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<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />ミラノに“Gualtiero Marchesi”というミシェラン3星のレストランがあった。<br />1986年にイタリアで始めての3星を獲得したヌオーボクッチーナ(創作料理)<br />の、イタリアで最高のレストランであった。<br />高級レストランと大衆レストランの違いはどういうものか、このレストランで<br />食事をして始めて理解できた。<br /><br />このレストランには入り口を入ると待ち合わせのためロビーがある。<br />ここで今宵食事を共にする人を待つ間、食前酒などで喉を潤す時間をもつ<br />わけで、これから始まる美食晩餐への期待が高まる。 <br />壁面にはマルケージ氏がいままで著作した料理の美装本がさりげなく<br />並べられており、その中には日本語の出版本もある。<br /><br />頃良いタイミングでテーブルに案内される。室内はパリの高級レストランとは<br />趣きが異なり、シンプルに徹している。<br />壁に絵画のひとつも掛かっていない。食事に全集中力を傾けろという配慮だろうか?<br />テーブルクロスもナプキンもプレスのきいた純白のもので気持ちがよい。<br />客席はほぼ満席であるが、静かである。至福の料理を味わうのに、<br />全能力を集中していると人は誰も無口になるらしい。BGMもない、日本では<br />結構高級なレストランでも音楽を流しているところがあるが、あれは味の自信の<br />なさを音で紛らわす効果を狙っているのかもしれない。よいレストランは静粛で<br />食べる楽しみに集中させてくれる舞台つくりになっている。<br /><br />まずサーヴィスする給仕(カメリエーレ)の数が多い、キッチンも丸見えではないが、<br />さりげなく内部の様子がチラリと覗けるのも演出の内に入っているのだと思われるが<br />コックの人数も多い。前菜、メイン、デザートなどのアイテム別に、<br />それぞれ専門の担当を振り分けているのだろう。<br /><br />給仕(カメリエーレ)もスイス、ローザンヌのホテル学校で修業してきたのだろうか、<br />マナーを完ぺきに身に着けているようだ。<br />アペリティーボの選択からメニューの説明、食器のならべかた、どれも遅くもなく<br />早くもない動作で、それぞれの担当給仕の作業が、ゲストのリラックスできる<br />時間の流れで進められる。<br /><br />使われる食器はジノリのビアンコで、ナイフ、フォーク類はもちろん銀器である。<br />銀80%以上のものは政府銀検定局の小さな刻印が入っている。<br /><br />各テーブルには担当のカメリエーレが割り当てられており、常に客の食事の<br />進み具合を少し離れた場所でさりげなく観察しており、絶妙のタイミングで<br />次の料理を出してくれる。 メインディッシュには銀器のカバーで蓋をされ、<br />各自の前におかれ、揃った時点でいっせいに蓋を開けてくれる。<br />おいしい香り、色合いが一瞬に目に飛び込んでくる。 蓋は料理を冷めないように<br />するだけでなく、このように料理を演出するのに重要な役割を持っている。<br /><br />適当な頃を見計らって御大、マルケージ氏が登場し、各テーブルを挨拶する。<br />ルーコラが香ばしくておいしいと言うと、自家栽培の畑で取れたものだと、<br />畑の写真まで持ってきて説明してくれる。<br /><br />最後のデザートは我々が日本人だと知り盆栽のデザインをほどこした<br />ドルチェが出てきた。 ジェラートも自家製で、満腹にもかかわらず、<br />もう一皿食べたいと思うほど美味だった。<br /><br />このGualtiero Marchesiも功成り名遂ぐ、勲章までもらって頂点を<br />極めたのか15年前にミラノを引き払いイゼオ湖の近くErbuscoに瀟洒な<br />ホテルレストランを開店した。<br />私の料理をどうしても食べたい人は、何の変哲もないド田舎へ、来てください<br />という趣向なのだろう、、、、で私も行ってみた。<br />畑の真中にある古いお屋敷を改造した隠れ家のようなレストランだった。<br />パーキングにはフェラーリ、ポルシェなど高級車が駐車しており、<br />私のぼろクルマが恥ずかしかった。 金持ちは併設のプチホテルに何日か<br />泊まり込み、美味三昧の悦楽料理を堪能するのだろう。<br /><br />久しぶりに再会したマルケージ氏いわく、新鮮で最高の材料を手に入れるため、<br />レストラン自体を素材産地の真中に引っ越してきたと。しかし2000年版ミシェランは<br />2星しか与えていない。 ミラノのリナシェンテ最上階にあるGualtiero Marchesiは<br />名前を貸しているだけで、本家の味とは似ても似つかぬものである。<br />また地下には彼の食品コーナーもある。この辺が星ふたつに凋落した<br />原因かもしれない。<br />

