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  • 念願の康花美術館へ!

    投稿日 2017年06月06日

    康花美術館 松本

    総合評価:4.5

    康花さんが当時小学生だった時に描いた絵を初めて見てから約25年、康花さんはお亡くなりになり、
    お父様が建てた“康花美術館”へ訪れる機会ができました。
    本人とは直接お会いした事はありませんが、私にとっては作品を通して久しぶりの再会といったところでしょうか。
    四半世紀ぶりに見た彼女の作品は技法的はさることながら、感性的にもずいぶんと異彩を放っていました。

    それぞれの展示室には様々な表情を見せる多様な絵があり、
    なんとも駆け足で過ぎた一人の若い女性の人生の縮図そのもののようでした。
    以下、特に印象に残った作品の感想です。

    まずは一階入ってすぐ左にある田舎の風景を目にします。
    死期迫る中、描かれた作品で、彼女が過ごした麻績村の自然や田畑が水彩画で描かれており、
    その中で農作業をする父の姿があります。
    風景は軽く柔らかな色彩で表現されて、心のままに筆をとった印象を受けます。
    しかし、私には単なる風景画とは思えませんでした。
    それらの絵の中に父を思う娘の気持ちが滲み出ていたからです。
    農作業をする父親の傍らで、
    -自分亡き後も季節は間違いなく巡るであろうが、一人残されるであろう父は次のこの季節も、
    またその次の季節もこの場所で同じ作業をしてゆくのだろうー
    どうにもならない自分の運命に無念や絶望感を感じつつも、
    ひたすらに父の幸せを願う彼女の姿を絵の中に見つけました。
    そのように勝手に解釈して私の心が震えました。

    続いて階段を上り二階へ進むとすぐに奇妙な世界を目の当たりにします。
    油彩画ですが、画風があまりに一転していて、同一人物が描いたとは信じ難い絵の数々に息をのみます。
    病に冒されていたという背景を知ると鑑賞の幅も広がります。
    この度、企画展でもあるシュール分野の絵画に限定しての感想ですが、
    彼女自身の内面を表現しているのか、実に奇々怪々であり
    だまし絵のようで理解不可能な程に不気味な世界観です。
    それでいて人に見てもらうのを目的としているようには見えません。
    若い女性がこんな絵を描くとは!
    若い女性にこんな絵が描けるとは!
    が、率直な私の感想です。
    妙な違和感を感じながら、よく観察するとそれらの絵は大変に緻密で巧みな技法で描かれているだけでなく、
    鋭い感性と一切の妥協も許さぬ美しさを追求した絵で奥深さがありました。
    気違いじみていて不気味なのに、美しいのです。
    私の中で「美」と「醜」が融合したのを感じました。
    それは康花さんの中では「生」と「死」だったのでしょうか。
    そして前述した通り、だまし絵の様に見る度ごとに違う表情を見せるのも魅力です。
    見えなかったものが見えたり、見えていたものが見えなくなったりと、不思議な感覚を体験しました。
    一階へ下りる時に名画の鑑賞後とは思えない、複雑な心境になります。
    作品の向こうに康花さんの心を感じるからなのか、後ろ髪をひかれます。
    制作過程も興味深いのですが、それ以上にどういう心情で作品に挑んだのか本人に伺ってみたいところです。
    しかしながら、描いた康花さんご自身がもうこの世にはいないのが悔やまれます。
    もし彼女が健康を取り戻していたならば今頃はどのような画風で私達を更に驚嘆させていたことでしょう。

    館長であるお父様からお話を伺うことができました。
    康花さんは14歳の時にお母様を病気で亡くしていること、
    病中、康花さんが暗く不気味な絵を描いていたのを、お父様は健全な精神を取り戻すために、
    「そんな絵ばかり描いているから病気に勝てないのだ。もっと明るい絵を描きなさい」
    と非難していたそうです。
    ですが彼女の死後、そのような絵は彼女の部屋の押し入れから沢山出てきたということです。
    父娘のお二人の感情を考えるといたたまれません。

    その後、彼女の父は亡くなった娘を偲んで一つ一つ額に入れ、小さな美術館に飾ったのです。
    そこで初めて私達が、等身大の須藤康花さんという女性に出会うことができるのです。
    私の場合、画集でも多少康花さんの絵は拝見していましたが、
    美術館で感じたことはうまくみなさんに伝えられなくて残念です。
    素人の健康人が彼女の絵を語るには軽率すぎる気すらします・・・。
    美術館にて捉えきれない実物の素晴らしさを是非感じてほしいと思います。
    亡くなった娘のためにその父が建てた美術館が静かな松本市の住宅街の中にあり、
    感慨深い芸術作品の数々が埋もれていたのには驚きましたが、
    お父様の尽力とその一人娘である康花さんへの底知れぬ愛情には大変感服いたします。

    旅行時期
    2017年05月
    利用した際の同行者
    友人
    アクセス:
    3.5
    松本城のそばです。
    コストパフォーマンス:
    5.0
    非常にいいと思います。
    人混みの少なさ:
    5.0
    静かに存分に鑑賞できました。
    展示内容:
    4.5
    田舎の詩情もシュールな絵画もあって、康花さんが生前に読んだ本や漫画や観たビデオもあって本当に存在していたのだと、実感しました。
    バリアフリー:
    3.5
    エレベーターはありません。スロープが玄関入口にありトイレも清潔で広かったです。

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