2022/03/04 - 2022/03/04
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SamShinobuさん
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2018年10月、築地市場は80年に亙る歴史に幕を下ろしたが、場外市場は残った。
場外とはいえ、そこには江戸情緒を感じさせる店が400以上ひしめき合っており、いわば都内最大規模の食のテーマパークと言える。そんな観光スポットが銀座から歩いて数分のところにあるというだけでも凄いと思う。
場外市場を訪れる際の注意としては、日曜・祝日・水曜は基本的にお休みで、平日も午後には閉めてしまう店が多い。早朝の朝ごはんから昼食までが勝負だ。
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築地の朝は早い。
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まずは路地裏にある「幸軒」で朝ラーメンを食べよう。昭和25年から営業している築地市場の老舗ラーメン屋だ。初めての人はまず店を見つけるのが一苦労だろう。そう、ここは数ある築地迷路店のひとつである。
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オープンは朝6時30分。この日はまだ8時過ぎにも関わらず、ビールを飲んでいる人が結構いた。威勢のいいお母さんはテレビの取材を受けたりして、最近はちょっとした有名人だ。
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ラーメン750円。名物のしゅうまいは1個170円。
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昔ながらの醤油ラーメン。トロトロのチャーシューが3枚ものっているのが嬉しい。寒い朝に体に沁みるスープは心まで温めてくれる。
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路地を抜けた通りにある「幸軒」の路面店。
ボリューム満点のしゅうまいを売っており、食べ歩きできる。そう、築地では「食べ歩き」はいいが、「歩き食べ」はNGと言われている。買ったものは店の前か、魚河岸屋上広場のテラスで食べよう。 -
いい歳なのに朝からラーメンなんて、やってしまった!
さすがにお腹一杯だ。
腹ごなしと言っては親鸞聖人に失礼だが、市場から徒歩1分の築地本願寺をお参りすることにした。
1934年に建てられたカオスそのものとも言えるこの建築には、浄土真宗西本願寺22代宗主である大谷光瑞と、建築家である伊東忠太の世界観が反映している。初めて見る人は、これが日本のお寺かと首を傾げること間違いなしだろう。まず蓮の花をイメージした半円形の屋根は、どう見てもインドだ。伊東忠太は仏教の発祥はインドなんだから、インドっぽくていいんじゃない?とかなり自由な発想で設計したようだ。 -
また大谷光瑞は宗主のくせに、なんとインディ・ジョーンズも顔負けの探検家でもあった。彼は仏教の源流を辿るべく大谷探検隊を結成し、1902年から中国・チベット・インドなど仏蹟の発掘調査を行っている。この時の出土品は中国の旅順博物館に、現在も展示されている。2014年に旅順を訪れた際には、大谷コレクションを見るためにこの博物館を見学した。大谷探検隊が発見した埋蔵文化財は予想以上にたくさんあり、特に目を引いたのはトルファンで発掘された実物のミイラで、何とも不気味だった。
伊東忠太も中国・インド・トルコを建築の研究のために旅行しており、その際に大谷探検隊の分隊と遭遇している。そんな二人が造った建築だけあって、インド・イスラム・西洋・日本の意匠が混じり合う摩訶不思議な建物になった。
ちなみに伊東忠太は、「アーキテクチャ」を日本で初めて「建築」と翻訳した人だ。 -
立派な門扉の上にはステンドグラスが光り輝き、美しい蓮の花が咲いている。
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館内の至るところに動物の彫刻がある。
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「築地」が埋立地を意味しているように、この辺りは元は遠浅の海だった。そもそも明暦の大火で消失した本願寺を建てるために、江戸時代に埋立てられた土地なのだ。
中央にはご本尊の阿弥陀如来像が安置されている。その右側には親鸞聖人の御影がある。 -
さあ、お焼香しよう。浄土真宗西本願寺派のお焼香のしかたは、右手で香を一回だけつまみ、いただかずにそのまま香炉に焼香する。大丈夫、ちゃんと作法が書いてあるので、その通りやればいい。
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パイプオルガンがあるところがいいなあ。確か大谷光瑞は若い頃イギリスに留学してすっかり西洋かぶれしていまい、帰国後、門徒にオルガンに合わせて「賛美歌」ならぬ「賛仏歌」を歌わせるという暴挙に出たらしい。そんな楽しいエピソードを思うと、このパイプオルガンもじわる。
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もちろんこのパイプオルガンは当時のものではなく、1970年に寄贈されたものらしい。大谷光瑞の遺志を継いだのかどうだか知らないが、今では仏教讃歌などのコンサートが催されている。
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毎朝7時からここで勤行があり、誰でも入れるそうだ。早起きできる人はぼーっとしに来るのもいいかもしれない。
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折上格天井に吊された仏教っぽいシャンデリアもお洒落。
