2017/09/14 - 2017/09/14
125位(同エリア890件中)
玄白さん
現役時代はライバル会社に在籍していた技術者など、リタイアしたからこそ可能になったお付き合いを始めた気の置けない仲間たちとの恒例の飲み会。今回は、新たに加わった別のライバル会社の技術者だったSさんを交えて、初めて大宮での飲み会。
いつもの通り、飲み会だけではもったいないので少し早めに出かけて、写真撮り。だが、大宮は大きな町のわりには写欲をそそるスポットが少ない。そこで、撮り鉄でも乗り鉄でもない玄白だが、大宮鉄道博物館、通称 ’てっぱく’に行ってみた。どちらかというと、小さな子供連れのファミリーにふさわしい博物館かと思っていたが、なかなかどうして、オジサン一人でも楽しめる鉄道博物館だった。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル
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飲み会は夕方だが昼過ぎに大宮到着。ここでニューシャトル(正式名:埼玉新都市交通伊奈線)に乗り換えて、隣りの駅、鉄道博物館駅へ。
埼玉県とJR東日本が共同出資の第三セクターの経営だが、東北新幹線の用地買収ですったもんだがあり、買収促進のため、地元住民の利便性向上という名目で東北新幹線開業とセットで営業開始したいわば政治路線である。長年赤字路線だったが、3年前にようやく累積赤字が解消したという。
写真は、帰りに鉄道博物館駅ホームで撮影。 -
鉄道博物館駅。もとは大成駅という名前だったが、2007年に鉄道博物館が、ここに移転してから駅名が鉄道博物館駅と改称された。
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駅の改札を出てから、歩いて1分、通路右側に鉄道博物館入り口がある。
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東京の万世橋にあった交通博物館が2006年に閉館し、展示されていた鉄道資料を移設して、2007年に鉄道博物館としてオープンした。今年の3月時点で、累計900万人が来場したという。博物館としては大成功の部類に入るだろう。 ’鉄博(てっぱく)’という愛称で親しまれている。
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床に埋め込まれた往年の様々な蒸気機関車のヘッドマークを踏みしめながら博物館入り口に向かう。入場料は¥1,000。当然のことながら原則SUICAを利用しての入場となる。SUICAを持っていないと貸し出し入館カードを自販機で購入してから入場することになる。
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入場して右側1階フロアーの車両ステーションへ。最初に目に留まるのが、この1号機関車。明治5年、初めて鉄道開業のため、イギリスのバルカン・ファウンドリー社 から輸入された鉄道院(のちの国鉄)所有の最初の蒸気機関車である。1997年に国の重要文化財に指定されている。145年前の遺産だが、ピカピカに磨き上げられている。
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明治13年にアメリカから輸入され、北海道初の鉄道、官営幌内鉄道に投入された7100型蒸気機関車、通称弁慶号。その姿形は、西部劇に登場するアメリカ西部開拓時代の蒸気機関車を彷彿とさせる。弁慶号が牽引する客車にまで開拓使号という名前が付けられている。
なお、同型の蒸気機関車は8台輸入されていて、歴史上の人物名の愛称が付けられていたという。曰く、義経号、光圀号、しずか号などなど。源義経に関係する人物が多いのが面白い。今も昔も変わらぬ判官びいきが反映されているのかもしれない。 -
マレー式9850型蒸気機関車。マレー式とはどういうものか理解できていないが、急勾配の軌道を走らせるのに向いているタイプで、東海道線山北~沼津間、信越線碓氷峠越えのためにアメリカとドイツから輸入されたという。ここに展示されているのはドイツのヘンシェル・ウント・ゾーン社から輸入されたもの。以前は万世橋の交通博物館に展示されていて、戦時中に焼夷弾の爆撃を受けたが、幸い不発だったので、貴重な歴史遺産であるこの機関車が破壊を免れたという逸話があるそうだ。
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この蒸気機関車、ボイラーの一部をカットして、内部の構造が見えるようになっている。単に蒸気をためる空間なのでもっと単純な構造なのかと思っていたが、ずいぶん複雑に配管がびっしり詰め込まれていることにビックリ!
