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京都市右京区嵯峨水尾は、京都市街の西北にそびえる愛宕山の山麓に位置し、トロッコ列車や保津川下りで名高い保津峡から、約4km北へ分け入った所に広がる、戸数わずか30戸余りの小さな集落で、柚子の産地として知られています。<br /><br />JR山陰本線保津峡駅から地元自治会が運営するマイクロバスしか通じていないアクセスの悪さが災いしてか、過疎化と高齢化が進む嵯峨水尾では、村おこしの一環として、秋の七草の一つで、源氏物語にも描かれた藤袴が植えられ、清楚な花姿は秋の風物詩として定着しています。<br /><br />そんな藤袴を求めて、毎年9月下旬になると、黒と褐色の縁取りの中に透き通るような淡い浅葱色の斑紋様を持つ、渡り蝶のアサギマダラがたくさん飛来し、自然豊かな水尾に幻想的な彩りを添えています。<br /><br />僅か5cmばかりの翅長のアサギマダラが凄いのは、春から夏にかけて本州などの涼しい高原地帯を繁殖地としていたものが、秋の訪れとともに気温が低下し始めると、温暖な環境を求めて南方への移動を始め、遠く九州や沖縄、さらには八重山諸島や台湾など、1000km以上も海を越えて大移動するところにあります。<br /><br />逆に、冬の間暖かい南の島で新たに繁殖したアサギマダラが、春から夏にかけて再び海を越えて本州などの高原地帯に戻ってくる、渡りの習性を繰り返します。<br /><br />1980年には、この習性に気付いた全国の有志により観察が始まり、アサギマダラの翅にマークをつけて放し、次にそのアサギマダラが見つかった地点を結んで移動経路を調べるマーキング調査の結果、季節の移り変わりとともに北へ南へと移動していることが確認されました。<br /><br />現在、大阪を拠点とする「アサギマダラを調べる会」などが中心になってマーキング調査を実施し、年々移動距離の延びていることが確認されているそうです。

2015 嵯峨水尾で藤袴とアサギマダラを愛でる

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2015/10/02 - 2015/10/02

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nao

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京都市右京区嵯峨水尾は、京都市街の西北にそびえる愛宕山の山麓に位置し、トロッコ列車や保津川下りで名高い保津峡から、約4km北へ分け入った所に広がる、戸数わずか30戸余りの小さな集落で、柚子の産地として知られています。

JR山陰本線保津峡駅から地元自治会が運営するマイクロバスしか通じていないアクセスの悪さが災いしてか、過疎化と高齢化が進む嵯峨水尾では、村おこしの一環として、秋の七草の一つで、源氏物語にも描かれた藤袴が植えられ、清楚な花姿は秋の風物詩として定着しています。

そんな藤袴を求めて、毎年9月下旬になると、黒と褐色の縁取りの中に透き通るような淡い浅葱色の斑紋様を持つ、渡り蝶のアサギマダラがたくさん飛来し、自然豊かな水尾に幻想的な彩りを添えています。

僅か5cmばかりの翅長のアサギマダラが凄いのは、春から夏にかけて本州などの涼しい高原地帯を繁殖地としていたものが、秋の訪れとともに気温が低下し始めると、温暖な環境を求めて南方への移動を始め、遠く九州や沖縄、さらには八重山諸島や台湾など、1000km以上も海を越えて大移動するところにあります。

逆に、冬の間暖かい南の島で新たに繁殖したアサギマダラが、春から夏にかけて再び海を越えて本州などの高原地帯に戻ってくる、渡りの習性を繰り返します。

1980年には、この習性に気付いた全国の有志により観察が始まり、アサギマダラの翅にマークをつけて放し、次にそのアサギマダラが見つかった地点を結んで移動経路を調べるマーキング調査の結果、季節の移り変わりとともに北へ南へと移動していることが確認されました。

現在、大阪を拠点とする「アサギマダラを調べる会」などが中心になってマーキング調査を実施し、年々移動距離の延びていることが確認されているそうです。

同行者
一人旅
交通手段
自家用車 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • 嵐山から嵯峨鳥居本を経て、嵯峨水尾へ向かう狭い山道の途中にある、JR山陰本線の保津峡駅へやってきました。

