2023/02/25 - 2023/02/25
114位(同エリア2779件中)
かっちんさん
東京の染色産業の中心地だった新宿区の落合・中井には、川筋の染工場の職人たちが川のあちこちで染め物の水洗いをする風景がありました。
時代とともに着物産業が下火になり、妙正寺川流域では染め職人が今では工房として維持しています。
毎年2月下旬の3日間、街自体を染め物ギャラリーに見立てたイベント「染の小道」が開催されます。
街を流れる妙正寺川には、色とりどりの反物を川面に架け渡すことで、昭和30年代の染め物を水洗いする様子を甦らせ「川のギャラリー」になります。
中井駅周辺の商店街には着物に使われる染色の技術で、店舗の軒先に飾る「のれん」を制作します。2023年は96作品が各店舗に飾られ「道のギャラリー」になります。
2023年の「染の小道」は2月24(金)~26日(日)に開催されました。
毎年、新しいデザインの「のれん」や「反物」が飾られるので、リピーターでも楽しむことができます。
では、「道のギャラリー」と「川のギャラリー」前半を紹介します。
軒先に飾られる「のれん」の説明は、「作品名」(管理No, 店舗名、染色技法)とします。
作者名は「染の小道2023最新情報」内にのれん作家リストがあるので、下記URLより確認ください。
http://www.somenokomichi.com/2023map
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・染の小道2023のHP、パンフレット
・染の小道2015のパンフレット:染めの技法
・no-ma「ろうけつ染めの簡単なやり方まとめ」
・柏市「型染の技法」
・ZUTTO「捺染技術を紐解く」
・東京都産業労働局「江戸更紗」
・新宿区HP「染の小道2023【新宿区共催】~落合・中井を染め物でつなぐ~」
・http://tamagazou.machinami.net/nakai.htm:中井商店街
・きもの用語大全「雲取りとは」
・家庭画報.com「きものの文様 鱗」
・パゴン「裂取模様」
・メルヘンアート「マクラメとは」
・各店舗のHP
・マリンピア日本海「カブトクラゲ」
・西武鉄道「3000系」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「染の小道2023」(ポスター)
このイベントは2011年から始まり、今年で14回目を迎えます。
今回は、JR中央線東中野駅から歩きはじめ、早稲田通りの東京メトロ落合駅(中野寄り)の脇道から中井方面へ向かいます。 -
最初に出会う暖簾は「空へ」(73 陶器・インテリア暮らしの彩り、ろうけつ染め)
ここはインテリアにも飾れる全国の産地の食器を販売しているお店。
「ろうけつ染め」は、生地に溶かした蝋を塗ることで、その部分が染まらないようにする伝統的な染色技法です。
このあたりは新宿区上落合の住宅街です。 -
次は「松竹梅」(72 新宿上落合郵便局、ろうけつ染め)
妙正寺川の南側にある商店街「中井商友会」に入ります。 -
「海の見える街」(70 EMクリーニング ハヤシ、ろうけつ染め)
-
「時を刻む」(71 夜咄Sahan、ろうけつ染め)
不思議な空間と時間がイメージできます。
「ろうけつ染め」は、型染めと比べ、手書きの線で描いたように絵画的に仕上がります。
お店の名前は「よばなし さはん」。
懐石料理とお酒から始まる茶事を、正座や作法を気にせず茶事体験ができる店です。 -
「心つながる日」(74 Galleryさくら社中 はなれ屋、友禅)
作品説明は、「染の小道での出会いや、繋がりの温かさを表現しました」
「友禅染め」は防染糊で絵柄の輪郭を手描きし、多色で染め上げます。 -
「ふしぎの森」(68 東京信用金庫中井駅前支店、ろうけつ染め)
滝の内側にある不思議な森でしょうか。トナカイがいます。 -
「カブトクラゲに会いに行く」(76 お茶の間キッチン カブトムシ、型染め)
カブトムシがボールのような「カブトクラゲ」と遊んでいます。
「カブトクラゲ」は「兜」に似た姿ですが、一般的な刺すクラゲとは違い「クシクラゲ」の一種。
作品説明は、「明るいお店の雰囲気からカブトムシのお出掛け場面が浮かびました」 -
「朝顔」(75 喫茶とお食事 シャンブル・ラ・ネージュ、ろうけつ染め)
藍色の背景に水色の朝顔が似合います。 -
「流水に松菊紅葉」(67 セブンイレブン、紅型)
秋の季節感のある素晴らしい作品です。
作品説明は、「地の水色は藍生葉で染めました。秋の風景です」
「紅型染め」は、沖縄を代表する伝統的な技法。型紙で糊を置き、手筆で色を挿します。 -
「雲取図 爛漫」(66 伊野屋書店、紅型)
雲の形の曲線を図案化した「雲取り模様」の中に春の花が咲き誇り、まさに春爛漫。
