2013/12/25 - 2013/12/31
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SamShinobuさん
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当時まだ中学生だった次男と上海にジャズを聴きに行こうと思い立って、年末最後の7日間を上海で過ごした思い出を記した。現在、大学生になった彼は、大学のジャズ研で相も変わらずアルトサックスを吹き、ジャズバーのジャムセッションなどにも顔を出しているようである。
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2013年12月28日(土)
Tさんと再会
9時30分に新天地のスターバックスで、Tさんと待ち合わせした。
彼女は2004年12月に初めてガイドをお願いして以来7、8回ガイドをしてもらったが、最後に会ったのが2010年なので3年ぶりになる。上海行きが決まった時、久しぶりに日本から連絡を取ってみると、現在は故郷の安徽省に帰って結婚しており、1歳半の男の子がいると言う。とても懐かしいと喜んでくれて、嬉しいことに是非上海で会いたいと言ってくれた。そしてなんと、5時間もかけてわざわざ安徽省から出てきてくれたのだ。
今日と明日の2日間の案内をしてくれるので、もちろんガイド料は払いますと言うと「今回は仕事じゃないんでしょ。それなら友達なんだからガイド料はいりません」ときっぱり断られた。たまには大好きな上海で息抜きがしたいとも言っていたが、それにしても、なんていい人だ。
スターバックスでは朝食を摂りながら、息子にTさんを紹介し、近況を聞いた。すでにガイドは辞めて友達と茶葉・茶具専門店を開いたことは知っていたが、結婚を機に店の権利は友人に譲渡しそうだ。また、以前お母さんにマンションを買ってあげるのが夢だと言っていたが、ついに600万円のマンションを買えたと話してくれた。妹の名義で買い、300万円は頭金として自分が払って、残りの半分は妹がローンで返済しているが、いずれは妹の物にすればいいとのこと。本当に家族思いだと感心してしまう。スマホに入っている子供の写真や動画を嬉しそうに見せるTさんは、初めて会った時はまだ20歳そこそこだったのに、今や30歳の母親である。 -
上海影視楽園(撮影所)
新天地からタクシーに乗り松江の撮影所と告げるが、運転手は案の定知らない。でも住所を教えてくれたらカーナビで行けると言う。上海のタクシーも進んだものだ。50分で撮影所に着くと、ちょうどドラマの撮影中で大勢のエキストラがいる。 -
日本が上海を占領していた頃の話のようで、日本の軍服を着たエキストラもいた。
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撮影しているすぐ近くで、部外者がビデオや写真を撮っていても何も言われないユルさがいい。
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やはり撮影現場は気分が高揚する。
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息子が、エキストラの女性が待ち時間にスマホを触っているのを見て、「戦時中なのにスマホでピクミンやってる」とつっこんでいた。
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劇用車の車庫にて。クラシックカーが並んでいる。
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スチールの撮影。
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ちょうど書き終わった年賀状を、このポストから出そうとする息子。これはセットのポストだから、一生届かないよと教えてあげた。
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ここからは西洋の街のセットが広がっている。
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数多くの映画がこの撮影所から生まれているので、スクリーンで見覚えのある風景も多い。
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カメラリハーサル中。
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セットとは思えないほど立派な建物は、ハリボテではないので中も撮影で使える。
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撮影は待ち時間が長いので、寒い中エキストラは大変だ。
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準備に手間取っており、なかなか撮影は始まらない。
