2022/03/16 - 2022/03/16
13位(同エリア497件中)
かっちんさん
マンションやビルが立ち並ぶ埼玉高速鉄道「川口元郷(かわぐちもとごう)」駅周辺には、鋳物産業で栄えた当時のモダンな建物や今も続く鋳物工場があります。
川口の鋳物が繁栄を続けてこられたのは、近世以来の日用品鋳物から始まり、その一部を継承しながら生産品目や生産体制にさまざまな変化を遂げ、明治以降近代産業として発展してきました。
さらに川口特有の「買湯制度」は自由な開業が可能となり、工場数を増やしました。
「買湯制度」とは溶解炉を持たない業者「買湯屋」が自分で注文を受けて造型作業を行い、製品の鋳造を溶解炉を持つ鋳物屋から熔湯を買って行うことです。
また、荒川と見沼を結ぶ「旧芝川」が町中を流れ、江戸時代には河川舟運が盛んだったことが想像できます。
今日は埼玉高速鉄道に乗り、川口元郷(かわぐちもとごう)駅前の安行(あんぎょう)桜並木の花見と、住宅街にわずかに残る鋳物工場を探しに行きます。
トップ写真は大泉工場のガーデンに咲く杏(あんず)の花。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・埼玉高速鉄道のHP、「歴史ある寺社と文化財を巡るさんぽ」パンフレット、「フタバ屋本店」
・荒川ふらり散策「岩淵の渡船場跡」:川口宿
・Saitama気まぐれ散策「見沼通船堀のこと」
・岩手県工業技術センター研究報告第10号「コシキ溶解技術の高度化」、2003年
・樹モール「元郷・領家周辺o散歩」
・川口産業振興公社情報紙「街の中の鋳物探し」
・川口市郷土資料館「母なる芝川-川口をつらぬく川-」pdf
・YAMAMOTO Yoshio desuのHP「受賞歴」:伊藤鉄工の壁画、まちかどスポット賞
・伊藤鉄工のHP
・国土交通省「手づくり郷土賞」
・大泉工場の理念発信サイト「OKS株式会社大泉工場があるところ」
・埼玉県「大泉工場」
・大泉工場のHP、現地案内板
・あすドコ「【2022年春】桜、梅、桃、杏の見分け方。お花見の話のネタにどうですか?」
・NET47株式会社宮岡のHP
・安行桜密蔵院のHP、「安行桜の生みの親 沖田雄司さんインタビュー」
・街道・水路歩き たけやん/ひなたの日記帳「安行桜 今が満開 埼玉県川口市」2020/3/7
・ウィキペディア「埼玉高速鉄道」「エルザタワー55」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
川口元郷の案内パンフレット
「川口元郷駅」周辺は、駅前に安行桜並木、わずかに残る鋳物工場、昭和初期の住居が残る「大泉工場」、大正時代の煉瓦洋風建築「旧田中家住宅」、町中を流れる旧芝川等、町歩きのモデルコースがあります。 -
埼玉高速鉄道「川口元郷駅」
平成13年(2001)に開業した埼玉高速鉄道(赤羽岩渕~浦和美園)は、赤羽岩渕で東京メトロ南北線と接続し、その先の東急目黒線まで直通運転し、都心とのアクセスが便利な鉄道です。
今日は東急目黒線の直通電車に乗り、「川口元郷駅」にやって来ました。
自動改札機の通路表示が工夫されていて、改札・集札両用機に「上下矢印」、ICカード利用可能な改札機に「IC」が表示されています。 -
「たまさぶろ」のお出迎え(川口元郷駅)
埼玉の「たま」とsubwayの「sub」を合わせて命名された埼玉高速鉄道のキャラクター「たまさぶろう」がお出迎えしてくれました。 -
元郷の歴史と鋳物の製造工程を描いたレリーフ(川口元郷駅改札口横)
江戸時代の元郷には川口宿がありました。
帆掛け船は江戸と見沼を荒川と芝川で結び、見沼周辺から農作物や薪、味噌、醤油を江戸へ運び、江戸から肥料や油、塩、日用品などを見沼へ運んでいました。
鋳物の製造工程のレリーフは、右側に「わりや」と呼ばれる鉱石を割っているところ、左側にキュポラを縮小したような形状の小型炉(こしき炉)に鉱石を入れて溶解しています。 -
駅前の「安行桜並木」(川口元郷駅前)
地下の改札口から地上に出ると「安行桜」が満開。 -
花数の多い「安行桜」(川口元郷駅前)