    嵐山から嵯峨鳥居本を経て、嵯峨水尾へ向かう狭い山道の途中にある、JR山陰本線の保津峡駅へやってきました。

  • 保津峡駅は、保津川に架かる鉄橋の上にプラットホームが設けられています。

    保津峡駅は、保津川に架かる鉄橋の上にプラットホームが設けられています。

  • 折しも、京都方面へ向かう電車が入線してきました。

    折しも、京都方面へ向かう電車が入線してきました。

  • 暫く停車した後、電車は走り去っていきました。

    暫く停車した後、電車は走り去っていきました。

  • 保津峡駅の隣は、嵯峨嵐山駅です。<br /><br />では再び山道に戻って、ここから約4km北にある嵯峨水尾を目指します。

    保津峡駅の隣は、嵯峨嵐山駅です。

    では再び山道に戻って、ここから約4km北にある嵯峨水尾を目指します。

  • 柚子の産地として知られる嵯峨水尾へ到着しました。<br /><br />保津峡駅から自治会が運営するマイクロバスしか通っていない嵯峨水尾は、アクセスの悪さから年々過疎化と高齢化が進んでいるようです。<br /><br />ちなみに、自治会が運営するバスの便が少ないので、保津峡駅からハイキングを兼ねて歩いて来る方もおられるようです。

    柚子の産地として知られる嵯峨水尾へ到着しました。

    保津峡駅から自治会が運営するマイクロバスしか通っていない嵯峨水尾は、アクセスの悪さから年々過疎化と高齢化が進んでいるようです。

    ちなみに、自治会が運営するバスの便が少ないので、保津峡駅からハイキングを兼ねて歩いて来る方もおられるようです。

  • 集落の有料駐車場には、既に何台かの車が停まっています。<br /><br />私もあの駐車場を利用させてもらいます。

    集落の有料駐車場には、既に何台かの車が停まっています。

    私もあの駐車場を利用させてもらいます。

  • 駐車場からおよそ200m歩くと、藤袴を栽培している休耕田に到着します。

    駐車場からおよそ200m歩くと、藤袴を栽培している休耕田に到着します。

  • 藤袴は秋の七草の一つで、源氏物語に登場するほど古くから栽培されてきましたが、環境の変化により絶滅の危機に瀕していました。

    藤袴は秋の七草の一つで、源氏物語に登場するほど古くから栽培されてきましたが、環境の変化により絶滅の危機に瀕していました。

  • 過疎化と高齢化が進む嵯峨水尾では、藤袴の原種保存に一役買おうと・・・

    過疎化と高齢化が進む嵯峨水尾では、藤袴の原種保存に一役買おうと・・・

  • 村おこしも兼ねて、住民やボランティアの皆さんの手で大切に育てておられます。

    村おこしも兼ねて、住民やボランティアの皆さんの手で大切に育てておられます。

  • その清楚な花姿は、嵯峨水尾の秋の風物詩としてすっかり定着しています。

    その清楚な花姿は、嵯峨水尾の秋の風物詩としてすっかり定着しています。

  • そんな藤袴を求めて・・・

    そんな藤袴を求めて・・・

  • 毎年9月下旬になると、黒と褐色の縁取りの中に透き通るような淡い浅葱色の斑紋様のある・・・

    毎年9月下旬になると、黒と褐色の縁取りの中に透き通るような淡い浅葱色の斑紋様のある・・・

  • アサギマダラが多数飛来し、自然豊かな嵯峨水尾の里に幻想的な彩りを添えています。

    アサギマダラが多数飛来し、自然豊かな嵯峨水尾の里に幻想的な彩りを添えています。

  • ひらひらと舞うアサギマダラ。

    ひらひらと舞うアサギマダラ。

  • 長距離を移動する習性を調査するため、翅にマーキングされたアサギマダラです。<br /><br />この調査は1980年頃に始まり、季節の移り変わりとともにアサギマダラが北へ南へと移動していることが確認されています。

    長距離を移動する習性を調査するため、翅にマーキングされたアサギマダラです。

    この調査は1980年頃に始まり、季節の移り変わりとともにアサギマダラが北へ南へと移動していることが確認されています。

  • アサギマダラは、春から夏にかけて本州などの涼しい高原地帯で生活しています。

    アサギマダラは、春から夏にかけて本州などの涼しい高原地帯で生活しています。

  • 秋の訪れとともに気温が低下し始めると、温暖な環境を求めて南方へ移動を始め・・・

    秋の訪れとともに気温が低下し始めると、温暖な環境を求めて南方へ移動を始め・・・

  • 遠くは九州や沖縄から、さらに八重山諸島や台湾など、僅か5cmばかりの小さな翅で1000km以上も海を越えて大移動するといいます。

    遠くは九州や沖縄から、さらに八重山諸島や台湾など、僅か5cmばかりの小さな翅で1000km以上も海を越えて大移動するといいます。

  • 南の島へ渡り、そこで新たに繁殖したアサギマダラは・・・

    南の島へ渡り、そこで新たに繁殖したアサギマダラは・・・

  • 逆に、春から夏にかけて再び海を越えて本州などの高原地帯に戻ってきます。

    逆に、春から夏にかけて再び海を越えて本州などの高原地帯に戻ってきます。

  • いくら本能による習性とはいえ、僅か5cmばかりの小さな翅のアサギマダラの、長距離を移動する能力には驚嘆するばかりです。

    いくら本能による習性とはいえ、僅か5cmばかりの小さな翅のアサギマダラの、長距離を移動する能力には驚嘆するばかりです。

  • 藤袴と集落のたたずまい。

    藤袴と集落のたたずまい。

  • 浅葱色の翅を広げるアサギマダラに・・・

    浅葱色の翅を広げるアサギマダラに・・・

  • 陽の光を浴びた花弁が陰を落としています。

    陽の光を浴びた花弁が陰を落としています。

  • こちらは、透き通るように薄いアサギマダラの翅を透かして、藤袴の花がはっきり見えます。

    こちらは、透き通るように薄いアサギマダラの翅を透かして、藤袴の花がはっきり見えます。

  • アサギマダラは、毒性の強いアルカロイドを体内に取りこむことで敵から身を守っていると考えられており・・・

    アサギマダラは、毒性の強いアルカロイドを体内に取りこむことで敵から身を守っていると考えられており・・・

  • このため、アルカロイドを含む藤袴に集まると云われています。

    このため、アルカロイドを含む藤袴に集まると云われています。

  • また、藤袴にはオスの性フェロモンに作用する成分が含まれているため、オスのアサギマダラが集まるとも云われています。

    また、藤袴にはオスの性フェロモンに作用する成分が含まれているため、オスのアサギマダラが集まるとも云われています。

  • ここにも翅にマーキングされたアサギマダラがとまっています。

    ここにも翅にマーキングされたアサギマダラがとまっています。

  • 今年は、福島県、長野県、石川県などでマーキングされたアサギマダラの飛来が確認されているそうですが・・・

    今年は、福島県、長野県、石川県などでマーキングされたアサギマダラの飛来が確認されているそうですが・・・

  • それにしても、そんなマーキングがされているとも知らず、ここまで飛んできたんですね。

    それにしても、そんなマーキングがされているとも知らず、ここまで飛んできたんですね。

  • では、これからは藤袴をじっくり見てみます。

    では、これからは藤袴をじっくり見てみます。

  • 葉にくるまれた蕾の状態です。

    葉にくるまれた蕾の状態です。

  • 花茎が延びて、蕾が膨らみかけています。

    花茎が延びて、蕾が膨らみかけています。

  • 開花した状態です。

    開花した状態です。

  • 藤袴の名前の由来は、花全体を見れば藤色のように見えるからそう呼ばれているんですが・・・

    藤袴の名前の由来は、花全体を見れば藤色のように見えるからそう呼ばれているんですが・・・

  • よ〜く観察すると、萼は藤色ですが、小さい筒状の花は白色です。

    よ〜く観察すると、萼は藤色ですが、小さい筒状の花は白色です。

  • また、筒状の花から二股に別れて出ている雌しべは白色をしていますが・・・

    また、筒状の花から二股に別れて出ている雌しべは白色をしていますが・・・

  • 花の中に隠れている雄しべは藤色です。<br /><br />これらが一体になって、清楚な花姿を生んでいます。

    花の中に隠れている雄しべは藤色です。

    これらが一体になって、清楚な花姿を生んでいます。

  • 盛んに蜜を吸うアサギマダラ。

    盛んに蜜を吸うアサギマダラ。

  • 頭から出ているL型の管を筒状の花に差し込んで蜜を吸い取っているのが判ります。

    頭から出ているL型の管を筒状の花に差し込んで蜜を吸い取っているのが判ります。

  • アサギマダラを驚かさないように、離れた所から・・・。

    アサギマダラを驚かさないように、離れた所から・・・。

  • こちらも一生懸命です。

    こちらも一生懸命です。

  • こちらでは2頭並んで吸っています。

    こちらでは2頭並んで吸っています。

  • ここにもマーキングされたアサギマダラがいます。

    ここにもマーキングされたアサギマダラがいます。

  • マーキングにも一定のルールが設けられているので、飛来地が判るようになっているんでしょうね・・・。

    マーキングにも一定のルールが設けられているので、飛来地が判るようになっているんでしょうね・・・。

  • 青空をバックに・・・

    青空をバックに・・・

  • 藤袴とアサギマダラを写してみました。

    藤袴とアサギマダラを写してみました。

  • アサギマダラがヒラヒラと飛んでいるのがお判りになるでしょうか・・・。

    アサギマダラがヒラヒラと飛んでいるのがお判りになるでしょうか・・・。

  • 藤袴にピントが合っているので、ちょっと判りづらいですかね・・・。

    藤袴にピントが合っているので、ちょっと判りづらいですかね・・・。

  • マーキングされた日付がはっきり見えています。<br /><br />どこから飛んで来たのか判りませんが、この日は10月2日なので、ここまで2日間かけて飛んで来たようです。

    マーキングされた日付がはっきり見えています。

    どこから飛んで来たのか判りませんが、この日は10月2日なので、ここまで2日間かけて飛んで来たようです。

  • アサギマダラ君、お疲れ様でした・・・。

    アサギマダラ君、お疲れ様でした・・・。

  • さてと、こんなにのどかな京都の山里で、良い秋の一日を過ごすことができました。

    さてと、こんなにのどかな京都の山里で、良い秋の一日を過ごすことができました。

  • じゃ、帰るとするか・・・!

    じゃ、帰るとするか・・・!

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この旅行記へのコメント (2)

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  • hiro3さん 2015/10/06 13:49:55
    アサギマダラ、イイですね〜!
    naoさん、こんにちは。

    水尾にたくさんのアサギマダラが飛来するのですね。

    自分は、伊吹山に行ったときに偶然目にしました。
    移動距離もすごいのに、あの大きさで、あの飛び方!
    信じられませんね。

    初めて知りました。保津峡駅までは、何度か行っていましたが、
    その奥にこんな活動をされている場所があるなんて・・・

    かなり狭い道ですよね。平野屋さんから駅までもドキドキしながら、
    走っていましたが、それ以上ですか?駐車場も10台もないようですね。

    旅行記を見せていただいて、問い合わせまでしちゃいました。
    2,30頭ぐらい残っているようですが、藤袴の蜜が終わりかけのようで、
    来年の楽しみにしておきます。

    >どこから飛んで来たのか判りませんが、この日は10月2日なので、
    ここまで2日間かけて飛んで来たようです。

    水のマーキングが見えます。水尾で付けられた個体のようですね。
    偶然、見たサイトで解説されていました。

    水尾、チェック入れておきますね。

                hiro3

    nao

    naoさん からの返信 2015/10/06 19:34:48
    とんまなことで・・・!
    hiro3さん、こんばんは。

    水尾では平成24年から藤袴の畑が一般開放されていたそうなんですが、今年初めて訪れました。

    アサギマダラは凄いですよね〜!
    何が凄いって、僅か5cm程度の翅で1000km以上も北へ南へと移動するんですから・・・。
    いくら本能とはいえ、驚嘆するばかりです。

    水尾への道ですが、平野屋さんから保津峡駅までと同じ位の狭さでしたし、離合する場所も少なかったように思います。
    いずれにしても慎重な運転が必要ですよ。

    駐車場は7〜8台程度です。

    今年はもう残り少ないとのことなので、来年はタイミングを逃さないで、是非見に行ってください。

    あと、「水」のマーキングは水尾で付けられたものだったんですね・・・。
    冷静に考えれば気付きそうなものを・・・。
    とんまなことでお恥ずかしい〜!

    nao

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