2020ダナンからサイゴンへ　南部海岸５泊６日の旅①―緊張のハノイ入国を経てダナンへ、翌日はホイアン散策

2020/01/30 - 2020/02/01

約20年ぶりに訪越することにした。

そんな時に降ってわいたような新型コロナウ
ィルス騒ぎ。おまけに人口１千万人を超える
武漢をロックアウトだって。ほとんどカミュ
の『ペスト』じゃないか。さては習近平、お
れを海外に行かせないためにおかしな病気を
流行らせやがったな。いまいましい奴め。

日本でも感染者は出ているものの、ベトナム
は中国人親子2名の感染が確認されているだ
けだし、ダナンとサイゴン以外は中国人旅行
者が行くようなところではないので、まあ大
丈夫だろう。

しかし、2月末にはこんなアホなことを言っ
ていられる状況ではなくなってしまった。

各国に感染者が出、株価は急落、イベントは
ほとんど中止になってしまっている。

飛行機の予約としれっと取った休暇の日数が
合っておらず、５泊６日のスケジュールで、
ダナンからサイゴンまで南部海岸をやや急ぎ
足で回ることになってしまった。

久しぶりのベトナムは、どこもかしこも20年
前とは大きく変貌していた。

エリア ダナン(ベトナム)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 高速・路線バス タクシー 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

持って行く荷物は今回は書籍類が多くなってし
まった。

昔ベトナムで買った、日本の辞書のコピー商品、
日越越日辞典。『歩き方』、『ロンリープラネッ
ト日本語版』（現在絶版）、小説。

暑いところだから、着替えはペラペラのドライシ
ャツばかりで大した重量ではないが、カメラと交
換レンズ、書籍でかなり重く、全部詰めると10キ
ロを超えていた。

冬に暑い国へ行く場合、空港まで何を着て行くか
というのはけっこう切実な問題である。

もこもこダウンなんか着て行った日にゃ、あっち
へ着いてから、それをバッグに入れて移動しなけ
ればならず、ひどく無駄である。そんなわけで、
今回はシャツの上にアーミージャケット１枚だけ
にした。幸い、この時期にしては珍しく暖かい朝
だったので助かった。

６時４０分の電車に乗り、上野に着いたのは１時間後。

空港の高いうえにうまくもない飯を食べるのも嫌な
ので、おなじみつるやで朝めし。

かき揚げ丼セット。今日はおまけに茄子の天ぷら付き
だそうで。

昼に入ると外国人がやっているのだが、今日は日本人
のおばちゃんだった。やっぱりそばとうどんは日本人
が作らないとな。

考えていたほど時間に余裕がないので、スカイライ
ナーで空港まで行くことにした。始発で出ればよか
った。

列車内でアルコールを手に塗り、マスクにも塗り付
けて装着。おかげでゲホゲホとせき込み、新型肺炎
の感染者のようになってしまった。

日暮里から中国人家族と思しき数人が乗り込んでき
た。うっ、と緊張したが、韓国人だった。いや待て
よ、中国東北部の朝鮮族かもな。服装や顔つきは明
らかに中国の田舎者風だぞ。くわばらくわばら。
（「くわばらくわばら」なんて書くと「くわばらく
わばらくわばたおはら」と小ボケを書きたがるのが
いるんだよなあ。誰とは言わないけど。←横浜のあ
んただよ。）

出発ロビーへ向かう。

男の上下真っピンクって・・・。

中国人（多分）のセンスは素晴らしい（苦笑）。

よくこれで家の外を歩けるな。

空港に着くと既にチェックインが始まっており、ぼく
も行列に加わった。

ベトナム人の若者、年齢差のある日越カップル、女性
のグループなどさまざま。おっさんの一人旅はどうや
らぼく一人。

出国審査前の手荷物検査もも中国人がいないからか至
ってスムーズ。

アオザイスッチーの後についてゲートへ向かう。

ゲート近くのスターバックスでラテを飲み時間まで
過ごす。店員には「出張ですか？」などと言われて
しまった。すんません、こんな時期に遊びに行きます。

往路はハノイ経由のダナン行き。ハノイで入国審査
をし、荷物を受け取って国内ターミナルへ移動する
という段取り。乗り継ぎ時間は３時間あるので、な
んてことはないが、ベトナム航空だけに不安が少し。