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トイレを借りに事務所のほうに行くと、素敵な窓枠からの景色がなんとも言えず美しかった。
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「築地本願寺カフェ」では、18品の朝ごはん(1800円)が有名だ。いつか食べてみたいと思っている。
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親鸞聖人に「南無阿弥陀仏」と唱える。阿弥陀仏とは大宇宙に無限に存在する仏たちから師と尊敬されるトップ・オブ・ザ・仏だ。大宇宙においては塵のような存在の地球に現れたのがお釈迦様だとすると、阿弥陀仏はお釈迦様の超絶偉大な大先輩にあたる。南無阿弥陀仏というのは、そんな阿弥陀如来に私のすべてをゆだねますという意味だ。
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築地場外に戻ってきた。「長生庵」には平日の朝10時までの限定メニュー「蕎麦屋の朝定食」というのがある。9種類のミニおかずとご飯、かけ蕎麦がついて700円。築地本願寺カフェの18品の朝ごはんとビジュアルも被っていて、どちらかがパクったように思える。蕎麦が美味いのはもちろん、長生庵はお酒にもこだわっており、蕎麦屋飲みにはうってつけの店だ。
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「築地魚河岸」
2018年10月に豊洲移転に伴って開設された生鮮市場。場内市場が完全に移転してしまっても、どうしても築地で仕入れたいというご近所の飲食店等に向けて、約60店の生鮮小売店が開業した。 -
買出人の仕入れは午前5時からやっているが、一般のお客さんもここで買うことができる。ただし一般客は9時以降に入ることをお勧めしている。
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築地魚河岸の3階は「魚がし食堂」というフードコートになっており、朝7時から14時まで営業。場外市場の有名な飲食店が6軒入っている。
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天気が良ければ3階のテラス席で食べてもいい。
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屋上広場
もう少し暖かくなったら、刺身を買ってここで朝ビールなんて最高だろう。 -
屋上広場に向かう橋から場外市場を眺める。
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さあ、場外市場を探索しよう。
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以前は海外からのお客さんも多かったが、さすがに今はほとんど見かけない。
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クロワッサン専門店の「ル・パン」。あんこクロワッサンが名物だ。店内では焼きたてのクロワッサンを200円のコーヒーととも食べられる。
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明治40年創業の「鳥藤(とりとう)」
鮮度が命の鳥肉を毎日全国各地から仕入れている。ここは「とり弁当」(900円)が有名だが、店頭で焼鳥をつまんでもいい。 -
「すしざんまい本店」
よくテレビに出ている木村社長は、2001年に場外市場にて「すしざんまい本店」を開店した。日本初の24時間営業・年中無休のお寿司屋さんとして、その名はまもなく日本中に知れ渡る。今では全国でチェーン展開しているが、残念ながら僕は入ったことがない。 -
突如現れる「圓正寺」は、浄土真宗本願寺派のお寺だ。昭和初期の銅板建築が心をくすぐる。
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石造りの門柱に渡された唐草模様のアーチが、本堂の唐破風に重なるところがいいなあ。
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「築地にっぽん漁港市場」
北海道、新潟、高知など日本各地の漁協による産直市場だ。 -
「にっぽん漁港食堂」では、魚介類のつまみでクラフトビールや日本酒が飲める。
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観光案内所「ぷらっと築地」でぷらぷら見ていたら、係の女性が無料の案内図をくれた。この案内図、無料とはいえ穴場の店の記載も多く、結構スグレモノだった。
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「築地にっぽん漁港市場」の中。
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ロッカールームや喫煙所、トイレから無料休憩所まである。
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「新潟中央水産市場」
日本海の新鮮な魚介が毎日直送されてくる。 -
「斎藤水産」
ここは築地場外の有名な老舗鮮魚店だ。 -
活きのいい生かきでも食べようか。朝からかきの食べ歩きとは贅沢だなあ。
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どれも旨そー。
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ポン酢をかけてもらって、この小さなテーブルを使わせてもらう。
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プルンとした食感から口に広がるクリーミーな旨味。この濃厚なエキス堪らん!
