2024/03/03 - 2024/03/04
43位(同エリア201件中)
ひらしまさん
世界では賃金がどんどん上がっているのに日本だけが物価に見合う賃上げもできない(賃上げの主体となるはずの労働運動がつぶされてしまっているのだから当然だが)。その上、異常な経済政策が続いて日本円は惨めなまでに弱い。
それでも海外に旅したいなら財布にやさしいアジアに限る。というわけで、財布だけでなくおなかにもやさしいベトナムの、北部と中部を訪ねることにした。
まず、きなこさんが4トラ旅行記でとても魅力的に紹介してくださっているサパ周辺の棚田と山岳民族の村に行きたいと検討してみたが、やはり我々の体力ではむずかしそうだ。そこで、サパには遠く及ばないまでも少しはベトナムの田舎の雰囲気を感じてみたいと、初日はチャンアンに泊まることにした。
チャンアンはハノイの南100キロにあるカルスト地形の村。隣のタムコックより観光地化が進んでいないという。ハノイに連泊してツアーあるいはバス・タクシー乗り継ぎで日帰りするのが一般的だけれど、我々はハノイ・ノイバイ空港に着いたらすぐチャンアンまでチャーター車で直行することにした。交通費は高くなるが宿泊費はそれ以上に安くなった。
1kd=6.2円(通貨ドンは桁が大きすぎるので千ドンが実質的な単位になっています。この旅行記では1千ドンを1kdと表記します)
- 同行者
- カップル・夫婦
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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ベトナム航空機は定刻より早く午後1時半頃ノイバイ空港に着いた。曇りで涼しい。
荷物を待つ間に、スマホのデータ通信を日本で入れたeSIMに切り替える。eSIMは初めて使うので不安だったが、7日で700円足らずと安価で、Grabやマップに大活躍してくれた。
空港のATMでドンをキャッシング。入れたクレジットカードが戻ってくるのにすごく時間がかかる機械で、我々の前の人はカードを受け取らずに立ち去ってしまい、追いかけてみたけど顔も分からないし渡せずじまい。そして操作に苦労した割に手数料は高く、これなら新宿の某両替店の列に並ぶ方がよかったな。
チャンアンに向かう車は12Goというサイトを通してOUROS社に予約し、代金5600円ほどを前払いしていた。運転手はごく簡単な英語を話す人で用は足りた。
ハノイの北にあるノイバイ空港から南のチャンアンまでは120キロほど。ハノイは中心部より数キロ西側を通ったのに高層ビルが建ち並んでいて驚いた。 -
でも、オートバイの3人乗り、4人乗りは健在だ。
写真奥はお墓。社のような立派なお墓をたびたび目にした。 -
2時間余りで宿のチャンアンリトリートに到着。
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緑の生い茂る中庭の向こうにある三軒長屋の真ん中が我々の部屋だった。
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竹の壁がユニークな部屋。設備はちゃんとしている。朝食付642kd。
3月のベトナムだから暖かいだろうと思っていたら意外に寒く、電気ストーブのお世話になった。 -
夕食は近くのVĩ Tuyền。家族経営の小さな店だ。
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ベトナム最初の食事は、揚げ春巻きと焼きそばと写ってないけど鶏のフォー。生春巻きは北部にはほんとにないんだな。このあと蜜柑とお茶もサービスしてくれた。
隣のテーブルの白人男性が親切に栓抜きを渡してくれ、写真まで撮ってくれた。なんだかほっこりする店だ。
宿への帰り道は暗く、田んぼの蛙たちの鳴き声が大きく響いていた。
この日は朝が早かったので9時半には眠りについた。 -
2日目。今日も曇りだ。
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宿の前の道を散歩する。鶏と犬の鳴き声が競うようににぎやかで、アジアの村の朝を実感する。
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そして、目の前に広がるのは幻想的な風景だった。
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宿に戻って、素朴でボリュームのある朝食をいただいた。パンがおいしい。
昼のニンビン行きタクシーの手配を奥さんに頼んでおく。 -
今日のメインイベントであるボートツアーの乗り場まで2キロほどの道を、宿の自転車の後ろに妻を乗せて走り出した。
が、砂利道にハンドルを取られてふらふらし、道端でおしゃべりしていたおば様たちに笑われる始末。舗装道路に出るまでは景色を楽しみながら歩いて行くことになった。 -
駐輪場やチケット売り場は、ボート乗り場とは道路の反対側にあった。ただ、目立つところにある売り場はタムコックとのコンボ券だけを扱っていて、チャンアンのみと言うと奥まったところの売り場を教えられた。コンボ券しかないと思って買ってしまう人もいることだろう。なかなか商魂たくましい。
道路の下をくぐる乗り場へのアプローチはよく整備されていて、長い手すりは純木製だった。
岸には乗船を待つ人がたくさんいた。係員にコースを尋ねられ「2」と答えると、まもなく呼ばれ、若いベトナム人カップルに続いて舟に乗る。基本的に客は4人乗りなので、2人だと相乗りになる。船頭は女性がほとんどだが、我々の舟は男性の船頭だった。 -
流れはないので、きっと川が取り残されてできた湖なのだろう。カルスト地形の山の間を舟は進む。
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そして洞窟をくぐってゆく。
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その先には寺のような建物が見えてきた。
ここに上陸するのだが、何分間というような指示はない。同乗のカップルに聞いても全然気にしていない様子だった。あらかじめ時間を決めたりしないのがベトナムの流儀なのかもしれない。 -
