箱根湯本温泉旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 近頃、私は仕事で小さなミスを重ねることが多くなっていた。原因不明の肌荒れがひどくなるなど、体調にも変化が訪れていた。脳に天気があるとすれば、それは常に曇天といった感じであった。彼女も私のことを心配していた。そこで、週末を利用して、彼女と箱根に療養旅行へ行くことになった。宿は私が木曜日に予約した。天城園である。旅程は特に考えなかった。箱根に行くのは彼女は初めてだが、私は初めてではなかった。<br /> 旅行前日の金曜日、私は友人との予定があった。帰りは23時頃になった。彼女はその日、仕事で少し大変な事があったことに加え、翌日から始まる旅行に胸を膨らませるも、私が友人会ってしまっていて私と電話をすることができないから、気持ちが沈んでいた。このようにして、私も彼女もすでに少し疲れた状態で、この旅行は幕を開けた。<br /> 当日、私と彼女は9.00過ぎに品川に集合し、小田原を経由して箱根湯本に向かった。箱根湯本に到着したのは、正午より前であった。15.00のチェックイン時刻までまだ時間はあったが、荷物をホテルに預けるため天城園へ向かった。箱根湯本の通りは複雑で、google マップを利用しても、何度か道に迷ってしまった。箱根湯本は駅がある側の道と、川がある側の道との間に一本車道が走っているのだが、その車道を横断するポイントが少ないため、道選びに手こずるのである。川側の道を暫く歩くと、いかにも温泉街といったような街並みが現れて、その先にある上り坂の道を登ると、天城園が川を見下ろすように構えていた。天井園は巨大な城といった感じで、なるほど箱根湯本温泉の旅行記の中に、天井園に宿泊した人が多いのも頷けた。フロントに荷物を預けて、美味しい湯葉料理を食べることができる直吉に向かった。「なおきち」という名前は非常に語呂が良く、心地の良いもので、お店に向かう途中、私と彼女は何度もこの「なおきち」のリズムを刻んだ。お店は非常に混み合っていたため、整理券を発券して再び街に出た。順番が近くなると、登録した番号に電話がかかってくるというシステムであった。駅の方に戻り、散歩をしていると、美味しい自然薯を食べることができる蕎麦屋を見つけた。直吉は翌日のお昼に行くこととし、このお店で昼食をとることにした。私は天ぷら蕎麦を頼んだ。サクサクの分厚い衣を纏った大きな海老が、気持ち良さそうに汁に浸かっている。のぼせないうちにと思い、目一杯頬張った。彼女は自然薯の冷やしそばを頼んでいた。卵のとろみがかった自然薯は、お蕎麦によく絡んで美味しかった。昼食後は、早雲寺に向かった。案内板に沿って、林の中を歩き、暫く上り坂を登った。しかし、なかなか早雲寺は見つからなかった。代わりに、小さな神社を見つけた。そこで鐘を鳴らした。それは試合終了のゴングのようにも聞こえ、早雲寺に行くことは諦めた。<br /> その後、駅の方に戻り、川に腰掛けてタバコをふかした。チェックイン時刻の15.00を回ったので、天城園に向かった。チェックインを済ませて、部屋に入った。和室であった。部屋は決して広くはなかったが、2人で寝泊まりする分には十分な大きさであった。夕飯までまだ時間があったので、部屋で天城人の生活を楽しんだ。<br /> 夕飯前に、夜の箱根を散歩した。雲が空一面にかかる暗い夜に、天井園の放つ光がよく映えた。天井園の頭からは、露天風呂の煙がモクモク吹き出していた。それは機関車が煙突から噴煙する様にも良く似ていて、川の流れる音も相まって、今にも動き出しそうな胎動が感じられた。<br /> 夕飯はビュッフェ形式であった。品数は比較的多く、選ぶものに困らなかった。シェフが目の前で焼いてくれるステーキは、柔らかくて美味しかった。デザートの種類も充実していて、彼女も喜んでいた。彼女はケーキを10個くらい食べていたように思う。太らないか心配であった。<br /> 夕食後はチェックイン時に予約していた家族風呂に入った。丸みがかった可愛らしい浴槽で、二人で入っても足が伸ばせる大きさであった。入浴後は、温まった体と冷たい外気のコントラストを楽しむために、外に出た。ホテル前の自販機で炭酸ジュースを購入して、一気飲みしながらタバコを吸った。喉が喜んでいた。坂を降りて駅方面に向かい、コンビニに寄った。箱根湯本にはセブンイレブンとローソンがあるので、買い物には困らない。また炭酸を買って、早雲寺の方へ向かった。彼女と結婚の話などしながら、何も考えずだらだら歩いた。何も考えずに歩いていたら、いつのまにかホテルに戻っていた。布団が敷かれていたので、少し休むことにした。この選択が悪かった。わたしは睡魔に襲われた。私にとって睡魔とはアリ地獄のやうなもので、そこに足を踏み入れると容易には戻れない。彼女がアリ地獄の淵から私に何度もロープを垂らしたが、私にはそのロープが見えなかった。アリ地獄の中は暗いのだ。結局、私が底から這い上がってきたのは午前1時頃であった。目が覚めた私は体調を悪くしていた。先程炭酸ジュースを飲みすぎたのが悪かったのか、胃がタプタプの状態になってしまって、ムカムカした。もう大浴場に行きたくなくかった。しかし、彼女は私を何度も起こそうとして、私が起きないからこの時間まで大浴場に行くことができなかったのだ。私が大浴場に行かなければ、彼女の2時間が無駄になってしまう。私は天城人には相応しくない重い足取りで、大浴場へ向かった。<br /> <br />編集中。<br />

