2023/12/30 - 2024/01/02
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isu617さん
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2023年末から2024年始にかけて、一人でキューバに行ってきた。
キューバと言えば、植民地時代の名残が色濃く残るハバナ旧市街の街並みや革命前から走る50年代のアメ車など独特の景観と文化で知られ、「キューバに行く」と言うと周囲の知人からもかなり興味を持たれた。
一方で米国からの経済制裁の影響もありあらゆる面でキューバは独自路線を固持しており、特に複雑な貨幣制度が実際に訪れる観光客にとっては大きなネックである。情報の少なさもこれに拍車をかけている。現に私はお金の面でいろいろと失敗をしたので、これから訪れる人の役に立ってほしいとの思いから実用的な話、特に金銭事情に的を絞って記していく。
このような目的で書いたため長文で固い旅行記になってしまったことはご容赦いただいきたい。また、年末年始の特殊な時期であり滞在期間が短くハバナ旧市街に偏っているため限定的な情報であることもご理解いただきたい。
前編:入国・金銭事情
後編:観光・買物事情
に分けて書いていく。
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旅程は下記の通り。メキシコでも乗継ついでに3日間観光した。
12/27 12:00成田 → 12/27 09:40メキシコシティ(所要12:40)
(12/27~12/30 メキシコシティ観光)
12/30 09:40メキシコシティ → 12/30 13:30ハバナ(所要2:50)
(12/30~1/2 ハバナ観光)
1/2 14:45ハバナ → 1/2 17:05メキシコシティ(所要3:20)
1/2 23:45メキシコシティ → 1/4 06:05(所要15:20)
飛行機はアエロメヒコで、航空券は総額で26万円ほどかかり、コロナ前の相場のちょうど倍くらいまで上がっている感じだった。 -
1.キューバを取り巻く状況
ここ数年で新型コロナウイルス感染症のみならず、世界的な物価高騰、兌換ペソ(CUP)の廃止、米国との関係悪化など、キューバに関する状況は複雑に変化した。しかし2024年1月現在、「地球の歩き方」キューバ編の最新版は2019-2020年版であり、ネット上でも十分な最新情報を得ることはできなかった。
2.アメリカとの関係
オバマ政権下の2015年にキューバは米国との国交回復を実現し、米国人の渡航要件は大幅に緩和された。一時は米国人観光客がキューバに押し寄せているとの情報もあったが、だがトランプ政権に変わると関係は再び冷え込み、米国人の渡航はビジネスや帰省等に制限され観光目的での渡航は再び不可能になっているようだ。
そのような背景もあり、米国人以外でも渡航は可能であってもいろいろ制限が生じたりする。その最たる例がキューバへ渡航歴があると米国に行くときESTAを取得できなくなり、今後乗継を含む短期間の滞在でもビザが必要になること。(出入国時にスタンプは押されなかったが。)私はイラン入国歴があるせいで既に要ビザなので今さらノーダメージだ。
またメキシコシティ国際空港でチェックインするとき、米国籍でないか、米国で購入した航空券でないかなど(詳細は忘れたが)詳しく確認された。観光目的で日本から米国経由でキューバに行くことが現状可能なのか、この辺は複雑なので断言できないがなんとなく無理そうなので事実上メキシコかカナダ経由の2択ということになりそうだ。
ただ、米国からキューバへの直行便はちゃんと存在する。トラベルコちゃんで調べてみると米国からの便数は意外と多く毎日10往復程度(大半がマイアミ、一部ヒューストン)あり、本当にビジネスや帰省需要だけなのだろうかと気になった。 -
3.入国
日本人がキューバに観光目的で入国する際は事前にツーリストカード(=ビザ)を取得する必要がある。地球の歩き方ではツーリストカードとビザは別物なのか?と紛らわしい書き方だったが同じである。
ツーリストカードはキューバ領事館に直接行くか郵送で入手可能。直接行けば手数料を節約できるが、平日の週2日の午前中しか開いていない。具体的な時間はたまに変更されることがあり、また対応可能な時間にも関わらず領事が用事を入れてしまっていると門前払いになるらしい。日本を発つ前から社会主義のおもてなしを存分に満喫することができる。
