2023/09/17 - 2023/09/17
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ミズ旅撮る人さん
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2022年9月の台風15号で甚大な被害を受けた大井川鐡道。
被災当時は全線にわたって運休し、ようやく12月に金谷~家山間で運転を再開しました。2023年10月1日には、家山~川根温泉笹間渡間の2.9㎞が開通、これでようやく半分が開通出来ました。しかし、残り区間の復旧には約19億円が掛かり、自力での復旧は難しい状況です。
そんな大井川鐡道をかつて走っていたC11312が、復元整備されて、華々しく展示されています。場所は新東名の島田金谷ICを降りてすぐの「KADODE OOIGAWA」という商業施設。国道473号線を走っていると、道路からも見ることが出来ます。ただ置いてあるだけなのではなく、蒸気機関車に興味のある人向けにおもしろい仕掛けがあります。蒸気機関車の静態保存の新しい形としてこういう方法もあるのだなと感心しました。
この商業施設は大井川鐡道の駅舎を兼ねています。なんと真横を蒸気機関車や「きかんしゃトーマス」が走るのです。当然、駅は人だかりです。せっかくなので、動態保存車も撮って来ました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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新東名の島田金谷ICを降りて国道473号線を南下するとすぐに両側に新しい商業施設があります。
2020年11月にオープンした「KADODE OOIGAWA」という商業施設です。国道の両側に展開する施設は国道を跨いだ歩道で繋がっており、駐車場は新東名の高架の下にあります。すごい有効活用ですね。屋根付き駐車場のようなものです。駐車場からは、ここから入ることになります。 -
駐車場から施設へと道路を渡ろうとしたら、いきなりSLが通りました。
慌てて撮ったので、ブレブレですが、大井川鐡道のC108です。「かわね路号」として運行しています。 -
C108は1930(昭和5)年川崎車輛の製造で、1961年に廃車となりました。1994(平成6)年に大井川鐡道に編入され、1997年から営業運転を開始しました。
大井川鐡道で最古参のC108は長期修繕に入っていましたが、2023年8月から「かわね路号」として運転を再開しました。運転区間は新金谷から川根温泉笹間渡(ささまど)間となっています。 -
店内は静岡県の代表的なお茶の産地川根茶を中心に、様々なお茶を紹介しています。
その奥には産直センターがあり、野菜・果物だけでなく、海の幸も並んでいるのが海に近い島田市の強み。並んでいる商品は、なかなか凝ったものが多く、見た事のないものがいっぱいです。
一般的な道の駅よりはワンランク上の品揃えでしょう。別棟には子供用の施設「キッズパーク ちゃめっけ」があり、小さな子供連れが多く訪れています。KADODE OOIGAWA ショッピングモール
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国道473号線を跨いだ向こう側の建物の中に、蒸気機関車の車体が見えます。道の駅や鉄道の駅などで保存展示されていることはありますが、こんな風に見事に展示品になっている車体は滅多にありません。
北海道安平町追分にある「道の駅 あびらD51ステーション」や新潟県糸魚川駅の「糸魚川ジオステーション ジオパル」などは保存車輛を押し出して屋外に出すことの出来る希少な施設です。こちらのC11312は動かせませんが、ちょっとユニークな仕掛けがあります。 -
C11312は、建物の大きな屋根の下に保存されていますが、屋内という訳ではありません。右側にはビュッフェレストランがあって、ガラス張りなので中からも見ることが出来ます。
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手前にはヘッドマークを支える棒が3本立っています。
2007年9月8日のさよなら運転の際には、巨大な横広がりのヘッドマークを掲げて最後の営業運転をしました。 -
これが最後のヘッドマークです。「さよならC11312蒸気機関車」
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側面を見ると、なんだか妙にのっぺりとした印象です。
運転室の窓がオープンになっているからでしょうか?C11312は、1988~2007年まで大井川鐡道で営業運転をしていた後、部品取り用として留置されていましたが、(株)東海汽缶の協力で復元されています。東海汽缶は、新金谷と金谷駅の中間、大代川の側に蒸気機関事業の新工場を2023年1月に新設しました。
兵庫県加東市の播磨中央公園で展示されていたC56135を大井川鐡道が譲り受け、動態化を目指して、その工場で整備を行っています。 -
2020年9月に加東市で撮ったC56135の写真です。これを動態保存車輛にまで復活させるのですから、すごいです。
ただ、大規模な災害によって大井川鐡道は甚大な被害を受けてしまいました。当分は棚上げになってしまうかもしれません。 -
話はC11312に戻って、説明板があります。
