2019/11/08 - 2019/11/09
428位(同エリア591件中)
ちゃおさん
1年限りの菊栽培。盆栽名人は何年も掛けて盆栽の形を整え、枝木を落とし形成し、見栄えを良くして来年再来年の展示会に向けて、精魂を傾けるのだが、菊名人はそういう訳には行かない。1年ごとが勝負の時だ。春先から菊の成長に従って、形作り、花作りを始め、秋になって大輪を咲かせる。大輪を咲かせ、人々に愛でてもらえば、それでもって今年の菊作りは終了する。1年性の草花の宿命だ。この大輪の菊が販売される訳でもなく、1年間の努力は、より綺麗な花を咲かせる為の高い目標達成への喜びと自己満足、自己陶酔かも知れない。1年間の大変な労力と時間経済の結晶が、今ここにある。
それぞれのコーナーには名人の名前が記された立札がある。合計すると10数人程か。多分毎年この季節、最高の菊を持ち寄って、鑑賞会をしているのだろう。如何にも職人気質の名人が、いろいろと菊の話をしてくれる。話の中身には衒いもないし、自慢話もない。淡々と菊の美しさ、気品の良さを話しかけてくる。心底菊花を愛しているのだろう。恋女房のようなものかも知れない。立派な顔立ちだ。記念に1枚写真を撮らせてもらう。
日本人の名人気質。1シーズンで消え去るものに対しても精魂を傾け、最高のものを作ろうとしている。後に残るものではない。日本の花火が世界で一番綺麗だと言われる。長岡や大曲には、毎年沢山の外人客がやってくる。1発に込めた丹精。打ち上げられて天空に花が咲けば、それはもう残影としか後には残らない。究極の瞬間芸術だ。菊花は花火ほど瞬発的ではないが、それにしても秋の数週間、花が咲き終わればそれでお仕舞になる。花火名人は瞬間に命を懸け、菊名人は秋の数週間に命を懸ける。長岡、大曲の夜空に開く菊の大輪。日本人名人気質の名人芸の共通点のようなものを感じた。
- 旅行の満足度
- 5.0
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