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ナデ6110形式電車。大正3年(1914年)に作られ、東京の都市部、近郊の通勤電車として投入された。乗客増加に応じて複数車両連結が可能な仕様で、乗降時間短縮のための3扉、乗客数アップのためのロングシートなどが導入された。いわば現代の山手線のご先祖である。
今年3月に、国の重要文化財に指定されたばかりである。 -
EF58型電気機関車。戦後の復興期から1970年代高度成長期まで、東海道、山陽本線、黒磯以南の東北本線などの幹線を走る特急列車の牽引に活躍した。’鉄チャン’仲間では、'ゴハチ'という愛称で人気なのだそうだ。
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明治26年、太平洋側から日本海側に抜ける重要幹線として信越本線が開通したが、最大傾斜66.7パーミルの急傾斜を克服するために導入されたアプト式電気機関車の模型。当初、ドイツ製の専用の蒸気機関車が使われたが、スピード、牽引容量の限界、多数のトンネル内の煤煙問題から、いち早く電化された。なんでも一番は東海道線かと思いきや、幹線鉄道で真っ先に電化されたのは、信越本線横川~軽井沢間だったのである。
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ずいぶん可愛らしい客車の展示。これ、なんと押し屋と呼ばれる人が押して線路上を走る人車鉄道の客車である。スピードや輸送力には限界はあるが、初期投資が少なくランニングコストも低く抑えられるので明治の終わりから大正時代には関東・東北地方で多数の鉄道会社が参入した。我が栃木県内でも6社も営業していたという。
昭和に入るとバスが普及し始めて、消えゆく運命であった。現在の私鉄路線の中には東武桐生線、京成金町線などは、その前身は人車鉄道だったそうな。 -
オハ31型という初の半鋼鉄製客車。大正15年に山陽本線安芸中野駅で特急列車の脱線転覆事故で多数の犠牲者がでた。客車が木造だったため、被害が甚大になったことを受け、昭和2年に初めて構造の一部を鋼鉄に変え安全性を意識した客車が登場したのである。それまでは、客車の重量を軽くして機関車の負担を減らすことが優先されてきたのだが、ようやくこの頃から安全性も配慮されるようになった。
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蒸気機関車の黄金期を代表するC57型機関車。昭和12年から22年まで201台製造され、各地の旅客列車を牽引していた。技術的には完成度が高く信頼性も高かったため、1970年代に入っても一部地方路線で活躍し、一時期はお召し列車の牽引もしていたという。
鉄ちゃん仲間ではシゴナナの愛称で人気があり、構造的にはボイラーが細身で美しい形をしているので、別名’貴婦人’という愛称でも親しまれているという。
同時期に貨物用牽引に用いられたタイプに有名なD51(デゴイチ)がある。こちらは、鉄チャンでなくともよく知られた名前だが、鉄道博物館にはD51はない。 -
展示ブース中央に大きな転車台が設置されていて、転車台の上に鎮座しているのが、EF55型と言われる電気機関車である。機関車には珍しく流線形のフォルムをしていて、今の新幹線車両のデザインに通じるものがある。昭和11年に製造されたものである。流線形の車体を実現するために、組み立てにリベットやボルトは使わず、当時の先端技術だった電気溶接が使われている。
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前後非対称の車体なので、電気機関車のくせに転車台で方向転換しなければならないという、運用面で電気機関車のメリットを大きく損なっているという欠点があり、たった3台しか作られなかったという。愛称はムーミンというかわいらしい名前で呼ばれている。
毎日12:00と3:00に実際に転車台を動かす実演が行われている。見学中にちょうど、この実演を見ることができた。運転台には見学にきていた一組の夫婦が機関士の制服に身を包み運転台に上がって、汽笛を鳴らすなどのパフォーマンスが行われていた。このときばかりは広い館内のあちこちから大勢見物に集まってくる。 -
1960年代に東京、大阪から九州方面に向かう寝台特急や上野~青森間の寝台特急に使われた20系客車。日本で初めて同一系列・同一意匠の車両による「固定編成」を組むことを前提にした設計で、電源車から一括供給される電力による全車冷暖房、完全電化食堂車を備えていて、走る豪華ホテルとも言われた。
クリーム色の3本の帯が入った青色の塗装はデザイン的にもカッコよく、「ブルートレイン」として人気を博した。 -
クハ481型というボンネット型特急電車。主要な幹線がほぼ電化されたのに伴い、交流・直流両対応。50Hrz、60Hrz別で外観は同じでも型式が異なるいろいろなバリエーションがあった。
写真の「ひばり」号は玄白が学生時代、上野~仙台間を毎時定時で運行するエル特急というビジネス特急として運行していて、一日十数本が走っていたと記憶している。 -
しかし、帰省の時、貧乏学生だった玄白は特急料金が払えず、こちらの急行「まつしま」を利用したものだった。上野~仙台に6時間かかっていた。特急ひばりは4時間!
