路線バス桜84系統乗り納めと聖蹟桜ヶ丘駅開業100周年

2025/03/22 - 2025/03/22

多摩市の聖蹟桜ヶ丘駅と相模原市の相模原駅を結ぶ路線バスがありました。
桜84系統。一日わずか6往復。距離16.70km。
近所に住んでいながら、なぜそんなバスがあるのか不思議な路線でした。

ある日、この路線が廃止になるとの話が聞こえて来ました。
そこで、ご近所を走る不思議なバスに乗ってみることにしました。

最初に断っておきますが、バスにはそれほど詳しくないので、至らない表現があったらお許しください。
何人の人の役に立つかは分からない、個人的な思い出を記した旅行記です。

また聖蹟桜ヶ丘駅が開業100年を迎えるとのこと。
イベントをやっているので参加してみました。

※2025年4月6日、写真を追加しました。

エリア 多摩(東京)

• 旅行の満足度: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

桜84系統の最終運行日は、2025年3月28日。

その直前の土曜日にお出かけ。
相模原駅発の便に乗ることにしました。

まずは下りの京王相模原線に乗車。
ちょうど京王ライナーがやって来ます。
京王永山以西はライナー券不要なので、すかさず乗り込みます。

ガラガラ。
休日の10時台の相模原線の下りだとそうなるでしょう。観光路線じゃないんだから。
上りの需要がメインで、下りは回送よりはマシって判断でしょうか。

早めのお昼にします。

写真の「よしの食堂」へ。
橋本駅から徒歩10分少々。

あの井之頭五郎さんも来たお店です。
店は昭和の雰囲気。現金のみ。
メニューはいろいろ。肉料理、麺、中華、カツ丼……壁一面にずらりと記されてます。覚えきれない。
女性店員さんはぶっきらぼうな感じですが、てきぱき客を捌き、注文をこなします。
よく間違えないよな～。
何回か来たことがありますが、今回はミックスフライを。
メニューに書かれているのは単品の値段で、「セットで」と言うとご飯と味噌汁がつきます。
お腹いっぱいになって千円くらい。
複数人で来ていろいろ頼むのもいいですよ。
孤独のグルメに出たとか関係なく地元の人に愛されてるお店です。

よしの食堂 グルメ・レストラン

相模原駅へ来ました。

こんな立派な案内があります。

14:10発　北2乗場　聖蹟桜ヶ丘駅行き。
この行先が表示されるのも1日6回。

相模原駅 駅

相模原駅北口の様子。
え、何もないって？
相模総合補給廠の一部返還地です。何もないのはそれゆえ。
現在、土地利用計画が策定中。
仮に小田急多摩線が延長されたら変わってくるのでしょうか。

遠くが少し山のように高くなっているのが分かるでしょうか。バスはその尾根を越えていきます。
そこは追い追い。

相模原駅の名誉のために言っておきますが、南口は商業施設もあり、それなりに栄えてます。

このバスです。
神奈中の担当。
京王と神奈中が運行していますが、京王の便は午前の運行。

iPhoneで何も考えず撮ったら行き先表示がうまく撮れなかった。（悲）
標準のアプリではシャッター速度がいじりにくいんですよね。

路線廃止の案内。

神奈中バスのサイトより。
このバスのルートです。

乗り込むと……
えっ!?ほぼ満席!?

明らかにそれっぽい人も多く見ます。
意外にも地元の人もいます。途中までは他の路線と重なるので、たまたまこのバスが来たってことでしょうね。

ちなみに「後ろ乗り前降り運賃後払い」です。

写真は上でも書いた相模総合補給廠の北側。
これのせいで道路が真っ直ぐ引けず、東京と神奈川の往来に交差点をカクカク曲がらなければならず、渋滞ポイントになってます。

さて、バスは意外にこまめに乗降を繰り返します。

沼入口バス停。
そうバスの世界に足を踏み入れると「沼」にはまるのですw

その沼入口から数人乗車。立ち客も出ました。
これは意外でした。

境川を渡ります。
神奈川県相模原市→東京都町田市に入りました。

町田街道と交差します。
交通量が多いものの交差点は狭く、渋滞ポイントです。
すぐ近くまで真新しい尾根幹線という道路が開通したのですが、今のところ神奈川側とは直結していません。

