2009/10/22 - 2009/10/22
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世界攻略者さん
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パキスタン・ゴジャール地方のパスー村。2つの大氷河が迫るこの村で、伝統的な結婚式に参加することができました。手間ひまかけた村民総出の結婚式は、コミュニティの大切さを改めて教えてくれます。
**情報は2009年10月のもの。1ルピー=1.1円で計算。
==シリーズ一覧==
フンザ心の旅① ハイダー爺と魔法の青い樽 (フンザの水)
http://4travel.jp/travelogue/10442688
フンザ心の旅② 長谷川メモリアル学校 - 魂の文化祭 その1
http://4travel.jp/travelogue/10443973
フンザ心の旅③ 長谷川メモリアル学校 - 魂の文化祭 その2
http://4travel.jp/travelogue/10444125
フンザ心の旅④ グルミット - 美人村の学園祭
http://4travel.jp/travelogue/10441914
フンザ心の旅⑤ フサニ村 - 吊橋と温泉のある風景
http://4travel.jp/travelogue/10443768
フンザ心の旅⑥ パスー - 村の伝統結婚式 <==
http://4travel.jp/travelogue/10444518
フンザ心の旅⑦ カラコルムハイウェイ - デコトラ街道の男たち
http://4travel.jp/travelogue/10444759
フンザ心の旅⑧ チャプルソン谷 - その伝説の何もなさ (ズードホン)
http://4travel.jp/travelogue/10575819
フンザ心の旅⑨ ババグンディ - アフガンへと続く道 (パミール)
http://4travel.jp/travelogue/10575824
変更:
2014/09/15 写真拡大
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[目次]
パスー村
新郎宅見学
女性だけのパーティ
晩餐の準備
結婚披露宴
ダンスでお祝い
晩餐の準備2
ダンスは続く
ついに晩餐
まとめ
写真: パスー氷河とパスー村の集落。 -
[パスー村]
晩秋、紅葉の映える頃、パスー村にやってきました。ゴジャール地方では、収獲の終わったこの時期、結婚式が集中して行われます。伝統的な式は五日間に渡って行われ、最終日にそのクライマックスを迎えます。滞在中、村の男性が結婚すると聞き、最終日の見学に行ってきました。 -
[新郎宅見学]
新郎の家は、村の中心、小学校に程近い便利な場所にあります。よく見ると2つの家があり、写真に写っている伝統的な石造りの家と、その裏に中庭を」挟んでモダンな家屋があります。まずは、会場と思われる伝統家屋の方にお邪魔します。 -
こういう民家に入るチャンスはなかなかないので、貴重な体験です。家の中は部屋割りのない大広間で、土間を中心として、三畳ほどの床がまわりを囲います。この周辺スペースには絨毯が敷かれ、昼は居間として、夜は寝床として使われます。土間の一辺は、囲炉裏になっており、その奥に物置と台所があります。
家の柱と天井は木造ですが、壁は土壁で石と泥を固めて作られています。恐らくゴジャールの人達は、何十年以上も前から、このような家に住んできたのでしょう。後付けされたコンセントと蛍光灯があるので、まあ住むには問題ありません。部屋の隅には、なぜかCDコンポが置かれていました。 -
集まった人たちは新郎の準備ができるまで、ここでくつろぎます。その間、家族の人からお茶と伝統菓子が振舞われました。
たまに村人がやってくると、必ず中の人全員と握手をして回ります。慣習的なものなのか、中には私に握手してくる人も。平日ということもあり、ここにいる人のほとんどが年配の男性で、子供や若者は見かけません。女性も2,3人いるだけです。おじさん達は囲炉裏を囲み、ワヒー語で何か世間話をしています。 -
一時間ほど経った後、正装した新郎と家族が入場してきました(写真奥)。彼らは裏のコンクリート製の家で生活しているらしく、そこで準備をしてたようです。
いつの間にかカメラマンや笛太鼓の楽団も加わり、一気に人が増えました。新郎家族は一列に並んで軽く挨拶した後、すぐに家の外に出て行きます。私もみんなに続いて、外に出ることにしましょう。
玄関を出たところで、チーズの切れ端が渡され、肩に小麦粉のようなものをかけられました。伝統結婚式にはいろいろ細かいしきたりがあるようです。 -
家の外には村の女性数十人が一列に並んで待っていました。人の数が少ないと思ったら、みんな外にいたのですね。というか、最も部外者である私は、家の中にいてよかったのだろうか。
新郎は、集まった女性、ひとりひとりと握手していきます。今日はビデオカメラマン(写真右)が同行しており、この日の様子は一日中撮影されるようです。 -
[女性だけのパーティ]
握手を終えると、新郎はジープに乗り込み、一時間ほど離れた新婦の村に向かいます。新婦を迎えに行くと同時に、むこうでもいろいろ儀式があるのでしょう。親族だけでなく、村の男性も30人ほど新郎に付いて行きました。マイクロバスを含め、車4,5台の大所帯です。 -
正直、この車に乗らなかったことを少し後悔しました。ほとんどの男性が行ってしまったため、家の前は見送りを終えた女性しか残っていません。彼女らは、自分の家に戻るのかと思えば、なぜか新郎の家の中にぞろぞろ入っていきます。もしかして、こちら側でも何か行事があるのかな。
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家の中に入ると、部屋は50人を超える女性で埋まっていました。それぞれグループを作って絨毯の上に座ります。私や数少ない男性は、電話やミニコンポのある部屋の隅に場所を見つけるのが精一杯でした。
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再びお茶と茶菓子が振舞われ、女性たちは世間話に花を咲かせます。家の中には、男性は若者が3人いるだけで、残りはすべて女性。そんな居心地の悪い中、何が始まるか期待してじっと待ちます。
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すると、突然音楽がかかり、女性が土間スペースに集まり踊り始めました。実はここにいる若者は、CDコンポを操作するためだけに残っていたのです。
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コンポから流れるのは、ワヒー語の伝統音楽。そんなCDがあるのです。最初は年配の女性数人でグループで踊っていましたが、ひと段落すると、若い女性に代わり、2,3人ずつのダイナミックな踊りに変わりました。動きの速い派手な踊りで、華があります。
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まわりの踊らない女性は手拍子で応援。女性だけでこっそり行われるダンスセッション。実に興味深いですね。というか、最も部外者の私は、こんなところにいてよかったのでしょうか。
そんな踊り大会が一時間ほど続いた後、みんな何事もなかったかのように、家に帰っていきました。 -
女性らがいなくなると、部屋に大鍋が持ち込まれました。今日、参加者に振舞う食事を用意するようです。
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新郎が戻ってくるのは2時以降とのこと。私も一旦宿に帰ります。
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[晩餐の準備]
2時半に戻って来ましたが、新郎たちはまだ帰ってきていません。家の中では、長老達がまったり談笑する傍ら、先ほどの大鍋でバット作りが行われています。
バット(キー)とは、生バターに小麦粉を混ぜて煮込んだクリームで、パンなどにつけて食べます。小麦粉をまぶす人とかき混ぜる人の共同作業で、時間をかけて調理していきます。
当分、新郎が帰ってくる様子はありません。恐らく向こうの村で親族に厚くもてなされ、帰るに帰れないのでしょう。いつになるかわからない式の再開を待つのは苦痛です。 -
そんな時、私を救ってくれたのが、たまたま村に里帰りしていたカリム氏でした。彼は日本でもよく知られている「シルクロード キャラバン」で働いており、パキスタンやアフガニスタンのテレビ取材アレンジなどを行っています。数年前のテレ朝のドキュメンタリーでは、鶴田真由さんのパスー滞在をコーディネートしました。もちろんお互いのことは知らないので、今回初対面です。
会話は英語ですが、彼はとにかく話すのがうまい。「この村では、老人を敬う伝統があるんです。子供のころから教えられます。」と村の文化をわかりやすく紹介したかと思えば、「鶴田真由さんって、ちっちゃくてかわいいよねー」と軽い話題もこなせるなかなかの切れ者です。彼が話に付き合ってくれたおかげで、何とか時間をつぶすことができました。
**写真左の赤い服がカリム氏。 -
5時前、やっと新郎新婦とその一団が帰ってきました。家財道具を載せた車もあります。
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[結婚披露宴]
村の広場に続く道に女性が並び、来た人たちを出迎えます。女性が数十人並ぶと、実に華やかですね。 -
一緒にやってきた男性達も1人ずつ女性と握手してから広場に進みます。彼らの何人かは新婦側の村の人たちかもしれません。
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新婦を連れて帰ってきた新郎も、村の女性に丁寧に握手していきます。こういうのを見ていると、普段からの近所づきあいが、いかに大切かわかります。
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これは新婦。まだよそよそいい感じ。これから、よろしくお願いします。
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この広場は、新郎の家のすぐそばにあります。入場してきた村の男性らはすでに、広場を囲むように座っています。
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広場の左右と奥に男性が陣取り、正面中央に新郎新婦とその関係者、その後ろに村の女性が座ります。やはりモスリム、男女の役割と立ち位置ははっきりと決まっています。
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主役である新郎新婦は、まるで王様が祭り見物でもするように、これから広場で行われる催しを眺めます。
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[ダンスでお祝い]
ここでは、どうもダンス大会のようなものが行われるようです。形式ばったものではなく、観客の前で踊りたい人が踊る余興的なものです。最初に誰が踊るかお互い譲り合いながらも、結局は年長の人たちから踊り出しました。カリムさんが言う通り、この村では老人が一番偉いのです。 -
笛や太鼓の演奏の中、しだいに若者も加わり盛り上がっていきます。ここで踊るのは男性のみで、女性らは新郎新婦の後ろ側で、見学するのみ。朝、すでに踊ってますからね。
踊り方はある程度決まっているようで、両腕または片腕を伸ばしてリズムを取りながらゆっくり前進する、そんなスタイルです。一列になって進み、円を描くように広場を回ります。 -
遠慮がちに子供らも参入。まだ踊りの要領がわかっていないのか、大人のようなキレがありません。
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ダンスの様子を外から撮影していると、俺の写真も撮れと子供らにせがまれます。彼らは、「参加」はしていますが、正式な席が与えられているわけではありません。大人の仲間に入るのは、まだまだ先の話です。
ダンス自体は盛り上がっていますが、すでに日が傾いているため、かなり肌寒くなってきました。今日は風が強く、広場には土埃が舞っています。伝統とはいえ、これを見物しなければならない新郎新婦も大変です。 -
[晩餐の準備2]
寒さに耐えかねて、一旦家の中に戻ります。台所では、すでに焼かれたヤギの肉を小分けにする作業が行われていました。この結婚式のために、ヤギが15頭用意されたとのこと。一頭、10000-15000ルピー(11000円-16500円)はするので、結構な出費です。 -
台所横の貯蔵スペースには、数十枚の固焼きパンが積み上げられていました。これは、村の各家で焼いたものを、みんなで持ち寄ったものです。日本も、昔はこんなことしてましたよね。
結婚式が秋に行われるのは、涼しい季節のほうが食べ物が保存しやすいという理由もあります。食べ物の準備は、最終日に向けて五日前から始まります。 -
ここで私の目を引いたのは、棚に並べられた晩餐セット。パンの上に巨大な骨付きヤギ肉がのっています。ひょっとして、後でこのギャートルズのような肉片が振る舞われるのでしょうか。そう思うと、夕食の時間が待ちきれません。
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[ダンスは続く]
広場に戻ると、まだ踊りが続いていました。他に出し物ないのかよ! -
今日仲良くなったカリムさんも陽気に踊っています。彼は親分肌で村の若者のリーダー的存在でもあります。
「鶴田真由さん元気ですかー」 -
カリムと一緒に来ていたトムクルーズ似のいとこ(左)もノリノリに踊ります。
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[ついに晩餐]
6時半にようやく踊りは終了し、お待ちかねの食事の時間になりました。パンとヤギ肉をのせたプレートが、次々と村人に配られます。よく観察していると、各グループたった一皿しか配給されません。広場には200人はいたから、これは仕方がありません。
**写真: 二枚のロティの間にバットをたらす。 -
数人で一皿なら、一人分の肉はそれほど多くありません。出された料理は、あっという間に消えていきます。周りを見渡すと、家の中にいるのは、長老のような方々ばかり。「老人最優先」の原則で、本来私はここにいるべきではないのでした。
では、その他大勢の人たちは、どこに消えたのでしょう。どうも、裏の新しいほうの家や、近所の民家に分散して食事をしているようです。 -
完全に出遅れた私は、他のグループを探して家の外に出ます。暗闇の中、目を凝らすと、すぐ近くにモゾモゾ動く人影が..。あらあら、会場が足りないため、カリムを含めた若手男性グループが、家の庭で食事していたのです。私もまぜてもらいましたが、時すでに遅し。その時には、すでに小さな骨肉一本しか残っていませんでした。巨大な肉塊にかぶりつく夢は泡と消えましたが、食事にありつけただけでもラッキーです。
わずかなヤギ肉を骨までしゃぶり終えると、すでに時間は夜7時。はっきりした終わりもないまま、私も宿に戻りました。 -
[まとめ]
パスー村の伝統結婚式、いかがでしたでしょうか。やはり伝統って、いいですね。年功序列がはっきりしているからこそ、誰もが安心してひとつになれる。そんな気がします。この日の私は一日中うろちょろしていましたが、誰も文句を言う人はいませんでした。老人だけでなく、外国人にも丁重に接してくれる、そんなパキスタンの伝統を確認できた気がします。
[リンク集]
==パキスタン旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?view_mode=&dmos=os&level1=1&level2=798&level3=&sort=when
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=dm&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when
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