2020/12/10 - 2020/12/11
278位(同エリア1252件中)
のまどさん
今から思えば過ぎ去ったことですが、ロックダウン哀歌第2弾。同年3月に布かれて以来一度は緩和されたものの、常時には生きがいとなっていたベルギー国外脱出が考えられなくなり、数少ない楽しみは買い出しのみ。おまけに自宅勤務となりワークホリックよろしく、気が付いたら年末に消化できないほどの休暇日数。
山上りがワンパターンになっていたので、たまには海に行こうと宿を探したところ、普段は行かないブリュージュに興味深いB&Bを見つけ、博物館・美術館を回ることにしました。
この旅行記のパワーワードは「羊亭」のマイケル氏。なぜ、バスタブの写真を選んだのかは後で書きます。ロックダウンの地元ベルギー旅行記は逆説的愛情に満ちています(苦笑)。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 徒歩
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まずはド・ハーン(De Haan)の海岸を歩きます。若かりし頃ウワバミと夏に訪れたこの海の同じ晴れた空を冬のロックダウンに囚われずにカモメが自由に飛びます。回想に耽りながら地元のお肉屋さんで買ったサンドウィッチを食べます。海風は強く、食べている姿など思い出したくもないのですが。
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本日のお宿、羊亭('t Schaep拙訳)。出迎えてくれたのは支配人のマイケル氏。
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評判通りのなかなかの雰囲気。マイケル氏の家族が住む建物左側は18世紀に建てられ、現在の宿名と同じ民宿だったようです。ちなみにオランダ語の発音は「っとぅすかーぷ」という感じになります。
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客室のある右側は19世紀にガラス職人の工房になりました。室内の家具もアンティークを並べていて風情がありますが、どうも手垢だらけの他人の部屋に上がり込んだような感覚が払しょくできませんでした。そこがやはり素人経営のB&B。
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工房の主サムエル・クーク(Samuel Coeke)についてはこの宿を通して知りました。我々に宛がわれたのはこの建物で唯一彼の作品が現存している部屋だそうです。表紙の写真の通り、作品を拝みながら入浴しました。
悔やまれるのは外出した際、電気をつけっぱなしにして外から写真を撮らなかったこと。Booking.comの写真を見て下さい。
https://www.booking.com/hotel/be/huis-t-schaep.nl.html?aid=304142&label=gen173nr-1FCAEoggI46AdIM1gEaBWIAQGYARy4ARfIAQzYAQHoAQH4AQuIAgGoAgO4AozWkZMGwAIB0gIkMmU1NjEwNmMtMDRlYS00MDk1LTkzYzQtYjEzNTVlZGVkYWNj2AIG4AIB&sid=05cd80901ad42b5b3c380674fefdba7b&dest_id=-1955473&dest_type=city&dist=0&group_adults=2&group_children=0&hapos=1&hpos=1&no_rooms=1&req_adults=2&req_children=0&room1=A%2CA&sb_price_type=total&sr_order=popularity&srepoch=1650748191&srpvid=cbe994cf7f80004c&type=total&ucfs=1&activeTab=photosGallery -
「気に入っていただけましたか」とのマイケル氏(←どうもこの呼称慣れない)の会話を軽く受け流し、散策に出かけます。日没までの限られた時間で聖サルヴァトール聖堂。黄昏の中で煌びやか。
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大広場(Grote Markt)。一大イベントのクリスマスに向けて装飾がされていますが、やはりうら寂しい。
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かつて黒死病が流行した時代にも同じ日没風景を見ながら人々は明日への希望を祈っていたのだろうか。
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ビール博物館。試飲という名目で楽しそうにビールを飲んでいる人がいましたが、れっきとした違法行為。それでもロックダウンで収益がなくなった主催者も文化を奪われて飲み場を枯渇する利用者の気持ちも痛いほど分かります。
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そして、ザント広場に日が暮れました。スーパーの入店も人数制限があるのでウワバミが冷えていない缶入りカクテルとビールを買って、夕食まで部屋で飲むことにします、
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夕食の間サムエル・クークの工房を我々二人で占領。写真は翌日の朝撮影。
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やたらに暗い中での晩餐。聞けば彼の奥さんの手料理。やはり素人ですが、コロナ禍でレストランは閉店しているので嬉しいです。
深堀したところマイケル氏は察した通りインド系2世のようです。主食はサーモンでベジタリアンの選択肢がないので恐らくはムスリムかと。ワインが×な点からも間違いない!