作品説明は、「華やかな雰囲気になるように染めました」 -
カメラの三光堂
これはお店独自の暖簾。
干支の絵と可愛い動物写真をデザインしています。 -
イチオシ
「七転八起」(78 丸八青果、友禅)
青果店に相応しい野菜を使った達磨。カボチャ、ハクサイ、メロン、ナス、スイカ、サトイモ、ピーマン、トマト顔の達磨さん。
作品説明は、「倒せどもなりもの達磨すまし顔ころぶ身にこそ味はひはあれ」 -
「鱗紋」(79 串揚げ あげあげ、コラージュ)
地と文様の三角形が交互に入れ替わって構成されている「うろこもん」。
作品説明は、「ハックルベリーで地染めをして、紅花とクサギで文様を染めました」 -
「山と月」(80 中国料理 菜来軒、型染め)
作品説明は、「洋種ヤマゴボウで地染して、文様はアクリル樹脂顔料で色挿しです」
「型染め」は、型紙を使って布の上に防染糊を置き、染液をつけた刷毛で染めるか又は染液に浸して染め、水洗いで糊を落として模様を表す染め方です。 -
「笹かき分けて」(81 田舎そば 須坂、玉ねぎ染め)
作品説明は、「前々回に楽しさに目覚め、前回も今回も玉ねぎの皮で染めています」 -
「紫陽花花模様裂」(64 居酒屋 小島、紅型)
作品説明は、「古典柄を優しい色で染めてみました。初めての暖簾に挑戦です」 -
「遊金魚」(63 花と癒しの空間 さくら茶房、紅型)
金魚が優雅に泳いでいます。
作品説明は、「真冬ですが、どうしても金魚の暖簾が欲しくて染めてみました」 -
「花の回廊」(62 イタリアンレストラン オリーブモンド、紅型)
花の回廊を歩いてみたくなります。
作品説明は、「花が咲き誇る春の日をイメージして染めました」 -
「多彩なる料理の宝庫」(82 東地中海・中東料理&Cafe シュクラン中井、友禅)
地中海・中東料理が地図と共に描かれています。
作品説明は、「中世イスラームの様式に則り南を上に、種々の料理を配しました」 -
街の記憶を今に引き継ぐ「川のギャラリー」(妙正寺川の寺斉橋からの眺め)
色とりどりの反物を川面に架け渡すことで、染め物を川で洗っていた昭和30年代までの風景を現代によみがえらせています。 -
「KAFFEEBOHNEN」(58 CAFe NAKAI、火山灰,軽石,温泉,べんがら,コーヒー染)
作品説明は、「桜島から採れる色などで染。暖簾(和)とカフェ(洋)をミックス」
妙正寺川を渡ると新宿区中落合。商店街は「中井商工会」になります。 -
西武新宿線の踏切(中井駅前)
左側に中井駅南口があります。 -
「染の小道」案内所(西部新宿線中井駅南口)
パンフレットの配布、オフィシャル手ぬぐいなどの販売を行っています。 -
ねこみちアートフェス
横道の「ねこみち」は後で訪れます。 -
イチオシ
「盛宴」(53 串焼きの四文屋、型染め)
美味しそうな串焼きの絵。思わず暖簾をくぐりたくなります。
作品説明は、「美味しい串焼きとお酒。仲間と過ごす楽しい時間を表現した」 -
「宇宙の神経」(32 メガネ Arai、草木染め)
風になびくチェック柄。
作品説明は、「私たちの目に見えない想像の中の宇宙の色が染み込む姿で表現した」
「草木染め」は、植物の葉をはじめ、茎、根、実などの煮汁を用いた天然染料を用います。 -
「至福」(33 ファミリーマート、草木染め)
作品説明は、「毎瞬間人生を大切にして私の道を探すことが 本当の幸せだ」 -
「赤い秋」(29 日本そば 尾張屋太吉、草木染めエコプリンティング)
赤い秋とは紅葉のことですね。
蕎麦店の青い暖簾と対照的な赤い暖簾が調和しています。
作品説明は、「赤い秋を表現するために植物の葉や花でエコプリンティングをした」 -
「花々晴々」(30 中井接骨院、友禅)
美しい彩りの花々を見ていると、心が晴々としてきます。
整骨院なので治療を受けて気持ちも晴々します。
作品説明は、「伝統的な手描き友禅染めの技法で描きました」 -
「葡萄の季節」(12 トケイ・メガネ ミナクチ 、紅型)
作品説明は、「モダン紅型の世界を楽しみながらこれからも頑張ります」 -
「我が家の猫ライカ」(11 セブンイレブン、紅型)
猫の愛らしい姿が表現されていて癒しを感じます。
作品説明は、「家で飼っている猫をモデルに、型紙から制作しました」 -
のぼり旗「染の街、中井・落合」
「染」マークには、「工」と「友」の文字が埋め込まれており、二つの商店街「商工会と商友会」を意味しています。
では、山手通りの高架下をくぐり、新宿区中井に入ります。
ここは「東京造形大学の小道」。 -
「猫」(02 ToRa1.2.3.カフヱ、捺染)
作品説明は、「猫の髭や毛の模様、足元などを抽象的に表現し、デザインしました」
う~ん、猫の姿や髪、毛らしきものはわかったのですが、足元はどこだろう?
「捺染(なっせん)」とは、染料を溶かした色糊を使って布に模様を描き(プリントし)、染料を固着した上で水洗いし、出来上がる染色方法です。 -
イチオシ
「味覚庵の紀州南高梅」(03 紀州梅干 味覚庵、色糊捺染)
一粒一粒をリアルに描いた南高梅。香ばしさと酸っぱさを感じます。
作品説明は、「味覚庵の柔らかい大粒の紀州南高梅の箱詰めをモチーフに作成」 -
「カサカサカサ」(04 Quintet、草木染め)
二つの笠と傘の絵で、「カサカサカサ」。
露店販売です。
作品説明は、「傘?笠?カサカサいう音?をモチーフに広がりを表現したい」 -
ニッコリ顔の西武線電車(中井駅)
2008年4月にデビューした、新しい西武鉄道を象徴する30000系。
コンセプトは「Smile Train~人にやさしく、みんなの笑顔をつくりだす車両~」。
「スマイルトレイン」と呼ばれています。
ホーム西側の踏切を渡り、再び南側の妙正寺川へ。 -
染め物が彩る妙正寺川(栄橋からの眺め)
手前に今年の干支「うさぎ」の絵柄。
左岸に「江戸更紗の小道」が続きます。 -
美しい「縦縞裂取更紗」(06 鉄板居酒屋 春海、更紗)
「裂取(きれどり)」とは、パッチワークのような文様構成のこと。
作品説明は、「縞模様に細かく更紗の柄、あえて無地場を作っています」
もともとインドで誕生した「更紗(さらさ)」。
日本の「江戸更紗」は、型染めを応用し、複雑な柄を多色刷りに仕上げています。
少ない柄では20枚、多い柄では90枚ほどの型染めを繰り返すことでも淡い同色系のグラデーションの表現を可能にしています。 -
鮮やかな「横段花更紗」(07 ヘアーサロン タニ、更紗)
作品説明は、「牡丹のような大胆な大花をあしらった横段の更紗」 -
「丸紋更紗」(08 ソウル南山、更紗)
作品説明は、「更紗でも人気の柄。フルーツの断面を切ったモチーフが図案の元です」
家紋かと思えばフルーツの断面、素敵な模様があります。 -
「槍と花の更紗」(09 BBミュージックアカデミー、更紗)
玄関の両側に飾るとお洒落。
作品説明は、「更紗では人気の槍柄と花柄の組み合わせの柄」 -
イチオシ
「手作りART&雪gesho」(10 東京堂 化粧品店、藍染め )
紐を使って工夫した藍染めの暖簾。富士山の雪化粧ですね。
作品説明は、「マクラメ暖簾地に糊を使い 藍を主に、多色との効果も期待して作成」
「マクラメ」とはアラビア語の「ムクラム」(格子編)に語源があり、「交差して結ぶ」という意味。
紐を結ぶ編み方のことです。 -
落合第二小学校の作品(川のギャラリー)
毎年、同校の生徒が描いた作品が展示されます。
黄色いキャラクターは「おちにちゃん」。 -
きめ細かい模様の反物(川のギャラリー)
-
イチオシ
優雅な反物(川のギャラリー)
昭和30年代には、この長い反物が妙正寺川で水洗いされていたことが想像できます。
まだまだ続くので、次の旅行記で紹介します。
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