ベトナム航空は何度も乗ったが、何度もイライラさ
せられた。シェムリアップからのサイゴン行きは数
時間待たされた。ディエンビエンからのハノイ行き
はキャンセルになり、途方に暮れた。当時の国内便
は少しでも天気が怪しいとキャンセルになっていた
らしい。

さて、今回はどうかと思っていたが、離陸はスムー
ズ。とりあえずは及第点。

ハノイまでは約５時間。とりあえず映画でも見よう
とパラパラとスクロールしていたら、リドリースコ
ット監督の「グラディエイター」があったのでこれ
に決定。昔見たが、２回目でも良かった。ただ、コ
ニー・ニールセンは北欧顔だけに、ローマ帝国の物
語の中ではどうも違和感があった。

そのあと「翔んで埼玉」を少し見たが、特に面白く
もないので途中でテトリスに切り替えた。10数分間
くらいは集中できて調子はいいのだが、集中が切れ
るとすぐにわやくちゃにしてしまう。これも飽きた
のであとは寝るだけ。

ほぼ定刻に飛行機はハノイのノイバイ空港に到着。
さてここから最大の関門、ベトナム入国審査である。

昔は旅行者も少なく、入国審査も時間がかからなかっ
たのだが、今はそういうわけにもいくまいと思ってい
たら、案の定、イミグレ前は桃園空港も真っ青な大混
雑であった。

ベトジェットの到着ともかち合ったので、えげつない
ことになっている。カウンター前には「All Passengers」
の表示があり、ベト人も外国人もいっしょくたに審査
していた。

ベト人たちが一番手前の列にみんな並んでしまったから、
比較的空いている奥のカウンターに行けない。

ここへ韓国人旅行者が参戦し、こやつらがベト人どもを
強引にぐいぐい押してくれたから何とか奥へ行くことが
できた。

それにしても韓国人たちのニンニク臭いこと。若くてそ
こそこイケてるお姉ちゃんからも異臭がするからたまらん。
息を止めていたので呼吸困難になりそうだった。

端のほうまで行って並んだ列の先にはアメリカ人らしき
大柄の白人グループが団子になって固まっていた。列が
進んでいくにつれて、彼らの前は１列なのに、そこから
後ろは２列になっていた。つまり、アメリカ人どもの並
び方が悪いから、後ろの人が勘違いして２列になってし
まっていたのだ。並んでいる人たちは互いに譲り合って、
交互に進むようにしているのだが、ほかの列とは倍以上
の人が並んでいるのだから全く列が進まない。

結局入国審査には１時間近くかかった。

荷物はすぐに出てきた。税関を出たところで３万円を両
替。100円が２万ドンくらいの計算でいいようだ。

ベトナム航空の地上職員にダナンへ行くことを伝えると、
地図を見せられ、外に出て２番レーンの16番乗り場に行
くとバスが来るからと教えてくれた。

指定された場所に行ったがバスは来ず、近寄って来た男
が、「国内線へ行くのか？」と声をかけてきた。

男はトランクに「Vietnam Airline」のロゴが入った車を
差し「これに乗って」という。

怪しいな、しかし会社のロゴ入りだし・・・。

バスが見当たらないので仕方なく乗った。男は運転しなが
ら「今はテト（旧正月）なので、バスは終わったんだよ」
と言っていた。

国内線ターミナルは少し離れていて、高速の料金所のよう
なところに来た。支払い済みのレシートを見せて「お金出
して」という。レシートには「210.000d」と書かれていた。

５万ドンを渡そうとすると「スモールスモール」と言って
受け取らない。「後でいいから」といって、結局車は国内
線ターミナルに着いた。通過料（通行料？）は21万ドン。
およそ1000円。なんでターミナル間の移動だけで1000円
もするのか。しかし、きちんとしたレシートだし、車には
ベトナム航空のロゴ入りだし・・・。