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日の丸がたなびいているが、きっと日本軍人が悪者に描かれているんだろうな。
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広大な撮影所の敷地に一つの街があるようだ。
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クラシックカー登場。ちゃんと走っている。
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ぽつんと佇む軍人役のエキストラ。
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クレーン車を持ってきたぞ。
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一瞬タイムスリップしたんじゃないかと思えるくらい精巧な造りのセットだ。
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さあ、そろそろ帰ろうか。
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帰りは運よくタクシーを捕まえられたが、地元のタクシーなので上海までは行けないという。そこで最寄りの駅まで行ってもらうことにし、9号線の松江大学城駅前でタクシーを降りた。9号線は郊外では高架上を走っているが、途中から地下に入る。上海ではこの時点で12路線の地下鉄が開通しており、総延長距離は、ロンドン、東京を越えて世界一になっていた。初めて上海に来た2004年当時は、まだ2路線しかなかったことを思うと、信じられないようなスピードで発展している。
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Kathleen’s 5
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この店は、現在は閉館している上海美術館の最上階にあった。もともと戦前の人民広場は競馬場で、1933年竣工のこの建物は、そのクラブハウスだった。そのため階段の手摺に馬のデザインが施されていたりして、とても趣がある。
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ここで遅めのランチを食べた。ルーフトップレストランなので、天井、壁全体がガラス張りでとても明るく、暖かい。また、ここから見える景色も素晴らしい。午後のゆったりとした時間をワインとともに過ごし、いい心持ちになった。
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マダム・タッソー蝋人形館
ロンドンに本拠があるマダム・タッソー蝋人形館は、中国では香港と上海にある。ハリウッドの定番スターの他に、中国ならではの有名人たちがいて楽しい。
息子はアインシュタインの舌を出した写真を知っていたようだ。 -
ドラマのロケ
蘇州河を渡ると、原新天安堂という教会の前でドラマの撮影をしており、撮影用の雪ふらしをしていた。 -
路面にも広範囲に偽物の雪をまいており、本当に雪が降っているようだ。
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雪ふらしが面白いので、撮影がちょうど見えるカフェバーに入って、コーヒーを飲もう。
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SHANHAI ROSE
この店は、映画監督でもある蜷川実花がプロデュースしており、今年オープンしたばかりだ。 -
蜷川実花が監督した「へルタースケルター」の世界観を表現した内装は、万華鏡のような鮮やかな色遣いが特徴的で、真赤な金魚のコーヒーカップなど実に上海にマッチしている。
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しばらく待っていたが、なかなか撮影は始まらない。
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あきらめて、店を出た。円明园路を歩いて南京東路駅に向かう。
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フーターズ
浦東の正大広場にあるフーターズに入る。 -
恒例の女の子たちのダンスが始まる。名物のチキンウイングやピザなど頼み、青島ビールで流し込むと、今日は全く中国料理を食べていないことに気付く。まあいいか。
市内のホテルに泊まっているというTさんとはここで別れ、帰り際にタクシー代を渡そうとしたが、それも受け取ってくれなかった。 -
上海環球金融中心(上海ヒルズ)
フーターズから歩いて、上海環球金融中心、通称上海ヒルズに行く。(左側のビル) -
日本の森ビルが建てたこのビルは高さ492mで、この時点では世界第5位の高さを誇っていた。展望台の高さ(474m)は、やはりこの時点では世界一であり、100階にある展望台から見る景色は実に素晴らしく、100万ドルと称される香港の夜景より見事だと思う。
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展望台
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ここ数年で信じられないほど急成長した上海であるが、実はまだまだ発展途中なのである。帰りは、タクシーがなかなか捕まらなくて困った。結局寒い中、地下鉄の駅まで歩いて行った。
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2013年12月29日(日)
朝食はホテルのロビーラウンジ「リチャード」でモーニングセットを食べた。ロビーが見渡せるレトロなカフェは、1910年代のイギリス租界地で食事をしている気分に浸れた。コーヒーはインスタントで、デザートがバナナ丸ごと1本というのには笑った。 -
長江
Tさんとは、10時にホテルのロビーで待ち合わせした。
今日は、長江を見に行く。タクシーに40分程乗ると、長江に浮かぶ崇明島という島に渡るフェリー乗り場「宝楊码头」に着く。 -
フェリー
崇明島は中国で海南島に次ぐ大きな島で、それが長江の中州にあるというのが、長江の大きさを物語っている。崇明島行きの高速艇は30分おきに出ており、約40分で崇明島の南門港に着岸する。フェリー代は18元(330円)。 -
広大な長江は対岸が見えないので、まるで海のようだ。
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崇明島の記念碑。
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昼食は、比較的高級そうなレストランに飛び込みで入ってみた。大海老のチリソースや焼き小龍包など美味しく食べられた。ただ、BGMに「ウイリアムテル序曲」が流れており、レストランに合わないこの曲に食事を急かされているようだった。それでいて従業員はのんびりしている。
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上海料理の餅入りナツメ。
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帰りも南門港から高速艇で宝楊码头に戻った。宝楊码头では、タクシーが捕まらなかったので、バスで地下鉄の駅まで行った。
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天山茶城
中山広場駅から15分程歩き、Tさんの茶葉専門店が入っている天山茶城に向かう。なにしろ、ここは300軒近い茶葉・茶具専門店がひしめき合っている卸売市場で、日本で売られている中国茶もここで仕入れているケースが多い。 -
ここの2階のこじんまりとした店に、Tさんの幼馴染がいる。以前来店した時は、生まれた時から一緒に育ったというTさんの同級生がいたが、今日はそのお姉さんが店にいた。Tさんは結婚後この店を辞め、今はこの姉妹で経営しているのだ。
店に着くとすぐ、何か芋のようなものを「食べてみる?」と出される。「葛の根」を蒸かしたものだが、故郷では小さい頃から食べているそうだ。ただ田舎のおやつなので、上海の人は誰も知らないと笑っている。味はほんのり甘い芋のようだが、繊維質が多いのでTさん曰く、「ガムみたいに噛んだら出して」。
それからお姉さんが僕らに安徽省の名産である紅茶を振る舞ってくれる。中国茶道で淹れるお茶を小さい茶器で何杯も頂くと、身体も暖まりほんわかした気分になってくる。次に、ジャスミン茶を買いたいと言うと、今度はそれも試飲させてくれた。どんどん淹れてくれるので、飲み過ぎてしまいトイレが近くなる。安徽省の言葉で話すふたりの会話をぼんやり聞きながら寛いでいたら、辺りはすっかり暗くなった。 -
この店では、茶器の販売もしている。
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火鍋屋
今夜は火鍋を食べようということになり豫園の近くで探すと、いかにも大衆火鍋屋といった店がある。凄く混んでいるので、きっと美味しいだろうと入ってみた。注文用紙に具材をチェックしてレジで先に支払うシステムだ。かなりの量を頼んでも合計120元(2200円)ほどだった。安い!タレは3種類もらって、各々好きなものを使うことにした。初めての火鍋にチャレンジする息子に、Tさんがいろいろレクチャーしてくれる。羊肉、牛肉、茸、野菜など鍋に投入し煮えたらタレで食べる、しゃぶしゃぶの要領だ。辛くて旨い!
ただし、サービスはいかにも中国そのもので、店員をいくら呼んでも来ない。まあ、店の中が煩すぎて聞こえないというのもあるが、気付いても知らん顔されることもある。となりのテーブルの若者のグループが「服務員!服務員!」と怒鳴っていたので、こちらも同じように「服務員!」と叫んだが、それでも気付かない様子だ。その若者たちと顔を見合わせて、お互い苦笑いした。 -
豫園
火鍋で満腹になり身体もぽかぽかしてきたので、夜の豫園を散歩した。 -
ライトアップされた豫園に来るのは初めてだが、予想以上に美しい。
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夜は観光客も少ないので、結構いいかも。
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相変わらず土産物を見て回る息子。
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予約した和平飯店のジャズバーの時間が近づいていることをTさん伝えると、和平飯店まで来てくれるという。
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和平飯店(フェアモントピースホテル)
ロビーに飾ってる素敵なクリスマスツリーの前で、Tさんと別れた。別れ際に、Tさんのお茶の店で売ってる徳利とお猪口をプレゼントされた。なんでも中国の無形文化財に指定されている有名な陶芸家の作品で、店にその人の写真が飾ってあった。
今回Tさんにはわざわざ上海まで来てもらい、ホテル代や交通費など散財させてしまった。その上こんな高価な土産まで貰ってしまって本当に申し訳なく思う。いつの日か、彼女が日本に遊びに来た時には恩返しさせてもらおう。
さて、このホテルのOLD JAZZ BARで、予約があることを告げると、受付の女性が息子をチラリと見て「この店は18歳未満(under18)は入店できません」と申し訳なさそうに言う。少し粘ったが、彼女に言っても仕方がないので諦めた。 -
それではウォルドルフ・アストリアホテルのLONG BARに行ってみよう。
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10分程外灘を歩きウォルドルフ・アストリアに着くと、日曜日だけ演奏が無いと言う。ツイてない。息子と相談すると、「もう一度GREGに会いたい」という。今日出演しているかは分からないが、ここから歩いてすぐなので、とりあえず行ってみることにした。
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HOUSE OF Blues&Jazzに入ると、嬉しいことにGREGが歌っていた。
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先日のスーツ姿とは打って変わり、Tシャツにジーンズというラフなスタイルだ。
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GREGとの再会を喜ぶ息子はソウルフルな演奏に聞き入っている。
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GREGに一緒に写真を撮って欲しいと声をかけると、「Oh!Nice to meet you AGAIN!」と言っていたので、4日前に来たことを覚えてくれていた。100元(1800円)で売られていた彼のCDを購入。
和平飯店のJAZZは聞けなかったが、息子はGREGとまた会えたので、すっかり興奮していた。
和平飯店のOLD JAZZ BARは、君が18歳になったらまた来てください。 -
2013年12月30日(月)
朝はゆっくり起きて外灘を散歩した。 -
冷たい空気が気持ち良い。
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タクシーで田子坊に来た。
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KOMMUNEで朝食。「朝はブラディマリーから始めよう」とオススメされたので、モーニングと一緒に頼む。息子はハニートーストだ。この店は田子坊が出来た頃からある。
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当時の田子坊はさほど有名ではなく店も少ししかなかったが、今では上海を代表するショッピングエリアに成長した。
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朝はまだ人が少なくて歩きやすい。
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ここに女性のクライアントを連れてくると、我を忘れて買い物に夢中になる人が多いが、息子も同じ状況だった。
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こんなお洒落なエリアなのに、洗濯物が無造作に干してあるのが面白い。
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雰囲気のいいカフェも増えた。
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味千ラーメン
地下鉄の打浦橋駅に隣接する日月光中心広場というショッピングセンターで、味千ラーメンを食べる。やはり日本のラーメンは美味い。スーパードライも旨い。 -
豫園
購買意欲に火がついてしまった息子は、この旅3度目の豫園に向かう。豫園では、ずっと気になっていた鬼面を自分用のお土産に買うことができて喜んでいた。それも180元(3300円)を80元(1500円)に負けさせて買ったので、ドヤ顔だった。
豫園というとショッピングやレストランで有名だが、元々は清代の庭園のことなので、この16世紀に造営された中国式庭園に入ってみる。園内は、壁の上に龍を配した龍壁や随所に置かれた太湖石など江南地方独特の様式美を誇っている。買い物で荷物が重くなったので、一旦ホテルに戻ることにした。 -
新天地「鼎泰豐(ディンタイフォン)」
上海最後の夜は、台湾の本店がかつてニューヨークタイムズ紙で、世界のレストランベスト10に選ばれたこともある鼎泰豐(ディンタイフォン)に行く。運よく少し待っただけで席に着けた。ここの小龍包は絶品だ。他に鶏の蒸し料理や酸辣湯などどれも満足のいく料理だった。
新天地のC.J.Wというジャズバーに行くと、なんとここも18歳未満は入れないという。仕方がないので、ウォルドルフ・アストリアホテルに行くことにした。今日は月曜日なので演奏を聴けるはずだ。 -
ウォルドルフ・アストリアホテル「LONG BAR」
店の入り口で、息子を見た店員に「16歳未満はだめなんです」と言われ、「16歳ですが、何か?」とキレ気味に言うと、「申し訳ありません」と席に案内してくれた。ゴメン、嘘でした。さすがヒルトン系の最高級ホテルのメインバーだけあって、客層も洗練されており、バーテンダーの身のこなしもエレガントだ。 -
黒人女性のボーカルに、ピアノ、ベースというシンプルな構成で「ラビアンローズ」や「Under My Skin」などスタンダードナンバーを聴かせてくれる。客の会話の邪魔にならない程度に演奏するところも、心得ている。上海最後の夜は、ジャックダニエルの華やかな香りとともに更けていった。
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2013年12月31日(火)
ホテルをチェックアウトして、荷物を預ける。
今日は上海人の生活に触れられればと思い、四川北路を多倫路まで散歩することにした。なんでもない路地裏に入ってみる。昔ながらの住宅地・里弄(リーロン)は、縦に洗濯物が干してあったりして実に中国らしく、こんなところを当てもなく歩いてみるのも楽しい。 -
四川北路公園では太極拳をしている人たちがいた。特にこのおじさん、達人っぽい。
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息子は太極拳を見よう見真似で一緒にやってみる。上手くできない息子は対抗意識を燃やしたのか、小さい頃から習っている空手の型をやり始めた。かなり真剣にやっていたが、それをチラ見した太極拳の達人に笑われていた。
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やけになる息子笑。
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サックスを吹くおじさんや二胡を弾く老人がいたりして、やはり中国の公園は面白い。
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多倫路
ここは共同租界旧日本人居住区でもあり、魯迅ゆかりの地だ。ほとんどの建物が1930年前後に建てられている。 -
骨董品屋がずらりと並ぶ中にある「KOALA GARDEN HOUSE」というゲストハウスの1階にあるカフェに入ってみた。ブランチでもと思ったが、店員が一人しかいない上に何やらとても忙しそう。とりあえず飲み物だけ注文して欲しいと言われビールを頼むが、それもなかなか来ない。パスタを頼もうと思ったが、いろいろ聞いてみると最近スタッフが変わったばかりでイタリアンはお勧めできないとか、時間もかかりそうだと言う。申し訳なさそうに言うので怒る気もおきず、ビールだけ飲んで店を出た。
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村夫烤魚
そこで、いかにも地元の食堂といった感じのこじんまりとした店に、勇気を出して突入した。こういう店は当たれば美味しいが、ハズレると酷い時がある。食事に関してはたった一食のこととは言え、その一食が旅の気分を台なしにしてしまうので、どうしても慎重になってしまう。 -