しかも座席は通勤電車のようなボックス席とロングシートである。ひばりのリクライニングシートをうらやましく思ったものである。 -
1982年開業した東北新幹線・上越新幹線の初代営業車両、222型新幹線車両。だんご鼻の車両先頭のデザインは、東海道新幹線の初代車両ゼロ系とよく似ている。2013年に引退するまで31年間活躍した。2006年から4年ほど、宇都宮から東京まで新幹線通勤していた時期があるが、ときどき通勤新幹線「なすの」号として、この車両にめぐり合っていた。
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2階フロアから見下ろした222型新幹線車両。正面から見ると愛嬌があるデザインだが、上からみると精悍な姿をしている。
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別室に、東海道新幹線の初代営業車ゼロ系の展示室がある。昭和39年、東京オリンピック開催に併せて営業がスタートした。高度経済成長期に華々しく走り抜け、鉄道史に永久に足跡を残す高速鉄道の名車両であろう。鉄道マニアだけでなく、ほとんどの日本国民が希望を託し、明るい時代を象徴するシンボルであった。今となっては古き良き時代の産業遺産になっているが・・・
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ゼロ系新幹線の部屋の入り口付近に展示されているC51型蒸気機関車。1919~1928年にかけて製造された、当時としては最高性能を誇る蒸気機関車で各地の主要幹線の主力機関車で、東海道線の超特急「つばめ」も牽引していた。愛称はシゴイチ。
1928~1953年まで、昭和天皇のお召し列車の牽引専用機関車として104回も出動している。 -
2階にある食堂車をイメージしたトレインレストラン日本食堂。豪華寝台特急「北斗星」の食堂車で使われていたカトラリーが使われ、往年の食堂車で供された洋食メニューが復刻されてサービスされるそうだ。2か月前にオープンしたばかり。
残念ながら、まもなく飲み会なので、今回はパス。 -
2階のデッキから俯瞰した車両ステーション。ずらりと並んだ往年の特急電車たち。上から寝台特急あさかぜ、特急とき、急行まつしま、特急ひばり、機関車特急あけぼの。
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転車台に乗ったEF55型機関車
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2階デッキの西側には鉄道歴史年表がずらり。ひとつずつじっくり見ていたら、1日がかりになってしまうかも。
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戦後の東海道線の特急「つばめ」と並んで東京~大阪間を運行していた特急「はと」。男ばかりの国鉄で、「つばめ」と「はと」にはそれぞれ「つばめガール」、「はとガール」と呼ばれた女性アテンダントが乗車していて、国鉄の名物になっていたという。
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1987年、国鉄が民営化され7つのJRへ。
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1964年の東海道新幹線から半世紀、今や日本の新幹線網は、9路線、総延長3041kmになった。人々の利便性、経済成長に大きな役割を果たしてきた新幹線だが、一方で大都市と地方の経済格差拡大の一因になったことも否めないだろう。
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今年7月にリニューアルオープンした巨大な鉄道ジオラマ。
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線路の総延長1200m、1/80のサイズの1400両の様々な電車が縦横に走り回っている。大人でも眺めていると結構楽しい。鉄道模型ファンにはたまらないだろうな。
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都市あり、山間部あり。模型の電車はよくできていて、じっと眺めていると自分がガリバーになったような気分になる。
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2階正面には鉄道に関係する絵柄が描かれたステンドグラスが飾られている。
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2階北側にあるコレクションギャラリー。約67万点におよび様々な鉄道関連資料、遺物が集められている。
左上:様々なタイプの枕木とパンタグラフ
右上:列車に掲げられる行先表示プレート
左下:駅名表示板。いまは那須塩原に変わった昔の駅名「ひがしなすの」なんてのもある。これらは鉄道グッズコレクター垂涎のものだろう
右下:昔懐かしい厚紙切符の出札機 -
国鉄時代、山手線、京浜東北線、総武線などの通勤電車は総称して国電と呼ばれていた。民営化に伴い、通勤電車の総称としてE電とされたが、まったく不評で直ぐに消えてしまった。
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重そうなポイント切り替え。今ではほとんど見かけなくなったが、地方にはまだあるのだろうか?
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2階、3階の一番北側は科学ステーションというコーナーで、いろいろな鉄道技術をゲーム感覚で学べるコーナー。子供向けだが、大人も結構楽しめる。
このブースはカーブした線路で列車がどうして曲がれるかを解説したコーナー。列車の車輪は、外側が小さくなるテーパ状の形をしていて、左側にカーブすると、左側の車輪とレールの接触面では車輪の半径が縮まり、右側では接触半径が大きくなって、角速度は一定でも外側ほど線速度が大きくなるので、自然に左側に曲がる。な~るほど! 知らなかったな~。てっきり車軸が前後に動くようになっていて、脱輪防止のエッジとレールの摩擦で車軸が傾く構造なのかと思い込んでいた。ひとつ勉強したよ! -
1階入り口の左側は、シミュレータコーナー。ここでSLや山手線電車の運転が体験できる。SLは有料¥500の予約制だが、山手線は順番待ちで無料で体験できる。
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山手線のシミュレータをやってみた。加速とブレーキの操作だけなので車の運転に比べれば、簡単簡単!
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北側の屋外はミニ運転パーク。JR東日本の電車や機関車を模したミニトレインを自分で運転できるが、まあこれは子供向け遊園地の感覚。
そろそろ、飲み会の時間が迫って来たので集合場所の大宮駅にもどることにしよう。時間つぶしの感覚で訪れた’てっぱく’だったが、鉄道マニアでなくとも結構楽しめる博物館だった。
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