国内線ターミナルは予想通り、ベトナム人だらけだった。

テト中だからもっと混雑しているかと思ったが、それほ
どでもなかった。やっぱり飛行機に乗れる人なんてまだ
まだ限られているんだろう。

出発まで１時間以上あるので、上の階の飲食店を物色。

バーガーキングがあったが、高かったので、こっちの
カフェにした。

バインミーとラテを注文。

今はバインミーのパンはトーストのように平たく
焼くのか。

座席はほぼ埋まっていた。

珍しく窓際になり、高度を上げていく際にハノイ
郊外の風景を見ることができた。

広大な水田地帯のところどころに十数軒の家屋が
固まっていた。ベトナム北部地帯独特の農村風景
である。18世紀までに紅河デルタから山間部まで
農村社会は行きつくところまで膨張したものの、
18世紀の世界的天候不順で壊滅した。

雨期稲のできるデルタ地帯の村落だけが、小さく
まとまり、門戸を閉ざした。「王法も村の垣根ま
で」と呼ばれるくらい自主独立精神の強い農村の
誕生である。独立戦争やベトナム戦争、北部ベト
ナムの社会主義化を支えたのは、この小さな村落
の農民たちである。

ちょうど１時間でダナンに到着した。

到着ゲートからいったん空港の外へ出た。

そして再び空港内に戻り、出発ゲートへの階段
を上った。

おそらくダナンはそんなにひどくはないと思うが、
ボッタクリタクシーに乗らないために、客を乗せ
てきて、降ろした後市内へ戻るタクシーを捕まえ
ることにした。

ちょうど一台のメイリン社のタクシーが白人客を
降ろしているところだった。白人客が若い運転手
と写真を撮っている。客が記念写真を撮りたがる
ような運転手なら安心だろう。

白人客が去ったあと車に乗り、大聖堂近くのパシ
フィックホテルへ行ってもらった。

何度か通りを間違えながらもパシフィックホテル
に到着。

メーターは55000ドンになっていたが「すみませ
ん、道を間違えたんで５万ドンでいいです」と言
ってくれた。ベトナムにもこういう運転手がいる
んだなあ。白人が記念写真を撮りたがるはずだ。

パシフィックホテルは１泊30万ドン（約1500円）。
Booking.comで予約した。普通のビジネスタイプ
のホテルである。

荷物を置き、外に出た。

すぐ近くに海があると思っていたが、ハン川とい
う川だった。

遠くのロン（龍）橋は電飾で飾られていた。

ダナンはベトナムで3番目に大きな都市である。
最近はビーチリゾートとしても有名になり、ミー
ケービーチからホイアンに至るエリアには世界的
に有名なリゾートホテルが軒を連ねている。ちな
みに嵐の櫻井翔はホイアン近くのフォーシーズン
ズに彼女と泊まったらしい。どうでもいいけど。

現在はビーチリゾートの都市として繁栄している
ダナンだが、ベトナム戦争当時は難攻不落の要塞
都市と呼ばれていた。

産経新聞の特派員としてベトナムに赴き、ベトナ
ム戦争を取材していた近藤紘一はダナンを「異様
に目が据わった少数民族の兵士が闊歩する不気味
な都市」と表現していた。

しかしこの要塞都市も1975年の北ベトナム軍の
攻撃により、あっけなく瓦解した。実際には、北
から逃れて来る避難民と北越軍の威嚇砲撃により
阿鼻叫喚の大混乱に陥り内部崩壊したものである。

ダナン陥落時のエピソードを読むとつくづくベト
ナム人というのはダメな民族だなと思う。

威嚇砲撃や避難民の流入ですっかり臆病風に吹か
れた民衆は半狂乱となって我先に港や飛行場に殺
到した。

彼らは「いざという時こそ落ち着いて行動する」
ということができないようだ。財布や通帳を持っ
て出る、金目のものを持って出るといったことも
せず、一目散に逃げだしてしまうのだ。

操縦士のいない無人の船に殺到する人たち。運よ
く外に出る船に乗り込んだ男は、自宅に子どもを
残していたのを思い出し、発狂したという。

同じことは空港でも起きていた。避難民救出のた
めに到着した飛行機には千人もの発狂寸前の群衆
と兵士が殺到した。離陸のために走り出した飛行
機にしがみついた人たちは、南シナ海に落下した。
乗ることができたのは200人ほどで、大半が群衆
を蹴散らした兵士たちだった。民間人で乗ること
ができたのは女性2人と無理やり母親が投げ込ん
だ赤ん坊の計3人だけだった。

