2005/11/19 - 2005/11/22
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SamShinobuさん
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井上陽水のナンバーに、1979年にリリースされた「なぜか上海」という曲がある。陽水ファンだった高校生の僕はレコードを買い、下手なギターをかき鳴らしては、「海をこえた〜ら〜シャンハァ〜イ〜」とがなり声を上げていたものだ。今思えば、僕が最初に上海という地名を意識したのは、まさにこの時だろう。それから25年経った2004年6月、ついに僕は上海に初上陸することになった。その時の旅行記は既にアップしているので、ご覧いただければ幸いだが、この旅はそれから数えて6度目の上海に当たる。たった1年半の間に6回も訪れると、さすがに目新しいこともあまり無いので、今回は写真中心にしてお決まりの駄文を添えることにする。
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2005年11月19日
11時20分成田空港第2ターミナル発、中国東方航空MU8301便は3時間25分の空の旅を終えて、13時45分に上海浦東国際空港に到着。空港で両替すると、1元は約15円だった。お約束の上海リニアモーターカーに乗る。 -
車内は相変わらず空いている。7分20秒のあっという間の乗車。
リニアの終点、龍陽路駅のタクシー乗り場はいつも乗客の列が出来ていた。まだ地下鉄は走っておらず、ここから市内の中心地を目指すにはタクシーかバスしかなかったからだ。しかも龍陽路のタクシーはぼったくりが多くとても評判が悪かった。僕も何度かやられていたが、この時も走り出したはいいがメーターを倒さない。そこでメーターを動かすように言うと、運転手はしれっとした顔で「壊れている」と言い出す。僕一人なら喧嘩してそこで降りてしまうが、クライアントがいるのでそういう訳にもいかない。また戻ってあの列に並ぶかと思うと、多少ぼられても仕方ないという気になる。でも、そこからが腕の見せ所だ。運転手はだいたい相場の2倍くらいを吹っかけてくるが、交渉して何とか相場の2割り増しくらいで手を打つ。それくらいの中国語は出来るようになっていた。 -
当時の常宿、上海香港広場酒店服務式公寓(香港プラザサービスアパートメント)。淮海中路に面しており、新天地も近かったので重宝したが、現在はASCOTT香港広場に変わっているようだ。
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外灘から浦東の東方明珠タワーを眺める。
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新天地の「夜上海」で夕食。ここは観光客よりも地元の上海人セレブに愛される上海料理店で、アテンドには最適だった。2階はジャズの生演奏もあり、新天地の中でも特にラグジュアリーな高級店だ。
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同じく新天地の「TMSK透明思考」で飲む。瑠璃ガラスを使った工芸品のショップも併設しており、内装から食器まで瑠璃製品にこだわっている幻想的なバーレストランだ。
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新天地のジャズバー「C.J.W」で酔った。C.J.Wとは、Cigar、Jazz、Wineの頭文字で、上海でも本格的なジャズクラブだった。残念ながら現在は閉店してしまった。
このころは新天地で飲み歩くのがマイブームで、全店制覇を目論んでいた。 -
2005年11月20日
ホテルのすぐ横にあった永和大王で朝食。 -
中国人定番の朝ごはん。
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松江にある撮影所、上海影視楽園。ここでは数多くの映画が撮影された。
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ピーター・チャン監督の「ウィンター・ソング」(2005年)は金城武と周迅(ジョウ・シュン)主演の香港映画で、この撮影所がふんだんに使われている。映画の製作現場が舞台の映画なので、セットとしてではなく撮影所が撮影所という設定で使われているのが面白い。
この映画のキャメラマンはピーター・パウとクリストファー・ドイル。「グリーン・デスティニー」でアカデミー撮影賞に輝いたピーター・パウと、世界的に有名なクリストファー・ドイルの撮影は相変わらず見事だ。
クリストファー・ドイルといえばオーストラリア出身だが、ウォン・カーウァイ監督の「恋する惑星」で有名になり、それ以来ずっと香港で活躍してきた。その後ハリウッドの話題作を撮ったり、監督も何本もこなしている才人だ。
2010年6月、僕はクリストファー・ドイルと映画の打ち合わせの為に、東銀座にある映画会社で会った。あんなスタイリッシュな映像を作る人とは思えないような、終始冗談ばかり言っている陽気なおじさんだった。それまで英語でやり取りしていたが、不意を突いて中国語で話しかけてみた。長年香港に暮らしていたのだから広東語は言うに及ばず、簡単な北京語なら分かるだろうと踏んだのだ。彼の撮った「花様年華」、「2046」、「海洋天堂」が大好きだと告げると、突然の僕の中国語に驚き、そしてとても喜んでくれたことを思い出す。 -
ジェームズ・アイヴォリー監督の「上海の伯爵夫人」(2005年)はノーベル賞作家であるカズオ・イシグロのオリジナル脚本で、1930年代の上海が舞台なので、この撮影所のセットがたっぷり出てくる。落ちぶれたロシア貴族の女性と盲目の外交官のもどかしいロマンス。この映画の撮影もまたクリストファー・ドイルだ。
公開当時、開業1年目のマンダリンオリエンタル東京と配給会社の東宝東和がコラボして、「上海の伯爵夫人」というオリジナルカクテルを期間限定で出した。会社がすぐ近かったということもあり、37階の「マンダリンバー」にそのお洒落なカクテルを飲みに行ったものだ。 -
「ラスト、コーション」(2007年)もここで撮影された衝撃の話題作だ。「ブロークバック・マウンテン」(2005年)でアカデミー監督賞を受賞したアン・リー監督作品だが、初めて観た時はタン・ウェイの体当たりの演技に度肝を抜かれた。1942年日本軍が占領する上海で、抗日組織の女スパイであるタン・ウェイが、彼女のターゲットのトニー・レオンにハニートラップを仕掛ける。この騙す側と騙される側の男女の心理戦が凄い。お互い全裸で挑んだベッドシーンでの駆け引きも、R18だけあって見応え十分。
タン・ウェイはこの映画のせいでしばらく中国で干されたので心配していたが、その後見事に復帰して今では中国を代表する女優のひとりになった。韓国の「レイトオータム」(2010年)に出演をきっかけに、その監督のキム・テヨンと結婚したそうだ。 -
そして最近では、あいみょんの「マリーゴールド」のMVがここで撮影された。僕はこの楽曲の昭和歌謡のようなコード進行から紡がれる、親しみ溢れるメロディラインがとても気に入っている。あいみょんが雨の降る中をペニースケートボードで滑るシーンは、一部フイルムで撮影されたカットもインサートされて、背景としての上海の古い街並みが実に効果的に映えていた。
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他にもチャウ・シンチー監督主演の「カンフー・ハッスル」(2004年)、チャン・ツイィーと仲村トオルの共演が話題になったロウ・イエ監督の「パープル・バタフライ」(2003年)、チャン・ツイィーが上海を舞台に3世代に渡って一人三役をこなした「ジャスミンの花開く」(2004年)等、この撮影所で撮影された作品は数えきれない。
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走る路面電車の中から。
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上海市内に戻り、シノワズリ雑貨の有名店「ラピスラズリ」に行く。フランス租界時代の洋館が建ち並ぶ衡山路と東平路の交差点付近にあり、欧風なプラタナス並木も租界当時に植えられたものだ。この建物は1930年代、蒋介石の別荘だった。ちなみに現在は泰安路に移転している。
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「ラピスラズリ」の2階は、イタリアンレストラン「蔵瓏坊」になっており、そこで昼食。イタリア料理とワインでホッと一息ついた。
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金茂大厦(ジンマオタワー)。全長420.5mの超高層ビルは1998年に開業し、グランド・ハイアット上海が入っている。
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展望フロアは88階。
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その下の87階にあるグランド・ハイアット上海のバー「クラウド9」で飲んだ。この眺望が360度見渡せるスカイラウンジだ。
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お酒と景色を堪能していたら、すっかり暗くなっていた。
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外灘観光隧道。
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トラムに乗って黄浦江を渡り、外灘へ。
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外灘18号の5階にある高級広東料理店「灘外楼」に向かう。
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上海蟹を剥いて貰おう。ここは浦東の夜景を見ながら食事のできる洗練された雰囲気の店だ。
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一人約1万円の贅沢だった。
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2005年11月21日
ホテルのすぐそばの「香港旺角茶餐庁」で朝食。ピータン粥。日本のお粥とは違い、しっかり味がついている。飲んだ翌朝の粥は体に優しくて最高。 -
タクシーで七宝鎮へ。上海市内から一番近い水郷古鎮で、近くにある七宝寺が名前の由来だ。
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現在は地下鉄9号線の「七宝」駅があり、「徐家匯」駅から6駅乗れば15分程で着く。この当時はまだ地下鉄は走っていなかった。
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船遊び。
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1000年以上の歴史ある町だ。
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七宝老街の中央を流れる運河に架かる安平橋。
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タクシーで上海市内に戻る。
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豫園
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南翔饅頭店。
小籠包の超有名店。小籠包は上海郊外の南翔発祥の食べ物で、上海を代表する小吃だ。1階はテイクアウト専門で、2・3階がレストランになっている。テイクアウトの行列はいつも凄まじく、1時間待っても食べたいという観光客が並んでいる。2階は食券を買うスタイルで、テイクアウトより高い。それが3階になると、高級小籠包など更にお高くなるが、テーブルで注文できるし日本語メニューも用意されている。 -
特に3階左側の鼎興楼は一番高級な個室となり、いくらか忘れたがミニマムチャージがかかる。今回はここで昼食だ。
ちなみにここ鼎興楼でロケをした映画がある。2003年12月に松竹系で公開された「最後の恋、初めての恋」という上海オールロケの日中合作映画だ。渡部篤郎とシュー・ジンレイ主演のベタなラブストーリーにも拘わらず、映画は当時の上海の魅力を余すことなく伝えていて、僕は大変気に入っている。 -
自動車メーカーに勤める早瀬(渡部)は婚約者を親友に奪われ、それだけでなく愛した婚約者はその親友の運転する車で事故死してしまう。そんな悲惨な出来事から半年後、感情を失くしてただ生きているだけの早瀬が、上海に転任するところから映画は始まる。早瀬の心の傷は癒えるどころか、自暴自棄になって死に場所を探しているようでもある。そして早瀬の歓迎会の日(この歓迎会が南翔饅頭店の鼎興楼で行われた)、途中退席し無断で帰ってしまった彼は、ホテルの部屋でついに酒と大量の睡眠薬を飲んでしまう。その時異変に気付いたホテル従業員のミン(シュー・ジンレイ)が、彼を助けたことから二人の間に奇妙な運命が動き出した。早瀬が会社から紹介された中国語の個人レッスンの先生が、ミンの妹のリン(ドン・ジエ)だったのだ。期せずして再会した早瀬とミン。しかしミンには妹のリンにも話していない秘密があった。聡明でしっかり者のミンだったが、実は不治の病で余命いくばくもなかったのだ。
苦悩する渡部篤郎の芝居は大仰で好みの分かれるところだろうし、一見お涙頂戴とも思えるプロットは現代ではストレート過ぎたかもしれない。しかし上海を舞台にしたことがこの映画に奇跡をもたらした。過去と未来が入り混じる上海の風景は、残された時間と止まった時間という生と死をテーマにしたこの作品に見事に調和し、その中で静かに展開する純愛ドラマに僕は惹き込まれた。残り少ない日常の時を愛おしむように過ごすミン。そのミンの瞳に映るきらびやかな上海の街並み。そのロケーションが実に素晴らしかった。清水尚キャメラマンの渾身の仕事だろう。作品に風格を漂わせた中村裕樹のライティングに依るところも大きいと思われる。総じて言えば、当摩寿史監督のオリジナル脚本はステレオタイプになりがちな難病ものを決して泣かせに走らず、また抑えた演出によって余韻を残すことに成功している。 -
松茸どっさりのスープ。
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蟹みそ入り湯包。
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小籠包は蟹みそ入りや蟹肉入り、豚肉入り、海老豚肉入り、松茸入りなどいろいろある。これは何入りかな?
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南翔饅頭店の窓から豫園が一望できた。
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蟹肉をひたすらほじる作業に、何故かいつも見入ってしまう。
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豫園の天福茗茶。
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迷路に迷い込んだようだ。
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外灘へ。
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人民広場。
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南京東路。
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名軒。
アテンドでは必ず使っていた広東料理の有名店。 -
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行きつけの「Sasha’s」で飲む。こうして上海の夜は更けていった。
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2005年11月22日
朝の新天地の散歩は気持ちいい。 -
老第坊(Rendvous)
夜はフィリピン人のバンドが入るバーで、気に入っていた。 -
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石庫門の路地が美しい。石庫門とは1860年くらいから始まった中国と西洋の折衷型建築で、上海を代表する里弄住宅のひとつだ。
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まだお店は開いていないが、観光客がちらほら出てきている。
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透明思考(TMSK)
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The Coffee Bean & Tea Leaf で紅茶を飲んだ。
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タクシーで空港に向かう。
15時50分上海浦東国際空港を出発した中国東方航空MU8302便は、2時間40分の空の旅を終えて、19時30分に成田国際空港に到着した。
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この旅行記へのコメント (1)
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- 旅熊 Kokazさん 2021/06/20 18:21:07
- 懐かしい!
- 金城武の「ウィンター・ソング」って、現地でのタイトルは「如果・愛」でしたっけ?
ミュージカル調の映画ですよね。
「ラスト、コーション」とかチャン・ツイィーとか、今でも上海で買ったDVDが部屋に残ってます。
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