2016/07/14 - 2016/07/15
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地酒大好きさん
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長野県飯田市と静岡県浜松市の境にある青崩峠(あおくずれとうげ。1082m)に行ってきました。長野県と静岡県を結ぶ国道152号線は、地図を見ると青崩峠で切断されていて、「不思議な国道」と言われています。その理由は、ここを中央構造線が走っていて断層破砕帯があるからです。断層破砕帯というのはウィキペディアによると「トンネル工事で大量出水事故の原因となる地質構造。断層は岩盤が割れてずれ動くものであるから、断層面周辺の岩盤は大きな力で破砕され、岩石の破片の間に隙間の多い状態となっている。これが断層破砕帯で、砕かれた岩石破片の隙間に大量の水を含み、また地下水の通り道となっている。掘削中のトンネルがこの場所に当たると大量の水が噴出して工事を著しく妨げる。破砕帯の幅は断層によって異なり、数十mに達する場合もある」ということになります。
前日の8月14日に家を出て、名古屋地区から国道153号線を北上し、国道151号線を横切って国道152号線に出ました。そこまではかなりの山道続きです。152号線近くの飯田市南信濃(かつての下伊那郡南信濃村)の道の駅「遠山郷」で車中泊の予定です。ここは信州でも秘境中の秘境と言われる地域です。南アルプスのふもとにある山間(やまあい)の町で、交通が不便で超過疎地です。隣接する日帰り温泉「かぐらの湯」で汗を流しました。夕方になると、遠くから太鼓の音が聞こえてきました。何事かと散歩がてら行ってみると、夏祭りの最中でした。こんな過疎地でも小学生が大勢太鼓をたたいていました。暗くなり道の駅にもどり、車中泊です。他にも多くの遠方からの車が泊まっていました。
翌朝(8月15日)に青崩峠に向かう林道に行きました。この林道(この部分も、正しくは国道152号線ですが、今では廃道化しており国道の看板もはずされました。地図では152号線のままになっています)は入口で車両通行止めになっています。静岡県側へつなぐトンネル工事が行われていて工事用大型車が頻繁に通過するのと、峠へ向かう林道が荒れてきているからです。わたしは2006年ごろまで毎年この林道を峠まで車で走って、峠から熊伏山(くまぶしやま)へ登ったものです。しかし、林道が廃道化してから車両通行止めになり、それ以後は静岡県側から登ったりして、この長野県側は通行していません。
10年ぶりぐらいでの林道通過です。歩き始めるとフシグロセンノウのオレンジの花が迎えてくれました。林道は荒れていて、昔の面影はありません。ヤマグリの実が落ちていて、秋を感じさせます。鳥の声はあまり聞こえず、エナガとカケスぐらいです。途中分かれ道がいくつかあり、どちらへ行ったらいいのか迷いますが、高い方向へ向かう道を選んで進みます。あまりの荒れようですし、昔はあった青崩峠方面への看板が撤去されてしまっているので、迷っても無理はありません。どうもちがう林道を歩いているようです。もどって分岐点で確認してもいいのですが、まあどこを行っても人はいないし山の上に出ればいいと開き直ってどんどん進みました。クマだけは怖いので、鈴をジャンジャン鳴らしました。
歩き始めて1時間半ぐらいで、見覚えのある場所に着きました。てっきり違う道を来たと思っていたのですが、林道(152号線)の終点の青崩峠の下でした。ここで昔テントを張ってキャンプをしたことを思い出しました。初夏のキャンプではジュウイチの声を聞いたこともあります。今日はアオバトの声を聞くことができました。まだ10時なので登山道を登って峠まで行ってみることにしました。青崩峠遊歩道という登山道が昔造られていて、そこを歩いて登ることにしました。今は歩く人もいないので落ち葉に埋まっていましたが、滑らないように慎重に歩いて青崩峠(1082m)に着きました。ここは長野県と静岡県との県境で、静岡県側から冷たい風が吹き抜けていました。気温は20度です。ガスがかかって展望は利きませんでしたが。そこから熊伏山までは2時間で行けるのですが、はやる気持ちを抑えて今日は取りやめます。痛めた膝が完治してからまた挑戦します。依然としてアオバトの不気味な声が続いています。シカの声も聞こえました。
肌寒い峠で食事をしてから下山しました。下りは滑りやすいので要注意です。それにしても、かつてはあれだけ車で通った林道ですが、どこも財政事情が悪い時代なので再び整備されることもなく、完全な廃道となるのでしょうね。下山最後近くで、下の谷の方で大規模な工事が行われているのが遠望できました。よく見るとトンネル工事をしているようで、このトンネルで静岡県側とつなぐようです。しかし、帰宅後に調べてみると、破砕帯があるため難工事が予想され、完成時期は未定とのことです。過疎地と過疎地を結ぶ大工事を行うような余裕が今の日本にあるのか疑問です。今でも迂回すれば152号線は二つの県が結ばれています。兵越峠(ひょうごえとうげ)を通るルートです。これは前日に通って確認してきました。時間はかかりますが、利用度からしてこれでいいのではないかと思います。
おまけ: 帰宅してズボンを脱ぐと足から血が流れ出しています。痛くもかゆくもありません。ヤマビルにやられたようです。林道に積もった落ち葉が濡れていたので心配はしていましたが、まさかやられるとは。要注意です。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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車中泊した道の駅近くの飯田市南信濃地区で行われていた夏祭りの様子です。ここは旧下伊那郡南信濃村で、超過疎地です。しかし、多くの子供たちが太鼓をたたいていました。
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青崩峠に向かう林道(本当は国道152号線の端です)入口ですが、峠をぶち抜くトンネル工事のために通行止めになっています。工事現場は入口から入ってすぐの場所です。
また、峠までの林道も荒れているので車両通行はできません。どれくらい荒れているのかは、あとで分かります。 -
工事現場への道と分かれると、林道は車が通った跡がありません。小枝や落石が障害になっています。
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しばらく行くと廃屋がありました。昔はこんな不便な場所にも人が住んでいたのですね。
後ろに山が迫っていて、狭い敷地に建てられています。 -
