我が慕情の香港　2011香港国際映画祭を視察

2011/03/19 - 2011/03/22

3.11の直後、仕事で香港映画祭に出張した。東日本を襲った未曾有のカタストロフィは、1週間経っても落ち着くどころか、まだまだ日本は混乱を極めていた。それでも仕事はキャンセルせず、いつもと変わらない海外出張が僕を待っていた。
驚いたのはホテルの部屋で観たテレビのニュース映像だ。日本では報道規制なのか自粛なのか分からないが、あまりにも凄惨な津波被害は放送しなかったようだ。日本で見た映像も目を覆いたくなるようなものばかりだったが、それとは比べものにならないような残酷で生々しい映像が、香港のテレビでは普通に流れていた。
さて、2020年現在の香港は、中国共産党の強権統治に対するデモや、｢国家安全維持法｣の施行、そしてそれに追い討ちをかけるように新型コロナウイルスの影響による入国制限や経済の落ち込みによって、当時と大きく様変わりしてしまった。東洋の真珠と謳われた美しくも逞しい香港や香港人に、かつての平和と安寧が訪れることを心から祈らんばかりである。

エリア 香港(香港)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.5
• ホテル: 3.5
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 3.5
• 交通: 5.0

• 同行者: その他
• 交通手段: 船 タクシー 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

2011年3月19日
10時00分に羽田空港を飛び立った日本航空JL027便は、5時間05分の飛行の後、14時05分に香港国際空港に到着した。空港からタクシーで香港島へ向かう。

ホテルは香港島の湾仔にある香港華美粤海酒店
（The Wharney Guagdong Hotel）

ホテルの部屋。1泊朝食付で11,000円だった。

ホテル周辺を散策

二階建てのバスと路面電車が並んで走行している。なんだか倒れそう。

街をぶらぶら。

辣蟹荘で夕食。
銅羅湾（コーズウェイベイ）にある広東海鮮料理店だが、店名が示す通り、蟹が旨い。

調理前に活きた蟹を見せてくれる。

辛いけど旨い！

この貝もピリ辛でビールがすすむ。

2011年3月20日
朝の散策。二階建てバス。

二階建て路面電車。運賃が安くて旅行者に分かりやすく、何しろ可愛いところがいい。

パークレーンホテル近くの公園。
香港では多くの人がフィリピンやインドネシア系の住み込みのお手伝いさんを雇っている。今日は待ちに待った日曜日なので、彼女たちはこうして公園に集まって、お弁当を広げてお喋りしながらのんびりと一日を過ごすのだ。

スターフェリーで、九龍へ。

スターフェリーの船内

重慶大厦前のネイザンロード

重慶大厦

重慶大厦の正面。現在は派手なネオンサインの綺麗なビルになってしまったが、以前はこんなだった。とは言ってもリニューアルしたのは正面だけで、中は相変わらず愉しいカオスの異次元世界が待っている。

重慶大厦はゲストハウスだらけ。仕事じゃなかったら、こんなところに泊まるのも面白いかもしれない。

重慶大厦のカレー屋。ここで一度食べてみたいと思っているが、まだ入ったことはない。

バス停でバスを待つ。

ネイザンロードを２階建バスで旺角へ。

公共バスの２階の一番前に座れば、名物の道に突き出した看板スレスレが楽しめる。わざわざツアーに参加しなくてもこれで十分。

市場

糖朝
日本でも高島屋や東京ミッドタウンに支店がある超有名な点心屋。

店内。本店はいつも混んでいる。

点心を注文。
見ると、仕事中にもかかわらず、昼からビールを飲んでいる。

この店のマンゴープリンはお勧め。

ピークトラム乗り場

トラム車内

トラム遠景
霧が出てきたぞ。

ビクトリアピーク

マダムタッソー蝋人形館
霧で100万ドルの夜景は見られそうもないので、諦めてテレサ・テンとツーショット。

二階建て路面電車

すれ違いもスレスレ。

火鍋本色で火鍋。
ここは、銅羅湾（コーズウェイベイ）にある海鮮火鍋の名店。蟹、アワビ、海老、ハマグリのどれをとっても鮮度抜群。

肉も一緒に。タレは例によって自分で調合。

〆は何故か出前一丁。家で食べるだけでなく、結構な高級店でもよくメニューにある。香港人、出前一丁好きすぎ、ワロタ。でも実は火鍋の〆には袋麺がよく合うんだよな。

2011年3月21日
アヴェニュー・オブ・スターズ

ジャッキー・チェンの手形。
以前、出張先のロサンゼルスでジャッキーとハイタッチしたことがあったが、あの手だと思うと感慨深い。

我が心の師、李小龍！

スターバックス

海風が心地好いオープンテラスでコーヒーを飲む。

金雀餐廳　
ここはウォン・カーウェイのお気に入りのレストランで、彼の監督作品「花様年華」と「２０４６」でロケに使っている。
「花様年華」の劇中でトニー・レオンとマギー・チャンが座った席を事前に予約しておいた。ミーハーか、俺！
後ろの壁には、｢花様年華｣の同じシーンのパネルが掛かっていた。

仕事で「２０４６」に携わったので、この映画には思い入れがあるのだ。

なので｢2046コース｣を注文。

店内

香港映画祭

香港国際影視展（コンベンションセンター）

映画の買い付け（バイヤー）の登録はここ。

シーサイドプロムナード

金紫荊広場（ゴールデン・バウヒニア・スクエア）
ここは香港国際影視展が行われている香港コンベンションセンターの横にあり、1997年に中国から贈られた｢永遠盛開的紫荊花｣の像が立っている。

これは1997年7月1日にイギリスから中国へ香港が返還されたことを記念したもので、返還式典もここで行われた。ということもあり、ここは本土からの中国人観光客がやたら多い。

名都酒楼（Metropol Restrant）
金鐘駅近くにある香港の大手映画製作配給会社に立ち寄った後、そこからすぐの飲茶の名店に入った。

この日は北京ダックをメインに、小籠包、海老餃子、春巻等いただいた。

インターコンチネンタルホテル

ロビーラウンジで生演奏を聴きながら、ジャックダニエルのロックを飲む。ヴィクトリアハーバーに面しているので、100万ドルの夜景を堪能できる。

2011年3月22日
レパルスベイ
ウィリアム・ホールデン、ジェニファー・ジョーンズ主演「慕情」のロケ地。香港島の南に位置するビーチリゾート。
かつて渋谷に｢前線座｣という名画座があった。小学生だった僕は、ここで｢慕情｣と｢愛情物語｣の2本立てを見ている。タイロン・パワーとキム・ノヴァク主演の純愛物｢愛情物語｣はまだいいとして、「慕情」はイギリスと中国の混血女性医師とアメリカ人記者の不倫ドラマだ。そんな映画を観て、小学生の僕は何を思ったのだろうか。ただ不倫と言っても、アメリカ人記者とその奥さんは離婚調停中で、とっくに愛情はなくなっている。イマドキのドロドロな愛憎劇とは違い、甘美なラブロマンスに仕上がっていて、気品漂う大人の作品だ。男は朝鮮戦争の従軍記者としての赴任が決まり、つかの間の逢瀬に燃え上がる恋。香港の風景と主題歌｢Love is a many-Splendored Thing｣は、小学生の僕の心にしっかりと刻まれた。それから今まで何度も観たし、大好きな作品なのでDVDも持っている。
ということで、帰国日の朝は早起きして聖地巡礼にやって来た訳だ。

｢Love is a many-Splendored Thing｣が頭の中でずっと流れていた。

高級マンション｢ザ・レパルスベイ｣真ん中の穴は、風水で気を通すため。

このマンションの中庭でアイスコーヒーを飲みながら、朝のひと時をくつろいだ。

ホテルの近くの食堂。

この麺、メチャクチャ美味しかった。

高級有名店も勿論いいが、こういう何でもない店がびっくりするほど旨かったりするので、そんな店を見つけるのも旅の醍醐味だ。

香港国際空港

空港のターミナル2にある星光無間電影娯楽展覧館。

ジェイ・チョウ主演｢頭文字D｣のスプリンタートレノ（ハチロク）が展示されている。ドアに書かれた｢藤原とうふ店｣が泣かせる。映画の中では、確か毎朝豆腐の配達で峠を走っていたら、いつの間にか運転が上手くなったとかいう設定だった。そういえば、この映画、仕事絡みで台北で観たんだった。

チャン・ツィイー主演｢女帝（エンペラー）｣の衣装の展示。

香港映画のスター俳優陣。

ソニーCineAlta HDCAM HDW F900Rの展示。
2011年当時、映画業界にもついにデジタル化の大波が襲ってきていた。翌年には、日本のフイルムメーカーは映画用フイルムの製造から撤退し、映画は撮影から上映までオールデジタルになった。100年続いた映画フイルムというフォーマットは消滅し、ごく一部のミニシアターを除いて、フイルムで映画を観ることは出来なくなった。

搭乗時刻までビールを飲みながら時間をつぶす。
15時45分香港発、日本航空JL０２８便は、飛行時間3時間40分で羽田空港に到着した。