申請に際し、5cm×5cmというあまり見かけないサイズの顔写真が必要になる。ローソンでこのサイズに対応していたのでアプリを使って店内の機械で300円くらいでプリントアウトできた。
海外旅行保険に入っていることの証明書(英文)の提出を求められる場合があるとのことだったので、一応印刷して持参したが入国時に出せとは特に言われなかった。損保ジャパンの海外旅行保険Off!に通常通りネットから加入すると、すぐに日本語でも英語でもダウンロードできたのでこれは簡単だった。
また以前はなかったD'Viajeros(ビアヘロ)というものをオンラインで登録しなければならなくなったらしい。内容は氏名等の個人情報、渡航日等の情報、米国永住者でないかなど一般的な事項。「地球の歩き方」では機内で入国カードが配られ手書きで記入するとあったが配られなかったので、手書きからオンラインに移行したものと思われる。
ツーリストカード入手時に「72時間前に登録してください」というQRコード付きの紙が渡される。が画質が悪くQRコードが読み取れなかったので、「D'Viajeros」で検索するとちゃんと見つかった。
「72時間前に」とあるが実際は入国72時間前~入国当日に行う。早めに済ませたくても3日前までは登録できないようになっていた(入国日選択画面で3日後以降はグレーアウトしていて選べない)。
直前に慌てたくない場合は、入国日をとりあえず適当に選んで最後のページまで進めて最後の申請ボタンはまだ押さない、という方法で日本出発前に予習することはできそうだ。
逆に言えば紙の入国カードのように機内や空港到着後入国審査前に記入することはできない。(大半の人はこの時点で自由にネットに接続することができないだろうから。)
なお質問文はスペイン語なので、私のようにHolaとGraciasしか分からない人はスマホでビアヘロとGoogle翻訳を行ったり来たりして意外と疲れる。回答は選択式なので自分がスペイン語で記入する必要は基本的にない。全部で5ページあり、私は一気に記入して小一時間かかったが、途中でセーブして後で続きを記入することもできる模様。後半の滞在ホテル名が鬼門で、主要なホテルがプルダウンに網羅されているものの自由記述欄がなかったので小さなホテルに滞在する場合は正しく選択できないことになる。私が予約していたホテルも選択肢になかったため、仕方なく似た名前のところを選んだ。
無事に登録が済むとPDFファイルが発行され、これをスマホに保存しておく。
空港に着くと入国審査の列に並んでいる途中に別の係員のデスクがあり、そこでビアヘロのPDFに記されたQRコードが読み込まれる。その場で内容をチェックされることはなく、ホテル名のように多少不都合があっても直ちに支障が生じるわけではなかった。
社会主義のお国柄でどこでも長い行列で待たされる、というイメージがあったが、入国審査の列は意外と早く捌け、質問もごく普通のもので細かく聞かれたりすることはなかった。 -
4.キューバの通貨事情
キューバと言えば複雑な貨幣制度でも知られ、25CUP=1USD(両替時は1CUP=24USD)で取引されキューバ国民が日常的に使用するペソに加えて、1CUC=1USDで取引され外国人観光客が使用する兌換ペソの2種類がかつては併存していた。現在は2021年より兌換ペソが廃止され通常のペソに統一されている。
ネットでは「2021年にキューバでの外貨不足を背景にドル・ペソの両替が禁止された」「2022年に解禁された」「日本を含む米同盟国の銀行ではキューバに関わる決済が(現在も?)禁止」などという情報が飛び交っている。事前にいくら調べても最新のキューバの金銭事情がいま一つ把握できず、行ってみないと分からないと考えて調べるのを諦めた。 -
5.両替
税関を申告無しで抜けると到着階ではなくいきなり屋外に出る。たまにあるパターンだ。(上の写真)
左に進むと両替所があった。空港には何社か両替所があるのが普通だが、ここは1か所(おそらく公営)しかない。レート表が貼ってあり、米ドルもちゃんと扱っており1ドル=約130ペソ(2023年12月30日時点)、ユーロも同レートとなっていた。他にカナダドル、確かメキシコペソや日本円もあったと思うがレートは相当悪いだろう。過去にあったというドル両替時の10%の手数料はなくなっていた。