ベトナム戦争の時の民衆の混乱の様子は、ベト
ナム民族の異常な群集心理をよく伝えてくれて
いる。

しかし、ベトナム南部を恐怖と大混乱に陥れた戦
争も約半世紀前の出来事。ダナンの中心部で戦争
の痕跡を見つけ出すのはほぼ不可能となった。

戦後50年で、難攻不落の要塞都市は大きく様変わ
りした。

河畔は夕涼みをする地元の人たちや外国人観光客
が歩き、通りは外国人旅行者の落とす金目当ての
バーやレストランが軒を連ねている。

とにかく韓国人観光客の多い街で、ハン市場周辺
には、ハングルの看板があふれかえっていた。

ほぼすべてが韓国人観客用のフロアーになっている
ビルもある。

ベトナム戦争当時、韓国はアメリカの要請で派兵を
行った。韓国軍の残虐さは日本のネトウヨが大好き
な韓国批判のネタのひとつである。実際、農村に入
り村民を虐殺するようなことを平気でやっていたら
しい。

ベトコン（解放軍）をあぶり出すために村長の娘を
逆さ吊りにし、腹を裂いて胎児を引っ張り出すよう
なこともしていたという。戦争が人を変えるのか、
あるいは韓国人というのはもともと残酷なことも平
気でやってのける民族なのか。

自分達がつい50年前にひどいことをした地になぜ
こんなにたくさんの韓国人たちがやって来るのだ
ろう。

通りにあるチェー屋（甘味処）に入り、アイスコー
ヒーを注文。

懐かしい味がした。店は小便臭かったけど。3万5
千ドンと外国人価格であった。

通りをハン市場に向けて歩いたところにあるレスト
ランに入った。

ここも韓国人家族でにぎわっていた。80歳を越えた
ような老人もいた。戦争経験者だろうか。

コム・ガー（鶏肉飯）を注文。13万ドンもしたけど
まあうまかった。

コンビニでダナンの地ビール、ラルーを購入。

ベトナムは、昔は南北に分かれていたし、輸送
網も発達していなかったので、各地方に地元の
ビールがある。

昔、ベトナムを旅していろいろ飲んだが、とり
あえずこれは何とか許せる味だった。他のはは
っきり言って水ビールである。

美貌の人妻yasaki嬢がベトナムのヨーグルトを
やたら絶賛するので、そんなにうまいというの
なら買ってみっかと購入。

日本のと違って酸味が少なく、ミルクっぽい味
が強かった。まあうまいかな。

22時過ぎにホテルに戻り、シャワーを浴び、ビール
を飲んだ。

バスルームの床が排水溝に向かって低くなっておら
ず平坦だったので、シャワー水が流れずため池みた
いになってしまった。

サイゴンのドンコイ通りに建っているようなホテル
でも、ドアノブがぐらぐら、ドアがちゃんと閉まら
ないといった不具合のある物件が多い。ベトナム人
はこういう基本的だが細かい建付けが苦手なのかも
しれない。

２時間ほど外に出ただけだったが、ベトナムは20年
前から大きく変貌しているのを実感した。

目覚ましをかけずに７時間ほど睡眠。

部屋でダラダラ過ごし、７時に外へ出た。

臺灣で買った半袖のドライシャツ１枚だと少し寒い
くらいだ。バイクに乗る女の子はダウンを着てマフ
ラーまで巻いて日本の真冬のような格好をしていた。
大げさな。

ホテルからすぐ近くのダナン大聖堂前のバス停へ。
ここにホイアン行きのバスが来る。

10分も待つとバスはやって来た。ホイアンまで３万ドン
（約150円）。

ダナン周辺は道幅も広かったが、ホイアン近くになると
大型車がすれ違うのに難儀しそうな狭い道路になった。

ホイアンへは1時間余りで着いた。

バス乗り場にバイタクがたむろしていて、一人の男が
5万ドンで持ち掛けてきた。「2万だな」というとスマ
ホのグーグルマップでホイアンとバス乗り場を表示さ
せ「べリーファー(very far)、べリーファー」を繰り
返す。ベトナム人の言う「ベリーチープ」は安くない
し、「べリーファー」は大して遠くない。「ダメダメ」
と首を振ると「じゃぁ3万で」という。なんでここま
で来たバスと同じ運賃なんだと思ったがまあいいかと
乗ることにした。

