2021/08/26 - 2021/08/28
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gyachung kangさん
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長い闇夜が明ける時を待ちわびて早一年と半年。長めの休暇予定を取るお楽しみは今も目処が立っていない。
旅人にとって最大唯一の敵は戦火だと長らく考えていたが、感染症にこれほどまでに苦しめられるとは思いもよらなかった。
加えて不運なことに私の場合、インドアを楽しむという嗜好が全くない。
さすれば、アレしかないよね!
これまで手をつけてこなかった日本の山を訪ねる旅。8月も残りあと僅か、北アルプスを代表する名峰に挑戦する山旅に出た。
今年8座目となる山は眺めても良し、登っても良し、くたびれても良しの鹿島槍ヶ岳である。
夜明け前が一番暗いと言う。
夜明けは近いぞ、と。
- 旅行の満足度
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 新幹線 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
鹿島槍ヶ岳への旅
玄関口は長野県の長野市となる。
朝一便目の北陸長野新幹線でJR長野駅に。
東口から黒部立山方面に直行するバスが出ておりこれを利用する。
8月も終盤のこの日、朝っぱらから長野は気温が上がっていた。
あんりゃあ、長野ってこんなに暑かったっけ~、気候の読みはハナから外れた。
だって以前に暑かったという記憶が残っていない。そう、実は私は長野県民なのであった。
高校時代まで長野県暮らし。だから日本一有名な県歌、信濃の国は今なおソラで歌える。 -
バスの終点はこの扇沢駅
ここは黒部ダムや富山県側立山方面への観光の起点になっている。一般の観光客とザックを背負った登山者がここから散らばって行く場所。
私が今から目指す鹿島槍ヶ岳への登山道を駅構内にいた案内スタッフの男性に確認。 -
バスに乗ってきた道を1キロほど戻る。
このスノーシェードをくぐって -
道なりの左に現れた。
鹿島槍ヶ岳への登山を目指す一番人気のルートが爺ヶ岳登山口。
登山届を記入してポストへ。ソロ登山の私の他に男性二人連れと男女ペアのふた組み。いずれも私より先輩と見た。 -
いつもそうだが、最初の一歩を踏み出す時のワクワク感は格別である。
ガケ崩れ危険 ?
いきなりの牽制球で気を引き締める。
さあ~行ってみっか ! -
長い樹林帯歩きのスタートだ
-
目指す山、鹿島槍ヶ岳までの道のりは長い。1日目の山行は標高2460メートル地点にある山小屋の種池山荘がゴール。約4時間の登り。焦る必要がないのでゆったりした気分で序盤戦を進む。
先週までの長かった天候不順が消え、この日は山登りにはベストの気候。これぞ夏の日差しが差し込んでくる快適な山歩きになった。
ちょっと恵まれ過ぎか?
落とし穴がありそうで逆に怖い。 -
登攀路の前半で指標となるケルン
2カ所ある。 -
左手は扇沢、このらあたり木々の合間に展望が開けて夏山気分が高まってくる。あの峰はおそらく岩小屋沢岳。この時期に雪渓が残っているとは。
-
既に汗だく状態で腰を下ろしたその横に野苺を発見
-
中盤戦に差し掛かる。
石畳みと呼ばれるゾーンだ。 -
比較的大き目の石
濡れていると気が抜けないがこの天候ならばむしろこなしやすい。 -
石畳みを突破すると水平道
辛抱が要求される登り道でいっぺんに緊張が和らぐオアシスのようなエリアだ~
実は取付き口から種池山荘に通じる柏原新道は総じて感激するほどコンディションがいい。山小屋関係者の方々の長年の整備の賜物と思う。私は今回の山行の前、8月アタマに群馬県にある武尊山に登ったのだが、粘土質有り木の根っこあり、悪路のオンパレードに手こずったばかり。比べて今日のルートは実に登山者思いである。 -
本日終盤の踏ん張りどころはこの鉄砲坂
ひと息入れている最中に急激にガスが巻き出し細かい雨粒が落ち始めた。
慌ててザックから雨具をだして羽織る。 -
雨に打たれながらの山行のツラさ
これは登山者ならば説明も不要でしょう
あと少しで山荘のはず、と念じながら坂を見上げると、出ましたあ、種池山荘!