その先は結構な上り坂。
上の相模原駅の写真で見えた山越えに挑みます。

一瞬だけ尾根幹線を走ります。
尾根幹線…多摩ニュータウンを東西に結ぶ幹線道路です。
このバスは多摩ニュータウンの南大沢や多摩境地区が整備される前から走っていました。
バスは道路の整備に振り回されるようにルートを変えたと思われます。
そんな感じでせっかくの4車線の道路を走るのは一瞬だけ。

ちなみにこの辺り、土日は激しい渋滞が起きることがあります。（コス〇コ渋滞と個人的には呼んでます。コ〇トコ以外にも大規模商業施設があるけど。)

バスからすれば「俺の方が先に走ってのに！」ってことでしょう。

短いトンネルを潜ります。まさに峠越え。
町田市→八王子市へ。
そこにあるのが坂上バス停。文字通り坂の上。ここは桜84の単独バス停です。
よく町田は東京じゃない！ってネタがありますが、少なくとも水系的には町田市に降った雨は多摩川には流れないのです。

トンネルの上は尾根緑道という遊歩道。
この辺りの尾根を繋いだ遊歩道です。
とでも見晴らしのよいお散歩ロードです。尾根緑道だけでも、一つ旅行記が書けちゃうくらい。
元々は大日本帝国陸軍が戦車の走行試験に設定したテストコースの一部であり、以前は「戦車道路」と呼ばれていました。
ブラタモリの町田回でタモリさんが来たのもこの辺りです。
そう言えば、ブラタモリでは、町田が東京に入った一因として自由民権運動にも言及していました。

またこの辺りから多摩ニュータウンに入ります。

尾根緑道からの眺めの一例。（2022年5月撮影）
向こうに見えているのは相模原市の街並み、そしてその向こうは山。
関東平野って水に油を落としたように無限に街が続いている……って言われたことがありますが、ここからの眺めは、強烈に東京の終端を感じるんですよ。
絶景とは言いませんが、特徴のある眺めだと思います。

※2025年4月6日、写真追加

尾根緑道 公園・植物園

峠を越えて下り坂。

「谷戸」って地名が出てきました。地名というか、地形を表す言葉です。
Wikipediaより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B0%B7%E6%88%B8
（引用開始）
谷戸（やと）とは、丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形である。また、そのような地形を利用した農業とそれに付随する生態系を指すこともある。谷（や、やと）・谷津（やつ）・谷地、萢（やち）・谷那（やな）などとも呼ばれ、主に東日本（関東地方・東北地方・北海道）の丘陵地で多く見られる。なお、同じ地形について、中国・九州などの西日本では迫・佐古（さこ）、岐阜県では洞（ほら）と呼ぶ。
（引用終了）

この道も谷を進みます。
現在は丘陵の上に多摩ニュータウンの町が広がり、駅と住宅地を結ぶバス路線が多く走っています。
でも昔はこの谷の道を行くしかなかったんでしょうね。

かつて南大沢駅開業前にこの辺りを自転車で走ったことがあります。
人家もまばらで人など歩いていない田舎の峠道の途中にこの路線のバス停があったのを記憶しています。
今から思うと信じられません。

南大沢駅へ寄ります。５分遅れ。

この先、南大沢駅と聖蹟桜ヶ丘駅を結ぶバスは20分間隔で走っています。
ただし桜84とは一部でルートが異なります。

駅前は休日の買い物客でいっぱい。
桜84より南大沢駅の方が若いので、バス路線が駅のためにルートを変えたことになります。
まさかアウトレットや都立大もある街になるとは思わなかったでしょう。

並んでいたお客が運転手に「○○は通ります？」と尋ねてましたが、結局乗りませんでした。

その先バスはしばらく多摩ニュータウン通りを走ます。
写真のとおり京王相模原線と並走。

自分の行きたいバス停を通らなかった女性客がいたようです。
１日6往復を引き当ててしまったのか…

多摩ニュータウン通りをずっと進むと多摩センター駅を通り、新大栗橋交差点を曲がれば聖蹟桜ヶ丘駅に行くとことが出来ます。
ですが、桜84は野猿街道に入ります。
多摩ニュータウン通りの松が谷トンネルは桜84より新しいはず。

多摩ニュータウンの区域から出て、再び鉄道から離れた地域を走ります。
…が、かつては鉄道の計画があったそうです。
それは「南津電鉄」。
多摩市一の宮から横浜線相原を経て相模原市緑区あたりを目指す鉄道。
大正時代に計画されましたが、言うまでもなく実現することなく昭和初期に会社は解散しています。
仮に開業していたら…どんな多摩地域になっていたんでしょうね。

