その他の都市旅行記(ブログ) 一覧に戻る
ラウマで1泊し、ベストウェスタンホテルであらかじめ頼んでおいた早めの朝食をとった後、6:50発のトゥルク行きのバスの車上の人となった。トゥルクには定刻の8:25に到着、9:00発のヘルシンキ行きのICを待つ間、少し早朝のひと気のないトゥルクの町を散策した。その後はヘルシンキまで約2時間、接続しているICでコウボラまで約1時間半、2階建て列車の2階からフィンランドの美しい車窓を眺めながらうとうとしているとコウボラに到着、目的地のヴェルラに向かう。<br /><br />さてコウボラからヴェルラまでの足が問題である。グーグルマップによれば約30km、いろいろネットで調べても、コウボラ市内の店で聞いてもシーズンオフにはツアーバスなはなく、日に数便のバスはあるというがとても時間が合わない。通常タクシーは乗らないが、今回は2人連れでもあり、駅前に止まっている若いタクシードライバーと値段交渉した。フィンランドではまずボラれることはなく、安心してタクシーに乗れる国ではあるが、物価は高くメーターでは高額になる。聞くとヴェルラまでタクシーで行く人は稀にはいるそうで、メーターでは片道60ユーロほどであると言う。現地に1時間ほど滞在して幾らにしてくれるか尋ねると75ユーロでどうか、と言うので迷うことなく乗り込んだ。<br /><br />このフィンランドの深い森の中にポツンと存在するヴェルラ砕木・板紙工場とは、1964年に操業を停止した製紙・製材工場で、現在は博物館になっている。この旧工場は、1872年に操業を開始、現存する建物は1882年から建設されたものであるという。一見してドイツ風の工場建築だと思ったが、株主だったドイツ系の建築家カール・ディッペルを中心に設計が進められた。ほとんどの建物はレンガ造りで、当時流行していたネオゴシックと呼ばれる建築様式で建設された。単なる工場とは思えない、装飾された尖塔を持っており、教会の大聖堂とも共通する建築様式だ。<br /><br />森林が豊富なフィンランドで林業は重要産業であり、伝統的な製紙方法を伝える貴重な建築であることから、ユネスコの世界遺産に登録されている。5〜9月初旬の夏のシーズンのみガイドツアーがあるが、オフに入った現在は全くひと気がない。当然建物の中には入れないが、外からは自由に見学できる。資料によれば、商業用のダンボールを年間2000トン製造していた。川を使って丸太を輸送し、線路を利用して工場内に運び込み、皮を剥いだ後50cmほどに切断し加工、製品は欧州諸国だけでなく、ロシアやアメリカにも輸出されていたという。<br /><br />工場の敷地は予想以上に広く、時間に限りがあるので慌ただしく建物を撮影して、待っていてくれたタクシーでコウボラ駅に戻った。約束通り75ユーロのあたりでタクシーメーターを止めてくれた。ちなみにアウディの3シリーズのディーゼルで、静かで素晴らしい乗り心地だ。若いドライバーと別れた後は、再びアレグロでサンクトペテルブルクに向かう。繰り返しになるが、素朴で実直、親日的なフィンランドの人々との触れ合いは楽しい。アジア系のフン族の末裔とも言われ、言語も周囲のヨーロッパ言語とは多いに異なる。巨大なロシアの西と東の果てに位置するフィンランドと日本、敵の敵は味方という関係を超えて、大いなる親近感を感ずる愛すべき国だ。<br />

フィンランドの世界遺産No.4: ヴェルラの採木、板紙工場

15いいね!

2013/09/28 - 2013/09/29

35位(同エリア157件中)

0

24

ハンク

ハンクさん

ラウマで1泊し、ベストウェスタンホテルであらかじめ頼んでおいた早めの朝食をとった後、6:50発のトゥルク行きのバスの車上の人となった。トゥルクには定刻の8:25に到着、9:00発のヘルシンキ行きのICを待つ間、少し早朝のひと気のないトゥルクの町を散策した。その後はヘルシンキまで約2時間、接続しているICでコウボラまで約1時間半、2階建て列車の2階からフィンランドの美しい車窓を眺めながらうとうとしているとコウボラに到着、目的地のヴェルラに向かう。

さてコウボラからヴェルラまでの足が問題である。グーグルマップによれば約30km、いろいろネットで調べても、コウボラ市内の店で聞いてもシーズンオフにはツアーバスなはなく、日に数便のバスはあるというがとても時間が合わない。通常タクシーは乗らないが、今回は2人連れでもあり、駅前に止まっている若いタクシードライバーと値段交渉した。フィンランドではまずボラれることはなく、安心してタクシーに乗れる国ではあるが、物価は高くメーターでは高額になる。聞くとヴェルラまでタクシーで行く人は稀にはいるそうで、メーターでは片道60ユーロほどであると言う。現地に1時間ほど滞在して幾らにしてくれるか尋ねると75ユーロでどうか、と言うので迷うことなく乗り込んだ。

