奥羽本線における鉄道的価値観と夜行バス的価値観
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- 旅行時期:2017/05(約9年前)
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by OE-343さん(非公開)
福島市 クチコミ:8件
奥羽本線における鉄道的価値観と夜行バス的価値観。トーキングビジネスを見ていたら、中国の一帯一路についてやっていました。ではなぜそれが奥羽本線本線を思い出すきっかけなのか?それは、奥羽本線を例に説明しやすい、人や物の移動についての価値観が関係しているからです。
奥羽本線の場合だと、私は鉄道的価値観と夜行バス的価値観、と呼んでいます。例えば、よく知らない人が寝台特急あけぼのについて何か文章書くと、「上野から青森まで後12時間かけて結ぶ寝台特急、時代の波に波逆らえず廃止」のような見出しを書きます。これは、寝台特急あけぼの事実によらない、まさにpoint-to-pointしか乗り物が存在しないと考える、夜行バス的な価値観のタイトルです。こんな見出しを見て、ネトウヨのにわか鉄道ファンが、「そうだよね、新幹線で3時間半で行けるところ、わざわざこんな何乗って道楽するばかねーよな」のように、本来は乗れなかったことで悔しいであろう自分の気持ちを、あたかももっともなことを言っていて、多数派っぽい、新幹線の事しか考えない代々木や行政と言う「お偉方」の「お言葉」を「学んで」といるようなことをネットに書いています。フロイトの言う、「強者(?)」とのの自己同一化を図ろうとすることで自己の自信をなんとか回復しようとする流れで、自分がついに乗れなくて悔しいという気持ちを押し殺しているのでしょう。
しかし、実際に乗ってみると、この列車は上野青森を結ぶ列車ではなく、山形県北部から青森までの非常に広い範囲で、20分位おきに停車することもあるそれぞれの止まっていく駅すべてに意味がある、ということを知るわけです。そして、この列車に乗ると、否応なしに列車が経由する地域のことを知ることになります。例えば、青森県の客は行政単位では秋田と分断されていますから秋田の事など普段頭にありませんが、秋田駅で降りて朝の弁当買いますし秋田の風景をずっと眺めるのです。そして、漠然とでも秋田が身近になっていくわけです。この感覚は、これから地方の活性化を進めていく上で非常に重要な感覚で、行政が提示するポイントとポイントの例えば青森なら青森と東京が相対し存在するという概念とは対極にあるものなのです。そしてpoint-to-pointの移動と言えば夜行バス。出発するとカーテンが閉じられ朝になるまで休憩がなかったりします。飛行機もpoint-to-pointですね。このpoint-to-pointは移動と言う観点で非常に単純な思考ですから、多くの人はこれしか考えられません。しかしこれから脱皮して寝台特急あけぼのの思考を持っていくことこそが地方の活性化の鍵なのです。
ではなぜこれは中国の一帯一路構想と関連するのか?答えは、経由地のウズベキスタン、カザフスタンやウイグルのようなエリアが、今までのなんとなく辺境地と言うイメージから脱し、健全な注目を集めるようになるのか、あるいはただの中国とヨーロッパを、インド洋にいるアメリカ軍やあるいはシベリア鉄道をモンゴル経由で走るルートと比べてロシアの影響力が少しでも少なくなるルートで結ぶための単なる通り道のルートとして、いろいろ政治影響は来るけど実際にはただの通り道、と言う状況のままに再びなるのか、それが一帯一路が経済的そして社会的に中国の指導部以外にとっても意味があるものになるかどうかの分かれ目だからです。途中もあるんだよということは、まさに奥羽本線における寝台特急あけぼのが代表する鉄道的価値観と、あるいは高速バス的なpoint-to-pointの価値観との違いと共通しています
- 施設の満足度
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5.0
クチコミ投稿日:2017/05/21
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