列に並び、自分の順番が来る直前に係員がどこかに行ってしまった。しばらく待っていると横で列を管理していた警備員が「どれだけ換金したいんだ」と聞いてきたので「260ユーロ」と答えると「200ユーロでいいだろう」と。「いや、260ほしい」と答えるも聞く耳を持たないので、「200ユーロでは心もとないのでプラス100ドル」と言うと300×130をスマホの電卓で計算して去っていった。すぐ帰ってきてなぜかその警備員が1000ペソ紙幣39枚を持ってきた。小さい紙幣も混ぜてほしいと言っても英語が通じないのか通じない振りをしているのか埒が明かないので諦めると、渡したユーロ札とドル札を自分のポケットにねじ込んでしまった。 -
街中ではホテルで両替をしてくれることが多いようだ。私が宿泊した小さなホテルでもやっていた。観光地によくあるいわゆる両替所は見当たらなかった。カテドラル広場から西に入った行き止まりのところにあるレストランでも両替をしていた。
またオビスポ通りに銀行と思しき施設があり10人くらいの列ができていたが、年末年始のためかATMしか使えないようだった。
街中のレートは空港と大きく異なり1ドル=250ペソ程度が相場。
そして街中での両替は基本的に外貨→ペソの交換しか応じてくれない。たとえペソが余ってもペソ→外貨の両替は原則不可能だと思っておいた方が良い。一度増えたペソはエントロピーのように自力では外貨に戻れないのである。
なお、Google検索で米ドルとキューバペソのレートを調べると「1USD=24ペソ」と出るがこれは真っ赤な嘘である。公表されたレートとしては正しいのだが、実際にこのレートで取引されることなく、これよりはるかにペソ安となっている。
同じくGoogle検索で日本円とペソのレートは「1円=0.16ペソ」だが、これも嘘で、1USD=24ペソの固定レートとその日の円ドルレートから計算した値になっている。
帰国時、空港の建物内に両替所があったが確認を忘れたので外貨への両替ができるか分からないが、可能だとしてもレートは知れているだろう。 -
6.街中での金銭事情
街中で米ドルが実際のところどの程度使えるのか危惧していたが、普通に使えるところが多かった。3種類の通貨が混在しているのが実情で、米ドル>ユーロ>ペソの順に人気が高いようだった。
タクシーはドルが基本。レストランはペソが主だがドルやユーロでも可のところもある。ただしレートは店が思い思いに決める。1ドル=250ペソのところもあれば、1ドル=170ペソくらいで計算しているところもあった。換算に際しては端数は雑に丸めて大体で計算しているようだった。
また、クレジットカードはお察しの通り空港の一部の店を除いて使えない。
後でも触れるが、今のハバナ旧市街の物価は極めて高い。昔の物価の安いキューバ情報を信じている人がいたら数倍か下手をすれば10倍に上方修正した方が良い。
CUC・CUP混在時代は基本的に観光客が手に入れられるのはCUCで、地元民用のCUPを欲しがる人が多かったようだ。特にチェ・ゲバラの顔が印刷された3CUP紙幣が人気の的で、お釣りなどでどうにかして入手してお土産にしたいという観光客が多かったと聞く。しかし前述の通り100ペソ、1,000ペソ単位の買い物ばかりなので3ペソなんて今や小額すぎて目にする機会すらなかった。お釣りで1ペソ単位の端数が生じても10ペソ単位でしか返ってこなかった。 -
7.金銭事情まとめ
街中に両替所がなかったらどうしよう、しかも「ドル決済停止」という情報もあったのでドル自体が使えないのではないか、そうしたら帰国時点でタクシーに乗れるだけのペソが残っていなかったら詰みではないか・・・と危惧した私は、レートが低いことを覚悟の上で空港でかなり多めに両替してしまったのだった。
しかし蓋を開けてみると、街中でも両替可能、想定以上に空港とのレート差が大きかった。
(空港で警備員がドル札とユーロ札をポケットに突っ込んでしまった理由が分かってきた。街中の半分のペソを渡してまとまった外貨が得られるなんて相当有利な話なのだろう、係員が見てない隙に自分の所持金で両替してしまうわけだ。)
さらにはタクシーのように基本ドル払いでペソお断りのケースもある。2日半の滞在で39,000ペソもいらなかった。滞在2日目にはこのままでは文字通りの紙切れになるペソをいかに浪費するか頭を巡らせることとなる。
結局のところ、これで何万円も損してしまったのだった。
ドルを主軸に一応ユーロも現金で持っていき、空港での両替は最小限に抑えて必要に応じて少しずつペソに変えるのが最適解だろう。
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