2009/04/29 - 2009/04/29
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真@tokyoさん
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ヴィッラ・アドリアーナは建築皇帝といわれたハドリアヌス帝が、晩年にローマ近郊の地ティーボリに建設(118年)した別荘である。それは自身の長期にわたる帝国内視察での印象を集大成した壮大な建築群である。面積は120へクタールといわれ、全体を丁寧に見るには1日がかりである。
ここが皇帝の別荘であったことは古くから知られており、宝物盗掘の恰好の場所となり、中世には建築用大理石の供給地となり破壊が進んだ。イタリア政府が遺跡として保存に乗り出した19世紀後半には、すでにほとんどが盗難と破壊の後だったと思われる。わずかに水面下に沈んでいたものが残されていただけだが、それでも建造物の遺跡は当時を物語るに十分な内容を示している。
ここでは大浴場、海の劇場、宮廷、黄金の間などハドリアヌス帝の建築技術が発揮されている遺跡を廻る。
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模型から全体のイメージをつかみ個別写真を眺めると理解が進むと思う。白抜きの番号は説明コメントに記してあります。
ここではNo9 以降を歩きます。 -
プレトリオ(Pretrio) No9
3層からなる倉庫 当初は兵舎と推定されていたが、現在は倉庫との見方が有力である。 -
プレトリオ(Pretrio)
中央は階段部と思われる。 -
大浴場(Grand Terme) No10
正面 ローマのカラカラ浴場ほどの規模ではないが、大型建造物には違いない。正面の大ドームの一部が残っており架構造の具合がわかる。中央の大空間にはイオネア式の柱頭をもつ柱が2本立っている。
運動場は演奏会の聴衆席として使用。 -
大浴場 右の入り口から入ってみる
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大浴場 中央の広間に立つ
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大浴場 古代ローマの建築を調査した建築家ピラネージは1777年にこのような絵を残している。すでに大きく崩れており、現在の物に近い。
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大浴場 天井 架ヴォールトらしきもの。
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大浴場 イオニア式の柱
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北隣りのプレトリオ(Pretrio No9)が見える。
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いったん外の出て、プレトリオを背にして大浴場の側面を見る。
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大浴場の脇の地下通路 このような地下道が縦横に走っており、使用人は主人やお客さんと顔を合わせることなく移動できた。
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カノプスの方から見た大浴場の背中。現在はこちらがメイン道路に面しているが、模型では裏のようだ。
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大浴場全体( No10)を丘の上から眺める。手前は大浴場に付属の運動場で、現在は演奏会の聴衆席として使用されることがある。
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大浴場の左隣に「倉庫( No9)」の大型の遺構が見える。
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大浴場の西側を見る
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養魚池(Peschiera) No11
養魚用といっても周囲を列柱で囲まれた立派なもの。 -
養魚池(Peschiera)No11
こんな立派な柱の回廊で囲まれていた -
消防士の宿舎 No12
宮殿のすぐそばに在り、事あれば即駆けつけることができる。 -
消防士の宿舎 No12
正面入り口 -
黄金の間(Piazza D’oro) No13
中央の広場の向こうの南正面を見る。幅51m奥行き60mの中庭で中央には池がある。 -
黄金の間(Piazza D’oro) No13
北方面を見る。中庭は2列の列柱による回廊で囲まれている。列柱の基盤部が残っている。 -
黄金の間(Piazza D’oro) 全体の復元図 図の右が南側
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黄金の間(Piazza D’oro) 南側には特殊な形状の部屋が複雑に構成されていたようである。
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56f 黄金の間(Piazza D’oro) 北側の中央部のドーム パンテオンのように頂頭部には穴が開いていた。
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ドリス式付け柱の間(Pilastri Dorigi)No14
宮殿の一部を構成し、謁見や賓客との対応に使用されたもの -
ドリス式付け柱の間 ドーリス式の柱頭を持つが、柱の断面は四角。 柱の上の梁の部分(アーキトレーブ)とその上の3本線の飾り(トリグリフ)、その上の庇(コーニス)が一部残されており、復元図つくりには有力な手がかりとなる。