帰りにじっくり花見することとし、町歩きに出発します。 -
「元郷圦ノ口(いりのくち)庚申塔」(元郷1丁目)
文政11年(1828)に元郷村の芝川堤に建立された庚申塔の道標です。 -
お昼はそば処「むさし家」(元郷4丁目)
-
梅おろしそばの中盛り(むさし家)
大根おろしのつゆにつけたお蕎麦は、梅の酸っぱさが味を引き立てています。 -
黒壁の建物(元郷4丁目)
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造り酒屋のような風情(元郷4丁目)
かつての商売はわかりませんが、現在の株式会社「もといち」は不動産業を営んでいます。 -
イチオシ
近代的なマンションと混在する町並み(元郷4丁目)
高い建物は超高層タワーマンションの「エルザタワー55」。
平成10年(1998)に日本ピストンリング川口工場跡地に建設されました。 -
イチオシ
煙出しのある鋳物工場(元郷4丁目)
屋根に煙出しがある「加藤合金鋳造所」の工場。
ここは川口市の準工業地域です。 -
「フタバ屋本店」(元郷3丁目)
創業者が相撲好きだったことから双葉山の名前が店名に。
昭和26年(1948)に創業し、当時は周辺に鋳物工場が数多くありました。 -
懐かしい「コッペパン」(フタバ屋)
あん・マーガリンをコッペパンにつけてもらい、3時のおやつにします。 -
工場フェンスの壁画(元郷3丁目)
伊藤鉄工でつくられている鋳物製品が描かれています。
歩行者信号機の鋳鉄柱、花模様の横断防止柵の上にベンチレータ、排水鋼管用可とう継手、排水トラップ、格子網落葉キャッチャーなどが描かれています。
よく見れば「ito」の文字にもなっています。 -
川口市まちかどスポット賞を入賞(工場フェンスの壁画)
壁画は山本吉男氏のデザインで、平成3年(1991)11月に川口市都市デザインまちかどスポット賞「工場フェンス壁画」を入賞しています。
山本氏は伊藤鉄工のストリートファニチャ(通りや道路の機器やオブジェ)製品のデザインを手掛けています。 -
鋳物の砂型かな?(伊藤鉄工)
鋳物を作り終えた後の砂型だと思います。
工場の外から拝見しています。 -
工場の外観(伊藤鉄工)
昭和6年(1931)にストーブの製造販売を事業の柱の一つとして創業した「伊藤鉄工」。
昨年(2021)90周年を迎えた鋳物製造専門の工場です。
埼玉県「彩の国工場」に指定されており、団体の工場見学は直接予約すればできることになっています。 -
欄干のデザインが素敵な「仙元橋」(元郷3丁目)
旧芝川に架かる「仙元橋」です。
鋳物の欄干ですね、 -
「旧芝川、水とみどりの遊歩道」(元郷3丁目)
仙元橋から水辺に下りることができ、遊歩道が続いています。
「旧芝川、水とみどりの遊歩道」は、平成元年度の国土交通省「手づくり郷土賞(ふるさとしょう)」の「生活の中に生きる水辺30選」に選ばれました。
旧芝川はキューポラのある町川口の旧市街地を貫流し、町のシンボル的存在でしたが、昭和40年の芝川放水路完成後、上下流とも水門で閉鎖され、沿川の急激な過密化とともに水質の汚濁が進みました。
このため昭和56年度から芝川緑化改修事業が実施され、一部区間に「旧芝川、水とみどりの遊歩道」が建設されました。 -
青色の信号機(元郷3丁目)
普通は緑色ですが・・・
仙元橋を渡り、旧芝川と荒川に挟まれた地域を歩き、「大泉工場」へ向かいます。
元々は鋳物工場が数多くあったのですが、現在は物流倉庫等に変わっています。 -
「大泉工場」(領家5丁目)
大正6年(1917)創業の「大泉工場」は、かつて鋳物と機械製造の工場でした。
現在は不動産賃貸、食品機械の輸入販売、食料品や飲料の製造販売など、さまざまな事業を展開しています。 -
お洒落なロゴ(大泉工場)
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広大な敷地とカフェベーカリ-(大泉工場)
工場内の敷地には自由に入ることができ、まもなく染井吉野が満開になります。
2000年にオープンしたカフェは、オーガニックと植物由来の食材にこだわったメニューになっています。