このフィンランドの深い森の中にポツンと存在するヴェルラ砕木・板紙工場とは、1964年に操業を停止した製紙・製材工場で、現在は博物館になっている。この旧工場は、1872年に操業を開始、現存する建物は1882年から建設されたものであるという。一見してドイツ風の工場建築だと思ったが、株主だったドイツ系の建築家カール・ディッペルを中心に設計が進められた。ほとんどの建物はレンガ造りで、当時流行していたネオゴシックと呼ばれる建築様式で建設された。単なる工場とは思えない、装飾された尖塔を持っており、教会の大聖堂とも共通する建築様式だ。

森林が豊富なフィンランドで林業は重要産業であり、伝統的な製紙方法を伝える貴重な建築であることから、ユネスコの世界遺産に登録されている。5〜9月初旬の夏のシーズンのみガイドツアーがあるが、オフに入った現在は全くひと気がない。当然建物の中には入れないが、外からは自由に見学できる。資料によれば、商業用のダンボールを年間2000トン製造していた。川を使って丸太を輸送し、線路を利用して工場内に運び込み、皮を剥いだ後50cmほどに切断し加工、製品は欧州諸国だけでなく、ロシアやアメリカにも輸出されていたという。

工場の敷地は予想以上に広く、時間に限りがあるので慌ただしく建物を撮影して、待っていてくれたタクシーでコウボラ駅に戻った。約束通り75ユーロのあたりでタクシーメーターを止めてくれた。ちなみにアウディの3シリーズのディーゼルで、静かで素晴らしい乗り心地だ。若いドライバーと別れた後は、再びアレグロでサンクトペテルブルクに向かう。繰り返しになるが、素朴で実直、親日的なフィンランドの人々との触れ合いは楽しい。アジア系のフン族の末裔とも言われ、言語も周囲のヨーロッパ言語とは多いに異なる。巨大なロシアの西と東の果てに位置するフィンランドと日本、敵の敵は味方という関係を超えて、大いなる親近感を感ずる愛すべき国だ。

旅行の満足度
3.5
観光
3.5
ホテル
4.0
交通
3.0
同行者
友人
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

PR

  • ヘルシンキからコウボラに向かうIC、新型の電気機関車が2階建ての客車を牽引する

    ヘルシンキからコウボラに向かうIC、新型の電気機関車が2階建ての客車を牽引する

  • ヘルシンキからコウボラに向かうICの2階建ての客車

    ヘルシンキからコウボラに向かうICの2階建ての客車

  • ヘルシンキからコウボラに向かうICの2階建ての客車の2階席

    ヘルシンキからコウボラに向かうICの2階建ての客車の2階席

  • 2階に上る階段は連結器の隣にある

    2階に上る階段は連結器の隣にある

  • ヴェルラの採木、板紙工場の入り口のチケット売り場

    ヴェルラの採木、板紙工場の入り口のチケット売り場

  • ヴェルラの採木、板紙工場の主工場建屋

    ヴェルラの採木、板紙工場の主工場建屋

  • フィンランドの深い森と湖に囲まれている

    フィンランドの深い森と湖に囲まれている

  • ヴェルラの採木、板紙工場の建屋の一つ

    ヴェルラの採木、板紙工場の建屋の一つ

  • 川から木材を引き上げるためのレール

    川から木材を引き上げるためのレール

  • ヴェルラの採木、板紙工場の主工場建屋

    ヴェルラの採木、板紙工場の主工場建屋

  • 修復工事の仮設エリア

    修復工事の仮設エリア

  • ヴェルラの採木、板紙工場の工場建屋

    ヴェルラの採木、板紙工場の工場建屋

  • 採木、板紙工場の煙突

    採木、板紙工場の煙突

  • ヴェルラの採木、板紙工場の工場建屋

    ヴェルラの採木、板紙工場の工場建屋

  • 工場内に引き込まれた線路

    工場内に引き込まれた線路

  • 堂々たるヴェルラの採木、板紙工場の工場建屋

    堂々たるヴェルラの採木、板紙工場の工場建屋

  • 同上建屋の近景

    同上建屋の近景

  • 教会のような工場建屋

    教会のような工場建屋

  • 教会のような工場建屋

    教会のような工場建屋

  • レンガ造りの工場建屋

    レンガ造りの工場建屋

  • 工場主たちの住居跡

    工場主たちの住居跡

  • 紅葉が始まった木々

    紅葉が始まった木々

  • 深いフィンランドの森と湖

    深いフィンランドの森と湖

  • 深いフィンランドの森と湖

    深いフィンランドの森と湖

この旅行記のタグ

15いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フィンランドで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
フィンランド最安 487円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

フィンランドの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

タグから海外旅行記(ブログ)を探す

PAGE TOP