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宮殿全景 遠方に瓦礫があるだけでよく分からない。
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宮殿の復元図 「A」は隣りの「ドリス式付け柱の間Pilastri Dorigi」、1:宮殿の中庭、2:ニンフェウム(泉水堂)、3:夏用のトリクリニウム(横臥式食堂)、4:皇帝の図書館、「B」:ヘリオカミーヌス、「C」:図書館の中庭
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宮殿の中庭 No17
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宮殿の中庭からニンフェウム(泉水堂)No18 を見る。
ニンフェウム(泉水堂):噴水、彫刻、植栽、池などを配した庭、それらの織り成す景観を楽しむ。 -
宮殿のニンフェウム(No18) 近づいてみる。
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夏用のトリクリニウム(横臥式食堂)No15
ローマ時代は長椅子上で横になり上体を起こして食事を取る絵があるが、ずいぶん不自然な方法だと同情している。 -
この辺りから遺跡の位置関係が分かりにくくなるので、復元模型を別の角度から眺める。
20.客間(Hospitalia
21.皇帝のトリクリニウム
22.図書館の中庭Cortile Delle Biblioteche
23.ラテン語図書館(Biblioteche)
24.ギリシャ語図書館(Biblioteche)
25.海の劇場(Teatro Marittimo)
26.哲学者の間(Sala Dei Filosofi)
27.ヘリオカミヌス(太陽熱浴場 Heliocaminus)
28.ニンフェウム(Nymphaeum Stadio)
29.3つのエセドラの建物
30.小浴場(Piccole Terme)
31.スタジオ(Nymphaeum Stadium) -
客間 No20
お客用の宿泊施設で、中央の共通広間の両脇に5室づつ並ぶ。 -
客間 No20
床のモザイクは部屋ごとに異なる芸の細かさ -
北側に位置する皇帝のトリクリニウム No21
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皇帝のトリクリニウム No21
手前の柱の基盤には、柱との楔の穴が見られる。
無造作に、このような遺跡が転がっていると、つい有り難味が薄れてしまう。 -
ラテン図書館(Biblioteche)No23
当時の知識人はラテン語とギリシャ語の両方を蔵書し、それぞれは別の部屋または別の書庫とした。
これはラテン語のほう。 -
ラテン語図書館 別の角度から。庭には噴水らしき跡あり。
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ギリシャ語図書館(Biblioteche)No24
ドーム天井の跡が比較的良く残っている。 -
ギリシャ語図書館 近づいてみると3層構造となっていることが分かる。
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左にギリシャ語図書館 地下通路が顔を出している。右の突き当たりは海の劇場入り口。
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海の劇場入り口 No25
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海の劇場(Teatro Marittimo)No25
円形の回廊の中に丸い池があり、中央の島には東屋があった。 -
海の劇場 ローマ帝国は地中海を取り囲んでいたので、それをイメージしたものであろう。
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海の劇場 No15
地中海に浮かぶ島のイメージである。
ハドリアヌス帝の思索の場所とも言われている。 -
この角度からはイオニア式の回廊が良い状態で見られる。背景はギリシャ語図書館。
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正面のドームの部屋を「哲学者の間」(Sala Dei Filosofi)と言う。No26
ニッチ(壁をえぐって装飾品等を飾るスペース)が7個ほど残されているので、ここを書棚にしたとの見方もある。そうすればハドリヌス帝が書斎として使用したのか。
左の曲面は海の劇場の外壁。 -
ヘリオカミヌス(太陽熱浴場 Heliocaminus)No27
太陽熱といっても実態は砂風呂またはかまどからの熱風(いわゆるトルコ風)という説もある。3室からなり温水浴と冷水浴の部屋とドレスルームからなる。 -
ヘリオカミヌスの裏側 半円ドームの中で熱風浴と言われている。天井に開いた穴は熱風の取り入れ口か。
左奥はギリシャ語図書館 -
ニンフェウム(Nymphaeum Stadio)No28
昔は運動場と思われていたが、泉水跡が発見されたので現在はニンフェウムとして理解されている。
左の建物はニンフェウムにつながるスタジオ。No31 -
ニンフェウム No28
カメラの位置を少し変えてみた。 -
三つのエクセドラの建物 No29
半円形の部屋が3個あることからこの名前がついた。
Aは隣接するニンフェウム -
3つのエクセドラの建物 No29
ニンフェウムに接する面 -
3つのエセドラの建物 No29
修復作業が入っている。
多少手が入れば分かりやすくなるだろう。 -
3つのエセドラの建物
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小浴場(Piccole Terme)No30