大井川本線の構外側線に留置されていた時のC11312です。 -
こちらは、2022年6月に構外側線の近くで見つけた車体の一部です。道路脇の空き地に置かれていました。ちょっと見ただけでは蒸気機関車の車体とはわからないほど何もありません。
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でも、好きな人が見れば一目瞭然。運転室の後ろ部分です。この後ろにタンクが付いています。
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タンク部分には新しい表記で「新金谷車両区」とあります。
これがC11312のものだったのかどうかはわかりませんが、車体の殆どを供出した車輛がいたことは確かです。 -
「KADODE OOIGAWA」の顔であるC11312は、オリジナルにこだわる必要はないので、展示品として見られるように仕上げられたのでしょう。
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この動輪は、オリジナルですね。予想外に個体番号がはっきり見えて感心します。
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「R C11312 34-6 KY」Rは右。ではKYは?
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シリンダーの両側に付いている覗き窓です。なんと上下逆さまに取り付けられています。いくら蒸気機関車に無関心な人が取り付けたとしても、上下くらいはわかりそうなものです。おそまつ。
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シリンダーの左側ののぞき窓です。右側と見比べてみましょう。
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動輪に付いている金色の部品には「C11227」とあります。
大井川鐡道の動態保存車輛の番号です。2019年にトーマスに乗った時は、おそらくC11227がトーマスでした。HPで見ると「運休中」となっているので、金谷側ではなく千頭側にいるのでしょう。千頭駅では、ヒロ・パーシー・ジェームス号・ウィンストンが展示されています。そのどれかに扮しているのでしょう。 -
C11312の運転室です。車体の周りには柵があるので近寄ることは出来ません。精一杯手を伸ばして覗き見です。見事に何もありません。配管とかコードとか細かい物から、水温計、圧力計、コックやブレーキ弁、およそ運転に必要な部品は全く残っていません。
これだったら入ってもいいのでは? -
運転室の後方、タンクと背中合わせの部分です。綺麗ですね。
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きっとボイラー部分なんて、入っていないんでしょうね。抜け殻のような車体を見る、こちらの心も空気が抜けたような気がします。
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尾灯のガラスは新品なのでしょう、綺麗な白色です。
かつての蒸気機関車の照明には、黄緑色のウランガラスが使われていたことがあります。岡山県にある「妖精の森ガラス美術館」は世界唯一のウランガラスの美術館で、そこにはアメリカ製蒸気機関車のヘッドライトの実物(ウランガラス製)が展示されています。
https://fairywood.jp/
ウランと言われるとびっくりしますが、そもそも自然界には常に微量の放射能が存在していて、日本人はラジウム温泉・ラドン温泉などに好んで入るので、人体に影響はないことはすんなり理解できます。
それよりも、ブラックライト(紫外線)を当てた時の目もくらむような美しさは格別です。是非、HPを覗いて見てください。岡山県の人形峠には日本唯一のウラン鉱床があります。 -
後進灯。元々こういう造りだったのかな?微妙に違和感があるけれど、ちゃんとあるのは嬉しいです。
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「KADODE OOIGAWA」のSLのある側の建物は、大井川鐡道の門出駅になっています。ホーム入り口前には、このような大きな表示板があって、買い物客は「トーマス号(通過)」の文字を見て、時間に合わせてホームに出て行きます。
※写真を撮ったのは9月で、10月から行先は川根温泉笹間渡に延長されました。 -
駅の乗車口付近には切符を持っていなければ入れませんが、その手前には柵があって、そこに見物客がずらっと鈴なりになります。到底、まともに撮れる場所ではありません。
ここに来た時に見たC108が来ました。今度は新金谷方面に行きます。家山駅には転車台が無いので、後ろ向きのまま走って来ます。
門出駅は普通電車しか停車しないので、SLは(トーマスも含めて)通過して行きます。 -
SLの展示を見てから、建物の中に入るとレジの前にこんなものがあります。受験生向けの切符型絵馬です。ここが門出駅で、次が合格駅なのです。左上に注目。「この切符型絵馬は、このSLの下をくぐることができる入場券にもなっています。」片側からしか見られなかったC11312の下に潜ることが出来るのです。