イルミネーションのイベントを執拗に推すので寒いから出歩きたくないと断り続けたところ、ロックダウンで文化を奪われた人たちの話が出て「B&Bの経営も大変なんだ。だから宿代は現金で払ってね」と。そこかい!イベントの宣伝は外に出てATMで現金を引き出す機会にしたかったのね。ベルギー在住の我々は現金引き出しに手数料がかからないので素直に献金しました。ちなみに羊亭は平日にもかかわらず両日満室のようでしたが。 -
粗悪なワイン(←飲むのやめた)と冷えていないビールを飲みながら他人ん家の留守を任されたような部屋で落ち着かない一夜を過ごしました。
翌朝の朝食。スモークサーモン。またしてもサーモン。仕入れやすいのかしら。 -
羊亭、歴史的価値は高いと思います。マイケル氏と対峙できる自信がある方にはお勧めです。
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荷物を駐車場の車に詰め込んで街を散策します。
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雨に濡れた石畳のブリュージュ。必要以上に寒いのは従来の冬の気候ではなく、ココアやコーヒーの歩き飲みも許されないロックダウンのせいだ!
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抱き合って体を温めながらお互いに頭を埋めて泣きたくなる気持ちも痛いほど分かります。この銅像に涙を流しそうになりました(←もはや精神的極限)。
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予約していたグルートフーズ博物館(Gruuthusemuseum)。受付の若いお兄さんが「お客さん、本当に少ないんだよ」と。気の毒になりました。静かにじっくりと見学できますが、これだけ人がいないと国宝も寂しそうです。
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『聖ヨーリス、大天使ミハエルと竜』
博物館の名前になっているグルートは中世のビールで課税特権を持っていたブリュージュの豪族が財をなしてこの館を建てたようです。 -
ベルギーの名産品タペストリーはロシアでも重宝されました。
日本で掛かっていた歯医者が「ベルギーは贅沢品の貿易で大儲けするんだよ」と知識をひけらかしていましたがあながち間違っていません。オランダ人の方がまずいビールとまあまあのチーズ(←具体名は伏せます)を世界中に売り出すような商才に長けていますが、 -
それにも勝るとも劣らないあくどさとあざとさを持ちながらもあたかも無垢のように振舞えるのが今に至るベルギー人の天賦の才だと思っています。(※すべて個人的見解)
ラピュタの一コマを思い出す窓辺。 -
ベルギー人の短所かつ長所は独自性を押し出せずに妥協してしてしまうことですが、ブリュージュも繁栄の礎を築いたのはブルゴーニュの豪族でした。彼らが求めていたのは自由に交易ができる海。この記述を読んだ時、今でも車で7時間ほど離れた地の人が地権を得たいと思うほど価値があったのだと納得しました。
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『模型ゲントの聖女号』
ブリュージュはハンザ同盟の一員となり、その後は毛織物貿易で栄え、南北ヨーロッパから商人が集い、12世紀から15世紀にかけて黄金時代を迎えます。 -
その後、交通の要であった運河が滞るとアントワープに取って代わられ、17世紀にはオランダのアムステルダムが栄えたため、アントワープも衰退しました。まさに栄枯盛衰。
日本から舶来の『南蛮漆塗りの旅行鞄』や伊万里焼の食器などの展示もありますが、オランダから輸入されたものでしょう。 -
今でもブリュージュの名産品として名高いレース。かなり細かい手作業を要するので現在どれだけの担い手がいるのでしょうか。
ちなみにオランダのデルフト焼きもそうですが、ばらまき土産うってつけの小物はアジア製です。安いからと毎回喜んで大量購入して日本に帰る母には口が裂けても言えませんが。どちらも本物は相当な値段です。 -
有名な聖像の部屋。ブリュージュらしい荘厳さがあります。展示の仕方も素敵です。
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聖女アグネスの像。手にしている羊は純潔の象徴ですが、この人の受難はなんとも残酷です。
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部屋から聖堂を一覧できます。
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最上階にありました、マイケル氏が言った通り。サムエル・クークの作品。中世っぽいのは彼のスタイルがネオ・ゴシックだったから。
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次の予約時間まで行き場がないのでうろうろとひたすら歩きます。ベルギーの冬、やはり雨です…
