2019/10/27 - 2019/11/07
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bunkichiさん
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アールヌーヴォー建築の魅力に取り憑かれ、パリ、ブリュッセルとさまよってきた爺さんですが、まだ足腰が動くうちにと選んだ先が今回のスペイン・バルセロナです。
バルセロナは、スペインのなかでいち早く産業革命を達成し発展を遂げ、また第一次世界大戦にスペインが不参加であったことから他のヨーロッパ諸国より長くアールヌーヴォーが1930年頃まで続きました。
その結果、より自由な表現、あらゆる様式が容認される「なんでもあり」のアールヌーヴォー(モデルニスモ)建築が多く建ちならんでいます。
今行かないのなら一体いつ行くのだとボチボチ余命期間が気になりだした爺様としては、行かないとの選択肢はなく、"ビックリ仰天の世界"に突撃するのでありました。
前旅行記では、ガウディ前半期の建築物(グエル邸まで)を記しましたが、本旅行記は、ガウディ円熟期の建築物に突撃します。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 航空会社
- エールフランス
-
この建物は、アイシャンプル地区にある「カサ・カルベ/Casa Calvet」(1898-1900)です。
繊維業者ペレ・M・カルベの依頼により建てられたもので、1Fは所有者の事務所、2Fは所有者の居住地、3F~5Fは賃貸住宅になっていました。
現在も住居として使用されているため、中の見学は出来ません。
但し、事務所があった1Fだけは、レストラン「カサ・カルベ」となってるので食事を楽しみながら内装を楽しむことができるそうです。
残念ながら訪ねたのが早朝だったので、シャッターは開いおらず、影も形も拝めませんでした。カサ カルベ 建造物
-
ガウディの作品にしては大変地味なのですが、よく見るとあちらこちらに変わったデザインが施されてます。
上部には、3人の胸像(オーナーの出身である町の守護神)があったり、バルコニーに"キノコ"のレリーフがあります。 -
この建物は1900年にバルセロナ市の年間建築賞を受賞しています。
ガウディの生前唯一、公共機関から認められた建築作品です。
生前、あまりにも時代を超越した存在であったために大半の人から理解されず、専門家からは異端の存在と見られ続けていましたが、この頃は流石に賞を与えなければと思われたのか比較的"わかりやすい"この建物で受賞したのかもしれません。 -
建物のドアノブは、持ち上げると、その下には南京虫の像が現れるそうです。
(万一、中から人が出てくるのを恐れて試しませんでしたが.....) -
老体に鞭を打ち、坂を登るのはご勘弁願いたく、「グエル公園/Parc Guell」(1900-14)へは、日本語バスツアーに参加しました。
「グエル公園」は、もともとはガウディのパトロンであったグエルが計画した英国風の庭園式住宅地で、60軒が計画されました。
しかし売れたのは2軒だけで、そのうち一軒はガウディ自身が病床の父のために購入し、53歳のときから20年ほど住んでいたそうです。
その家がこれで、今は「ガウディ記念館」として公開されています。グエル公園 広場・公園
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「グエル公園」にはガウディの自然と調和する思想、合理的な知恵が随所に盛り込まれていると言われてます。
例えば、自然な土地形状を保ち、道路下に歩行者が通行できる斜め柱の建つ回廊を見るとそれを痛感します。 -
ただ前述の通り、ツアー参加なのでマイペースで観賞に浸っているわけにいかず、ハグレないようにと必死で集団を追いかけます。
どこで焦って間違えたのか、カメラを"多重露出撮影モード"にしてしまい、ご覧のように何が写っているのかわからぬ写真を大量生産する羽目になりました。 -
その結果、
「カサ・ビセンス」から転用された鋳鉄製のシュロのパーツも -
ガウディの弟子、ジュジョールの傑作、「波打つベンチ」も
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その下にある「市場になる予定エリア」も殆どがボツ写真となりました。(T◇T)
かろうじて「メダイヨン」と呼ばれる円形のオブジェクトの写真が一枚残っただけでした。
途中なんか写真が薄いなとは感じてたのですが、老眼鏡を掛けるのを面倒くさいと撮り続けたのがいけなかったのです。
<(T◇T)> -
写真の失敗に気がついたのが、(反対山側からの)ツアーコース最終地点の「管理事務所」。(サルバドール・ダリが"砂糖をまぶしたタルト菓子のようだ”と評したの所です)