私のゴールに合わせるかのようにほぼ雨足は消えていた。 -
午後3時、到着。
道中たっぷり休憩時間を入れた割には予定時刻で初日の目的を達成。
小屋前のベンチで荷物を下ろして雨具を脱いで周囲の景色に浸る。
ついさっきまでの鉛色の空があっと言う間にご覧のような青い空に早変わり。
明日のルートでいちばんに登攀する爺ヶ岳まで見えている。 -
宿泊手続きを済ませて部屋へ。2人部屋で私は右側に荷物を下ろした。この日は平日、が種池山荘は宿泊客で賑わっていた。ほんの直ぐ近くにテント場もあり利用し易い山小屋に思えた。
-
廊下はピカピカ
よく整理された山小屋である。
ヒマラヤを歩いて山好きになって以来、春夏秋冬の自然の移ろいを毎日肌で感じることが出来る山小屋の仕事に憧れを感じることがあるが、実際は休む暇もないくらいのたいへんなお仕事であろうと思う。嫌な顔せず泥だらけの登山客を受け入れてくれる山小屋のみなさんに感謝です。 -
雨と汗で濡れた服を着替えてから山荘の周りをひと歩き。たわわに咲く黄色い花。
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真っ赤な実
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ムラサキの花
あ、いやあ、野に咲く花は大好きなんだけどいまだに名前を覚える気配がない。
よおく、言っておきます。 -
夕飯タイムは17時
ごはん、味噌汁はお代わり自由でガッツンといただきます。コロナ禍の今、アクリル板と黙食が恨めしい。いつもならば山話しがいっせいに咲く楽しいひと時なのになあ。 -
熟睡して時計のセット5分前に目が覚めた。
朝食は5時からだけどいちばん気になる今日の天気はいかに?
夜明け前、空はすでに青かった。 -
本日の山行を確認する。
種池山荘を出発し、まず爺ヶ岳の南峰の頂を踏む。余力があれば主峰も踏む。稜線を下り冷池山荘に着いて荷物をデポ、その足で布引山に登る。布引山のピークを超えると今回の大目標である鹿島槍ヶ岳。主峰に登頂し、来た登攀路を冷池山荘まで戻る。
実にチャレンジ意欲を掻き立てる申し分のない行程。
さすが後立山連峰の盟主、鹿島槍ヶ岳である。 -
朝食を食べ終えた宿泊者のみなさんは次々に散らばって行く。
私もいざしゅっぱ~つ ! -
ところが、
いきなりこのお知らせが。
熊さんがご活躍のようで。この看板、実は昨日の周囲散策の時に発見して種池の女性スタッフに確認をした。曰く、出没する熊は複数頭いるようで中に一頭、登山道に居座って動かない熊がいるらしい。よりによってそいつはデカい個体なんですと。
そんなこともあろうかと最近私は熊鈴二個体勢で山に入る。ホイッスルもポケットに入れておく。 -
熊さんが出たらその時に考える。
いちばん気になるのは本日のお天気だが、 -
これって最高かも?
私、ツイてます。 -
ゆるやかに高度を上げて20分、振り返るとさっきまでお世話になった種池山荘の橙の屋根。
そして向こうには雄大な連なりが見えてくる。 -
あの荒々しいギザギザの山は劔岳
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劔岳、そして張り合うように立山が
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尾根をズンズン登っていくと、
振り返る景色は見事なパノラマになっていた。
もう、この時点で今回の山旅にやって来た甲斐がありました。
期待を凌駕する北アルプス奥座敷の大展望! -
南の方角には槍ヶ岳と穂高岳がクッキリと姿を現していた。
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これだけの景色に囲まれると見惚れてばかりでペースは上がらない。
足もとを見ると雷鳥の親子が登場。これがまた人間をさほど怖がらず逃げようとしない。雷鳥親子を至近から観察。 -
歩き心地抜群のルートを登り切って
やりました。
本日最初のピーク、爺ヶ岳に登頂。 -
視線を北の方角に転じると鹿島槍ヶ岳
初対面でこの眺望
こんな幸運があるんだね~私にも、タハッ! -
行きがけの駄賃?