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かつて母とボートから撮った写真には空が青く晴れ渡っていました。
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時間になるや否やグルーニンゲン美術館に入ります。館内の暖房が心身からありがたく思います。
ロジェ・ヴァン・デル・ワイデン作『聖母を描く聖人ルカ』 -
ヤン・ヴァン・アイク作『マルグレータ・ヴァン・アイクの肖像』
静そのものですが、重厚感がすごい作品です。それにしても、この髪型どのように仕立てたのだろうか。 -
ハンス・メムルンク作『倫理を説く祭壇三連画』
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以下、私の国語力と語学力の欠如を以って作品を貶めざるべく、英語で作品紹介をさせて下さい。美術館にはオランダ語・フランス語・ドイツ語・英語の4言語で各作品の表示があります。なんてったってベルギーですから。
ヤン・ヴァン・アイク作'Madonna with Canon Joris van der Paele' -
ヤン・プロヴォースト作『十字架刑』
16世紀初期の作品。 -
ジェラール・ダヴィッド作'Judgement of Cambyses'
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イェロニムス・ボッシュ作『最後の審判』
我々はボッシュをこよなく愛しています。彼の作品は見る度に発見があります。オランダの画家ですが本名はヴァン・アーケン、アーヘン出身という苗字なのでドイツ系です。 -
いつも目が合った気がするのはこの人。なぜ鍋の中に納まって頭上に剣を振りかざしているのだろうか。ボッシュの作品にはこう言った奇想が至る所で見られ、時空を超えたような自由な発想はこの時代にハッパ吸ってたという低俗な仮説を導きます(←撤回しなさい)。
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ボッシュのもう一つの作品『ヨブ記祭壇三連画』。
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植物や動物も端正な描写で多く登場し、宗教的な重いテーマも混とんとしていても明るい雰囲気すらあるのはボッシュがゴシックからルネサンスの過渡期の画家であると位置づけられているからかもしれません。
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Pieter Pourbus 'Portraits of Jan Eyewerve and Jacquemyne Buuck'
ブリュージュのお金持ちの結婚記念肖像画だそうです。 -
Pieter Claeissens II 'Allegory of the Peace'
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Frans van Cuyck de Myerhop 『鳥の静物画』
17世紀後半の作品。写真のような立体感は時代の潮流と画家の技術故です。 -
Erasmus Quellinus II 'Achilles among Daughters of Lycomedes'
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ジョセフ・ベノワ・スヴェ作 'The Invention of the Art of Drawing'
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James Ensor 'Icones, Portrait of Eugéne Demolder'
1893年作。地元の画家の作品だけど印象派+東欧美術の影響を受けているでしょう。 -
エドモンド・ヴァン・ホーヴ作『自画像』
1879年の作品。イケメンと騒がれたかったのかもしれません。ネオ・ゴシックかな。 -
ルネ・マグリット作『脅威(拙訳)』
マグリット、勉強不足です。恥ずかしながら自宅から徒歩10分の美術館に行ったことがありません。 -
ポール・デルヴォー作『平穏(拙訳)』
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ジョルジュ・ミンヌ作『三人の聖女の墓石』
ブリュージュはベルギー建国の礎とも言えるほど豊かな歴史文化を堪能できる街です。それでも、我々のような穿った見方しかできない在住外国人はガイドに徹するべきです。コロナ禍が終息したとされる昨今(←何回目だ?)、ブリュージュも活気を戻していると思われます。どうか、来たいと思う方の訪問が叶い続けられますように。
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