奪われたシナモンの恋心

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2020/03/07 - 2020/03/08

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ハサミムシの涙さん

近頃、私は仕事で小さなミスを重ねることが多くなっていた。原因不明の肌荒れがひどくなるなど、体調にも変化が訪れていた。脳に天気があるとすれば、それは常に曇天といった感じであった。彼女も私のことを心配していた。そこで、週末を利用して、彼女と箱根に療養旅行へ行くことになった。宿は私が木曜日に予約した。天城園である。旅程は特に考えなかった。箱根に行くのは彼女は初めてだが、私は初めてではなかった。
旅行前日の金曜日、私は友人との予定があった。帰りは23時頃になった。彼女はその日、仕事で少し大変な事があったことに加え、翌日から始まる旅行に胸を膨らませるも、私が友人会ってしまっていて私と電話をすることができないから、気持ちが沈んでいた。このようにして、私も彼女もすでに少し疲れた状態で、この旅行は幕を開けた。
当日、私と彼女は9.00過ぎに品川に集合し、小田原を経由して箱根湯本に向かった。箱根湯本に到着したのは、正午より前であった。15.00のチェックイン時刻までまだ時間はあったが、荷物をホテルに預けるため天城園へ向かった。箱根湯本の通りは複雑で、google マップを利用しても、何度か道に迷ってしまった。箱根湯本は駅がある側の道と、川がある側の道との間に一本車道が走っているのだが、その車道を横断するポイントが少ないため、道選びに手こずるのである。川側の道を暫く歩くと、いかにも温泉街といったような街並みが現れて、その先にある上り坂の道を登ると、天城園が川を見下ろすように構えていた。天井園は巨大な城といった感じで、なるほど箱根湯本温泉の旅行記の中に、天井園に宿泊した人が多いのも頷けた。フロントに荷物を預けて、美味しい湯葉料理を食べることができる直吉に向かった。「なおきち」という名前は非常に語呂が良く、心地の良いもので、お店に向かう途中、私と彼女は何度もこの「なおきち」のリズムを刻んだ。お店は非常に混み合っていたため、整理券を発券して再び街に出た。順番が近くなると、登録した番号に電話がかかってくるというシステムであった。駅の方に戻り、散歩をしていると、美味しい自然薯を食べることができる蕎麦屋を見つけた。直吉は翌日のお昼に行くこととし、このお店で昼食をとることにした。私は天ぷら蕎麦を頼んだ。サクサクの分厚い衣を纏った大きな海老が、気持ち良さそうに汁に浸かっている。のぼせないうちにと思い、目一杯頬張った。彼女は自然薯の冷やしそばを頼んでいた。卵のとろみがかった自然薯は、お蕎麦によく絡んで美味しかった。昼食後は、早雲寺に向かった。案内板に沿って、林の中を歩き、暫く上り坂を登った。しかし、なかなか早雲寺は見つからなかった。代わりに、小さな神社を見つけた。そこで鐘を鳴らした。それは試合終了のゴングのようにも聞こえ、早雲寺に行くことは諦めた。
その後、駅の方に戻り、川に腰掛けてタバコをふかした。チェックイン時刻の15.00を回ったので、天城園に向かった。チェックインを済ませて、部屋に入った。和室であった。部屋は決して広くはなかったが、2人で寝泊まりする分には十分な大きさであった。夕飯までまだ時間があったので、部屋で天城人の生活を楽しんだ。
夕飯前に、夜の箱根を散歩した。雲が空一面にかかる暗い夜に、天井園の放つ光がよく映えた。天井園の頭からは、露天風呂の煙がモクモク吹き出していた。それは機関車が煙突から噴煙する様にも良く似ていて、川の流れる音も相まって、今にも動き出しそうな胎動が感じられた。
夕飯はビュッフェ形式であった。品数は比較的多く、選ぶものに困らなかった。シェフが目の前で焼いてくれるステーキは、柔らかくて美味しかった。デザートの種類も充実していて、彼女も喜んでいた。彼女はケーキを10個くらい食べていたように思う。太らないか心配であった。
夕食後はチェックイン時に予約していた家族風呂に入った。丸みがかった可愛らしい浴槽で、二人で入っても足が伸ばせる大きさであった。入浴後は、温まった体と冷たい外気のコントラストを楽しむために、外に出た。ホテル前の自販機で炭酸ジュースを購入して、一気飲みしながらタバコを吸った。喉が喜んでいた。坂を降りて駅方面に向かい、コンビニに寄った。箱根湯本にはセブンイレブンとローソンがあるので、買い物には困らない。また炭酸を買って、早雲寺の方へ向かった。彼女と結婚の話などしながら、何も考えずだらだら歩いた。何も考えずに歩いていたら、いつのまにかホテルに戻っていた。布団が敷かれていたので、少し休むことにした。この選択が悪かった。わたしは睡魔に襲われた。私にとって睡魔とはアリ地獄のやうなもので、そこに足を踏み入れると容易には戻れない。彼女がアリ地獄の淵から私に何度もロープを垂らしたが、私にはそのロープが見えなかった。アリ地獄の中は暗いのだ。結局、私が底から這い上がってきたのは午前1時頃であった。目が覚めた私は体調を悪くしていた。先程炭酸ジュースを飲みすぎたのが悪かったのか、胃がタプタプの状態になってしまって、ムカムカした。もう大浴場に行きたくなくかった。しかし、彼女は私を何度も起こそうとして、私が起きないからこの時間まで大浴場に行くことができなかったのだ。私が大浴場に行かなければ、彼女の2時間が無駄になってしまう。私は天城人には相応しくない重い足取りで、大浴場へ向かった。

編集中。

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