ツアー係員のおねーさんから「皆さ~ん!バスに戻りまーす!」の無情な声が響き渡った時でした。 -
慌てて帰り際に、もう一度トレンカディス(粉砕タイル装飾)の「第3の噴水のトカゲ像」を撮ります。
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このトカゲ像以外にも撮り直したい所がてんこ盛りでしたが、
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集合時間に遅れるわけにもいかないので、慌てて全景写真を撮り、
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先ほど感動して見た「斜め柱の回廊」の脇をいそいそと通り過ぎ、集合場所に向かうのでした。
こりゃまた、リベンジで来ないといけませんね。
(T◇T) -
この日本語バスツアーは、次にアイシャンプル地区にある「カサ・バトリョ/Casa Batllo」(1904-06)に向かいました。
繊維業界の富豪であったジョセップ・バトリョは、当所買い取った既存建物を撤去して新築を建て直すつもりでしたが、ガウディの薦めで、増改築に変更した建物です。
(ガウディは、この建物をほとんど別物にしてしまいましたが・・・・・・)カサ バトリョ 現代・近代建築
-
平坦だった既存のファサードは垂直方向に波打ち、その表面には、「グエル公園」でお馴染みのジュジョール作の極彩色セラミックが貼られてます。
-
建物の造形には諸説あります。
一つは丸みのある屋根がドラゴンの背中に見えることからカタルーニャの守護聖人サン・ジョウディの龍退治伝説を表現したという説で、塔は聖人の構える槍、石柱が骨、バルコニーがドラゴンの犠牲になった人たちの頭蓋骨を表していると言われてます。
また謝肉祭を表現しているという説もあります。
屋根をアルルカンの帽子に見立て、ファサードのバルコニーが仮面、タイルのモザイクが祭りの紙吹雪を表現していると言われてます。 -
この不思議な外観からなのか、大人気スポットで建物前は観光客で溢れていました。
(左横はモデルニスモ建築の巨匠の一人、"プッチ"の「カサ・アマトリェール」) -
ドラゴンの脊髄のような階段を登り2Fに向かいます。
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階段からの光景は下方向も
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上方向もアールヌーヴォー建築では、お馴染みの有機的な曲線美の世界です。
(天窓は亀の甲羅がモチーフ) -
2Fはバトリョ家の邸宅スペースです。
(皆,カメラ片手にあちらこちら動き、大混雑状態!) -
見学者が多いので、どうしてもカメラは天井方向が多くなりました。
先ずは、"水玉模様のステンドグラス" -
"豪華なシャンデリア"
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"渦巻く天井"
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そして、"ミルククラウンの装飾"
ところが天井ばかり写真を撮っていたら、ここの見所の一つ、"壁に埋め込まれたキノコ型の暖炉"を撮り忘れました。
(T◇T) -
この建物には換気と採光のために中庭を設け、屋上までの吹き抜けとなってます。
外壁面には市松模様にタイルが貼られ、上層階から地上階に近づくにつれて濃紺から白へと変化させています。
これは各階に届く光の量に色を対応させ、強い光が当たる上屑階には光を吸収しやすい濃紺色の夕イルを貼り、光が屈きにくい下層階には反射率の高い色のタイルを貼ってます。
これは、各階の住人が均等に光を享受できる仕掛けになっているそうです。 -
途中に中庭があったので外に出てみました。
-
中庭側から観た「カサ・バトリョ」です。
わかりにくいですが、トレンカディス装飾のタイルが建物側面に貼られています。 -
屋上を目指して、さらに階段を登ります。
-
ここは増築された屋根裏です。
石膏で覆ったレンガのアーチ状の回廊が続いてます。
使用人のためのスペースでもあり、建物の内外温度を調整機能のスペースでもあり、洗濯室もこの屋根裏に設けられてました。 -
屋上に出た時は既に夕暮、テラスには不思議な形のオブジェが多く並んでました。
-
不思議な形のトレンカディス装飾の煙突
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これまたトレンカディス装飾の尖塔
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イチオシ
ドラゴンのうろこを彷彿させる屋根
-
イチオシ