祠とあるので寺なのかどうか分からないけれど、舟で洞窟をくぐり抜けてたどり着くとなかなかありがたい感じはする。
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隣の建物は扁額の文字が漢字でなく現代ベトナム語表記のアルファベットだったので驚いた。
ここで、同じ舟のベトナム人カップルの女性が写真を撮ってくれた。聞けば新婚さんだという。男性の方は終始無口だが、舟を下りるとき必ず舟を押さえて我々が下りやすいようにしてくれる気配りの人だった。
舟に戻るとき、わたしはコンクリートの階段に薄くたまっていた泥で靴底が滑り、みごとに横転。まわりはどよめいたが、どこも痛くならなかったので、我が老体ももう少し使えそうだなと変な自信がついた。 -
舟はまた長い洞窟をくぐり抜けてゆく。
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川のような湖は広くなったり狭くなったりし、浮かぶ舟も時に散らばり時に集まる。
隣の舟の人たちと笑顔でご挨拶。
チャンアンで舟に乗っている人はベトナム人がほとんどのように見えた。我々の宿で見かけた客は欧州系ばかりだったが、彼らは自転車であちこち行っているのかもしれない。 -
湖上に建つお堂が映えスポットとして大人気のようで、たくさんの舟が集まり若い女性がお堂をバックに写真を撮っている。
我が舟の新婚の彼女も彼にスマホで写真を撮らせている。薄桃色のおしゃれなアオザイがよく似合う。撮った写真を彼女がチェックしては何度も何度も撮り直させる。3分くらいは撮ってたな。彼も大変だ。
ちなみに、2人一緒に撮ろうと申し出たが辞退された。彼は普通の服装だったから、この日は彼女の撮影だけが目的だったんだろう。 -
次の上陸地では長い桟橋があり、彼らはそこでも熱心に撮っていた。
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わたしはこんなのがおもしろくて撮っていた。
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また洞窟を抜けた先の最後の上陸地から湖を振り返る。
ここには別料金の観光ポイントがあったようで、新婚カップルはそこでツアー離脱。知らない我々は船頭に呼ばれるまでボーッと待っていたこともあり、その時すでに11時40分。第2コースは所要2時間で11時半には終わると思っていたのに、いつのまにか我々も時間を気にしないベトナム流にどっぷり漬かっていた。
予定ではこのあと昨夜の店でお昼を軽く食べ、12時半にはハノイに向け出発するつもりだった。それなのに昼食どころか宿のチェックアウト刻限の12時にも間に合わないことに気づき、あわててここからは私もボート漕ぎに参加。運悪くその頃になって晴れてきて暑かった。 -
結局わたしが自転車で宿に戻ったのはもう12時半近かったけれど、奥さん笑顔で許してくれた。チャンアンリトリート、いい宿だ。
歩きの妻も到着し、ニンビンへ出発。車は白タクだが150kdと想定どおりの料金でニンビンのバスステーションまで運んでくれた。
車を降りるなりハノイ行きならこっちだという男性に誘導されて行ったバスは、まだ誰も乗っていなくて、出発までたくさん待たされるパターンかと思いながら渋々乗り込むと、なんと我々2人だけを乗せてバスはすぐに動きだした。
ハノイまでの貸し切り料金請求されたらどうしようと心配になったくらいだが、あちこちで車掌が客引きしてそれでも7,8人ほどになった。冷房の効きすぎもなく、快適なバスだった。1人100kd。 -
ハノイのザバッバスステーションからGrabで東屋ホテルの前に着くと、道路の反対側なのにポーターの青年がスーツケースを運びに飛んで来てくれたのには感動した。受付の浴衣姿の女性ともども日本語で対応してくれる。
部屋も使いやすいし、いいホテルだと喜んでいたのに、あとでがっかりしたのがバスタブに湯を入れると50リットルで冷水に切り替わってしまうこと。タブが無駄に大きいので50リットルでは全然足らず、風邪ひきそうになってしまった。 -
宿を出て鉄道線路方向に1キロほど歩く。オートバイの群れに負けずに横断歩道を渡っていく。
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途中のティエンクアン池は市民の憩いの場になっていた。将棋でもチェスでもない、見たことのないゲームに熱中するおじさんたち。こういう光景を日本では見ないのはなぜだろう。
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ハノイ駅南の踏切から線路にはいった。
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民家の軒先を列車が通り抜けるトレインストリートは今や観光ポイントとなっている。
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ハノイ駅の北側の方が有名だがカフェばかり並んでいるという情報があり、南側に来てみた。とはいえ、こちらにもカフェはいくつもあったが。
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ベトナム鉄道の列車の本数はとても少ないので、ここを列車が通り過ぎる光景は残念ながら見ることはできなかった。
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それでも、人々の暮らしと隣り合わせとなっている鉄道の雰囲気は味わうことができた。
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夕食は、宿へ帰る道から少しはいったBánh Tráng Phú Cuong Co So 2(文字化けしてしまうので一部は英語風表記です)。
思っていたより高級店。豆腐と野菜の煮物、ミミガーのサラダ、ビールで300kdしたが、おいしい。地元の人々が会食に使う店という感じで、女性客が多い。
中年女性7人がテーブルを囲んでお祝いの会をやっている様子に、ハノイはここまで来ているのかと感慨を覚えた。来年はベトナム戦争終結から半世紀になる。
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