オランジュリー美術館のモネの部屋
- 5.0
- 旅行時期:2008/07(約17年前)
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by maeさん(男性)
パリ クチコミ:1件
モネの絵を鑑賞する見かたに加え別の鑑賞があるのをご存知ですか。
通常鑑賞するには、4枚の絵の中心で画く目線で鑑賞するように
展示してあります。
また重要なのは、絵の題名でもわかるとおり、鑑賞する時間帯を
指定してあります。
オランジュリー美術館2006年5月17日開館の改造は、天井を
ガラス張りにして光が入るようにし、モネが展示方法を指定した
とおりの部屋がやっと完成したのです。
絵を太陽光から守るために、紫外線よけのフィルターが設けられ
夕方の暗さには人工光線が補助として設けられています。
1918年、モネは睡蓮の大装飾画を国家へ寄贈を提案。その条件に
展示場の設計構想に参加、天井から自然光を取り入れることと絵の
配列に注文をつけています。
これらの条件を満たすために、大アトリエを建て、移動式巨大な
画架を製作、しばしば、池の睡蓮の配置を替えさせ画く構成を
練っています。(モネの得意とする、大気の変化、揺らぎ、
水面の写りぐあい、時間の経過が及ぼす変化などが画材に及ぼす
光ぐあいの相互の影響)
毎日、一日中、ひたすら、池のほとりのベンチで、構想を練るため
費やしました。(水深1,5メートルの睡蓮の株を毎日何度も動かさせて)、
1926年、86歳で死去する直前までの間、ひたすら、「睡蓮」に
筆を入れ、自らの芸術の集大成を飾る美術館を夢み、死の最期まで
妥協し満足することはありませんでした。
このような画家は、まず存在していないと思います。
持病に加え2度にわたる白内障の手術で、色はすべて、青に見え
、絵の具のチューブの手触りで色を識別して描くこともあり、
視力の低下により、晩年には、キャンパスから数センチの
至近距離で画いているのです。
通常、絵画の鑑賞には距離をおきますが、モネの睡蓮の鑑賞では、
至近距離になっても、睡蓮が強烈に迫ってくることを発見しました。
是非、おすすめ致します。
抽象主義の究極の到達点求め、傑作を超えた傑作を制作しようした
終わりなき、壮絶な意欲に、言葉を失います。芸術宗教的世界といえます。
睡蓮の部屋で鑑賞するとき、神秘的宗教的な感覚を覚え、
瞑想に耽るような気持ちも伝わってくるはずです。
また、睡蓮の間に入ったとたん、このような強烈な感覚を
体験され、驚きと感動を覚えた感受性のある方は多いいのです。
睡蓮の部屋は、世界の印象派画家が訪れる巡礼のメッカとして
存在していることも容易に頷かされます。
入り口にホールがつくられています。鑑賞のため、気持ちを
ととのえるための空間を意識し設計されている配慮もみごとです。
このオランジュリー美術館が開館されると、教会にゆく人が減り、
ここを訪れるパリー人が多くなった現象が実際おきていると
パリーの新聞が報じています。
改めて、モネの偉大さを感じるのは、私だけではありません。
- 施設の満足度
-
5.0
- 観光の所要時間:
- 半日
クチコミ投稿日:2008/08/07
いいね!:6票
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