日が暮れライトアップされると、尚一層、ファンタスティック光景に出会えます。
\(^O^)/ -
こちらは「カサ・ミラ/Casa Mila」(1905-1907)です。
実業家ペレ・ミラ夫妻のために建設された邸宅兼集合住宅で、「カサ・バトリョ」にほど近い場所に建っています。
石灰岩を主材料として使用し、建物の表面がでこぼこしている外観から「採石場」というあだ名で呼ばれました。
建物完成当時、高額な家賃(当時の一般職人の月給の約10倍)と見た目の悪さから、なかなか借り手が見つからず、家賃は3世代に渡り値上げをしないという条件で賃貸契約がなされ、現在も4世帯が実際に居住しています。カサ ミラ 現代・近代建築
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日本でチケットをネット予約していたので、指定予約時間まで1Fのカフェテリアで過ごしました。
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中へ入って上を見上げると、このような"波打つ天井"でした。
(^◇^ ;) ほぇ~ -
予約時間になったので入場しようとすると、ここはプレミアムチケット入場口。
プレミアムチケット以外のチケット入場口はチョット右側の所にあります。 -
カサ・ミラは建物内の全てが見学できるわけではなく、一般公開されているのは、
①1Fの中庭 ②屋上 ③屋根裏の回廊 ④屋根裏の一つ下の階の住居スペース ⑤2Fの特別展示会場の5カ所です。 -
入場すると楕円形の中庭を囲む、吹き抜け構造の建物がデーンと現れました。
-
上を見ても
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横を見回してもビックリ仰天の光景です。
左の写真は、施主であるミラ家専用の階段で、今は特別展示会場となってます。 -
天井のフレスコ画の色彩、床の大理石も感動ものです。
-
イチオシ
中庭を見終えるとエレベーターで一気に屋上へと向かいます。
屋上に出ると、そこにもまたビックリ仰天の世界が待ってました。
(奇っ怪なオブジェのようなものは、煙突や換気口です) -
でもこの煙突どこかで見覚えがありませんか?
そうあの『スター・ウォーズ』のダースベイダとお供として寄り添うストームトルーパーです。
後で調べたら、ここを訪れた監督ジョージ・ルーカスが、映画のキャラクターのヒントを得たとそうですが、むしろパクリに近いのではと個人的には思ってます。 -
ガウディは兜をかぶったローマ兵の頭をイメージしてデザインしたようです。
-
こちらはキノコというか帽子をかぶった様なデザインの煙突です。
この頭の緑色部分はビンのカケラの装飾です。
このようにユニークなデザインの煙突や換気口が並んでいますが、これもまた単にウケだけを狙ってのものではありません。 -
イチオシ
例えば、このソフトクリームのような形の煙突は、空気の流れを読んで、こういうデザインを生み出したそうです。
屋上を風が吹き抜ける時に、この煙突が空気をぐっと巻き込んで、気圧の差をつくり、中の煙をスムーズに吸い出させる機能が施されているそうです。
単に「かわいい♪」とはしゃいでいると後ろから叱られます。 -
実はガウディは、カサ・ミラの屋上にマリア像を設置したいと考えていたそうです。(というよりむしろ、マリア像の台座としてカサ・ミラを構想していました)
しかし当時、アナーキストたちによる攻撃がカトリック教会にも向けりれるようになっていたため、それが果たせなかったと言われてます。
もし実現していたらどんな形のマリア像になっていたのでしょうか。 -
下を覗きこむと、建物内側にぎっしり並ぶ窓が見えます。
並んだ窓は、階下へ行くにつれて大きなサイズとなっています。
これは「カサ・パトリョ」でも同様に施されていた自然光がより取り込める仕掛けです。 -
この屋上は、サグラダファミリアが見渡せる絶好の撮影スポットになっており、皆ここで盛んに記念撮影をしてました。
-
イチオシ
屋上下は、アーチ状の回廊が続く屋根裏です。
「カサ・パトリョ」同様に建物の温度を調整する機能を担っていた空間です。 -
今は「エスパイ・ガウディ」と呼ばれる、ガウディ建築に関する展示場となっています。
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薄いレンガを積み上げ、天井を支える「カテナリーアーチ」は、まるで動物のあばら骨ように華奢に見えますが、安定的に上を支え、広い空間を生み出す優れ物です。
-
"フニクラと呼ばれる逆さ吊り模型"と"石膏模型"が展示されていました。
ガウディは、複雑な計算を用いて建物の設計を進めるのではなく、自然な曲線を描いて力学的に安定するフニクラを利用して設計し、また建物全体と各部の精巧な石膏模型をつくり(というよりも模型をつくりながら建物の構造やデザインを考え)、それで職人たちに指示を出していたそうです。 -