ホイアンの街までは数分だった。

バイクが乗り入れ可能な場所で降り、真っすぐ歩くと
ホイアンの市場があった。

建物の外には野菜市場が広がっていた。

雑貨屋やお土産屋もあった。

牛革のベルトを扱っている露店があったので、値段を
聞くと40万ドン（2000円）だという。ベトナムにし
ては高いので、立ち去ろうとすると、37万ドンと言っ
てきた。

「こんなもん、日本でも1000円で売ってるよ」という
と、ベルトを見せ「見てよ。一枚皮だよ」と張り合わ
せでないことを強調する。この時自分が身につけていた
ベルトを指し「台湾のでも20万ドンしないんだよ。高い
よ」というと、「30万、24万」と値段を下げてきた。
何だよ、ずいぶん安くなるじゃねえか。こんなところで
買ったら本当はどの程度の物なのか、さっぱりわからな
くなる。くわばらくわばらくわばたおはら（あっ！）。

中に入ると、食べ物屋が両側に店を出していた。

ミセスハーの呼び込みに誘われて、席につき、フォー
ボー（牛肉麺）を注文。35000ドン。

薄味に見えるが味は濃い。食べているうちに汗がじんわ
り出てきた。

フォー屋の先にチェー屋があったので、席につきアイス
コーヒーを注文。

お茶もついてきて25000ドン。お茶のグラスは懐かしき
チュングエンカフェのものだった。今も展開しているの
だろうか。昔六本木に出店したらしいが、今はもうない
だろうなあ。