写真のバス停は、漢字で書くと引切。
このあたりにラーメン二郎があり、日によっては行列が出来てます。自分は行ったことがありません。←もう二郎の似合わないお年頃w

多摩モノレールの大塚・帝京大学駅。

現在10～12分遅れ。
ちなみに立ち客がいる状態。途中から乗ってきた人は、たまたまこのバスを引き当てたのでしょう。

この先で八王子市→多摩市に入ります。
あとはずっと多摩市…ではなく一の宮バス停付近で一瞬だけ日野市を通ります。
神奈中バスは日野市も走っていた！

大塚・帝京大学駅 駅

10分遅れで聖蹟桜ヶ丘駅到着。
長いようで短い１時間弱の旅でした。

聖蹟桜ケ丘駅 駅

運賃は620円。
電車なら新宿まで行けちゃいます。
そう考えると贅沢な旅に思えてきました。

後ろ姿。
じっくり撮れる状況じゃなかった…

出発のバス停を見てみます。

案内

案内

不思議なバス路線の旅は終わりました。
この路線の廃止で、京王と神奈中は、自社のバスの走る区間が減ることになります。
これまで相互乗り入れのようにお互いのテリトリーに入りこんでいたものを諦めるわけです。
これも時代でしょうか。

これは２日後に撮ったもの。（動画からの切り抜き）
カメラを構えた人が自分の他に数人いたことに驚きました。

廃止後の写真を追加しておきます。
なんかやっつけ仕事ですがw
でもこっちの方がかつてこんな路線があったって分かるよね。
しばらくこのままでいて欲しい。

※2025年4月6日、写真追加

聖蹟桜ヶ丘駅開業100年ということで、こんな催しをやってました。

右下のデジタルラリーに参加してみます。
定められたスポットを巡れば景品をもらえます。

廻ったスポット数が増えれば景品もよくなりますが、自分は真ん中のものを狙うことにしました。

さて街へ。
こんなマンホールがあります。
日本アニメーションが多摩市に立地しているからです。

多摩市にはキティちゃんのマンホールもあります。

聖蹟桜ケ丘駅前には「耳をすませば」の案内もあります。

人によっては、他にも多摩市にゆかりのあるアニメはあるじゃん、と思うかも。
町おこしにどうですかね、多摩市さん。

※2025年4月6日、写真追加

スポットの一つ。
和菓子の花鳥風月。
「もにゃか」という最中が猫型をしていてかわいいです。

和菓子処 花鳥風月 グルメ・レストラン

小野神社へ。

小野神社 寺・神社・教会

小野神社のサイトより引用
https://onojinja.or.jp/about/
当社は安寧天皇一八年二月初末の日御鎮座と伝えられ武蔵国開拓の祖神である天下春命(あめのしたはるのみこと)又瀬織津比咩命（せおりつひめのみこと）を主神として御奉祀申し上げて居る由緒ある神社である。

小野神社

わずかに咲いてます。

小野神社

神社の前の建物

ちょっと寄り道します。

すぐ先を多摩川が流れています。
関戸の渡しがありました。

そしてこれ。
かつてこの地は神奈川県に属していました。
その貴重な記録です。

読み取れるかな…
神奈川縣廳の文字。

他にも何箇所かスポットを拾ってせいせき京王ショッピングセンターへ。
ここで景品をもらえます。
写真のような不思議な機械があって、スマホ画面を読ませたりすると、ころんと景品のカプセルが出てきました。

この種のイベントにいい大人が参加するかなと不安でしたが(笑)、現役世代のご家族を多く見かけました。

せいせき 京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター ショッピングモール

カプセルから出てきたのはこれ。
関戸というのは聖蹟桜ヶ丘駅の旧称です。
1937年に改称されました。

このほかに地元で使える500円の商品券をもらえました。

ちなみに昨年は、多摩ニュータウンに鉄道が開通して50年ということで、いろいろ催しが行われました。そちらも参加しているので暇な方はご覧ください。
https://4travel.jp/travelogue/11912024

最後に、桜ヶ丘とその周辺の桜の写真を追加しておきます。

※2025年4月6日、写真追加

東京都立桜ヶ丘公園 公園・植物園

※2025年4月6日、写真追加

東京都立桜ヶ丘公園 公園・植物園

※2025年4月6日、写真追加

多摩東公園 公園・植物園