別の方向から見た同じ廃屋です。外観を見る限り新建材は使われていなく、すべて地元で調達した材木でできており、崩壊が進んでいます。
家の前に捨ててあった新聞の束を見ると、2005年の日付のものでした。廃屋になって10年以上が過ぎています。 -
林道に落ちていたヤマグリの実です。もう秋ですね。
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フシグロセンノウの目立つ花が咲いていました。独特の色です。
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マルミノヤマゴボウの赤い花です。
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その花のアップ写真です。きれいです。
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別の場所にあったマルミノヤマゴボウです。一部が果実となりつつあります。
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ほとんど黒く果実化した個体です。
この植物には猛毒があります。 -
なおも進むと林道が崩壊した場所に来ました。これでは車は通れません。
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その先は山から崩れ落ちてきた土砂で林道が埋まっていました。登山者ぐらいしか通行しない林道を補修する余裕はないようです。このまま廃道化するのでしょうか。
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林道の脇にちょっと開けた場所があり、岩の上に陶器のかけらが集められています。昔はここにも家があったのでしょうか。
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興味があったので近づいて観察してみることにしました。
多くの茶碗や皿のかけらです。だれかが集めてくれたのでしょうか。それとも保存状態がいいものを探して持ち去った残りでしょうか。 -
茶碗の裏には「東陽軒平八製」の文字が見えました。
帰宅して調べてみると大正時代から昭和の初めごろのメーカー製のようです。 -
別の茶碗の裏には「新築記念 不動製薬」の文字が。これも調べてみましたが、東京市向島区にあった製薬会社です。この地名が存在したのは1932年から1947年までの間ですから、戦前のものです。
これらのがれきから、ここには昭和時代に民家があったようです。今はそれらしき名残はまったくありませんが。 -
峠への道とはべつの道を間違えて歩いてきたと思い込んでいましたが、見た覚えのある場所に着きました。峠の近くの林道終点です。やはり正しい林道を来た訳です。林道のあまりの変化ですっかり間違えていると思い込んでいました。
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中央奥の上には崩壊した山がガスにかかって見えます。これが青崩峠です。
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林道終点にある看板です。崩壊が止まらない山の治山事業を記念する看板です。
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昔からここからは徒歩でしか峠までは行くことができませんでした。当時ここまで車で来た人が、ここからは歩いて行けるように遊歩道が造られましたが、それが残っています。今では歩く人は皆無でしょうが。
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遊歩道入口の看板です。ここから徒歩で約20分で静岡県との境の峠まで行ける、さらにそこから約2時間で熊伏山(くまぶしやま。1653m)に登れると書いてあります。
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今は荒れてきていますが、昔はお金をかけたりっぱな遊歩道でした。
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遊歩道の途中にある青崩神社です。この神社も崩れそうになってきています。誰が管理しているのでしょうか。
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青崩峠に着きました。1082mです。石碑の横から熊伏山への登山道が始まっています。このまま登っていきたいのですが、膝のことを考えて我慢我慢です。
気温は20度で、涼しい風が静岡県側から吹いています。 -
峠にあった静岡県指定史跡の看板ですが、文字が消えかかってよく読めません。
全文は以下のとおりです。
静岡県指定史跡 海抜1082メートル
青崩峠は遠州と信州の国境にあって古くからある信州街道(秋葉街道ともいう)の峠である。この道は昔から海の幸や山の幸が馬や人の背によってこの峠を越して運ばれたことから「塩の道」ともいわれている道である。
また、戦国時代、武田信玄の軍勢が南攻のためこの峠を越えたと伝えられ、近世には多くの人々が信州、遠州、三河の神社、仏閣に参詣するためにこの峠を越した。近世においては可憐な少女達が製糸工女として他郷で働くために越した峠でもあり、多くのロマンと歴史を刻む峠である。 -
峠から静岡県側を望みます。ガスがかかっていて展望は利きませんが、涼しい風が吹いてきます。
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峠から長野県側を望みます。今来た道です。
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峠にあった歌を書いた看板です。
昔は信州の若者たちが登山道の草刈りをしながらこの峠まできて、遠州を望んだのでしょう。昭和62年(1987年)と書いてあります。 -
林道入口まで下りてきて、谷の方に見えたトンネル工事現場のようです。破砕帯が大規模な地質のため、難工事のようです。そのため、完成時期は未定とのことです。
超過疎地と超過疎地を結ぶ大規模なトンネルが必要か疑問に思います。完成時期が未定ということは、工事費用も未定で、建設業者にはいつまでも続くおいしい事業でしょうが、納税者には堪りません。
実はこの152号線にはりっぱなう回路があって、兵越峠(ひょうこしとうげ)を通る林道があります。交通量が極端に少ない地区ですから、これで十分だと思います。
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