うわっ、外国人旅行者がすげ傘をかぶってる！
恥ずかしーっ。

こちらでは中国人観光客たちが通りの真ん中で記念写真。

一、二、三、茄子（チェーズ）！

朝の早い時間だからね。

メインストリートと言えるチャンフ通りの古めかしい建
物はすべてこんな感じで土産物屋になっていた。

入口の真ん中にいたんじゃ入れませんがな。

今日ホイアンへ来たのは、ここでバイクを借りて近郊
のミーソン遺跡へ行くためだった。

しかし、昨日ダナンの街をウロウロして、今日ホイア
ンへ来ると、もう遺跡なんてどうでもよくなってしま
った。

まあしかし、行こうと決めていたので、ハイバーチュ
ン通りにレンタルバイク屋があるらしいので歩いてみ
たが、それらしきものは見つからなかった。

そんなわけで、ミーソン遺跡行きは簡単にあきらめた。

フアンチュウチン通りとハイバーチュン通りの角に
花で飾られた仏教寺があった。

門前には法寶寺とあった。

本殿の前も花でいっぱい。テト（旧正月）というのも
あるのだろう。

地べたは人工芝で覆われていて、そこを老人が掃いていた。

仏像が３体。右側はお坊さん。

柱には字喃（ちゅのむ）だか漢語だかで何か書かれて
今のベトナム人には模様にしか見えないだろうな。

チャンフ通りの端に有名な日本橋の入口があった。

完全な中華建築だが、some女史によると柱の組み
方は日本式だとか。日本人と中国人の共同制作と
いうことか。

正式名称は来遠橋だが、日本橋で通っている。中
国人観光客もいたが、皆「日本橋」と呼んでいた。
韓国人は意地でも「来遠橋」と呼ぶだろう。

1593年に建造されたというから、関ケ原の合戦の
７年前である。

かなり頑丈な造りで、この橋が中国人街と日本人街
の境界となっていたという。

中に入ると両側に犬の像があった。

線香が焚かれ、花が添えられている。

この橋を建造したのが誰かよくわからないが、このシン
プルで漫画っぽい作風はやっぱり日本人かなとと思う。

中国人なら曲線を多用してごてごてした感じにしている
と思う。

寄付した人たちの名前と費用が彫られている。

広東や福建の中国人たちのようだ。

「號」とあるから、船の名前だろうか。

橋の真ん中にお寺があるのだが、そこへ行くには金
がいるようなので、外に出て、大きく回って向こう
側に行くことにした。我ながらせこいな。

浅草で買ったのか？

反対側に回ると、猿の像が両端に置かれていた。

猿と犬の像が置かれているのは、申年から建設が始まり、
戌年に完成したからだとはsome女史から教わった。

犬側に長崎県から寄贈された朱印船のレプリカが置かれ
ていた。

安土桃山時代から江戸時代の鎖国まで、日本の商人は海
外へ飛び出していった。

ヨーロッパの大航海時代と時を同じくするようにアジア
も大航海時代に入った。

ボリビアやメキシコで産出された銀は、当時ヨーロッパ
で流通していた銀の量をはるかに上回り、猛烈な経済の
活性化を促した。ヨーロッパの銀はアジアにも流入し、
日本産の銀の流通とも合わせて、アジア経済も空前の活
況を呈するようになる。

「倭寇」の被害に悩む中国の明朝が事実上の鎖国政策を
採ったおかげで、日本の朱印船が南シナ海交易活動の一
翼を担うようになった。朱印船の30％以上が、ベトナム
に来航したという。

その中でもここホイアンは、日本向け貿易の基軸であった
生糸輸出によって繁栄し、２～３千人の日本人が居住して
いた。

しかし、徳川幕府の鎖国政策により、大半の日本人は帰国
することになる。一旦は帰国したものの、再びやって来た
ような日本人たちもいた。そんな人の墓が郊外の田んぼの
中に残っている。

10時を過ぎると狭い通りには観光客が増えてきて、歩きづ
らくなった。そろそろダナンに戻ることにしよう。

バイタクを止めてバス乗り場まで行った。来るときに近く
に慰霊塔があったので、見に行くことにした。

途中、ロープでつながれた水牛がこっちをじっと見ていた。
角がボロボロになっていた。

花で彩られた先に慰霊塔が建っていた。

「ホイアン解放45周年」。

ダナンが陥落してしまえば、ホイアンのような小さな街は
ほとんど無血入場のようなものだっただろう。

バス乗り場に戻り、ダナン行きのバスに乗り出発を待った。

運転手はずいぶん信心深い人のようだ。

終点のバスターミナルで降り、明日のクイニョン行きのバス
の時間を確認しようと周囲をうろうろ。

「Quy Nhon」と書かれた紙をワイパーに挟んであったミニ
バスが停まっていた。中に運転手がいたので明日の時刻を知
りたいと尋ねたが、英語がまるで通じない。相手も気を遣っ
て尋ねてくれるのだが、ベトナム語だから当然ぼくにはわか
らない。ダメだこりゃ。

