを私に突き返した。 入国カードには今夜、滞在するホテル名を記する所がある。パキスタンのカラチからの到着が大幅に遅れた私の乗った飛行機が空港に到着したのは午後11時をまわっていた。 私が入国カードに記載したプライバシーホテルはカイロの安宿で出逢った日系ブラジル人カップルからの情報だった。ホテルへのアクセス方法まで懇切丁寧に教えて貰っていたのだ。突き返された入国カードの今夜の滞在場所を私は誰もが知っている<HILTON HOTEL>と茶目っ気で書き換えて再び提出した。  すると担当官は感じの悪い態度で私の風体を嘗めまわす。 そしてこういった。「お前は タイに入国したくないのかね?」厭なものの云い方をしてきた相手は再び入国カードを私に突き返す。嫌がらせに近かった。 三度目、私は仕方なく当時、バックパッカーの間でもっとも知られたバンコックの世界的な安宿<マレーシアホテル>と記載すると、最初からそう書けばいいんだ!といった口調と共に入国カードをようやく受理した.私は、三週間のビザを手に入れる事が出来た。名よりも実をとるタイプの私は担当官の感情的な態度に腹を立てるわけでもなく、通関さえ済ませば構わないという気持ちで入国の関門を通過していった パキスタンのカラチから機内で隣席だったパレスチナ取材帰りのフリーランスのジャーナリストと同じ飛行乗り合わせた日本人との3人で相乗りでタクシーで市内に向かうことになった。 ホテルは空港でホテルガイドを見ながらジャーナリスト氏が適当な価格のホテルに片っ端から電話を入れ、部屋の有無の確認し予約を入れてくれた。30前後のその彼の語学力と手際の良さと段取りの良さに私はすっかり<おんぶにだっこ>状態になる事に決めた。そんな深夜にも関わらず、客引きをする白タクが我々のもとに近づいてくる。人払いをするようにタクシーを選び、我々は市内に向かった。雲助ドライバーの多いこの国のタクシーだったが、今から10年程前にこのバンコックの空港からタクシーに乗った日本人の新婚カップルが物盗りに変身したタクシードライバーに殺害されるという事件が起きてからは当局も、ようやく腰をあげて対策に乗り出したという外電を聞いたことがあった。 当時から知られていたバンコックの交通渋滞もさすがに昼間と違い深夜のバンコック市内を走るタクシーは滑るように突き進んでいく。 信号待ちで車が停まると深夜と云えども、花売りの少年達が、腕に花輪を巻きながら、タクシーのウインドーを叩きながら売り込む。滞在すればするほど知ったのだが、この国では子供は労働力として大人達から多いにあてにされていたし、子供達もそれが当たり前のように働いていた。 やがてタクシーは歓楽街のパッポンストリートに程近いホテルの前で停まった。パッポンストリートは、後にベトナム戦争を題材にした映画<ディアーハンター>の中で、サイゴンの夜の歓楽街を描いたときのロケーション地として登場する。 ホテルの名前は<ローズホテル>と云った。一泊10ドル<2500円>の滞在費は私にとっては三日分のホテル代で高すぎたが、二日ほど滞在してプライバシーホテルに移る積もりだった。チェックインして私に付いたボーイの後を部屋まで歩く間、時折振り返りながら、奇妙な日本語で斡旋を持ちかける。このクラスのホテルのボーイは<ぽん引き>も兼ねているのだ。私が断ると、今度は [オトコ ワ イラナイカ?」 「必要ない」と短く答える私にボーイは大袈裟に首を振る。首を振りたいのは私の方だった。深夜の1時を大きく過ぎていた。 私はひたすら眠りたかったのだ。

この旅行記のタグ

6いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

タイで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
タイ最安 300円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

タイの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP