2009/12/01 - 2009/12/01
523位(同エリア731件中)
まみさん
オートメーション機材から火が出たのというので、当日公演中心になったシルク・ド・ソレイユの11月11日の「コルテオ」公演。
私がチケットを手にいれた筋から公演中止の連絡は来ていたのですが、直前だったので私には伝わらず、入れ違いで会場に向かってしまいました。
私は19時開演の夜公演のチケットをとっていたのでしたが、昼間の公演もすでに中止だったとのこと。
もしかしたら夜公演は再開できるかも、とぎりぎりまで悪戦苦闘したのかもしれませんが、連絡はぎりぎりすぎました。
その場で知らされれば、腹立ちも増します。
ましてやチケットの払戻しはその場ではなく、プレイガイドなどチケットを手に入れたところを通じてやってくれ、と言われれば、なんのために雨の中、ここまで来たのかと、門前払いを食わされた気分になります。
私など、まだ職場帰りの寄り道ですんだのですが、中には公演のために1泊旅行で東京まで出てきた人もいたようでした。
当然、無駄足だった交通費やそういった公演に直接関係ない代金の払戻しはありません。
怒ってスタッフに文句を言わなくちゃ気がすまなくなっていた人たちや、それを平謝りでひたすら聞くしかないスタッフも、どちらも気の毒でした。
かくいう私も、がっくり泣きそうな気分になったと同時に、どこにも向けようのない怒りがむらむら。
東京公演は1月下旬まであるので、遅い日程のチケットを取り直せるかもしれない、とチラッと思ったのですが、公演中止のお知らせの遅さや返金のまだるっこしさなどが不誠実に感じられてしまい、シルク・ド・ソレイユのせいじゃないんだけど、シルク・ド・ソレイユなんて、もう知らない!───って気分になりました。
でも、そのときに、最寄りの原宿駅のすぐそばの明治神宮で菊花展をやっていることを知り、その週末の11月15日には別の観劇ついでに、明治神宮と菊花展を初めて訪れることができました。
関連の旅行記
「はじめての明治神宮(1)七五三と外国人観光客にまぎれて御社殿へ」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10400623/
「はじめての明治神宮(2)緑と池とちょっぴりの紅葉の明治神宮御苑&キエフ・バレエを観に渋谷文化村へ」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10400629/
「錦なす花の終わりの菊だより(6)明治神宮デビューきっかけの菊花展」
http://4travel.jp/traveler/traveler-mami/album/10400727/
明治神宮は、行こうと思えばいつでも行けたのに、なんとなくチャンスがなくてずっと行きそびれていたところでした。
「コルテオ」公演中止の憂き目にあったことが、そのがっかりを少しでも解消しようという動機から、明治神宮に初めて行くきっかけとなりました。
そしてチケットは結局取り直しました。
時間がたつにつれて、楽しみにしていた気持ちがよみがえり、公演中止のときに感じた怒りを上回ったからです。
そしてリベンジしにやってきた12月1日。
この日のチケットを取り直したとき、ひそかに叶ったらいいなぁと思っていた、明治神宮外苑のイチョウ並木道に、公演前に出かけることができました。
イチョウはちょうどよい具合に色づいていて、平日晴天の格好のイチョウ散策日和となりました。
明治神宮外苑のイチョウ並木道も、行きたいなぁと3年くらい前から思い続けていたのに、なんとなく行きそびれていたところです。
「コルテオ」鑑賞のリベンジがいいチャンスになりました。
肝心の「コルテオ」は、公演が始まるまで、いや始まってからも、途中で事故でもあっていつ中止になるか、ありえないことではない───と、ちょっとびくびくしながら眺めていました。
事故で公演中止になる確率の方がずっと低いですけどね。
でも次第に舞台に引き込まれてそんな心配をすっかり忘れて夢中になりました。
最初にチケットを取ったときの期待どおりに、たっぷり夢見ここちでワクワクしながら、公演は無事に終わりました。
───これぞ、災いを転じて福となす、終わりよければすべて良し、かな?
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私の気持ちのベクトルがイチョウ・モードからコルテオ・モードに変わる
ついさっきまで、明治神宮外苑のイチョウ並木道でイチョウ散策をしていました。
東京都はイチョウがシンボルマークだけあって、外苑に限らずイチョウが多いです。
コルテオ会場の新ビッグトップに向かうこの歩道沿いにも少しだけイチョウ並木があります。
歩道を行く人たちは、今日の16時半からの公演を見に来た人たちです。
私もこれからあの中に混ざります。
今日は反対方向に戻る人は少ないですし、会場を案内する看板を持った青い服のお兄さんがいます。
なら、だいじょぶね、今日はちゃんとやるよね? -
暮れなずむ空を背景に、会場の新ビッグトップのテントのような屋根
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暮れなずむ空を背景に、新ビッグトップのコルテオ看板
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会場ロビーで一番目を引くシャンデリアの下のコルテオ・カー
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私もあの中に入ってグッズをチェックしなくちゃ!
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シャンデリアのTシャツやピエロのようなカラフルな帽子はステキだけど……
私にゃ身につける機会がないし、ふつうのTシャツや帽子より高いだろうから、見るだけネ。 -
あのマスコット、可愛い!
でも900円か。うーん、どうしよう。
マスコット、置き場所に困るくらいたぁぁくさんあるから、やーめた@@ -
会場ロビーはもろにテントです@
グッズだけでなく、食べ物の売店もあります。
でも、こういうところのって割高なのよね。
だから駅前の自動販売機でペットボトルのお茶を買って持参したら……会場持込禁止ですって!
入る前に始末しろって、そりゃぁないですよね……。
(そういえば「キダム」のときも「ドラリオン」のときもそうでした。) -
会場に向かいます@
私はゲート2なんですけど、ゲート3同様、いったん外に出てから入るようになっています。
うーん、今日は晴れているからいいけれど、雨のときは不便ですね。 -
公演終了後にコルテオ・カーを撮り直す
公演前に撮った写真は、なんだかしっくりこなかったものだから。
でも、撮り直しても大差なかったかも。 -
天井のシャンデリアを意識して撮ったつもり
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シャンデリアとロウソク、「コルテオ」の舞台のファンタジー・ムードにぴったり
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公演、無事終了@
<「コルテオ」公演感想>
公演が始まってしばらくして、私は膝に抱えていたコートを身につけました。
暑がりの私が寒気を覚えたのです。
それは、テントのような特別な会場だから、実際に気温が少し低かったのかもしれないですが、それ以上に、バロック調の美しい舞台と空中アクロバットにぞくぞくっとする連続だったせいかもしれないです。
シルク・ド・ソレイユの公演を見るのは3回目、ビデオをカウントすると4回目になります。
「キダム」と「ドラリオン」を来日公演で観ました。
それからレンタルビデオで「アレグリア」を観たことがあります。
「コルテオ」はいままで観た中で一番夢見ごこちな美しさと正統派的なファンタジー要素が強かったように思います。
数々のアクロバットは4回目ともなると、衣装や道具に多少アレンジを加えただけで基本は同じだなと思うのですが、初めの頃は「ほぉ」と眺めていたものが、その技術的な難しさや工夫、どんなに危険な技であるか、見るだけの運動音痴の私も回を重ねるごとに頭で理解するようになるので、「ほぉ」が「わあっ」「わぁぁ」「うそーっ」にどんどんグレードアップしていきました。
それに1つのストーリィ……というほどではないのですが、設定を決めて、同じアクロバットでもそれに沿うように演出されている工夫も回を重ねるごとに味わえるようになってきた気がします。
「コルテオ」はイタリア語で「行列」の意味です。
でも日本語の「行列」から連想されるものよりも、むしろ「パレード」に近いでしょう。
そして「行列」は「行列」でも実は「葬送行列」なのではないかと思います。
ただし、黒づくめで身を固めて、しめやかに厳かに遺体を墓場に運ぶあの葬送行列ではなく、どこかの習慣であるような気がするのですが、死者を悼むために死者と共に生きた日々の楽しかったことを思い出しながらバカ騒ぎして、死者の魂がやすらかに天国に行くのを明るく見守るための……仮装行列かな?
出演者の多くがクラウン(ピエロ)に扮しているので、「仮装」を連想したのだと思います。
実際、公式サイトにも「ひとりのクラウンを中心に繰り広げられる祝祭のパレード」とありました。
ひとりのクラウン、すなわち主人公によるナレーションが最初に入りましたが、それによると、主人公の「ぼく」は自分が死んだ夢を見ていて、死の床に友人たちが集まっているのを眺めている、という設定のようです。
主人公のマルティネス(確かそんな名前……)は、たとえとして適切かどうか分からないですが、アインシュタインをもう少し若くしてチョビひげをとって、すこし太らせた(といっても脂肪ではなく筋肉だろうと思います@)、お茶目な可愛いおじさんタイプ。
お茶目で可愛く感じられたのは、ピエロという設定のせいもあると思いますが、パフォーマンスのときにイタリア語や英語のかけ声の合間に時々発せられた、たどたどしいイントネーションの日本語から感じてしまったのでしょうし、「もうぼくは死んで迎えの天使たちと戯れているんだ」と俗世のしがらみや責任から吹っ切れて童心に返っているようなところがあったせいだろうと思います。
バロック調の美しい舞台や正統派ファンタジー要素が強いというのは、パフォーマンスやアクロバットのつなぎをやるのが、背中に一対の白い羽根をつけた、淡い水色のドレスを着たクリスマスに出てきそうな天使だからです。
天使は10m異常はありそうな天井から吊り下げられていて、吊るし飾りのようにゆらゆら揺れながらアップダウンをしています。
パフォーマンスやアクロバットをする出演者は、天使以外の全員がクラウンらしい格好をしていたわけではないのですが、一応、クラウンらしいです。
また、舞台の幕にはカーテンを広げようとするキューピットたちや、そのカーテンの下にはピエロたちが描かれていて、バロック様式の宮殿や教会の華やかな天井画を思わせます。
そして最初のパフォーマンスは、主人公が子供の頃を思い出すナレーションに導かれて、主人公の死の床のベッドと対になるベッドが出てきて、ベッドの形をしたトランポリンのアクロバットです。
その次が、天井から下がっている3つのシャンデリアに出演者がぶら下がりながらの空中アクロバットです。
演目の中には、舞台に一直線にトランポリンを並べて空中回転をしながら次々と渡るものがあって、パフォーマンスしていたのは上半身裸の男性でしたが、下には一見ドレスに見える白いひらひらとしたズボンをはいていたので、まるで白いレースのドレスがくるくると宙を舞っているように見えました。
そういった随所から、バロック様式の正統派ファンタジーの世界で統一しようとしている様子が感じられました。
スピードの速いパフォーマンスは、カレイドスコープのような美しい残像を残します。
音楽も私好みの、ちょっと哀愁こもったドラマチックなもので、照明とともにパフォーマンスをとても盛り上げていました。
出演者が大技の前にタイミングをはかったり呼吸を整えているんだろうなぁと思われるときでも、音楽の効果からか、それも演出に見えたりしました。
もちろん出演者たちも、すべての瞬間、注目を浴びていることを意識しながら、すべての瞬間が一連の「コルテオ」というパフォーマンスの流れの中にあることを意識しています。
いろんなアクロバットの中で今回、特にすごいなぁと思ったのは、はしごを使ったものでした。
4〜5メートルはありそうなはしごを、何もどこも支えもなく上っていって自在に歩いたり、1番てっぺんの段で両手を離して直立したり。
はしごを持って歩いているところは、ちょっと竹馬を思い出しました@
アクロバットの決め手はひとえにバランス感覚だなぁと思いました。
バレエを鑑賞していて、片足でよくああもずっと立っていられるなぁと感心してしまうのですが、人間のすぐれたバランス感覚はほんとうにすばらしいと思います。
───体育の授業の平均台も満足に渡りきれなかった私にすれば、同じ人間とは思えないくらいです。
ゴルフをテーマにしたパフォーマンスや劇中劇など、技巧を凝らすより演技を楽しむ演目も良かったです。
小さなクラウネスがたくさんのヘリウムのバルーンに乗ったパフォーマンスでは、さすがにずっと宙に留まっていられず、ビーチボールのように時々上へと押し上げてあげなくてはならないのですが、はじめは舞台の上で主人公がそれをやっていました。
途中で客席まで降りてきて、観客が押し上げました。
私のすぐ上にもやって来たので、やりましたヨ。
意外と力がいるのでとなりの席の男性の力にほとんど頼ってしまいましたけどネ。
そのときのかたことの日本語を挟んだクラウネスと主人公のやりとりも、なんだか笑いを誘う愉快な演目でした。
私の座席は10列目という、通路をはさんで前から2ブロック目の一番前というなかなか良い席でした。
私の前を、時々出演者たちが通るので、身近に顔を拝めることができました。
獅子舞のように2人で演じている着ぐるみの子馬は、私のひざですりすりしたので、他の観客と同じく私も頭をなでてあげました。
観客一体型の舞台は、シャイな私にはむしろプレッシャーなことがよくあるのですが(1人ぽつんと参加していないのも悪目立ちしそうで気になります)、今回は不思議と、プレッシャーを感じることなく自然に参加できました。
また、ステージはアリーナタイプで、観客は四方から舞台を眺めることができます。
出演者たちは主に二面を意識していましたが(残り二面には楽団ブースがありました)、舞台の奥が壁の閉ざされた世界ではなく、向こう側の観客の影が見えて、とても解放感がありました。
それは、夢の中で主人公が、自分がいる世界を他人のように眺めているという設定にもぴったりだと思いました。
コルテオ来日公演公式サイトの新ビッグトップの紹介ページ
http://www.fujitv.co.jp/events/corteo/bigtop/index.html
どうせなら最後に目覚めのシーンのようなはっきりとしたエンディングがあってもいいと思ったのですが、照明がぐんと明るくなり、出演者が勢揃いしたので、ああこれで終わりかと分かりました。
そこで観ていた私たち観客も急に目覚めたように現実に戻った気分になるので、それはそれでこの舞台のエンディングとしてちょうどよいのかもしれません。
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