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しかも、営業運転をしているSLのお釜で「お焚き上げ」をしてくれるのです。まあああ、感激!蒸気機関車の燃料になる!なんと幸福なことでしょう。正に、毎日SLの営業運転をしている(現在は金~月曜)大井川鐡道ならではの企画です。
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今回は、こちらの金属製の切符を買いました。
2.11.12の日付は、五和(ごか)駅が改称されて合格駅になった日です。 -
という事で、潜って行きます。
横から見学していた時に、下に修理・点検用の通路があるなあと思っていたのです。レジで料金を支払うと、緑色のヘルメットを貸してくれます。それを被って降りて行きます。 -
機関車の後方から見て行きます。タンク部分は短いので、すぐに運転室になります。
真上を見上げて見ると、なんと運転室の緑色の屋根が見えました。
画面中央にはお釜の入り口が見えています。 -
真ん中に見えていた茶色のお釜の蓋は、これです。
ちょうど真下から見ることが出来ます。 -
手前と奥のボックスを繋ぐ部品が、おそらくあったものと思われますが、無くなっています。
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こんな内側にも油壷があるんですね。金属同士の摩擦を減らすために油は常に必要です。
油を補充する作業を見られるのは、大井川鐡道から譲渡されたダブス製の2109を動態保存している埼玉県の日本工業大学工業技術博物館。JR東日本の「SLみなかみ」の水上駅での公開作業などで見られます。日本工業大学の人は、補充するのにやかんが一番都合がいいのだと話してくれました。寒くなると油が固まって来るので、ちょっと温めるのに丁度いいのだとか。 -
普段、横からしか見ることのない部品が、下部でこんな風に繋がっているのかと、興味津々です。
左右に渡っている平たい棒は、動輪のブレーキシューに付いています。手前に伸びている二本の棒が運転室のブレーキ弁に繋がっていて、ブレーキシューを動輪に押し付ける仕組みです。
想像はつくのですが、実際に構造を見ると実感が湧きます。 -
このC11312はあくまでも展示品なので、実際に走る時にはもっとたくさんの部品が必要です。
でも、適度に取り除かれているので、中まで覗けるとも言えます。 -
頭の上に大きな黒いお腹(ボイラー)が見えて来ました。
屋外に保存されているSLは、ここに雨水が溜まって錆て底が抜けてしまっている車体がかなりあります。こんなに綺麗なボイラーを下から見られるのは、ここだけでしょうね。 -
ボイラーの先端です。この先(画面下部)は煙室とシリンダーになります。
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ボイラーの胴体は、こんな風に止められているんですね。
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シリンダー部分に大きな穴が開いています。本来は何があったのでしょうか。
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先輪です。そこを抜けると機関車の前に出ます。
前方には「 農家レストラン Da Monde(ダモンデ)」に並んでいる人がいます。ビュッフェスタイルの地元野菜を中心にしたレストランで、この日は結構並んでいました。
ここは、C11312の真横なのでよく見えるのと、反対側は門出駅のホームなので、営業運転をしているSLが通過するのを見ることが出来ます。 -
名残惜しいので、振り返って見ます。
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階段を上がって出て来ました。連結器で頭をぶつけないように。
蒸気機関車の車体は殆どが鋼鉄ですから、ぶつけたら痛いでは済まないことも。だからヘルメットなんですね。 -
せっかくなので、普段は見られない反対側も見て行きます。
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さっきは、この動輪の間に頭があったのです。滅多にない経験でした。
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この斜めの銀色の部品(中がくり貫かれている)が運転席の逆転棒の操作により、進行方向を前進・停車・後進に変換する部分です。今は後進になっています。
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L(左)がついた個体番号がはっきり見えます。
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こちら側は、レストランから見える側になります。
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運転室を見上げます。あの屋根がさっき下から見えました。
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これは山梨県清里駅に保存されているC56149の運転室です。
お釜の蓋(投炭口)の下に少し斜めに大きな鉄板が置かれています。