隣には日本で唯一の発酵スパークリングティー「KOMBUCHA_SHIP(コンブチャ・シップ)」の醸造所があり、販売されています。 -
洋館(大泉工場)
昭和13年(1938)頃に建設された洋館と日本家屋のある大泉家住宅。 -
煉瓦道(大泉工場)
家の周りに敷き詰められた煉瓦道。
製造メーカと耐火度(SK**)を示す刻印が見えます。 -
石造り二階建ての洋館(大泉工場)
大谷石を使用しています。 -
初代社長の住居だった洋館(大泉工場)
初代社長である大泉寛三が第5代目の川口市長に就任し、衆・参議員を勤めたこともあり、当時の洋館は夫妻の住居、迎賓、接客のための空間として使用されました。 -
洋館の玄関(大泉工場)
現在はスタッフの本社事務所として使われています。 -
イチオシ
厳かな昭和の石造り洋館(大泉工場)
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赤煉瓦の建物(大泉工場)
何を貯蔵していたのでしょうか? -
洋館の隣には日本家屋(大泉工場)
寄棟造り平屋建で、当時は初代社長の9人の子供の生活空間として活用していました。 -
大泉家住宅(大泉工場)
洋館、日本家屋ともに国登録有形文化財に登録されています。 -
「風見鶏」の立つ小屋(大泉工場)
最近の建物です。 -
方角を示す「風見鶏」(大泉工場)
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案内板(大泉工場)
ここは川口です。 -
工場だった大きな建物(大泉工場)
現在は休憩所、イベント、レンタルスペースとして使われています。 -
ガーデン貸し切りサービス(大泉工場)
緑に囲まれる開放感あふれるガーデンで、バーベキューやバスケットボールなど気の向くまま過ごせます。 -
イチオシ
今が見頃の「杏の花」(大泉工場)
ガーデンの片隅に咲いています。 -
青空に映える可愛い花(杏)
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花の特徴(杏)
杏の花は、枝にくっつくように咲き、がくが反り返っています。 -
帰り道で見つけた「NET47」とは(領家5丁目)
お客様のニーズに応え、バリエーション豊富な配送、梱包、メンテナンスのサービスをワンストップで提供する会社「(株)宮岡」です。
ところで「NET47」の名前の由来は?
「日本全国・47都道府県全てに最高のサービスを届けたい!」という意味を込めてネーミングした(株)宮岡のブランド名です。
なるほど・・・ -
「オオカンザクラ(安行寒桜)」の説明
川口元郷駅前に戻ってきました。
川口市安行の田中一郎宅にあったものを同じ安行に住む小清水亀之助が増やしたものが最初。
「アンギョウカンザクラ(安行寒桜)」と名付けたが、その後相関芳郎が「オオカンザクラ」と命名したとのこと。 -
イチオシ
みんな足を止めて見上げる「安行桜」(川口元郷駅前)
見事な桜並木です。
樹形は傘状で、枝は横に広がり、枝先は波打って水平にのびます。 -
染井吉野よりも一足早く満開を迎える桜(安行桜)
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やや濃いピンクで小ぶりの花(安行桜)
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イチオシ
満開の「安行桜」(川口元郷駅前)
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昔ながらの八百屋さん(末広1丁目)
駅前の岩槻街道を北へ進み、あずま橋通りに来ています。 -
「旧田中家住宅」(末広1丁目)
大正12年(1923)に完成した3階建て煉瓦の洋風住宅。
時間がなく内部を見学せずに外観だけ。 -
末広1丁目バス停
ここから安行桜が見頃になっている密蔵院へ向かいます。
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