このフロアーにはガウディが設計したイスも展示されていました。
きっと凡人には気がつかない人間工学に基づいた仕掛けが施されているに違いありません。 -
ガウディが自らデザインした"六角形の植物模様のタイル"です。
-
屋根裏下の住居スペースは、1900年代初頭の富裕層の暮らしぶりが再現されています。
ちなみにここは、子供部屋です。 -
家政婦が裁縫などの仕事を行なっていた部屋
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書斎と応接室
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ゴージャスな寝室
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モスグリーンを基調としたバスルームとピンク色の壁が可愛らしいバスルーム
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小物もお洒落でした。
-
見学出来るのは屋根裏の一つ下の階の住居スペースまでなので、階段を降りて、入場した時とは別の1Fエントランスに出ます。
-
イチオシ
こちらは2Fの特別展示会場に続く階段天井のフレスコ画です。
鮮やな色使いに再び感動し、 -
今一度、中庭から天を見上げ「カサ・ミラ」を去るのでした。
次回旅行記は、いよいよあの「サクラダ・ファミリア」に突撃します。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- churros さん 2020/06/01 11:25:34
- はじめまして
- !Hola!bunkichiさん、初めまして。
旅行記に訪問頂きありがとうございます。
バルセローナのガウディ満喫されたようですね、私も建築関係の仕事でガウディ作品には興味があります、特にロート・アイアンは素晴らしいですね、ガウディの生家が鍛冶屋だと言うのも有るのでしょうが、カサ・ビンセンスの鉄扉は建築の域を超え芸術ですよね、スペインの都市には普通の建物にも❕ハッ!とする様な、ロート・アイアンを発見します。
最近はサグラダ・ファミリアも前まで行っても、高い入場料を出してまで入らない様になりました、以前の様に700ペセタ程度なら入ってもイイのですが。
churros
- bunkichiさん からの返信 2020/06/01 19:35:18
- RE: はじめまして
- Hola! churrosさん
こちらこそ私の旅行記に訪問頂き、その上、たくさんの"いいね”を頂きありがとうございます。
私は単なる建物好きのド素人爺ですが、建築関係のお仕事をされているchurrosさんは
きっと私が見えないものがたくさん見えるのでしょうね。
羨ましい限りです。
サグラダ・ファミリアの入場は、700ペセタ程度だったのですか!
ということは、500円程度だったのですね。
それが今では17時以降の入場だけでも2,400円、+オーディオガイド+塔のエレベーターに乗ったら約4,000円ですからずいぶん高くなりましたね。
ただその高額入場料で工事資金に困ることがなくなり、何とか生きているうちに完成した姿をお目にかかれるかもしれないので複雑な気分です。
- churros さん からの返信 2020/06/02 17:26:51
- 返信のお礼
- !Hola!bunkichiさん返信ありがとうございます。
建築関係と言いましてもスペインタイルの輸入販売を営んでいた、建築業界の端クレなんですよ、見える物は「これは日本で売ったら高く売れるだろうなぁ~」位しか見えませんよ。
スペインもエウロ圏に入ってから物価も高くなりましたねぇ~、ペセタがエウロに変わってからオテル代も倍になり、レスタウランテで食事も出来ないです、今から20年ほど前にはサグラダ・ファミリアの説明では、完成までには少なく見積もって150~200年かかる、私の生きている内には無理だと諦めてました、2026年に完成したサグラダ・ファミリア生きている内に見たいものです。
churros
- bunkichiさん からの返信 2020/06/03 19:28:38
- RE: 返信のお礼
- !Hola! churrosさん、こちらこそ返信のお礼を頂きありがとうございます。
>見える物は「これは日本で売ったら高く売れるだろうなぁ?」位しか見えませんよ。
それこそ"審美眼"というものです。
私なんぞ、ポルトガルでアズレージョを見た時は、"猫に小判"でしたから。
このところのコロナで、旅行にいけない状態になってますが、お体に気をつけて、今後も宜しくお願いします。
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