原爆被害の生き証人です。
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- 旅行時期:2017/04(約9年前)
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by たかちゃんティムちゃんはるおちゃん・ついでにおまけのまゆみはん。さん(非公開)
広島市 クチコミ:49件
今や広島市の観光地の代名詞とも言われる原爆ドームは、従来の伝統工芸に加え日露戦争以降の軍需産業に於いて地元調達を行ったことから、活況を呈した経済を背景に生産と物流の拠点作りが求められました。
大正4(1915)年に広島県物産陳列館として竣工し、広島県立商品陳列所、広島産業奨励館と呼称こそ変わったものの、当時木造二階建て住宅が密集していたこの界隈で、レンガ造りの建物とその姿が太田川の水面に映る〝絶景〟が噂となり、広島名所のひとつとしてたいそう人気を博したようです。
しかし太平洋戦争の勃発後、次第に形勢不利となるご時世の中、昭和19(1944)年3月31日で館としての業務は廃止され、官公庁や統制組合の事務所として利用されることとなりました。そして昭和20(1945)年8月6日午前8時15分、米軍のB-29爆撃機〝エノラゲイ〟から投下された原子爆弾〝リトルボーイ〟が爆心地である島病院上空約600mで爆発しました。直線距離で160mの至近距離で被爆した広島産業奨励館は、まず熱線により薄い銅板で作られていた屋根の部分が溶けてしまいました。次いで衝撃波が建物を襲い内部を破壊しました。しかし至近距離での被爆であったことが逆に幸いし、真上からのダウンフォースと地面に反射した衝撃波が建物内部を全壊させるも骨組みを残す結果を惹き起こしました。
当時館内におられた方は全て即死だったとされています。
戦後を迎え目覚ましい復興を遂げる広島の地に於いて、徐々に原爆体験をした建物が取り壊されていく中で、原爆ドームも例に漏れず〝保存〟か〝取り壊し〟の選択が盛んに論議されるようになります。昭和28(1953)年には広島県から広島市に譲与され、原爆遺構のひとつとして歴史が始まるかのように思われました。しかし特に保存するための対策も講じられず、そのうちに付近には雑草が生い茂り、また昭和37(1962)年頃には小規模ではあるものの亀裂や崩落などが見受けられるようになり、危険とされてしまい金網が張られ、付近への立ち入りが禁止されてしまいます。
被爆史跡として保存が叫ばれる中、昭和40(1965)年に広島市は広島大学工学部建築学科に建物の強度測定を依頼し、補強により保存に耐えうるとの結論を得ることとなりました。そして翌昭和41(1966)年には保存工事のための募金運動を開始します。国内外から集まった浄財6,600万円余りを元手に昭和42(1967)年第一回目の保存工事が行われました。
その後25年の歳月が過ぎた平成4(1992)年、原爆ドームを世界遺産に登録しようとする意見が出てくるものの、政府は文化財保護法によって保護されていないことを理由に、世界遺産登録への推薦を拒んでいました。しかし世界遺産登録を目的とした市民団体が、国会請願に必要な署名運動が展開されました。集まった署名数165万余名、その署名数は国会の重い腰を上げさせることとなり、平成6(1994)年には衆参議院で採択され、翌平成7(1995)年には史跡の指定基準が見直すこととなり、原爆ドームを史跡指定した後、世界遺産委員会へと推薦することになりました。そして1年半が経過した平成8(1996)年12月、原爆ドームは〝人類史上初めて使用された核兵器の惨禍を如実に伝え、時代を超えて核兵器の廃絶と世界の恒久平和の大切さを訴え続ける人類共通の平和記念碑〟として世界遺産登録がなされました。
竣工から1世紀を超えている建物ならば、経年劣化だけを考えてもかなりヘタリが出てきて当然のように思います。まして原子爆弾の凄まじいエネルギーを至近距離で被爆しているならば、かなりのダメージではなかったかと素人目には思えてなりません。もしただ〝保存〟が目的であるならば、屋根をつけた施設内に移築するのがベストでしょう。しかし多くの方が言われるように、原子ドームは現在地にあるから価値があるとのこと。以前はよくわかりませんでしたが、爆心地から実際に歩いてみて体感する距離、僅か160mの地点で被爆することが想像を超えていること位は私でもわかります。
諸々の理由から積極的な保存工事は行われていないと聞いています。未来に原爆ドームが今の場所にあるかどうかは誰にもわからないことかも知れません。しかし今現在なら間違いなく見ることは可能です。置かれている背景が変わると、受ける印象も変わってくることを考えれば〝今を知り〟、そこで〝どのように感じたか〟を知ることは、過ちを繰り返さないためにも必要不可欠なものに違いありません。
- 施設の満足度
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5.0
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- アクセス:
- 5.0
- 原爆ドーム前電停下車すぐ。
- 人混みの少なさ:
- 3.0
- 夕方でもかなりの人が訪れていました。
- バリアフリー:
- 4.0
- 近くまで行こうとすると舗装はされていません。
- 見ごたえ:
- 5.0
- 言葉を失います。
クチコミ投稿日:2017/05/21
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