まだまだ余力があった私はその足で爺ヶ岳の主峰テッペンを制覇。体感気温25度前後、これ以上は望むべくもない天候を味方につけてるんだから登らない手はないでしょう。 -
ここから見る鹿島槍ヶ岳
長野県側の山肌にガスが沸き立っている -
進んできた道を振り返ると爺ヶ岳南峰から絶妙な柔らかさで下っていく稜線の端の上に種池山荘が乗っている。
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ここまできても今日の行程のまだ半分にも届いていない。山腹のトラバース道を前に進む。
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左手はハイマツ帯越しにそびえ立つ劔岳一座
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右手はザレた谷
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やがて爺ヶ岳を下りコルのような場所にある冷乗越
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樹林帯に飲み込まれてから登り道を上がりきると冷池山荘にたどり着いた。
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冷池山荘の受付で宿泊予約者であることを告げ、不要な荷物を取り出し荷物置き場にデポする。そう、ここからが本番。目指す鹿島槍ヶ岳まで2時間半の道のりが控えていた。
靴紐を堅く結び直して登山再開。 -
爺ヶ岳からの下りではよく見えていた鹿島槍ヶ岳のピークだが冷池山荘からは姿を消す。
なぜならば、その答えはこの山。
前衛峰のごとく鹿島槍ヶ岳の手前に立ちはだかる山、布引山である。 -
将を射んと欲すればまず馬を射よ
鹿島槍ヶ岳を落とすならばまず布引山を落とすべし
見た目は爽やかな山なのだがルート的にはひたすら登り詰める直登系。私、男体山を経験して以来、このタイプはやや苦手。
そして上空には爆音を轟かせてヘリがどこぞへ急行していく。この日3機目か。何事もなければいいんだが。 -
ここまでの山行でさすがに息が上がってきた。降ろしたザックに蝶がとまる。
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布引山、地味に堪えた2683メートル。
この日3座目の登頂である。
向こうに待ち受ける鹿島槍ヶ岳まで最後のひと踏ん張り。 -
道はいい。美しい尾根づたいのようだ。
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頂上が射程に入ってきた。
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頂上の間近、長野県側はやはり奈落である。
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正午前、歓喜の瞬間
鹿島槍ヶ岳2889メートルの山頂に立つ。
もう嬉し過ぎ。
この天気、この展望に迎えられ、ここまでの疲労がいっぺんに溶けていく。 -
鹿島槍ヶ岳、吊り尾根でつながる北峰。南峰より47メートル低く雪渓が残っている。
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秒刻みで沸いたり消えたりする雲の合間からは五竜岳、唐松岳が見えその奥には白馬岳のピークが確認できる。
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頂上には私を含めて5組8人
みんな満面の笑み、展望を楽しんだり写真撮ったり。晴れ渡った山の頂上ってそこにしかないオーラに満ちた特別な空間だと思う。まさに別世界。 -
360度の景色を楽しみながらランチタイムにする。種池山荘でつくってもらったお弁当は綺麗に色分けされた4色チラシだった。伝統的な夏の山の味と言っていい。
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目的を達成してあとは下り。この天候ならば焦ることはないが3000メートル近くの山上では油断や余裕は何の役にも立たない。宿泊地である冷池山荘まで安全第一で下る。
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この日の長かった山行もあとちょっと。眼下に冷池山荘の赤い屋根。ほぼ予定通り午後3時前にゴールできた。
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山荘で手続きを終え部屋に荷物一式を下ろして安堵する。夕方になってまた再び全ての雲が消えた鹿島槍ヶ岳。左が南峰、右が北峰。北アルプスでも屈指のツインピークスである。この山はいい山だ。名峰だ。
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夕飯は17時から。山の中でこれだけの食材を揃えて提供してくれる山小屋ってホントにありがたい。この冷池山荘と種池山荘、宿泊者には水の補給も1リットルまで無料である。
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3日目の朝を迎える。
ちょっと早めに起きだして夜明け前の朝の空気を吸う。 -
冷池山荘に朝日があたる
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6時過ぎ、山荘を出発。急がず慌てず昼前に扇沢のターミナルまで戻る下山路となる。
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今回の山旅で素晴らしい脇役を演じてくれた爺ヶ岳が近づいてくる。いつもなら登り返しはウンザリ、我慢のしどころなのだがこの山は苦行にならない。道の良さと長く続く展望を備えたこれまた実にいい山である。
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再びの爺ヶ岳山頂に立つ。
南アルプスの高峰、左手には八ヶ岳、そしてその間には富士山のシルエットが拝めている。 -
昨日今日と連日の山晴れに恵まれた。
山頂に先乗りしていた年配の女性登山者2人連れが周囲の山々を見渡しながら、幸せだね~と語り合っていた声が聞こえてきた。
私も思わず、その通りですね、と心の中で賛同していた。ここはそういう空間である。
鹿島槍ヶ岳を目指す北アルプスへの山旅は100点満点の出来栄え。来年は背後にそびえる劔岳に挑戦する。なあんて言ってみたりしたくなるそんな気分!笑笑
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