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小浴場(Piccole Terme)No30
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ヴィーナスの小神殿 No31
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ヴィーナスの小神殿 No31
円柱の上の梁(アーキトレーブ)に6個で1グループの粒粒がついている。、これはグッタエというが、部分的に欠けてはいるがそれでも良く浴保存されているものである
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この旅行記へのコメント (5)
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- Ted@CiscoTours comさん 2010/06/06 11:40:51
- 一週間遅れのおめでとう
- 真さん、お元気ですか
一週間遅れですが、誕生日おめでとうございます。
最近あまり4Tで活躍されていないようですが、お元気でご活躍の事と思います。
このハドリアヌスの別邸、2000年以上昔の者とは思えないですね。
このような後世に残せる物があるだろうかをしみじみ思う今日この頃です。
今までの真さん達が築いた世界2位の経済大国の間に、いったい何を残したのかと思ってしまいます。
これから、更に頑張っていかないといけませんね
豊かな旅をして、素敵な旅行記待っています。
Ted
- 真@tokyoさん からの返信 2010/06/06 17:09:47
- RE: 一週間遅れのおめでとう
- Tedさん
しばらくです。
遠方からのご挨拶ありがとうございます。
少しも変わらず元気ですよ。
誕生日前20日にパリに出発し誕生日に帰国しました。
帰宅が22時頃でしたので家族は寝てました。(笑)
古希を迎えました。
パリはローマ時代から現代まで各時代の建築が残されており楽しめます。
市が環境対策として導入したVelibという貸し自転車システムがあり、たっぷり利用しましたが、この年の利用者には出会いませんでした。変な東洋の老人が走り廻っていると警察がひやひやしていたかもしれません。日没が21時頃ですので、毎日バタン、キューで寝てしまいました。
というわけで、大量の写真が撮れましたのでゆっくり整理し4Tで発表します。ご期待ください。
経済大国というのは人口が多いのだから当然です。大声で言えることでは有りません。これからは日本もようやく民度というか個人の気持ちの豊かさを追求する時代だと思います。その意味でも先人の残した遺産を継承することは大事ですね。
「100年前のニューヨーク」「同 パリ」「同 東京」という100年前シリーズ(マール社 東京)がありますが、東京だけ景観が一変しています。この辺りが経済効率至上主義といった文化レベル差でしょうか。
http://www.amazon.co.jp/100%E5%B9%B4%E5%89%8D%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%AA%E3%80%881%E3%80%89-100%E5%B9%B4%E5%89%8D%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E6%A8%8B%E5%8F%A3-%E6%96%87%E5%AD%90/dp/4837307221/ref=pd_bxgy_b_text_b
> 一週間遅れですが、誕生日おめでとうございます。
> 今までの真さん達が築いた世界2位の経済大国の間に、いったい何を残したのかと思ってしまいます。
つい長くなってしまいました。
これからもよろしく
- Ted@CiscoTours comさん からの返信 2010/06/06 22:20:02
- RE: RE: 一週間遅れのおめでとう
- 真さん
パリに行ってらっしゃたのですね。
この時期のパリ、花も咲いて綺麗でしょうね。
自転車でパリを走るって気持ち良さそうですね。
旅行記楽しみにしています。
最近「豊かさ」とい言う事を考えてしまいます。
「日本経済」は世界2位かもしれませんが、個人レベルの豊かさはどうなのだろうと。自分達は後世の人が「先人の遺産」と呼んでくれるものを残せたのだろうか?などなど。
これからも元気でご活躍下さい
Ted
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- Giraudさん 2009/10/07 23:23:42
- 旅行記拝見しました
- 真@tokyoさん
遅ればせながら、ヴィラ・アドリアーナの旅行記拝見しました。
博物館までじっくり見られたんですね。
(私は最後はトイレが我慢できず、早々に引き上げてしまいました)
写真とピラネージの銅版画と比較もおもしろいです。
- 真@tokyoさん からの返信 2009/11/09 23:01:08
- RE: 旅行記拝見しました
- Giraudさん
こんばんは
返事が遅くなり失礼しました。
余裕を持ったつもりでしたが、以外に時間がかかりました。
広さが只者ではないですから。
博物館は大急ぎでした。もっとゆっくりしたかったのですが。
ティーボリには他にも2,3見るところがありましたが、丁寧に見る時間はありませんでした。でもヴィラ・アドリアーナに集中できただけでも満足しています。
> 写真とピラネージの銅版画と比較もおもしろいです。
ピラネージは町田市美術館が大分保有しており、数年おきに特集展を開いています。昨年ありましたので行ってきました。現存するものと一致しているとうれしいです。
では、また
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