取っ手の付いたこの鉄板は持ち上げることが出来ます。C11312はこの鉄板が取り除かれていたので、下から屋根までが見えたのでしょう。 -
同じ建物の中の「A STATION KIOSK」では、このような真っ黒なアイスを販売しています。「漆黒」と「煙」の2バージョンあります。
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さて、「KADODE OOIGAWA」を出て、隣の駅に来ました。
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「合格駅」です。元々が「五和(ごか)」駅だったので、音としてはひどく変わった訳ではありませんが、このネーミングは見事です。駅舎自体がお社のようです。
合格駅 駅
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駅の中は社務所か駅舎かわからない状態です。
合格駅 駅
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ホームの駅名標です。ピンクの区切りが桜と水引のようですね。
合格駅 駅
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合格駅に来たのは、駅舎を見るためだけではありません。
門出駅で次のトーマスが来る時間がわかったので、合格駅に見に来ました。 -
トーマスが、小さな煙を吐いています。
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だいぶトーマスの顔が見えるようになって来ました。
トーマスの前照灯って片側に1つなんですね。(小っちゃいのが2つ付いているけど) -
オレンジ色の客車が見えて来ました。
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トーマス号が合格駅を通過して行きます。
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イチオシ
これがベストショットです。
ホームに立っている高さより低い視点なので迫力が出ました。
合格駅は、駅舎からホームには長いスロープがあります。そのスロープから撮りました。
あまり低すぎても画角が良くないので、適当な場所で待ちました。
これを表紙にしても良かったのですが、今回のメインはC11312なのでイチオシにしておきます。 -
客車の最後尾にはE101が付いていました。
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2019年の千頭駅での揃い踏みです。
大井川鐡道は2022年9月の台風15号で全線運行停止となりました。島田市の採石場跡地から大量の土砂が流出し、国道473号を押し流し、その30m下を走る大井川鉄道の神尾~福用間を埋めてしまいました。
それでも12月には各地の補修・整備を行い、金谷~家山間で運転を再開、「きかんしゃトーマス号」も運転を開始しました。
現在のトーマス号はC11190。2019年に訪れた時はC11227がトーマスでした。これは現在でも本線のど真ん中が通行できないため、千頭と金谷で機関車が離れ離れになってしまったためでしょう。運行できる機関車が金谷側にあって本当に良かったです。
2023年10月1日家山~川根温泉笹間渡間の2.9㎞で運転再開しました。大井川第一橋梁を蒸気機関車が渡る姿を見られるのが魅力の川根温泉ホテルは、これで一安心ですね。 -
2011年の川根温泉ふれあいの泉です。露天風呂から大井川鉄道に手を振るのが有名でした。この光景がまた復活したのですね。
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大井川鐡道は、定期外の収入が9割を占める特異な鉄道会社で、2017年度は約7億円でしたが、2020年以降はコロナ禍で約3億円と落ち込んでいます。そこへ台風被害です。
残りの不通区間川根温泉笹間渡~千頭間の被災箇所は約20か所、復旧費用は約19億円。自力での全線復旧は困難です。静岡県は復旧に向けた検討会を設置調査に入りました。
日本国内でも他に類を見ない多くの蒸気機関車を動態保存、営業運転している大井川鐡道です。なんとか、またこれらの機関車たちが全線を疾走できますように。
願いを込めて、かつての姿を載せておきます。 -
「さくら」のヘッドマークをつけたC5644
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後ろ向きに走って行ったC11227
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今は亡き、49616とE103
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塩郷の吊橋の下を、このように列車が走りますように。
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足元がぐらぐら揺れて不確かであろうとも、先は続いていると信じて大井川鐡道の復興を待っています。
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