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新鮮な魚が並ぶ。
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かきを頬ばっていたら、生け簀のでっかいタラバ蟹に見られていた。
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「まぐろや黒銀」
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イートインで本まぐろの4貫セットをつまむのもよし。
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テリー伊藤の実家「丸武」
ひとつ100円の玉子焼きを買って、食べ歩きする客が多い。 -
もんぜき通り
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「若葉」は人気のラーメン立ち食い店だ。早朝にオープンし昼過ぎには閉まってしまう。以前はよく昼に食べに来た。直木賞作品「魚河岸ものがたり」のモデルになったことでも有名。
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さっぱり醤油スープの極細麺、昔懐かしいラーメンは日本の宝だ。
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「きつねや」も行列必至の店。八丁味噌で煮込んだ牛ホルモンをご飯にかけた「ホルモン丼」870円を出す。牛丼770円もある。1947年創業当時から継ぎ足しの煮込みで、一杯やるのもいい。
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「若葉」同様、路面に出されたテーブルで立ち食いする風景は、築地らしくていいなあ。
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海鮮丼の店が並ぶ。
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「どんぶり市場」は、カウンター6席のみながら、コロナ前は24時間営業で、築地では貴重な店だった。
そういえば次男が中学生の頃、彼とこの店に来たことがあった。その時次男が横で食事をしている男性を見て、とても驚いた顔をした。なんとその男性、次男の中学校の先生だったのだ。 -
「波除(なみよけ)神社」。災難を除き、波を乗り切る神徳あらたかなお稲荷様だ。
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昭和12年に出来た御社殿。
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お歯黒獅子。お歯黒をしているといことは雌の獅子かな。
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海老塚、すし塚。
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活魚塚、鮟鱇塚。
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昆布塚。
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玉子塚。さすが築地の神社だけあって、魚介や食材の塚が並んでいる。
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そんな中に、影になって読み辛いが、あの牛丼の吉野家の塚があった。きっと吉野家第一号店が、場内市場にあったからだろう。ちなみに今は場内市場と一緒に豊洲に移転している。
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獅子殿。江戸時代から続く「つきじ獅子祭」の元になった厄除け天井大獅子が祀られている。
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御神木の枝垂れ銀杏。
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「東都グリル」
雑居ビルの地下にあるが、入ってみるとそこは昭和のレトロな洋食屋。ビーフシチューやオムライスといった定番メニューの他に、刺身定食や煮魚など魚料理が充実しているのも築地ならではだ。築地魚河岸3階のフードコートにも出店している。 -
「すし大本館」
10時30分の開店時にはいつも行列が出来ている人気店。前から気になっているが入ったことはない。この乱雑な外観を見たら気取った店でないことは一目瞭然。おまかせが3500円と格安なので、いつか食べてみたいと思っている。 -
「本種(もとだね)」
今日の寿司は穴場中の穴場で食べることに決めていた。観光客は入ってこない路地裏に名店はある。 -
「本種」の入り口は二つあり、ちゃちゃっと食べたい時はカウンター6席のみのこちらから。
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テーブルでゆっくりしたい時は赤いのれんをくぐろう。店内でつながってはいるが、中の行き来は出来ないので注意が必要だ。
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年季入ってるなあ。
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おじさんの向こう側がカウンター席になっている。
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まず、お酒を頼む。
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お通しのマグロとごぼうの煮物でお酒を舐める。昼酒が五臓六腑に染み渡り、冷えた身体が温まってきた。
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にぎり1.5人前。
以前は1500円だったが、いつの間にか1700円になり2021年にとうとう1900円に値上がりした。それでもこの新鮮なネタとボリュームで1900円は格安だ。観光客相手の店なら倍は取られる。常連客は腹ぺこの市場関係者が多いので、シャリもネタも大きめ。ネタから言っても1.5人前がお勧めなので、他にも食べ歩きしたい時はご飯少なめでお願いしよう。