ロンリープラネットにはクイニョン行きは１日10便以上ある
と書かれていたので、とりあえず朝４時半くらいに来て待っ
ていれば何とかなるだろう。

タクシーでハン市場まで行ってもらい、そこから歩いてロン
橋まで来た。とりあえず向こうまで渡って龍の頭を撮影。

橋を渡ったところには大量の漁船が係留されていた。

それから、元来たところに戻り、道路を渡ってチャム彫刻
博物館へ。

ここにはフランス極東学院が各地のチャンパ王国の遺跡か
ら発掘した彫刻品や芸術品が展示されている。

チャンパは２世紀から19世紀まで、ベトナム中部の沿岸
地方に存在した海洋交易王国群である。

オーストロネシア語族に属し、独自の文字を持っていたが、
王国の統治形態など、よくわかっていないことが多い。

地図には遺跡のある場所が赤く記されている。フエの北の
クアンビン省から、南はビントゥアン省のファンティエッ
ト近郊のエリアに遺跡は点在している。

これがチャンパの象徴とも言える、リンガ（男性器）とヨ
ニ（女性器）。台座の部分がヨニである。ほとんどのチャ
ンパ遺跡の主祠堂にはこれが安置されている。

もともとのチャンパの信仰の対象は男性器と女性器の結合
だが、時代とともにヒンドゥーや仏教の要素が入ってくる。

展示物を見れば、明らかにヒンドゥーの神々を信仰して
いたことがわかる。

これはヤクサ（Yaksa）。ヤーさんではない。

ヒンドゥーの至高の神、ヴィシュヌ。

仏像の台座には当時のチャムの生活も彫られていた。

お乳丸出しではないか。

「この泥棒猫！」
「何言ってんのよ！」
「まあまあ奥さん落ち着いて」

ヒンドゥーの踊り子、アブサラ。

加工する石がかなり固いのか、アンコールワットのような
精緻な彫刻は見られないが、どれも見事なものである。

博物館を出て道路を渡って河畔に出た。

テトのお祝いで、ここも花が飾られていた。

なんか中国人みたいだな。

川沿いのバーに入り、ラルービールを注文。

隣は白人男とアジア系女。

女の方がずっとしゃべっていた。

晩めしはホテル近くの食堂へ。

昨日と同じくコムガーを注文。

鶏揚げすぎだよ。固くなっているじゃないか。

隣に若者３人が座り、ぼくと同じものを注文した。
彼らの食べっぷりのなんとも見事なこと。太い骨２本を
残しただけで、きれいに平らげていた。細かい骨はかみ
砕いて呑み込んだようだ。それに引き換えぼくの食べっ
ぷりの汚いこと。骨のところどころに肉が付いているし、
骨もぐちゃぐちゃに散らばっている。子供のころから、
汚い食べ方は全く治らない。

明日は早い。ダナンの余韻に浸ることなく、排水がうまく
行かない真っ平の浴室で足をびちゃびちゃにしてシャワー
を浴びた。

この旅行記へのコメント （2）

• yasakiさん 2020/03/02 22:03:07

  もしや…

  ハイペリオンさん　こんばんは(｡ﾟωﾟ)ﾉ
  
  コロナウイルスで出国を取りやめたかな？と気になってましたが、ご無事なようで安心しました。
  
  ベトナムの空港手続きの遅さはどこも同じですね。職員のやる気、誠実さがまるで感じられないんですよねぇ。どうにかならんものか。
  (´Д`A;)
  
  そして国内線への移動、たぶん、いやきっと間違いなくぼったくりタクシーですよね。偽装系、ターボメーターとか色々いますから油断できませんね…。ホーチミンだけでなく、ハノイも同じなのかぁ。
  
  くわばらくわばら…
  (*´艸`*)
  
  ダナンの物価の高さに驚きました。
  私がホイアンに行った時は有名な店でもアイスコーヒーは2万ドンでしたよ。5年ぐらい前ですが。櫻井翔も行くほどのリゾート地になったから物価も上がっているのかな？
  
  yasaki

  ハイペリオンさん からの返信 2020/03/03 13:12:49

  やっぱり？

  
  くしゃみするたびに「もう、花粉症！」と花粉症アピール
  をしている今日この頃、いかがお過ごしですか。
  
  １月末の時点でベトナムは中国人親子２人だけだったので、
  まあ大丈夫だろうと思い、出国しましたよ。でも、あっち
  ではけっこう「グイチュンクォック？（中国人）」と引か
  れながら聞いて来ましたね。警戒されているようでした。
  
  ダナンのハン川沿いは外国人エリアで、外国人観光客がほ
  とんどなんですよ。だから、何でも値段は高めでした。
  次の晩は、普通の食堂で食べて５万ドンでおつりが来まし
  たから、と一般のベトナム人のところは安いですよね。肉
  固かったけど。
  
  ハノイのあの車、やっぱりやられているのかなあ。タクシ
  ーではなくて普通の乗用車で、会社のロゴ入り。あの親父
  が小遣い稼ぎにやっているのかなと思ったりもしました。
  実際、ハノイは空港から市内へのミニバスとかはトラブル
  が多いらしいですけどね。
  
  ちなみにニャチャンではもっと悪質なボッタクリタクシー
  に乗ってしまいました。乞うご期待です。
  
  ２万ドンと20万ドンは確かに間違いやすいですね。パッと
  見では、ゼロの数が判別つかないですね。旦那さんのこと
  を笑っていられませんでした。
  
  韓国行きは取りやめて正解ですね。あんなに増えるなんて。
  あの教祖様土下座していましたが、死刑ものですよね。
  たぶんなんちゃってキリスト教なんでしょうけど。
  
  では。ki