三つ星レストランの憂鬱

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1989/08/08 - 1997/12

2753位(同エリア3210件中)

0

3

ミラネーゼ

ミラネーゼさん









ミラノに“Gualtiero Marchesi”というミシェラン3星のレストランがあった。
1986年にイタリアで始めての3星を獲得したヌオーボクッチーナ(創作料理)
の、イタリアで最高のレストランであった。
高級レストランと大衆レストランの違いはどういうものか、このレストランで
食事をして始めて理解できた。

このレストランには入り口を入ると待ち合わせのためロビーがある。
ここで今宵食事を共にする人を待つ間、食前酒などで喉を潤す時間をもつ
わけで、これから始まる美食晩餐への期待が高まる。 
壁面にはマルケージ氏がいままで著作した料理の美装本がさりげなく
並べられており、その中には日本語の出版本もある。

頃良いタイミングでテーブルに案内される。室内はパリの高級レストランとは
趣きが異なり、シンプルに徹している。
壁に絵画のひとつも掛かっていない。食事に全集中力を傾けろという配慮だろうか?
テーブルクロスもナプキンもプレスのきいた純白のもので気持ちがよい。
客席はほぼ満席であるが、静かである。至福の料理を味わうのに、
全能力を集中していると人は誰も無口になるらしい。BGMもない、日本では
結構高級なレストランでも音楽を流しているところがあるが、あれは味の自信の
なさを音で紛らわす効果を狙っているのかもしれない。よいレストランは静粛で
食べる楽しみに集中させてくれる舞台つくりになっている。

まずサーヴィスする給仕(カメリエーレ)の数が多い、キッチンも丸見えではないが、
さりげなく内部の様子がチラリと覗けるのも演出の内に入っているのだと思われるが
コックの人数も多い。前菜、メイン、デザートなどのアイテム別に、
それぞれ専門の担当を振り分けているのだろう。

給仕(カメリエーレ)もスイス、ローザンヌのホテル学校で修業してきたのだろうか、
マナーを完ぺきに身に着けているようだ。
アペリティーボの選択からメニューの説明、食器のならべかた、どれも遅くもなく
早くもない動作で、それぞれの担当給仕の作業が、ゲストのリラックスできる
時間の流れで進められる。

使われる食器はジノリのビアンコで、ナイフ、フォーク類はもちろん銀器である。
銀80%以上のものは政府銀検定局の小さな刻印が入っている。

各テーブルには担当のカメリエーレが割り当てられており、常に客の食事の
進み具合を少し離れた場所でさりげなく観察しており、絶妙のタイミングで
次の料理を出してくれる。 メインディッシュには銀器のカバーで蓋をされ、
各自の前におかれ、揃った時点でいっせいに蓋を開けてくれる。
おいしい香り、色合いが一瞬に目に飛び込んでくる。 蓋は料理を冷めないように
するだけでなく、このように料理を演出するのに重要な役割を持っている。

適当な頃を見計らって御大、マルケージ氏が登場し、各テーブルを挨拶する。
ルーコラが香ばしくておいしいと言うと、自家栽培の畑で取れたものだと、
畑の写真まで持ってきて説明してくれる。

最後のデザートは我々が日本人だと知り盆栽のデザインをほどこした
ドルチェが出てきた。 ジェラートも自家製で、満腹にもかかわらず、
もう一皿食べたいと思うほど美味だった。

このGualtiero Marchesiも功成り名遂ぐ、勲章までもらって頂点を
極めたのか15年前にミラノを引き払いイゼオ湖の近くErbuscoに瀟洒な
ホテルレストランを開店した。
私の料理をどうしても食べたい人は、何の変哲もないド田舎へ、来てください
という趣向なのだろう、、、、で私も行ってみた。
畑の真中にある古いお屋敷を改造した隠れ家のようなレストランだった。
パーキングにはフェラーリ、ポルシェなど高級車が駐車しており、
私のぼろクルマが恥ずかしかった。 金持ちは併設のプチホテルに何日か
泊まり込み、美味三昧の悦楽料理を堪能するのだろう。

久しぶりに再会したマルケージ氏いわく、新鮮で最高の材料を手に入れるため、
レストラン自体を素材産地の真中に引っ越してきたと。しかし2000年版ミシェランは
2星しか与えていない。 ミラノのリナシェンテ最上階にあるGualtiero Marchesiは
名前を貸しているだけで、本家の味とは似ても似つかぬものである。
また地下には彼の食品コーナーもある。この辺が星ふたつに凋落した
原因かもしれない。

  • 至福の料理を作るシニョールマルケージ

    至福の料理を作るシニョールマルケージ

  • エルブスコのレストラン

    エルブスコのレストラン

  • ミラノから1時間弱で到着

    ミラノから1時間弱で到着

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