後から若いカップルが入ってきた。およそこの店には似つかわしくないお洒落な二人は、食べログでも見て来たのだろう。「昭和〜!」とか言いながらキョロキョロしている。店のおじさんはそんな若者にも温かく接している。二人とも1.5を注文。よしよし。そして出てきた握りを口にする度に、「ヤバいね!」「めちゃ美味しい!」と連発していて微笑ましかった。 -
食後のコーヒーを飲みに「マコ」へ。
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ここも一見さんはなかなか見つけられない築地迷路店のひとつだ。
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妖しい赤い扉を入ると、マスターの気さくな笑顔に会える。
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この店はコーヒー以外に、一年中お雑煮が食べられることでも有名だ。出汁は前述の「長生庵」から納められている。
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ホットコーヒー450円にお菓子が付いてきた。
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昭和36年から営業しており、今のマスターは二代目だそうだ。
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壁には山田洋次監督の色紙がある。
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さて、今夜のつまみでも買って、そろそろ帰るとするか。
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ナッツ専門の「田村商店」があったので眺めていたら、端から一通り試食させてくれた。
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この渋皮つきカシューナッツがとても美味しかったので、ご購入。
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「写真撮ってもいい?」と訊くと、「ドンドン撮って下さい。なんならSNSとかにも載せちゃって下さい」とのこと。では、遠慮なく笑。
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思わず入ってみたくなる迷宮の入口。
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魚に関して日本人はどの国の人より肥えた舌を持っている。そんな魚にうるさい国民を満足させるために、築地には良い物しか卸さないという職人肌の中卸業者が多かった。世界に誇る江戸前の食文化は、そんな彼らによって支えられ続けてきたと言っても過言ではないだろう。
2008年に公開された「築地魚河岸三代目」という松竹映画がある。大沢たかおと田中麗奈が主演だったが、その題名の通り築地市場が第二の主役だった。撮影時は何度も場内市場のロケにお邪魔したので、移転前の築地はしっかりと目に焼き付いている。
そして2018年10月、新市場となる豊洲移転に伴い、場内市場はついにその役目を終えた。しかし一般のお客さんや観光客にとっては、場外市場の今後のほうが気になった。それについては移転後も築地に残ると聞いて少しホッとしたが、それでも一抹の不安が残った。ところがなんと空前のインバウンドブームで、場外市場が中国人観光客で溢れ返えることになる。それに対応するため中国人店員も急増し、そこらじゅうで中国語が飛び交う様は、ここが築地なだけに一種異様な光景でもあった。それでもコロナ禍で客足が激減し、どこもかしこも売り上げ減にあえぐ今となっては、そんな様子も懐かしく思える。
今や築地場外市場は生き残りを賭けて、様々な集客の手を打っている。新鮮な魚介類の食べ歩きの楽しさ、昭和の原風景が残された町並み、路地裏の迷路を彷徨うのもいい。何度訪れても新たな発見がある築地場外市場は、インバウンドでなくても、オリエンタルムードを満喫できるワンダーランドだと思う。
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この旅行記へのコメント (2)
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- Antonioさん 2023/12/23 20:59:05
- 本種
- こんばんは。築地場外のお店では、私も本種はよく利用しています。地味な寿司屋では、つきじ寿司もよく利用していますが、今年に入ってインバウンドが戻ってきて、毎日多くの人が築地に来ていて、以前は列が出来ないようなお店にまで列が出来て大盛況なのはなによりです。本種の握り1.5人前は今は2300円まで値上がりました。
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- mistralさん 2022/03/20 21:42:04
- 築地。
- SamShinobuさん
こんばんは。
築地場外市場編、楽しく拝見しました。
コメントを残そうと思っておりますうちに、私の旅行記にご投票を
いただいてしまいました。ありがとうございます。
最初に、築地本願寺。
婚家が浄土真宗で、最初は法事などで唱えるお経にも違和感がありましたが
今は慣れてしまいました。
お焼香時のマナーもそうですね。
「讃仏歌」、確かにお彼岸などの法要時には、その場に集う門信徒さんが
娘さんの伴奏でオルガンに合わせて歌を歌うのですが、いまだに馴染めず
(どれだけの年数がかかっているのやら)いますが、いわれがあったのですね。
ブログを拝読して納得しました。
築地本願寺は伊東忠太さんの設計の、それこそのワンダーランド!
一度だけ中をサーッと見ただけですが、カメラを持って取材に行きたいくらいです。
場外市場のご案内、慣れた方による穴場などのご説明をいただき
恐らく一度行っただけでは知り得ない情報が盛りだくさんで
次回には一歩踏み込んで細い路地の小さなお店にも入って行けそうに思いました。
楽しいガイドブックとなりました。
mistral
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