大量の唐辛子と一緒に鶏肉を揚げた料理や、カリフラワーと豚肉炒め、チャーハン、トマトと卵のスープなど注文する。出てきた料理を一口食べてみると、これがどれも非常に美味しくて、ここにして大正解だった。
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老麦珈琲館(THE COTTAGE CAFÉ)
虹口足球場駅から地下鉄に乗って上海図書館駅で降りる。プラタナス並木の旧フランス租界地にあるアンティークカフェに行くためだ。築100年近い木造2階建ての小さな店だが、よく今まで残っていたと感心してしまう。はじめはドイツ人の家だったが、数年前にカフェに改装したそうだ。 -
上海に来始めた頃はおいしいコーヒーを出す店はほとんどなかったが、この10年で珈琲文化はしっかり根付いた。息子が頼んだチーズケーキもとても美味しかったそうだ。
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上海磁浮列車(リニアモーターカー)
ホテルに戻り預けた荷物を受け出して、タクシーでリニアモータカーの駅、龍陽路に向かう。龍陽路駅には少し早く着いたので、時間をつぶすことにした。というのも、この時リニアモーターカーが最高時速の430kmで走行するのは、9:02~10:47と15:02~15:47の間だけで、それ以外は300kmでしか走行しなかった。せっかくなので430kmを体験しようと、駅の下にある磁浮交通科技館というリニアモーターカー博物館で時間調整した。受付の女の子が「免費(無料)」と愛想なく言う。誰一人いない寂しい博物館でゲームなどやって遊び、15時になったのでホームに上がる。 -
席はVIPシートと普通席があり、VIPシートは100元(1800円)。ここは思いきってVIPシートにした。航空券かeチケットを見せれば20%オフになる。ホームに入ってきたリニアに乗ると、なんとVIPシートは僕らふたりきりで貸切状態だ。空港までの約30kmを8分間で走るため、最高時速の430kmが出るのはほんの数秒。高速で流れ去っていく風景はまるで上海の急激な発展を思い起こさせ、この先にどんな未来が待っているのか、そして古き良き時代の遺産がどれだけ失われていくのか、複雑な思いの中、リニアは浦東国際空港に到着した。
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上海浦東国際空港
中国東方航空のカウンターでチェックイン。上海を17時ちょうどに飛び立ち、成田空港に20時55分に着く予定だが、成田エクスプレスの終電がぎりぎりの為、荷物は預けず機内持ち込みにした。再両替を済ませると手元に60元(1100円)ほど余る。それも使い切りたいと、搭乗時間ギリギリまで空港のショップで粘る息子だった。
今回宿泊した浦江飯店の素晴らしさは、予想をはるかに超え、滞在中何度も百年前にタイムスリップさせてくれた。ただ大変残念なことに、このホテルは2017年12月31日に、171年の長い年月を経て、その営業を終了している。願わくば改めてホテルとして再開するか、もしくは歴史博物館のような施設として建物を残して欲しいものだ。
歴史的建造物ファンとしては、外灘の建築群、郵政博物館、上海美術館、そして街中に何気なく建っている古い建物の数々など、プライベートな旅行だからこそ存分に楽しむことができた。
JAZZ BARは息子の年齢から入れなかった店もあったが、彼にとっては次回の楽しみが出来たのではないだろうか。HOUSE OF blues&Jazz ではGREGのブルースに出会って、音楽への興味の幅が広がったと思う。
古い友人であるTさんには、本当にお世話になった。お礼は受け取ってもらえないとわかっていたので、遅ればせながら結婚のお祝いという形で強引に渡したが、結局それ以上に散財させてしまった。息子がTさんをとても気に入っていたのが微笑ましかった。いつかは日本に遊びに行きたいと言っていたので、その際は是非東京案内をしたいと思う。
素敵な茶館やカフェにもたくさんめぐり逢った。特にTさんの友人に淹れてもらうお茶はどれも美味しく、全く分からない安徽省の言葉をBGMにして、中国の家庭にいるような感覚になり楽しかった。
さて、今回の旅から息子は何を感じとっただろうか。
真のグローバル感覚というものは、やはり多くの国の人と触れ合い、その国を自分の肌で感じることによって自然に身に付くものだと思う。日本人からすると中国には「あり得ない」ことが数多くあるが、中国の人口は日本の10倍なのだ。単純に人口比から見たら、いい悪いは別にして、そのあり得ない状況の方がメジャーなのかもしれない。そう思うと、自分たちの常識の枠というものがいかに脆く、世界に目を向ければ日常の些細な悩みなど取るに足らないことだと思えてくる。中国のGDPは日本を抜いて、世界第2位になって久しい。この発展を牽引している国際都市・上海。またいつの日か息子がこの上海を訪れた際には、年齢制限で入れなかった和平飯店のOLD JAZZ BARで、ジャックダニエルを堂々と飲みながら、この旅を懐かしんで貰えたら幸いである。
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