イランのいらん話　第1回

2003/08/11 - 2003/08/18

素晴らしきイラン航空

2003年8月にイランに行った。
今回の旅立ちは成田から。岐阜在住の私にとって最も近い国際空港は名古屋空港。なのになぜ成田かというと，名古屋−テヘランのチケットというのがマレーシア乗換えで航空会社も変わる（名古屋−クアラルンプールがマレーシア航空，クアラルンプール−テヘランがイラン航空）せいかやたら時間がかかる上に，ピークシーズンはエコノミーでも20万円というバカ高さ。しかしながら成田−テヘラン便だとイラン航空の直行便である上に，12万8000円という安さ。新幹線＋成田エキスプレス往復にお釣りまで来る安さである。（これが大きな罠であることを，このときの私は知る由もなかった）
そういうわけで，搭乗２時間半前に成田に到着。早速チェックインカウンターに行ってみると，はや長蛇の列。そのほとんどが濃い顔をしたイラン人である。イランの旅行記などを読むと，ここでイラン人から重量超過の荷物をあんたの分として預けてくれないかと頼まれれたりすることが多いらしいが，そんなことは全然なく無事チェックイン終了。シートも通路側ばっちりキープである。搭乗まではまだ時間があるので，レストラン街の和食屋ですしを食いながら最後のビールをゆっくり味わう。（イランは禁酒国なのだ）ここまでは余裕ぶっこいていた私であった。

搭乗開始のアナウンス。窓の外にはイラン航空のジャンボ機が駐機している。（ジャンボか，やるじゃん…）ボーディングブリッジを渡って機内に入る。テヘランまでの12時間。そこで私はこんなことを見聞きしたのだった。

? 機内設備ボロボロ
・ ジャンボとは言っても，たぶんどっかの払い下げであろう。シートが擦り切れているのはまだましなほう。
・ リクライニングは壊れている。（後ろに倒れないのではなく，もたれると自然に倒れていく）
・ 読書灯はとんでもない方向を照らしている。（調整不可）
・ トイレの壁はボロボロはがれている。

? 機内食はパラパラ米と固い肉（たぶんマトン）の炊き込みご飯ばっかり。飲み物は禁酒国ゆえビールもワインもウィスキーもなく，コーラかスプライトかファンタもどき（ザムザムとかいう甘ったるいジュース）だけ。あとは水かコーヒーか紅茶。
? 機内誌，免税品販売なし。
? イスラム圏の女性全般に倣い，スッチーはみな頭にへジャブという黒い頭巾のようなものをかぶっている。ほとんどがイラン人女性だが，中にひとりだけ日本人スッチーあり。でも外見はイラン人。
? 映画はやたら画面が暗い（たぶん内容も）イラン映画のみ。なら見なきゃいいのだが，
音声がイヤホンではなくメインスピーカーから流れてくるもんだから，うるくてしゃーないのよ。
? 座席の前方に洋服屋の試着室のようなカーテンの小部屋がある。何かと思ったら，なんとイスラム教徒用のお祈り部屋。フライト中にお祈りの時間になったら，そこへ入ってお祈りするらしい。（現に私の隣に座っていたビジネスマンらしきおっさんは何度もその部屋に入っていったのだ）

ほぼ満席に近い乗客は次のように分類された。
? 出張帰りのイラン人ビジネスマン（けっこう物静か）
? 出稼ぎ帰りのイラン人労働者（グループで騒がしい。でも○国人のような癇にさわる喧しさではない）
? 日本人グループツァー（年配者が多い。添乗員も世界を駆け巡ったベテラン風）
? イラン人の旦那＋日本人の嫁さん＋子供の里帰り。（これがけっこう多い。嫁さんけっこうきれいな人が多い。混血ゆえか子供はみんなかわいい）
? 日本人個人旅行客（バックパッカー風は少なく，30過ぎくらいの人が多い。あ，私もそうか）
いずれにせよ今までに乗ったどの飛行機とも雰囲気が違う。そんなこんなで12時間，いい加減腰が痛くなってきたところでテヘランが近づき，降下を始める。ここでアナウンス。英語とペルシャ語で「女性の方はここより髪の毛を隠してください」そう，厳格なイスラム国であるイランでは，女性は髪の毛を家族以外に見せてはならず，外出するときは必ずへジャブやショール，スカーフなどで髪の毛を隠さなければならないのだ。これは外国人も同様で，ツァーのおばさんたちも事前に知っていたのであろう，スカーフを頭に巻き始めた。さすが日本人妻たちは初めてではないようで，ショールの巻き方も堂に入ったものである。こうしてイラン航空機は闇の中，砂漠の空港めがけて高度を下げて行ったのであった。

エリア イラン

シーラーズの町の市場で

夜のスィー・オ・セ橋(イスファハーン)

イランのナイスな高校生